広島の新外国人投手テイラースコットのピッチング

Last Updated on 2022年3月25日 by wpmaster

広島の広報は、来季から前ボルティモアオリオールズのテイラースコットが広島でプレーすることが事実決定した旨を発表した。主な契約内容は、公称契約金17万5000ドル(約1930万円)、年俸52万5000ドル(約5780万円)
テイラースコットとはどのような投手なのか見てみよう。

プロフィール

テイラー・ジェームズ・スコット(Tayler James Scott, 1992年6月1日 – )は、 南アフリカ共和国ハウテン州ヨハネスブルグ出身のプロ野球投手。右投右打。
公称サイズは、190cm 84kg

2011年、MLBドラフト5巡目(全体159位)でシカゴ・カブスから指名され、プロ入り。2016年3月30日に自由契約となる。

2016年4月21日に独立リーグであるアメリカン・アソシエーションのスーシティ・エクスプローラーズと契約した。
2016年7月5日にミルウォーキー・ブルワーズとマイナー契約を結ぶ。
2017年7月31日にジェレミー・ジェフレスとのトレードで、テキサス・レンジャーズへ移籍した。2018年オフの11月2日にFAとなった。

2019年1月24日にシアトル・マリナーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加する。開幕は傘下のAAA級タコマ・レイニアーズで迎え、6月7日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした。6月8日のロサンゼルス・エンゼルス戦でメジャーデビューを果たす。

2019年6月25日にウェイバー公示を経てボルチモア・オリオールズへ移籍。レギュラーシーズン終了後の10月30日にマイナー契約で傘下のAAA級ノーフォーク・タイズへ配属された。

投球成績

4シームの球速は、95.27mph(=153km/h)、シンキングファストボールが94.69mph(=152km/h)、スライダーが89.19mph(=143km)

マイナーでは、4シーム、シンキングファストボール、スライダーの他に、パワーカーブ(83.99mph=135km/h)20球、チェンジアップ(86.60mph=139km)9球を投げている。

※スマホでご覧の毒者は、2本指でつまんで水かきを広げると拡大できます。
PCでご覧の毒者は、Ctrlキーと+キーを押すと拡大できます。

2019年、3A相当のTacoma(PCLリーグ)、Nofolk(ILリーグ)でも投げており、2019マイナートータルの成績は、33試合に登板し、51回 43被安打 被本塁打4、26失点(自責も同じ)防御率4.59、68奪三振 22四球 申告四球1 死球2  暴投7 ボーク1、3勝2敗7Sである。

マイナー通算では、248試合に登板し、606回2/3を投げ、40勝36敗 防御率3.86である。

動作解析

テイラースコットは、右足踵に体重をかけて右股関節を外旋して左膝をレッグアップする。左膝のMaxの高さは、骨盤とほぼ同じ高さである。

右足踵に体重をかけたまま、左膝を内に入れる。

上体と左足で「く」の字を作る。右腕前腕部を回内し、骨盤の手前まで右腕を引く。

左足は内転筋を内旋しているが、右足踵が地面を離れ、右足前脛骨筋が回内(外反)し始める。

テイクバックは横に小さいが、右肘を逆Lにしたときの上体と下半身の横への捻転差は標準レベルである。

右肘をつまみ上げたとき、両肩甲骨は殆どぶつからない。左手は親指が上に切り替わる。

右肘をつまみ上げ、右腕上腕部を外旋してトップを作る過程で、右肩を一度、左肩よりも下げる。

左足は、スパイクの内側の踵から着地する。

右足拇指球を支点に右膝が内に入り始める。左肩、左膝が開く。

後ろ足を軸に骨盤を回し始めている。

最大外旋位は大きいが、右胸が打者の正面に向く。

トップを作るまでの過程に①右肩が左肩よりも下げる動作があること、②最大外旋位が大きいこと、③体軸の傾き、④コッキングの角度、⑤右肘の高さを総合すると、右のスリークォーターである。

左のスリークォーターであるエスコバー、ロドリゲス同様、上から投げることもある。

リリースの瞬間、右足小指球を支点に右膝が伸び、右足踵が三塁側に倒れる。左膝が突っ張らず、左足がO脚になる。

左足の小指球を支点に右足をターンさせる。

まとめ

広島の新外国人投手については、DJジョンスンの方が縦回転であり、テイラースコットの方が、左肩関節の格納又は開き、左膝の開きが早い。打者は、後ろの股関節を外旋して手首とボールの軌道の距離を取りやすい。
後ろ体重になっており、前足を軸に骨盤を回せていないから回転数の多いボールが投げられていない。

事実、逆方向の打球が18%以下の打者をプルヒッターと呼ぶが、テイラースコットと対戦したメジャーの打者は、プルヒッターになってしまう。

日本のマウンドもメジャーに準拠して硬くなっている。左足は踵から着地するので、投球数を多く投げることが難しいのでリリーフでの起用になるだろう。
右の股関節のタメが足りない投げ方なので傾斜の急なドーム球場では、ストライドの調整が難しい。
日本のボールの方が縫い目が低いのでスライダーが裏返ったり、インハイに外れることがあり得る。

テイラースコットは、ヘルウェグ、ローレンス、モンティージャよりは使い物になるが、私が投手起用の権限を委任された立場であれば、フランスア(オーバーハンド)、DJジョンスンとの関係では、フランスア、DJジョンスン、テイラースコットの順に優先的に起用する。

私の構想では、クリスジョンスン、フランスア、DJジョンスン、ピレラが基本線で、バティスタ、テイラースコットがサブ。
DJジョンスン登録抹消の場合は、バティスタがテイラースコットに優先する。
メヒア、モンティージャは構想外

ドラフト1位の森下が完全なオーバーハンドであること、佐々岡、横山の野村、遠藤に対する指導を見ると、DJジョンスンとテイラースコットでは、DJジョンスンの方が佐々岡、横山の好みであろう。

現実的には、一軍で1試合でも投げることができればいいという立場であろう。