田中正義は投球肘の上げ方を変えれば再生できる

Last Updated on 2023年3月8日 by wpmaster

近藤健介がFA権を行使してソフトバンク関係者と契約したことにより受けることができる人的補償に関し、日本ハム関係者に譲渡される選手が契約法上正式に確定したわけではありませんが、ソフトバンク資本を通じて田中正義本人に日本ハムファイターズに譲渡される旨を通達することが新庄剛志、稲葉篤紀を交えた会議で球団内部における労使関係上確定したとメディア関係者にリリースされました。
田中正義は、アマチュア、プロを通じて故障が多く、OBやファンの間からは「何であんなスペ体質、獲ったんだ」という肥えが多数だと思います。しかし、物には予め価値、性質は備わっていません。故障が多いのは体質ではなく、体の使い方が土台となっています。

田中正義ってどんな投手?

田中正義は、テイクバックの後、右手首を日本ハム北山亘基、広島遠藤淳志、ロッテ小野郁のように背中に右手首が付くほど、右腕前腕部を引いていませんが、右手首に両股関節を結ぶラインを通過させ、背中から右手首がはみ出します。田中正義は、骨盤よりも前膝を高く上げること、上体と下半身の捻転差を作ることによってギアを上げています。

投球肘を上げた後、前足首が底屈し、更に前足のスパイクの内側又は外側から入射した後、投球する手の小指の第二関節から付け根を打者に向けることによって前足の股関節が引っ込みます(これをブロッキングと言います)。前足の股関節が後ろに引っ込めば、投球肘が加速します。田中正義は、このブロッキングによって投球肘を加速し、上から投げ下し、ボールを親指の付け根の上の骨でボールを叩いて肘を上げています。

肘の上げ方には、3つの方法がある

それでは、田中正義は、どのような体の使い方をしているのか更に細かく見ていきましょう。投球肘の上げ方には、以下の3つの方法が生じさせれています。

インバートW①

セットポジションにおいて、投球する方の手の親指の付け根でない方の関節(PIP関節という名前が付けられています)を曲げてボールに添わせます。
投球する手の中指の付け根でボールを縦に擦ります。投球する手の掌がボールから離れます、これをセットを解くと言います。

投球する手の親指の爪の裏の部分でボールを押します。投球肩関節が腹側に倒れます。投球する手首が地面方向に垂れ下がり、掌が背中の方に向きます(これを上腕部を内旋、前腕部を回内すると言います)。逆に投球肘の位置はセットを解いた後よりも上がります。
投球肘が伸展したところで投球する方の手首を停止します。

更に、親指の爪の裏でボールを押して投球腕の肩関節を腹側に倒します(内旋)。投球肘が投球肩の位置まで上がります。投球する手首の位置は投球肩から垂れ下がり、投球肘のラインがLの字を逆さまにした形になっています。
投球する方の肩関節の筋肉(肩甲下筋)が緩みます。一方、投球腕の三角筋、上腕部の裏側の筋肉(棘下筋ーきょくかきんと言います)、投球肘の内側の靭帯(側副靭帯の前束と言います)、内側の靭帯(側副靭帯)と人差し指の付け根を結ぶ筋肉(深層屈筋と言います)が張りが緩和されず激痛を感じると思います。投球する手首が投球肩の位置まで上がった後、両肩を結ぶラインがM字になります。

投球肘が上がれば、引手の前腕部が回外し、引手の肘が落ちます。引手上腕部の棘下筋、前腕部の深層屈筋、側副靭帯の前束が張ります。しかし、引手の小指第二関節が内旋する分、これら張りが緩和されます。

しかし、インバートWで投球肘を上げた場合、投球肘を上げた後、投球する手首が投球肘より上がらないので、投球腕の上腕部だけでなく、引手の上腕部も内旋しています。引手の肘が落ちていません。

