戸田隆矢は、先発か救援か。

Last Updated on 2022年6月5日 by wpmaster

戸田は、ローテーションの谷間の先発やリリーフを昨年まではこなしてきており、糸井からも三振を奪っている。今季も途中までは、先発とリリーフの併用でプロ初セーブも記録したが、左手首故障離脱前(9月1日のウエスタンSB戦で今季中の実戦復帰はした。)までには、先発に定着、阪神戦では、プロ初完投初完封をした。便利屋のような起用のされ方からは脱却したいところ。

それでは、先発抑えのどちらが適していると言えるだろうか。

先ずは、投球動作から見ていくこととする。

戸田隆矢のピッチング

戸田は、立ち上がり、リリースの際に上体が「く」の字になることがあるが、回を追う毎に上体が立つようにしている。

戸田は、以前は、リリースの際に左膝に泥が付くぐらい膝を沈ませて投げていましたが、軸足の左足をルーズにして立ち、足を上げる高さは、骨盤よりやや高いときもあれば、下のときもある。

テイクバックし、ステップしながら重心を移動する。

上の画の試合ではないが、ステップのときに右足を弧を描くようにクロールさせて膝が割れていることがある。

これが無くなれば更にボールのキレが増す。

右足は、踵から着地するがインステップする。

肘をL字型に引っ掛け、軸足~腰~頭の軸を回転しながら、左腕を軸の近くで回転させ、リリースの際に上体がきちんと骨盤の上で立ち、前に上体を傾けている。前に傾けた際も頭は残っている。

以前、久本に3球に1回チェンのような球を投げると言われたが、

強く軸足を蹴れるようになり、重心が右足に移った後、右足が突っ立っていて、以前よりは、コンスタントに球に力が伝わり、キレのある球を投げれるようになった。

テイクバックの際も、両肩がM字になったり、左肩が極端に下がることはない。

リリースの際に、左肩が本塁の方を向いている。

リリースの際に肘を高く上げて縦回転を作っているが、大瀬良、岡田、九里ほど、グラブを持つ手の側に軸が流れない。

リリースの瞬間に左肘から右肩にかけて一直線になり、0ポジションができている。

回転軸と左腕が垂直に交わっているので回転数の多いボールが投げられる。

リリースの瞬間に右足が突っ張らないので瞬発力が下半身に吸収されてしまっている。

アウトコースのスライダーを投げる際には右肩を下げて低目に投げている。チェンジアップを投げるときに左肩を地面に叩きつけるように投げている。

リリースの瞬間に左足を一塁側に着地させるときと、上体を三塁側に倒して三塁側にターンできているときとがある。

次に今季の投球成績を見てみることにする。

今季の成績

今シーズントータルの成績は、

17試合 54回2/3 49被安打 5本 42奪三振 22四死球 暴投2 ボーク0 自責17 防御率2.80 4勝0敗1S 2HP 3SP 完投1 完封1

被打率は、右112-21 .188 4本 18三振 左が85-28 1本 犠飛3 三振24 通算.249

本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合である被BABIPは、.288

被長打率 .350 被本塁打率0.82

与四球率 2.96 現代野球では、若干多い。

被出塁率.320  被OPS.670

奪三振率 6.91  奪三振/四球=2.31

総投球数895球

1イニング当たり投球数 16.4球 打者一人当たり 3.96球 5.45球でアウト1つを取っている。

インプレーの打球を排除した奪三振、与四球、被本塁打から評価するFIPが3.78

1イニング当たりの走者の数であるWhipが1.23

残塁率(LOB)が84.4%

アウト内訳が、ゴロ51 フライ54 三振42 犠打4 犠飛3 エラー1

ゴロアウト比率(GO/AO)=0.94  ゴロ比率32.9%

平均的な投手と比べてどれだけ失点を防いだかを示すRSAA(マイナスより、プラス、プラスは数値が高い程、優れている)が7.57

更に先発、救援別の成績を見てみることとする。

先発、救援別成績

先発では、

6試合 35回2/3 31安打 4本 28奪三振 12与四球 被打率.237 自責11 防御率2.78 2勝0敗

奪三振率 7.07

与四球率 2.27

救護率5.45

打者一人当たり4.08球 5.44球で一つのアウトを取っている。

Whip 1.12

イニング別失点は、1回が4点 3回が4点で最多。2回に1点、7回に2点

失点回率 30.43% 失点時平均失点2.43

1失点したイニング3 2失点したイニングが4

QS率 66.66% QS勝2 QS敗 0

救援では、

11試合 19回 18安打 1本 14奪三振 10与四球 被打率.273 自責6 防御率2.84 2勝0敗

奪三振率 6.63

与四球率 4.26

Whip 1.42

打者1人当たりの投球数 3.72  5.29球で一つのアウトを取っている。

連投が2連投が3回

救援時に安打、与四球を許さなかった試合/救援登板数=1

1失点までの投球回が3.17 失点時回数が8.1

救援時の失点/失点した試合の回数 0.72

10試合に炎上しての3.00ではなく、3試合に1点ずつ小刻みに失点する投手なのでリリーフとしてはどうか。

続いて、今シーズントータルの球種配分を見てみることとする。

球種別成績

球種配分は、ストレートが47.42% スライダーが33.86% チェンジアップが13.79% カーブが4.93%

球種別被打率は、

ストレート  89-25 4本 13球 .281

スライダー  69-16 1本 4球  .232

チェンジアップ 29-6   1球  .207

カーブ    10-2       .200

球種別空振り率は、

ストレート 6.86%  17三振

スライダー 12.58%  20三振

チェンジアップ 4.07% 4三振

カーブ    4.55%  1三振

コース別成績

コース別打率(右打者ベース)は、

インハイが13-3 .241(ゾーン内.250)

