菊池涼介は、連続して高打率を記録することができるか。

昨シーズンは、2年ぶりに打率3割、最多安打のタイトルを獲得し、守備だけでなく打撃でも優勝に貢献。

私もMVP候補として推していました。MVPこそ獲れませんでしたが、4年連続ゴールデングラブ賞を受賞。

8月7日に澤村から同点本塁打を打つなど随所にチームを救うプレーが見られました。

誰も追いつけない打球に追いつくだけでなく、一塁転送のスピードも12球団一速い守備については何度も取り上げてきました。

攻走守において、菊池がいかに凄いかは、度々、これまでも書いてきましたが、個別に一本記事を建てて書くのは今回が初めて。

あらゆるライターが取り上げる守備よりも今回は打撃を中心に書いてみたいと思います。

菊池涼介のバッティング

菊池は、オープンスタンスで右打席に立ちます。

オープンスタンスだが、足の間隔は、他のオープンスタンスの選手に比べると狭い。

バットを担いで、ヘッドを揺らしながらボールを待つ。

右足をもの凄く柔らかくしてボールを待ち、両足を交互に踏んで高低の速度、軌道、両膝を前後に揺らして速度、軌道を評価している。

投手が足を上げたときに、右足の踵で地面を踏む。

いわゆるシンクロ打法である。

足を上げてクロスステップする。

トップが高い位置に定まり、右足がカチっと止まる。

左足で着地の位置を探る。

緩い球を大勢を崩されながらも前で拾って打つことができる。

前の写真では、左足で弧を描いていて、インコースのベルトより上の球に差される打ち方ではあるが、左足を着地したときに、トップの角度をキープできているので、インサイドアウトでバットを出すことができる。

インパクトまでは、左足の拇指球で、腸腰筋回転です。

しかし、後ろ足の踵が浮いているので、エッジのかけ方(右足の内側の歯を地面に噛ませ方)が、やや甘い。

右肩が下がるが右の腰を中に入れて壁を作って打つのでインコースも引っ張れる。

ヘッドは下げても手首が下がらない。

ボールの下にバットをくぐらせて左方向に本塁打を打ったり、

ストロークを短くしてボールの内側を叩いて右方向にも打てる。

打ち終わった後、右足の内くるぶしを地面につけず、左膝が伸びていくので、左方向の打球も飛ぶ。

それでは、打撃動作を踏まえながら、2016年の菊池の打撃成績を見てみることとする。

菊池涼介の昨季の成績

141試合 574打数 181安打 .315 13本 56打点 二塁打22 三塁打3 四球40 死球0 犠打23 犠飛3

盗塁13 盗塁死5(成功率72.2%) 併殺打3 三振106 4失策

出塁率が.358 長打率.432 OPS .790

打順は、2番が140試合、7番が1試合

本塁打以外のフィールドに飛んだ打球が安打になった割合が.367。重心を後ろに残してよく振り切れている。

対右投手が、323-97 .300 8本 20四球 62三振

対左投手が、251-84 .335 5本 20四球 44三振

カウント別成績

カウント別の安打は、下記のとおりである。

初球        44-18 .409 2本

1ボール0ストライク 23-6 .261 1本

2ボール0ストライク 11-3 .273

3ボール0ストライク 0-0

0ボール1ストライク 60-16 .267

1ボール1ストライク  69-30 .435 5本

2ボール1ストライク  34-14 .412 2本

3ボール1ストライク  13-5 .385  1本

0ボール2ストライク  51-10 .196

1ボール2ストライク  113-37 .327 1本

2ボール2ストライク  115-28 .243 0本

3ボール2ストライク  41-14 .341 1本

2ストライクを取られてからの打率は、320-89 .278とリーグ1位(2位は鈴木誠也の.272)

ゾーン内の球を投げられる3ボール2ストライクを除いた、

ゾーン内でない厳しい球を投げられる2ストライクと追い込まれた打率は、リーグ2位(1位は鈴木誠也の.275)