インバートWで投球肘を上げても、スタンダードWで投球肘を上げても、投球する手の親指基節骨でボールを叩いて投球する手の小指を立てた投球腕のアクセレーション前は投球肘が屈曲し、肩甲下筋の弛緩します。レイバック(投球腕上腕部を外旋)するとトップハンドの手首が煽ります(=背屈)。肩甲下筋が背中の方に突っ張ります。

頸反射をすることによって投球腕の肩甲下筋の二塁方向への伸張、引手の肩甲下筋の弛緩(上腕部の内旋すなわち脇を閉じる)にブレーキをかけることができますが、インバートWで投球肘を上げると、投球肘を上げる前だけでなく投球肘を上げた後も頸反射して引手の肩関節の外に首が出ます。引手の肘が落ちなければ、投球腕の肩甲下筋が突っ張ります。投球腕の前腕部の回外運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。トップスピンが減じます。投球腕上腕部の外旋運動の加速距離が短くなれば、投球腕上腕部の内旋運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。バックスピンが減じます。

逆に投球肘を上げる前(投球腕の前腕部を回外してセットを解いた後及びトップを作った後)に、首が投球肩の方に捩じれると、投球引手上腕部の内旋にブレーキをかけることができません。投球腕の上腕部の内旋運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。

投球腕の前腕部を回内して投球肘を上げた後に首が投球肩の方に捩じれると、投球腕の肩甲下筋が突っ張ります。引手の前腕部の回外を完結する間ができません。引手の小指の付け根が投球肩方向に入射します。引手の肘が突っ張り、前肩が投球肩の方に入ります。投球腕前腕部の回外運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。

日米問わず、野球を始めたばかりの子供は、この肘の上げ方をしてボールを投げます。この投球肘の上げ方には、インバートWという名前が付けられています。
側副靭帯を損傷して手術(トミージョン手術)を受けてからインバートWで投球肘を上げる投げ方を改めていきます。田中正義は、このインバートWで右肘を上げています。これが私が田中正義を人的補償で獲れと言わなかった根拠です。
田中正義も投球腕を内旋した後の投球肘の屈曲の角度がアウトサイド(180°に近付く)であったのが、プロ入り後は垂直になっています。
右手首が右肩の位置まで上がった後の両肩を結ぶM字ラインの窪みが更に深くなっています。

その静止画像を当記事のアイキャッチ画像にしています。一つ前の杉山一樹のアイキャッチ画像と比較してみれば、更にわかりやすいでしょう。杉山一樹は両肩を結ぶラインがM字になっていません。

煽り投げ

インバートW①は、投球肘を上げた後、投球腕の外旋(レイバック)→投球腕の前腕部の回外①(投球肘のアクセレーションートップ)→投球腕上腕部の内旋(リリース)→投球腕の前腕部の回外(フォロースルー)→投球腕上腕部の内旋②(フィニッシュ)というプロセスを行います。

投球肘を上げた後、投球腕前腕部を回外①をし始めた後、投球肩側の胸郭が張り、投球肘がアクセレーションします。投球する手首の角度が垂直に屈曲します。更に投球腕の前腕部を回外すると投球する手首が背屈します。投球する手の親指の指先がしなります。肩関節の外旋運動が加速します。

レイバックして投球する手首の角度が垂直になった後、投球腕の前腕部の回外を続けずに、投球腕上腕部を内旋、投球する手の親指の基節骨でボールを叩き、投球する手首を伸展することを煽り投げという価値が付けられます。トップを作った後、投球する手首を伸展することによってフォロースルー期の投球する手の小指の入射角を垂直に近付けることができますが、投球腕の回外運動をしないので、投球肘が前に出ません。投球腕の親指の指先のしなりを大きくすることができない。投球腕の内旋運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。

インバートW②ー投球肘をアクセレーションさせない投げ方

セットを解いて投球腕の前腕部を回内させた後、投球腕の上腕部を内旋して投球肘を上げ、投球する手の親指基節骨でボールを叩く手段は、インバートWという価値が付けられるのは、前述のとおりです。
インバートW①、アーム式、後掲のスタンダードWは、何れも、投球肘を上げた後、投球腕の外旋(レイバック)→投球腕の前腕部の回外①(投球肘のアクセレーションートップ)→投球腕上腕部の内旋(リリース)→投球腕の前腕部の回外(フォロースルー)→投球腕上腕部の内旋②(フィニッシュ)というプロセスを行います。

