走攻守におけるアドレス

Last Updated on 2020年10月25日 by wpmaster

野球には、投げる、打つ、走るという肉体の稼働があります。守備においては、「走る」と「投げる」を行います。打撃も投げると共通する面があります。
野球において、始動は、ガイドハンド(投球手、トップハンド、後ろの手)の手首を地面に引っ掛けること(ヒッチ)です。すなわち、後ろの股関節の外旋です。これは、「走る」「投げる」「打つ」全てにおいて同じです。土台は、「走る」なのです。
この始動前の静止したときの、両足の位置関係、手首の位置、両肩の位置関係をアドレス(セットアップ)と言います。

腕のスイングにおけるアドレス

スイングする直前の手首の位置をトップポジションと言います。アドレスからトップポジションまでの間を予備動作と言います。

投手は、捕手のミットを目で見ると頭の位置が下がります。走者は、進塁する方のベースを見ると頭の位置が下がります。頭が下がるとストライドが広がり、腰の位置が低くなります。指先をしならせる間ができません。
打席のホームベース寄りのラインの始点と両足のつま先を平行に立つのが、スクエアスタンス、打席のホームベース寄りのラインの始点をを閉じるのがクローズドスタンス、打席のホームベース寄りのラインの始点を空けるのがオープンスタンスです。
前肩、前足が背骨を閉じるのがクローズドスタンスではありません。

人間は、メンタルによって肉体の稼働をコントロールすることはできません。

投手が打者を見るとき、打者が投手を見るとき、走者が次の塁を見るとき、目ではなく、後ろの手首と後ろの股関節で見ます。
後足のスパイクの内側で地面を噛ませると後ろの股関節が前に倒れ、地面の方を向いてしまいます。
前膝、前足のつま先、前肩が背骨の方に入ると、前肩、前足のつま先、前肩、前の股関節が後ろの手首、後ろの股関節をふさぎ、打者、投手、次の塁との距離(位置関係)が取れません。
スクエアスタンスであろうと、クローズドスタンスであろうと、前肩は両足のつま先を結んだラインより若干、開いておきます。後ろ足は、内転筋を内旋し、つま先は、バッターボックスの内側のラインと垂直に交わらせるか、やや投手方向に向けます。
アドレスのとき、前肩よりも後ろ肩を上げると、腹横筋が伸び、手首をホームベース方向に引っ張られると抵抗することができません。前足で地面を蹴るよりも先に手首をヒッチさせざることができます。アドレスのときは、後ろの肩を前肩よりも上げ、後ろの肩よりも手首を上げて置くが正解です。前肩を後ろ肩より下げることにより、前肩が頭を塞ぎません。顎も上がりません。前の脇も後ろの脇も空きます。手首を地面に引っ掛けると(ヒッチ=地面方向に手首を落とすと)スパイクの外側でエッジをかけ、後股関節を外旋、後足の前脛骨筋を内反(回外)して後ろの股関節と後足の前脛骨筋をしならせることができます。前肩を背骨の方に動かさずに背骨を捕手方向に倒すことができます。ガイドハンドの肘もヘッドの外側に張り出す間ができます。

バッティングもピッチングも、ガイドハンドの上腕部を外旋、大腿骨を骨盤に刺し、前腕部を回内(後ろ肩を前肩より上げ耳の高さでガイドハンドの肘でスクラッチ、手首を緩め手首を背屈して指先をしなれせる)してトップポジションに達した後、再度、ガイドハンドの上腕部を外旋し、手首を緩め、ガイドハンドの前腕部を回外してガイドハンドの肘と手首を真下に落とします。大腿骨を骨盤に刺し、ガイドハンドの前腕部を回外する間ができないと、小指が前を向かず、指先が残らず(ガイドハンドの肘が手首の前に出ない)、ガイドハンドの手根がガイドハンドの肘より前に出てしまい、ヘッドが寝てしまいます。故に、ガイドハンドの手首が底屈してドアスイングになります。2回目の前腕部の回内の直前に指先をしならせることができず、親指でボールを押し込めなくなります。手指先が手首のラインよりも下がるので、ガイドハンドの手首をボトムハンドの手首を越えさせる(ローリング)しないと前腕部を回内できなくなります。打球にトップスピン(ドロップ回転)がかかります。