コース別成績

インハイは、ゾーン内が25-9 .360と打っているが、

インハイの厳しいところを攻められるとオープンスタンスで体の近くからバットを出すので

距離が取れずに、12-2 .167と抑えられている。

膝を柔らかくして待ち、左足のつま先で着地の位置を探るときにトップが高く作れているので、

真ん中のコースのゾーンよりボール2個分高いコースも17-5 .294 1本と苦にしない。

オープンスタンスからクロスステップするので、外の高めのバットとボールの距離が保ちにくい外角高めが、

32-13 .406(ボール球を含めると58-21 .362)と強い。

球種別成績

球種別安打は下記のとおりである。

ストレート  240-74 .308 8本 28四球 50三振

スライダー  123-33 .268 5本 5四球 16三振

シュート   38-18 .474 2四球 4三振

チェンジアップ 50-18 .360 2四球 7三振

フォーク   57-18 .316 1四球 18三振

カットボール 29-10 .345 6三振

カーブ    29-6 .207 2球 4三振

シンカー   8-4 .500 1三振

ストライク空振り率 5.45% ボール見極め率 68.24%

ストライク見逃し率 42.86%

ケース別打撃成績

ケース別打率は、下記のとおりである。

無走者 357-111 .311 9本 9打点

走者一塁 118-36 .305 3本 7打点

走者二塁 29-11 .379 1本 9打点

走者三塁 11-4 .364 5打点

一、二塁 25-7 .280 5打点

一、三塁 14-4 .286 5打点

二、三塁  6-0 .000

満塁   14-8 .571 15打点

得点圏打率は、99-34 .343 1本 40打点 10四球 20三振

ビハインドでの得点圏打率は、28-10 .357 2本 11打点 4三振

内1点ビハインド 11-4 4打点 2三振

同点での得点圏打率 22-8 .364 8打点 4四球 3三振

リードしている場面での得点圏打率 49-16 .327 1本 21打点 4四球 13三振

内1点リードの場面 10-4 .400 5打点 2三振

打球方向

打球方向は、下記のとおりである。

レフト方向  231-58 10本 .251

センター方向 220-66 2本  .300

ライト方向  111-57 1本  .514

空振り率が5.45%と低く、ポイントを前にして膝を曲げて右方向に進塁打を打つ。

走者一塁での右方向への打球は52.3%である(2015年は15.2%)。

走者一塁での打率も118-36 .305

エンドランも確実に決められるようになった。

ランナー2塁での打率は29-11 .379 9打点。

29打数で9打点を挙げ、本塁打以外の10安打で7度、二塁走者を還せている。

その他の成績

第一打席の打率 .255

第二打席 .313

第三打席 .341

第四打席 .325

第五打席 .412

イニング別では、8回が63-20 .317 3本、9回が29-15 .517 2本、延長9-5 .556と終盤でよく打っている。

昼間の試合  147-43 .293 3本 10打点

夜間の試合  427-138 .323 10本 46打点

Home  284-93 6本 28打点 .327

Away  290-88 7本 46打点 .303

裏の攻撃で打席に入ったときの方が打つ。

連続安打は13試合が最長、連続出塁は、17試合が最長

マルチ安打 58試合 3安打以上 13試合 4安打以上の固め打ち 1試合

連続無安打は4試合 21打席が最長

月別成績

3,4月 119-43 .361 4本 19打点

5月 108-30 .278 1本 10打点

6月   85-25 .294 3本 11打点

7月 76-24 .316 1本 4打点

8月  106-38 .358 3本  9打点

9月   78-20 .256 1本  3打点

10月  2-1

まとめ

菊池の打撃成績を見ると、

フォークボールは、57-18 .316と打っているが、三振も18している。

緩い球やフォークを待ちきれなくて低めを空振りし、次に球を追いかけ始める。

やや立ち直るまでの期間が長いので、首位打者は難しいかもしれないが、

膝の状態さえ、良ければ、確実に今年も3割2桁本塁打が打てる。

田中がインコースを克服して打率、出塁率、走塁の見極めが向上して、2番の菊池が200安打して、15本塁打で80打点稼げるようなチームになれば、更に強いチームになるでしょう。

球団別成績

対巨人 100-31 .310 4本 9打点

対ヤクルト 106-40 .377 3本 15打点

対阪神 99-37 .374 1本 8打点

対中日 104-33 .317 11打点

対DeNA 99-24 .242 2本 5打点

主な投手との対戦成績

菅野  11-3 .273 0本 0打点

田口  25-5 .200 1打点 4三振

マイコラス 9-3 .333 3三振

大竹   5-2 .400 1本 1打点

Mathieson 6-1 .167 1打点 1三振

澤村  4-2 .500 1本  2打点 1三振

今村  7-4 .571 1本 2打点 1三振

戸根  8-5 .625 1本 2打点 1三振

石川  17-7 .412 1打点

小川  13-3 .231  2三振

山中  11-3 .273 1本 2打点 2三振

成瀬   9-3 .333 1打点 1三振

新垣   8-4 .500 1本 3打点 2三振

今永  16-5 .313 3三振

井納  24-4 .167 1打点

山口俊  6-1 .167 1三振

石田  14-2 .143    3三振

三上   5-1 .200 1本 2打点 1三振

三嶋   6-0 .000

大野  14-3 .214 3三振

若松  13-4 .308 1三振

吉見   6-0 .000

小熊   8-4 .500 2打点

又吉   5-3 .600

藤川   5-3 .600 1本 2打点 1三振

能見  14-6 .429 4三振

岩貞  17-6 .352 2打点 3三振

藤浪  24-5 .208 11三振

メッセンジャー 9-5 .556 1打点 1三振

文中データは、Data Stadium、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他を参照した他、独自に計算したところもあります。