しかし、投球肘を上げた後、リリース直前のトップに至るまでの過程である投球腕の外旋だけてなく投球腕の前腕部の回外①をしない投手が生じています。この投げ方をしているのが元中日の岩瀬です。この投げ方は、どのようなフライングエルボーをしても行うことができます。

一の投球が完結するまでの投球腕の前腕部の回外運動の回数を一回少なくて済むので、投球腕の側副靭帯の前束、深層屈筋が張る回数が減ります。投球腕の前腕部の深層屈筋、側副靭帯の前束の損傷の進行を遅らせることができます。投球肘をアクセレーションしないことに関しては、「ギアを上げない」という価値を付与することができます。山なりの遠投は、この投げ方をします。一方、ショートスローは、投球肘のアクセレーションをして投げます。

しかし、投球肘を上げることによって生じた投球腕の上腕部棘下筋の張りが、投球腕前腕部の回外運動を省くことによって弛緩する過程が作れません。
投球腕の前腕部を回外する動作を削ると、投球する手の親指のしなりを作ることができません。投球腕上腕部の内旋運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。リリース後、投球肘が上がりません。リリース後、投球腕の前腕部の深層屈筋、側副靭帯の前束が緩みません。

リリース前に投球肘をアクセレーションしない投げ方は、トップを作った後の投球する手の小指の入射角が垂直から遠ざかり(水平に近くなる)、投球腕の上腕部の内旋後は、投球する手の人差し指の付け根がボールに被さるのでボールを置くことができます。よって、投球肘をアクセレーションして投球する手の中指基節骨にボールが嵌った場合よりもスライダー、シュートの制球が容易になります。しかし、投球する手の中指基節骨にボールが嵌った場合よりもトップスピン、バックスピンとも減じます。

一方で、投球肘のアクセレーションをしないことにより、リリース直前の投球する手の小指の入射角を調整する過程ができないので、制球が困難になるということも生じ得るのです。

アーム式

セットポジションにおいて、投球する方の手の親指の付け根でない方の関節(PIP関節という名前が付けられています)を曲げてボールに添わせます。
投球する手の中指の付け根でボールを縦に擦ります。投球する手の掌がボールから離れます、これをセットを解くと言います。

投球する手の親指の爪の裏の部分でボールを押します。投球肩関節が腹側に倒れます。投球する手首が地面方向に垂れ下がり、掌が背中の方に向きます(これを上腕部を内旋、前腕部を回内すると言います)。逆に投球肘の位置はセットを解いた後よりも上がります。
投球肘が伸展したところで投球する方の手首を停止します。ここまでは、インバートWと同じです。

ここから投球肘を伸ばしたまま、ボールを投球する手の親指の爪の上で叩かずに、投球腕の前腕部を腹側に倒すことによってのみ投球肘を投球肩の高さまで上げます。

投球肘が投球肩の位置まで上がってから投球する手の親指の爪の裏側でボールを叩いて投球する手首を投球肩の位置よりも高く上げます。投球腕の前腕部が回内します。投球腕の上腕部は内旋します。投球肘は屈曲します。投球腕の上腕部の棘下筋、投球肩の肩甲下筋は突っ張ります。
この肘を上げる方法には「アーム式」という名前が付けられています。

かつては中日小松辰雄、広島小林幹英、最近では広島ーロッテのジェイジャクスン、現在では、巨人戸郷翔征がこのアーム式で投げています。投球肘をアクセレーション後は、投球腕の前腕部を回内、上腕部を内旋してボールをリリースします。

スタンダードWーその①

セットポジションにおいて、投球する方の手の親指の付け根でない方の関節(PIP関節という名前が付けられています)をボールに当てPIP関節から親指の先までを後ろに反らします。
投球する手の中指の付け根でボールを縦に擦ります。投球する手の掌がボールから離れます、これをセットを解くと言います。

