[たったこれだけで投球動作の横回転は修正できる]ギアを上げるピッチングのコツ

広島の小林樹斗は、交流戦前の中日三連戦前に一軍に合流し、対中日10回戦、広島が10-0とリードした場面で、今季初登板を果たしました。小林は、アウトを3つ取って1イニングを投げ切りましたが、1失点しました。小林樹斗は、高校時代、オーバーハンドで投げていました。小林樹斗が高校時代にスリークォーターで投げていたのであれば、私は、ハジメに獲れとは言っていません。プロ一年目の最終戦であるヤクルト戦に先発したときもオーバーハンドで投げています。小林がスリークォーターになったのは、今季のスプリングキャンプからです。広島の投手コーチは、他球団と同じく、ファストボールを投げることができる投手を一律にキャンプオープン戦又はファームで先発調整させます。小林の場合も、岡田明丈と同じく、先発調整を継続させたことが、現在の投球動作になってしまったことが明白です。アンダースンも、小林ほど先発調整をさせたことの弊害が進行していませんが、先発調整をさせてきたことの弊害の嚆矢となるであろう動きが生じつつあります。
私の開幕前の構想でリリーフスタッフの一員として考えていた小林樹斗ですが、上記の1失点という結果ではなく、その投球動作を見て誤算が生じました。ダブルプレーン投球であることが一発で看て取れるのです。

しかし私は鷹揚に構えています。小林樹斗の横回転は必ず修正できるからです。

交流戦の真っ只中ですが、競争に勝ち抜いてレギュラーになったのではなく、丸、誠也、エルドレッド、バティスタがチームを去ったお蔭でレギュラーになれた三連覇時代控えであったドアスインガーが主体のチームの勝ち負けはどうだっていいいので、今回は、小林樹斗の現在の投球について語ります。

人間の体は、前の股関節を内旋すると前の股関節が屈曲します。前股関節が屈曲すると前膝が上がります。後ろの股関節が外旋します。股関節が外旋すると伸展します。前足首が底屈します。後ろの足首も底屈します。後ろ足がヒールアップします。前膝を落として荷重しなくても、トップハンドの小指の第二関節を内旋し後ろの肘をヒッチして地面を荷重すれば前足首が背屈します。前足の足首を底屈すれば更に前膝が上がります。前膝を上げれば上げるほど、後ろ足がヒールアップします。投球肘をヒッチするか前足を入射すると、前膝を上げる程度が小さい場合よりも後ろ足の踵の加速距離が長くなり、後ろ足踵による地面の荷重が大きくなります。後ろの膝が折れます。首が三塁線方向に向きます。

プレートの三塁側に後ろ足を沿わせた場合

プレートの三塁側寄りに後ろ足のスパイクの外側を沿わせると後ろ足の踵の位置が後ろ足の小指球よりも高くなります。後ろ足の足首が底屈し、後ろ足のアキレス腱が収縮し、後ろの股関節が屈曲します。後ろ足の足首が底屈し、後ろの膝が屈曲します。ボールを投球する手の小指の第二関節で叩くと、投球肘がヒッチします。後ろ足の股関節が外旋されます。前足の股関節が内旋(屈曲)し、一塁側に後ろ足のスパイクの外側を沿わせた場合よりも前膝が上がります。後ろの股関節が荷重されます。これを反復すれば、一塁側に後ろ足のスパイクの外側を沿わせた場合よりも後ろの股関節の損耗が進行します。ボールを投球する手の親指基節骨でグリップを叩くと、投球肘が上がります。投球肘が上がると前足首が底屈します。前の股関節が外旋し、前足のスパイクの外側の歯から入射します。後ろの股関節が内旋します。一塁側に後ろ足のスパイクの外側を沿わせた場合よりも後ろの股関節の損耗が進行します。