[追記]

Johnsonは、投球動作に全く無駄がなく、腕も下向きにねじって振れており、今シーズンも確実に数字を残してくれるでしょう。開幕投手は当確でしょう。

サムスンとの試合で本塁打を打った堂林は、甘い球だったし、バットを内から外に出さずにヘッドを下げて(手首は下げずに)左中間に運んで欲しかった。

ペーニャは本塁打を打ちましたが、前でさばく打者で、打ち終わった後に右膝が伸びるので打球は伸びます。しかし、ミートの際、後ろの肘が捕手側に「ヘ」の字に曲がっているので、慣れ云々の問題でなく、速い球といっても、150超の球に対して大きいのが打てるかというと難しいかなと思います。それができれば、守備は下半身を柔らかく使えて巧いです。

加藤は、サファテの投げ方を参考にしていたそうですが、確かにテイクバックのときの手首の角度、内転筋をいっぱいに使うところは似ています。

加藤は、内転筋を使う前に左腕を力強く、体に沿わせて引きます。

下半身が出来上がって「x」ラインができてきたので制球もよくなってきました。とはいえ、サファテの方が制球は上で、リリーフで起用できるところまではいっていないと思います。

攻撃が長引いて肩が冷えても作り直してその後も抑えたので、打たれるときもあるでしょうが、回を跨げるので先発の方が適しているのかもしれません。

[追記]

菊池については、次のような意見があります。

BABIPは、.326は十二分に高い数値です。
BABIPを上げるのに最も大事なことは打球速度とラインドライブ率だと思っています。

菊池は、イチローやマット・ケンプみたいに低いBB/Kを補うツールを持っているわけではないですから。

本塁打以外のフィールドに飛んだ打球が安打になった割合が.367。よく振り切れている。

生涯BABIP.326を今季の成績に適用すると打率は.282です。
三振率16%前後で、四球も本塁打も少ない(母数が大きくなる)選手。

これについて、私は、次のように考えます。

打球方向は、本文に挙げたとおり、鈴木誠也ほど極端に引っ張りませんが、特段右方向に打つことを試みてしませんが、右方向の打率が高く、結果としては広角に安打を打っています。

本文にも挙げましたが、ランナー1塁など、ケースに応じて右に打ったりはしています。

菊池の2016年の内野安打は、25本。

手足が短いので俊敏に回転でき、右打者でありながら、振り切っているので、一塁到達のスピードは最速で3.7秒台。

速いだけでなく、スタートを遅らせたり、横歩きしたりして一塁走者の進塁を助けたりもします。

菊池は、柔らかく左足を着地させます。野手の動きに応じて、膝の開きを変え、ステップの幅(右に打つときの方が広い。)によって、打球方向をコントロールをしています。

ここまでは、プロの選手なら大抵やっていますが、インパクトの際に中指をスライドさせたり、振り切る際にグリップを落として、スライスさせたり、打球を殺したりしています。最後の最後まで細工をして打球のコース、スピードをコントロールしています。

このようなことは、東出が現役時代やっていたことで、東出が助言し、菊池が実践しているのだと思います。

2,3番の役割は、ランナーをためることではなく、ランナーを還すこと、少なくとも、進塁打を打つことだと考えます。

菊池も丸もどんどん振っていくことが大切だと思います。

確かに、四球を増やすことにより、打率は、今より上がりますが、安打数は増えません。

菊池は三振率は高いですが、空振り率は5.45%と低いので、現在のように振っていけば、進塁打、打点とも数字を伸ばせると思います。

野手のいないところに落とすのも、菊池がフィジカルとバットを使って打球をコントロールすることによって産み出したもので、運、不運によるものではないと考えます。

体の近くからグリップを出し、後ろの手を手動で打ち、振り切れていないと、ベルトの高さ~コース別打率の47-15のゾーンは、強いライナーの打球になります。

そこから打球の軌道、スピードを評価して正面になるように相手野手は守備位置を変えます。

膝をルーズに使って打つポイントを前にしたり、後ろにしたり、ヘッドを下げてバットのストロークを長くしたり、短くしたりして、野手のいないところに落とします。

膝をルーズに使えていないと、膝が伸びて打球が詰まったり、膝がつま先より前に出て緩いフライになります。

バットコントロールの精度を高めることでBABIPも向上してくると思います。

左つま先で着地の位置をさぐる~着地、その際トップを作る、右足を静止するという動作が安定してくることによって、空振り三振、見逃し三振を減らし打率もアップすることができます。

但し、空振り三振は盗塁をアシストしたり、熟練していない相手バッテリーが三振暴投、三振捕逸をしてくれることもありますが、見逃し三振はそうではありません。

見逃し三振を減らすことにより、低いBB/kを改善する方向で行けば、全く進塁させられずにアウトだけくれてやるということがなくなり、得点打、少なくとも、進塁打による貢献を増すことができると思います。