投球する手の親指の爪の裏の部分でボールを押します。投球肩関節が腹側に倒れます。投球する手首が地面方向に垂れ下がり、掌が背中の方に向きます(これを上腕部を内旋、前腕部を回内すると言います)。逆に投球肘の位置はセットを解いた後よりも上がります。
投球肘が伸展したところで投球する方の手首を停止します。
ここで、投球肩関節を背中側に倒します(これを外旋と言います)投球ずる腕の前腕部が時計回りに下向きに捩じられます。投球する手の掌側が腹側に手の甲が背側に向きます。投球する手の親指のPIP関節から親指の先までが背側にしなります。
投球する方の肩関節は背側に突っ張ります。前腕部の深層屈筋、内側の側副靭帯も突っ張ります。
しかし、投球する手の小指の第一関節、第二関節、付け根の関節が腹側に向いた後、肩関節の筋肉、深層屈筋、内側側副靭帯の張りが緩和されます。

一方、投球する肩関節を背側に倒した後は、投球する肩の裏側の筋肉(棘下筋)は緩みます)。
投球する手の親指のPIP関節から付け根までの骨(基節骨と言います)でボールを叩きます。
投球する方の肩関節が腹側に倒れます。投球する方の肩関節の筋肉が緩みます。
投球肘、投球する手首が投球肩の位置まで上がった後、両肩を結ぶラインがM字になりません。
この投球肘の上げ方には、「スタンダードW」という価値属性が付与されています。
この投球肘の上げ方をしているのが、山本由伸です。日本ハムの選手では、加藤貴之です。引退した選手では、金子千尋がスタンダードWで投球肘を上げていました。

スタンダードWーその②

セットポジションにおいて、投球する方の手の親指の付け根でない方の関節(PIP関節という名前が付けられています)をボールに当てPIP関節から親指の先までを後ろに手の甲側まで反らします。投球肘が屈曲しまたまま、下に落ちます。投球する方の肩関節は背側に突っ張ります。前腕部の深層屈筋、内側の側副靭帯も突っ張りますが、投球する手の小指の第一関節、第二関節、付け根の関節が腹側に向いた後、肩関節の筋肉、深層屈筋、内側側副靭帯の張りが緩和されます。
一方、投球する肩関節を背側に倒した後は、投球する肩の裏側の筋肉(棘下筋)は緩みます)。
投球する手の中指の付け根でボールを縦に擦ります。投球する手の掌がボールから離れます、これをセットを解くと言います。

投球する方の親指の爪の裏でボールを押すのではなく、PIP関節(第一関節)から親指の付け根までの骨(基節骨)でボールを叩きます。投球肩の外旋がインバートWで肘を上げた場合よりも大きい分、投球肩の内旋運動の加速距離が長くなります。
投球肘が伸展することなく、投球肘が投球肩の高さまで上がります。投球する手首が投球肩より上に上がります。インバートWで投げるよりも親指の指先が加速する分、肩関節の内旋運動の加速距離が長くなり、投球腕の肩関節、三角筋、側副靭帯の前束、前腕部の深層屈筋が緩みます。投球腕の上腕部の裏側の筋肉(棘下筋)は張りますが、投球肘が伸展しない分、投球腕の裏側の筋肉(棘下筋)は、インバートW、アーム式で投球肘を上げた場合ほど張りません。

投球肘が上がる分、投球腕の前腕部を時計回りで下向きに捩じった後、投球する手の小指の第二関節から付け根までの骨(基節骨)が打席の方に加速していきます。投球腕の肩関節が腹側に倒れる分、肩関節を背側に倒す外旋運動を加速距離を長くすることができます。