プレートの一塁側に後ろ足を沿わせた場合

リリーフ投手よりも当該試合で球数を投げることを余儀なくされる先発投手は、プレートの一塁側に後の足のスパイクの外側を沿わせるよう指導されます。指導ですから遵守する義務は生じません。一塁側に後ろ足のスパイクの外側を沿わせると、後ろ足の踵よりも後ろ足の小指球の方が高くなります。後ろ足の足首が背屈し、後ろ足のアキレス腱が伸びます。前股関節を内旋すると前膝が屈曲します。前足首が底屈します。投球肘をヒッチする前足首を背屈すると更に前膝が上がります。後ろ足の足首が再び背屈します。投球肘のヒッチの前に後ろ足の足首の背屈を行うと、前足の入射を開始したとき後ろの膝の屈曲が深くなります。後ろ足の踵による地面の荷重が大きくなります。投球肘をヒッチする間が作れないと投球する手の親指がしなりません。投球する手のMP関節が屈曲していまい、投球する手首が投球肘よりも下がります。後ろの肩関節を内転しないと投球肘を上げることができません(インバートW)。投球肘の内側側副靭帯の前束が緩みません。投球肘を上げれば、前股関節が外旋し、後ろの股関節が内旋します。投球する手の小指が立つ前に前膝が加速していまいます。前足のスパイクの外側から入射できず、前足のスパイクの内側から入射してしまいます。投球する手の小指の第二関節を180°内旋する間ができない内に後ろ足の拇指球で地面を荷重(蹴る)してしまいます。前の股関節が外旋します。言い換えれば、後ろの膝を折り、前足をスパイクの内側から入射すれば、投球する手の小指の第二関節を内旋しなくても、後ろの股関節を外旋、前の股関節を内旋できます。更には、後ろの股関節を内旋、前の股関節を外旋できます。日本の野球指導者は、労働者を使って粘土の上に砂を敷いてマウンドを柔らかくし、前足のスパイクの内側の加速にブレーキを掛けます。前膝が屈曲します。前膝を屈曲することによって、前足を入射したときの荷重を緩和します。前膝が屈曲している間に投球する手の小指第二関節を内旋させます。前の股関節を戻すことができます。又は前膝の伸展(蹴り)をさせてから投球する手の小指の第二関節を内旋させます。股関節の損耗の進行を遅らせることができます。投球する手の小指の第二関節を180°内旋できないので、投球肘の内側側副靭帯の前束の損傷を緩和できます。三塁側に後ろ足のスパイクの外側に沿わせるよりも投球を多くできます。しかし、投球する手の小指の内旋を180°できなければ、投球する手の小指基節骨を打者の方向に向けることができません。投球する手の親指の指先をしならせることができません。投球する手の親指のしなりを解く前に後肩を残せないので、投球する手の親指の指先の加速距離が短くなります。また、投球する手の小指第二関節を内旋する前に、前膝の伸展(蹴り)を行わせると、投球する手の小指の第二関節を180°外旋する間が作れますが、外旋前に投球する手の小指がしなっていないので、投球腕の前腕部を回外させないと投球する手の小指の第二関節を180°内旋できません。よって、投球腕の前腕部の深層屈筋、側副靭帯の前束が突っ張ります。

コーチの指導に対する対抗策

前足のスパイクの内側、後ろ足のスパイクの内側でエッジをかけ、後ろ足のスパイクの外側をプレートの三塁側に沿わせても、ボールを投球する手の小指の第二関節で叩くと(内旋)投球肘がヒッチし、後ろ足の股関節が外旋されます。前足首が背屈されます。投球する手の親指の指先がしなります。前足首が背屈されるということは、前の股関節の内旋をヒップファーストレベルまで行って前膝を高く上げる必要がないのです。前膝を高く上げなければ、投球肘のヒッチ及び前足の入射を開始したときに後ろ足の膝が折れません。投球する手の親指の指先がしなっているのですから、ボールを親指の腹で叩いたときに親指の加速距離が長くなります。投球する手の小指が立って投球肘が上がります。前足首が底屈します。前足のスパイクの外側から入射できます。後ろの股関節が内旋します。
前足の入射後、投球する手の小指の第二関節を内旋して投球肘を加速させるわけですが、投球する手の小指の第二関節を内旋すると投球肘がヒッチします。後ろの股関節が外旋され、前の股関節が戻ります(内旋)。前足を入射したときに後ろ膝を折ってまで後ろ足の踵で地面を荷重する必要はないのです。投球する手の小指がしなっているので、中指、小指の第二関節の内旋によって小指のしなりを解けば投球腕前腕部の深層屈筋、側副靭帯の前束の突っ張りを緩和できます。投球する手の親指の指先のしなりを解くと、後ろの股関節が内旋されます。
投球する手の親指、小指のしなりとその解除を用いれば、前腕部の深層屈筋、側副靭帯、股関節の張りを弛緩できるので、ブルペンで投げ込まなくても肩が出来上がります。