インコースベルトの高さ 21-3 2本 6三振 .143(ゾーン内 .200 右9-3 2本 左6-0)前の手主導の右打者が本塁打になるコース

インロー28-7 .250(ゾーン内 .143 インロー更に内3-3 右1-1 1本 左2-2 インロー更に下 11-2 6三振)

インローは、バックスピンをかけると本塁打になるコースである。1本の本塁打は、右の宮﨑にバックスピンをかけられて打たれたものである。

真ん中のコースでバットとボールの距離が取りにくい、ゾーンよりボール2個分高いところが4-1 .250

真ん中高めのスピードを評価しやすく、始動の開始がし易い捕手の真後ろのファウルが打ちやすい高さが21-6 1本 .286

ど真ん中 19-10 .526

真ん中低め24-7 .291 3三振(ゾーン内 .316 2三振)

バットとボールの距離が取りにくいアウトハイは、18-5 .278

アウトコースベルトの高さは、20-3 .150 1本 (ゾーン内.158 右 .077 左6-2 1本)

アウトローは、18-4 .222(ゾーン内 .200 右8-1 左2-1 アウトロー更に下 右3-1 左1-1)

カウント別成績

カウント別は、

初球 25-10 1本 .400

1-0 17-6 1本 .352  2-0が5-0 3-0が無し

0-1が16-3 .188  1-1が15-5 .333  2-1が13-5 .384 1本  3-1が4-2 .500

0-2が5-0 .000  1-2が16-4 .250  2-2が21-8 .381 3-2が18-6 2本

初球、ファーストストライクを打たれている。

平行カウント、ボール先行、3ボールから打たれている。

左打者のインコースへのシュート、シンカーなどのツーシーム系、又はチェンジアップの親指に力を加えたシンカーなどを投げた上での左打者のアウトコースのスライダーを投げないと左打者を少ない球数で打ち取るのは難しい。

ケース別成績

得点圏被打率は、

ビハインド 18-5 .278

同点 8-2 1本 .250

リード 24-4 1本 .167

ケース別では、

ランナー無し 108-30 1本1打点 .278

一塁  39-8 2本6打点 .205

二塁 15-4 1本 3打点 .267

三塁 2-2  1本3打点

タッチプレー有りの一、ニ塁 18-4  .222

一、三塁 6-0 2打点

二、三塁 5-1 2打点 .200

満塁 4-0 .000

まとめ

データ分析と投球動作、投げる変化球などから、来季は、先発、リリーフのどちらがいいか私見を述べてみたいと思う。

戸田は、外に吹っ飛ぶような斜めのスライダーと佐々岡や伊藤智仁が投げていた小さく曲がるスライダーとを投げる。チェンジアップがスプリットのような軌道で140キロ前後球速がある。

明確な縦に落ちる変化球がないので、バックスピンをかける引っ張り専門の強打者から、真ん中低めの変化球で空振りを取ることが難しい。

先発にしろ、リリーフにしろ、右肩の下がりはいいとして、右足を突っ立てつつ、チェンジアップを叩きつけるのではなくスッポ抜いて、スプリットの軌道のものとは別にフォークのような軌道のチェンジアップが投げられれば、三振暴投で点が入ることもあるとは言え、三塁ランナーがいるときに空振りが取れる。

クロスファイアで三振を取ることができるが、プロの打者を相手に1試合に何度もできるものではない。真っ直ぐでファウルでカウントを稼ぐことができるが、粘られるということでもあり、ゴロアウト率が低いので、球数が多くなる。

先発でもリリーフでも先頭打者は、打たせて取っていけばいいのだが、

立ち上がり、上体が曲がるので、先頭打者を先発のときは、安打で出し、LOB率は高いが、リリーフでは四球で出し、リリーフのときのWhipは1.42と高い。初回と3回の失点が多い。

四球を出した後も、次打者には、ボールの変化球から入ることが必要だが、スルーされたら最後の球が最も厳しい球にならないので、厳しすぎる球を投げることが難しい。安打で先頭打者が出たときは、一貫して勝負球を投げ続けることができる。

序盤に大量点をもらうと、肩が冷えて、温め直すのが難しいのだが、その後も0で抑え、阪神戦でプロ初完封をした。

戸田は、先発一本で起用する方がいいと思う。

主な打者との対戦成績

坂本 1-0 .000

山田 1-0 .000

筒香 3-2 1本 .667

梶谷 4-2  .500

宮﨑 2-1 1本

ロペス 4-0 .000

大島 4-1 .250

堂上直倫 5-1 .200

ビシエド 3-1 1本 .333

ゴメス  7-2  .286

原口  7-2  .286

江越 4-1  .250

鳥谷  6-1   .167

北條  6-1   .167

福留 6-3 .500

大谷(日) 3-0  .000 2三振

中田翔 3-0 .000 1三振

レアード 2-1 .500

西川 2-1 .500

メヒア(西) 2-1 1本 .500

ナバーロ(オ) 2-2 1本 .1000

※データは、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他に基づいている他、独自に計算したところもあります。

[追記]

戸田は、左内転筋を伸ばしてツイストさせて投げ、本文でも述べましたが、右足を掻くようにして投げるので、豆ができ易いです。豆を潰すと中6日で投げられないので登録抹消されます。

内転筋を使って縦回転を作っているので、内転筋を使うことそのものは修正しなくてもいいと思いますが、右足を掻くのは修正した方がいいと思います。

現状では、中6日で100回投げることができれば、5勝ぐらいだと思いますが、

上記の点を修正できれば、立ち上がりも良くなり、リードした状態で、リリーフにバトンを渡せ、勝ち数も増えてくると思います。