投球肘が高く上がれば、インバートWで投球肘を現在よりも背骨の近くで左足をスパイクの外側の踵から入射することができます。両股関節の間隔、両足の間隔(ストライド=回転半径)が狭まります。ストライドが狭まれば、右腕前腕部を回外してトップを作る間が現在よりも作れます。右腕上腕部の外旋運動の加速距離が長くなります。投球腕上腕部の加速距離が長くなれば、投球腕の上腕部の内旋運動の加速距離が長くなります。インバートWで投げた場合よりも投球肘が高く上がります。投球肩の裏側の筋肉(棘下筋)がインバートWで肘を上げた場合よりも緩みます。このスタンダードWで投球肘を上げているのが、杉山一樹、日本ハムドラフト2位の金村尚真です。

リリースの後、後ろ足の股関節が内旋しますが、肩関節の回転半径が短く内旋運動の加速距離が長くなれば、上体のタンブルが大きくなります。後ろの股関節の内旋運動の回転半径が短く加速距離が長くなれば、右足をターンし両足をクロスさせることができます。投球腕上腕部の内旋、前腕部の回外の追い風(フォロー)となります。

ギアの上げ方(労働力商品の再生産)には4つの方法がある

ソフトバンクの投手コーチである斉藤和巳は、既に、スタンダードWに関して学んでいます。斉藤和己が選手の投球動作をいじらずに、尊重するやり方なのか、斉藤和巳がスタンダードWで投球肘を上げる手段を提示したにも関わらず、田中正義が拒んだのか、スタンダードWで投球肘を上げることを受容してスタンダードWで投球肘を上げる練習を開始したが、完成途上なのかは、現段階では伝えられていない。

投球腕の上腕部の棘下筋、前腕部の深層屈筋、側副靭帯が緩むことを「肩、肘ができ上がる」「肩肘が温まる」と表現します。体を動かすことによって筋肉が弛緩することを”脱力する”と言います。
ギアの上げ方には、「テイクバックを大きくして捻転差を作る」「前膝を高く上げる」「投球腕の前腕部を回外する」「投球する手の親指の基節骨でボールを叩く」の4つの手段が生じます。
前2者が「インバートW、アーム式」、3番目と4番目が「スタンダードW」です。

スタンダードWは、セットの解除、フライングエルボー、投球肘の加速(投球腕上腕部の外旋)、リリース(投球する手の親指基節骨でボールを叩くこと)、フォロースルー(投球腕上腕部の外旋、前腕部の回外)、フィニッシュ(投球する手の親指基節骨でボールを叩く)に関し、投球腕の棘下筋、三角筋、深層屈筋、側副靭帯の前束にかける負荷(張り)を軽減して行っていきます。

よって、ブルペンで投げ込みながら、前膝を上げる高さを上げていくこと、捻転差を大きくしていかなくても、何度もブルペンに入り直さなくても、肩、肘が出来上がり、マウンドに上がってからの投球練習だけでマウンドで投球をできる状態まで肉体を再生産することができます。「脱力しろ、脱力しろ」と言い聞かせても、自己啓発本を何万冊読んでも脱力はできません。回外運動、内旋運動を回転半径を短く、加速距離を長くする体の動かし方をしないと脱力できないのです。
大半の先発投手は、降板後、次の登板までに最低1回~2回ブルペンに入りますが、日本ハムの投手コーチとなった金子千尋は、登板を終えてから次の登板まで1度もブルペンに入らずに次の試合に登板していました。
田中正義がスタンダードWで投球肘を上げる体の使い方を完成させることができれば、肉体にかける負荷を軽減し、肉体の損傷の進行を遅らせることができます。

それと共に、現在までより更に、投球肩の外旋、内旋の加速距離を長くし、投球腕の上腕部外旋が産み出すトップスピン、内旋が産み出すバックスピンの双方を増し、バックスピンのアップにより、失速の少ない投球が可能となります。

スタンダードWで投げることによるメリット-打者及び走者との関係から

スタンダードWで投げることにより、打者は、ヒッチ、フライングエルボーをする間が短くなり、更に、その後のトップハンドの肘のアクセレーション、トップポジションの形成、スイング、フォロースルーを行う間が短くなります。
既に出塁している走者は、左腕前腕部を回外して右股関節を引っ込める間が短くなります。シャッフルして2次リードをするのが遅れます。更に、2次リード後、再度、左腕前腕部を回外して右股関節を引っ込める間が短くなります。スタートが遅れ、更に加速しません。

スタンダードWって簡単にできるようになるの?

