昨シーズン途中から先発ローテーション入り桜井俊貴のピッチング

Last Updated on 2023年3月13日 by wpmaster

日本プロ野球2019シーズンにおいて、ブレイクした他球団の投手の一人として巨人の桜井俊貴がいる。

桜井は、2015ドラフト1位で入団し、巨人ファンからはこの年のドラフトは失敗であるという声が多かったが、私は、桜井が大学時代から価値を高く付していた。
中継ぎでわずかに投げただけでその後は鳴かず飛ばずの状態であったが、2018年オフ、さ投球動作を分析した上で、大学の後輩である東(左投手。桜井は右投手)を抜き返せることを再度確認、その旨を書いた。
桜井は、丸のFA権行使による巨人入団に伴う人的補償を受けるときに、個人的に候補に挙げた一人である。
2019シーズン当初は中継ぎで登板していたが、シーズン途中に先発に回り、交流戦からは先発ローテーションに定着して投げている。
今季は、山口俊がメジャー入団、桜井に故障がない限り、フルシーズン先発で回るだろう。
広島にとっても、改めて分析が必要な投手であろう。

桜井は、右足をヒールアップして右足小指球に体重を乗せ、右股関節を外旋して骨盤よりも高く左膝をレッグアップする。
これが後に骨盤が滑り、後ろ足を軸に骨盤が回る原因となることがある。
左膝を内に入れる。二塁定位置方向にステイバックしている。
「く」の字を作ったとき、左足内転筋を内旋、右足はスパイクの外側に重心をかけている。右腕前腕部を回内し右肩を左肩よりも下げている。右足前脛骨筋は回外(内反)しているが、右膝がわずかに内に入り始める。
テイクバックは右肩を更に下げ更にステイバックする。骨盤の横まで右腕を引き、捻転差は横に小さい。骨盤が滑る。
カーブを投げるとき、右肩関節の外転のときに右膝が内に入ることがある。
右肘をつまみ上げたときに両肩甲骨がぶつかるが両肩がM字になる。右足踵が地面から離れ右膝が前に倒れる。

左足はスパイクの内側の拇指球寄りから着地し、左手は親指が上に切り替わる。左肩が開く。
桜井は、リリースの瞬間までに右膝が真下に落ち、右足の拇指球から小指球で地面を蹴っていることがある。

桜井は、左足のつま先が触れてから左膝で地面を蹴って左足首を背屈させることで右股関節を外旋し直す。

リリースの瞬間に左膝上下が突っ張り左股関節が引っ込む。カットボールを投げるときに右足小指球を支点に右膝が伸び、右足の踵が三塁側に倒れることがある。カットボールを投げたとき、リリースの瞬間、左足の踵を支点に左膝が突っ張るが右腕上腕部が凹むことがある。
チェンジアップを投げたとき、リリースの瞬間、右膝が伸び、右足の拇指球から小指球を支点に右足が立ち、右足の踵が右足つま先の真上に来る。左膝は突っ張るが右腕上腕部が凹むことがある。
後ろ足を軸に骨盤が回り右膝が伸びて外側に外れ、右腕上腕部が凹むことがある。
右腕前腕部を回外するときに左足拇指球→左足小指球で地面を蹴って両足をシャッフルする。

左足の小指球で地面を蹴って両足をシャッフル、上体を一塁側に倒し、右足をターン、両足をクロスさせることができていることがある。

各種データ

コース別成績

右打者

左打者

球種配分

球種別成績

球場別成績

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先発救援別成績

通算成績

結論

左膝で地面を蹴って右股関節を外旋し直す投げ方であるので、マウンドが硬い球場に対応しやすく、マウンドが硬いが傾斜の緩いメットライフ、楽天生命のマウンドにも対応し
ている。しかし、左膝を屈曲させるのではなく左足を踏み出す直前の右股関節の外旋、左肩、左膝の並進によってストライドをコンスタントに狭める動作が重要である。左足の背屈によって左足を軸に骨盤を縦回転させることができる。シャッフルは、瞬発力をボールに伝えると共に下半身にかかった負荷を解くので現行のままで差し支えない。

左膝を屈曲させて投げる投手ではないので、マウンドが従前より硬くはなったが、相対的に掘れやすく柔らかい神宮、横浜での成績が良くない、マウンドが柔らかい地方球場の成績も良くない。
しかし、日本人投手もメジャー式の投げ方に変わりつつあり、各球場のマウンドもマウンドもそれに対応して硬くしているので、桜井のような投手にとっては有利になる。

ヒールアップは、右足の踵に重心を戻さないと投げられないので、ストライドを狭め、体軸の縦回転に資するというメリットがある。しかし、踵体重になっても、骨盤が後傾して一塁側に体軸が倒れるのではなく、コンスタントに二塁側に体重が乗ることが必要になる。

広島の打者としては、桜井が後ろ足を軸に骨盤を回転させ左肩の開きが右肘の推進に先行した手投げになったとき、右股関節を外旋して引き付けて押手主導で打てるかがポイントになる。

対戦成績