ギアを上げるということはどういうことかー先発投手がリリーフ転向直後に失敗する根拠

プロ野球OB及び野球ファンは、ギアを入れる、入れないを頻繁に口にしますが、誰一つそれを明確に説明できる者が存在しません。私に言わせると、ギアを上げないとは、投球する手の親指の腹でボールを叩く(=リリース)前の、親指の指先のしなりを解いていく過程で、親指のPIP関節を屈曲することです。又、投球する手の親指の腹でボールを叩いた後(リリース後)、投球する手の中指、小指の第二関節をボールの外側(打者寄りに入れ)縦に擦ると(フォロースルー)、後の股関節が外旋されます。トップスピンがかかり、投球が失速します。その後に再度、親指の腹でボールを叩いて投球する手を頭の位置まで戻せば、後ろの股関節が屈曲し、前足方向に後足をターンすることができます。フォロースルーの開始後に再度、投球する手の親指の腹でボールを叩かないことをギアを上げないと言います。投球する手の親指、小指のしなりとその解除を用いれば、前腕部の深層屈筋、側副靭帯、股関節の張りを弛緩して投げるということをしていないので、ギアを上げることができません。相反するように見えるかもしれませんが、力感があると錯覚する投げ方をしているのであれば、それはギアが上げられていないのです。先発投手がリリーフに回ると、リリーフ転向直後に失敗するのはこれが原因です。現在の小林の場合は、右手親指のしなりすら十分作れていませんが。

ケーススタディ

小林樹斗(右投げ)は、左足のスパイクの内側、右足のスパイクの外側でエッジをかけています。右足のスパイクの外側を一塁側に沿わせています。右膝の屈曲は緩められていますが、右足首が背屈し、右足踵にウェイトがかかります。前足はスクエアスタンス、前肩はオープンスタンスにしています。左足のスパイクの外側で地面を蹴り始めたときに左足首は底屈し、右足首も底屈し、右足踵が僅かに浮きます。更に左足首を背屈すると、左膝がヘソの高さまで達します。右足が再び踵体重になります。
右手小指第二関節でボールを叩くと右腕前腕部が回外し、右肘が落ちます。右手親指基節骨でボールを叩いて、右腕前腕部を回内、左腕前腕部を回外します。頸反射はしていません。左肘は突っ張るレベルまで達しませんが、右肩の方に左肘が入ります。左手小指MP関節と左手親指のCM関節の回転半径が長くなります。右手小指がロックされます。左手親指のCM関節を内旋すると、右手親指のしなりを解く前に右肩が残りません。右手小指第二関節を180°内旋できません。左腕前腕部を外旋している内に、ニュートラルポジション(両肩関節を結ぶラインを直線にすること)ができません。右腕前腕部を回内されます左肘よりも右肘を下になります。前足首の背屈もできています。しかし、右手首が右肘よりも下に下がります。右手親指のMP関節が屈曲して右手首が骨盤の後ろに達します。ここで左打席の奥行と平行に中心線を敷いたところに前肩が向きます。右足首が底屈し、右膝が折れます。首は、三塁線方向に向いてはいないものの、両肩を結ぶラインの内側に入っており、頸反射できていません。左腕上腕部の内旋にブレーキがかけられず、ニュートラルポジションが崩れます。右手小指の第二関節を内旋する前に、左腕上腕部を外旋すると右手小指がしなりません。右肘をアクセレーションする前に左股関節が外旋してしまっています。高校時代からプロ一年目は、右腕上腕部を外旋したときに両肩甲骨を背骨に格納できていましたが、現在はできていません。小林樹斗は、左足がスパイクの内側から入射してしまっています。右手小指の第二関節を180°内旋できません。右手小指が打者の方に向きません。右手親指をしならせて最大外旋位を作る前に、右手首が最大背屈位で打者と正対します。右手親指のしなりを解く前に右肩が残りません。

結論

私は、小林樹斗の投球動作は、修正できると断言します。ポイントは、下記の通りです。

  • プレートの三塁側に後ろ足のスパイクの外側を沿わせる。
  • 前膝を上げず、ノーステップ(比喩)で投げる。
  • 親指のしなりとその解除を使ったスタンダードWを完全に修得して右肘からつまみ上げるインバートWから脱却する。