投球肘の上げ方を変えると言うと、投球動作の大改造工事を行わなければならないのではないかと思われるかもしれませんが、現実にはどうでしょうか。

(1)セットポジションにおいて、投球する方の手、引手の親指の基節骨をボールに当てること

(2)グラブを胸元にセットすること
セットポジションにおいて、グラブの位置をベルトの高さにセットすれば手首をコック(背屈)してしまいます。手首をコックすれば、投球腕の前腕部の回外運動が停止します。前肘が投球肩の方に伸びグラブが入ってしまいます。投球腕の前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなります。親指の指先でボールを背中の方に押してしまいます。

(3)打者走者を出塁後は、走者の方に首を捩じり、前足で地面を蹴った後又はセットを解いた後に首の位置を打者方向に戻さないこと。前肘が投球肩の方に伸びグラブが入ってしまいます。投球腕の前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなります。親指の指先でボールを背中の方に押してしまうからです。

(4)膝を骨盤より高く上げないこと。二段モーションはもっての外。
首が投球肩の方に捩じれ、前肘が投球肩の方に伸びグラブが入ってしまいます。投球腕の前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなります。親指の指先でボールを背中の方に押してしまうからです。

上の(1)~(4)を実行するだけで、労力を要さずに投球肘の上げ方をスタンダードWに変えることができます。
(1)~(4)の体の使い方をして投球腕の前腕部を回外し、投球肩側の胸郭の張り出しを作り、投球肘をヒッチ、ヘッドステイバックしないと、フライボールを産み出して遠投することも、プレートから捕手のミットまでよりも間隔を短くしたネットスローも難しくなります。練習の手段としては、投球は、遠投とネットを使ったショートスロー、打撃は、ネット付近(トップハンドの前腕部を回外し、トップハンドの小指基節骨を投球の軌道に向けたと仮定した場合、ヘッドがネットにギリギリ掠らない距離)での素振りが妥当でしょう。

新庄は、スプリングキャンプの初回に紅白戦をやることを表明し、体が動かせる状態に戻せているかをチェックするとしているが、新庄は、オフの間に徐々に上体の下半身と下半身の捻転差を大きくして紅白戦に臨める状態にしてくることを投手、打者に要求しているのではなく、投手、打者とも「スタンダードWで投球肘、トップハンドをフライングエルボーし、ストライドを狭くして投球肘をアクセレーションせずにスイングすることが要求されている」という価値を上記の新庄の発言に付けなければならないのです。

肘は股関節よりも荷重されていません。スタンダードWによるフライングエルボーは、トップハンドの前腕部を回外すれば、トップハンドの小指の第二関節が内旋します。側副靭帯、深層屈筋の張りが緩和されます。休養を終了後すぐに行えます。捻転差を大きくしていきながらギアを上げる方法は行う回数を増やすほど肉体の損傷が進みますが、スタンダードWは行う回数を増やしても捻転差を大きくしながらギアを上げる方法ほど肉体の損傷は進みません。

スタンダードWで投球肘、トップハンドをフライングエルボーし、ストライドを狭くしてトップを作りスイングすることが実現できれば、ボールやグリップを叩いた後に筋肉が弛緩するので、公式戦前に及び公式戦終了前に労働力商品が再生産できなくなってしまうということが生じることが激減します。

田中正義は、移籍の準備を要することから、初回の紅白戦登板が免除されています。新庄がメジャーでプレーしていた頃に比べると、スタンダードWの研究は進んでいます。本人の努力が第一ですが、メジャー球団へコーチ留学を資本に追認させた金子千尋コーチ、トレーナーと動画の送受信のやり取りと繰り返し、挫折することなく粘り強く改良していくことを望みます。