アドレスのとき、両肩を水平にして手首の位置を両肩の高さにしていると、手首の位置を下げる必要がありません。後ろの股関節を外旋すると、前肩、前肘、前膝が背骨の方に引っ張られます。後ろの股関節が損耗すると後ろの股関節の外旋より先に前足で地面を蹴ってしまいます。後前肩を開かないとガイドハンドの肘を推進できません。ろの股関節を外旋(=地面を蹴る)できないと後ろ足にかかったウェイトを解いて前足だけで立つことができないので、、後足にウェイトが残ってしまいます。
後足のスパイクの内側にウェイトがかかると、前足、前膝を背骨の位置に落として前膝で地面を蹴れません。前肩が後ろの肩より下がりません。両肩が水平になってしまい後ろの脇も閉まります。前の股関節が邪魔になります。前の股関節の外旋を解かなければならず、ストライドが広がります。前膝が屈曲し、前足首が底屈します。頭も背骨も前に出されます。指先をしなれせる間も小指を前に向ける間もできません。
頭、背骨の位置を引く場合、後ろの股関節が邪魔になるので、前膝で地面を蹴るか、前足のつま先を背骨の方に引き戻して後ろの股関節を外旋しなければなりません。前膝で地面を蹴れれば、前の股関節だけが引っ込み、前肩が背骨の方に入りません。前肩を開かなくてもガイドハンドの肘が前の股関節の前を通過します。押手の親指でグリップを押し込む瞬間、両股関節をぶつけることができます。ボールの外側(投手寄り)を縦に擦り下ろすことができます。ガイドハンドの前腕部を回外することでヘッドをボールの下に潜らせることができます。V字スイングが完成します。
前足のつま先を背骨の方に引き戻すと前肩が背骨の方に入り、前肘が後ろに再び突っ張ります。前肩をどかし、前肘のロックを解かないとガイドハンドの肘を前に出せません。骨盤の前方が浮き、顎が上がります。両股関節をぶつけることができません。
走塁の場合、スタートが遅れます。

アドレスのとき、ヘッドをホームベース方向に倒すと、前肩が背骨の方に入ります。予備動作でコックを行うと前肩が後ろの股関節、後ろの手首を塞ぎます。前肩を開いてやらないとガイドハンドの肘が出ません。アドレスのとき、両膝を曲げて膝がつま先の前に出てしますと後ろの股関節で地面を蹴れません。前肩が背骨の方に入ります。骨盤が後傾と臀部がしずみ、踵が背中の方n滑ります。前肩が背骨の方に入ります。後ろ足の拇指球にウェイトを移さないとガイドハンドの肘が出せません。

打者の膝元の高さに糸を張って低目を投げさせる練習、コーナーギリギリを突かせる練習は愚の骨頂なのです。

走塁におけるアドレス

走塁のときに後ろの股関節を蹴る前のアドレスは、バッティング、ピッチングと同じです。
走塁練習のときに、棒を持って棒の下をくぐらせる練習は、頭を下げれば、後ろの股関節が前に倒れます。ストライドが広がります。前足の着地位置を探り背骨の方に前足引き戻すと希賢、前膝が背骨の方に入ります。前肩、前膝を開かないと腕が振れません。頭の位置が下がります。両股関節をぶつけることができません。両股関節をぶつけられないと塁間のラインの内側に向かって走ることができません。スロライドが広がることの弊害は、バッティング、ピッチングと同じである。この練習も愚の骨頂なのである。
走塁のときのアドレスの段階においては、後ろの股関節。後ろの手首で打者、野手の動きを観察する。

走者のランニングの巧拙を推察するポイントは下記のとおりである。

①両膝が両足のつま先の前に出ていないか。

②骨盤の前傾、後傾

④後足のエッジのかけ方

④両肩の位置関係

⑤後ろの股関節の外旋で始動しているか(頭の位置が背骨より後ろか)
後ろの股関節を外旋できると、手の指先、後ろの股関節の加速距離を長く、ストライドを狭くすることができる。前の塁、前方の塁までの距離は何れも短くなる。
これが出来ている選手は、アキレス腱周辺の筋肉が兎や犬のように細い。
ヘッドスライディングは引手主導のドアスイングなので、後ろの股関節の稼働域、後ろの手の指先の加速距離は短くなる。

6前足の着地位置の探りの有無

⑦前膝の蹴り(前足首の背屈)
これにより前の股関節が前のめりになるのにブレーキをかける。次の塁に進むだけでなく帰塁、足からのスライディングの巧拙にも関係する。

⑧腕の振りがインサイドアウトか

⑨両股関節をぶつけられているか