5/7 広島0-6阪神 中継投手を休ませられて良かったよ。

07/05/2017 9回戦 広島 0-6 阪神 甲子園

九里は、3回までは、投げ終わった後に左膝が伸び、地面を蹴った右足を左足の上を通過させて上体を一塁側に倒して投げていた。

ストレートも変化球も伸び(あくまで錯覚の話です。厳密には初速と終速の差が小さい)、縦の変化球もよく落ちていた。

アナウンサーや評論家のいう”ボールが高めに抜ける”(正確に言うとボールが抜けると縦に落ちるので、”高めに外れる”)、

“高めに浮く”のは構わない。

但し、体から産み出された瞬発力や体重が指先に伝えられていればであるが。

この日の四球は、高めに外れたもので、手首が寝てボールを引っかけたものはない。

いくらボール球を打たせて少ない球数で切り抜けると言っても、

打者は目線から近く、間髪を入れずに対応しなければならないインハイ、真ん中高めのボール球でない限りはボール球は見極められる。

右投手が右打者に投げるインハイに外れた球は、左打者にとっては、アウトハイなので、手を出してくれない。

必ず投手は、どこかでストライクゾーン内に投げざるを得ない。

甘いところに投げるなとよく言われるが、

ストライクゾーンでも打者がルーズにスイングできるコース・高さと

できない高さがあるけれども(前者はインロー、アウトロー、後者はインハイ、アウトハイ)、

基本的には、ストライクゾーンの球は全て甘い。

きわどいコースと呼ばれているところの球だって、所詮は甘い球。

目線から遠いだけでなく、打席内には前後の奥行があるから、

ストライクゾーンの中でもアウトロー→インローの順に見極め易く、速度を評価しやすく、

懐の深い打撃をしやすい。

ど真ん中は、低めよりも目線や体から近く、見極めるのもルーズに打つのも結構難しい。

ルーズにスイングできないところに投げられればよいのだが(その面で言えばもっと、左打者にカット系の球を使って欲しいところ。そうすれば、フォークの多投を避けられた。しかし、今日の試合、左打者にインハイをほとんど使っていない。)

肉体を稼働させて行う一連の投球動作の個々の過程の内の一つに誤差ができれば、

ルーズにスイングしやすいコース・高さにボールが進んでいくことがある。

そのようなコース・高さ(いわゆる甘い球)に行くのがよくないのではない。

いわゆる球を置きに行くこと、すなわち腕を振り切るのを止める又は緩めるのがよくない。

球を置きに行く動作には二つあって、

一つは左足(左投手は右足)で弧を描くこと

もう一つは、リリースし終わった後にホームベースと平行に三塁側に右足を降ろして四股を踏むことである。

“昭和”の大投手と呼ばれる投手の多くがやっている動作なので、プロアマ問わずこの動作を絶賛している人も

未だに多い。

これだと、四股を踏んだときに下半身がピラミッド型になってしまう。

すなわち左膝(左投手の場合)が真っすぐに伸びなくなる。

右足の蹴りも弱くなる。

トップの高さも安定しない。

打者の手元でボールがお辞儀(大きく失速すること)してしまう。

九里の場合、弧を描かなくなったのが、昨年までに比べて大きな進歩。

しかし、今日もランナーを得点圏に出すと三塁方向に四股を踏んできわどいコースを突き始める。

仮にルーズにスイングできるいわゆる”甘い”コース・高さに行っても、

膝、股関節、骨盤、前後の内臀筋、三角筋、肩甲骨周辺の筋肉が産み出した瞬発力、体重移動を

指先に伝えることができていれば、ボールを受けたり、差されたり、前に出されたりして

ルーズにスイングすることができなくなるのである。

言ってしまえば、150キロのスピードも針の穴に糸を通すコントロールも不要なのである。

きわどいコース、コーナーを突く投球は、前後の奥行を使わない”懐の狭い”投球なのである。

“弧を描かない”ができるようになったので、後は、投げ終わった後、左膝を真上に伸ばす、

右足を蹴った後一塁寄りにつま先で着地する。

それだけで、数字は今よりもずっと良くなると思う。

ボールを置きにいかない球を見ると、とても防御率5.50に終わる投手じゃないんよ。

素人から見ると本当に勿体ない。

九里は、5回1/3 104球 5安打 3奪三振 3四球 5失点(自責同じ)

今日の試合に限らず、能見は、立ち上がりの投球動作があまり良くなくて球数を投げる毎に修正されていく、

よって、回を追う毎に得点圏に走者を進められると投球動作が良くなる。

今日なんかも、回を追う毎に投げ終わった後に右膝が伸びて真っすぐ系も伸び、フォークも落ちた。

序盤に畳みかけられないとこの投手は尻上がりに投球内容が良くなる。

序盤に捕らえられなかった段階で、今日の試合は厳しい試合となった。

能見は、5回2/3 107球 5安打 8奪三振 3四球 1死球  無失点

打つ方は、阪神の投手リレーに完敗だね。

桑原は、1回1/3 16球 無安打 2奪三振 無失点

岩崎は、1回 10球 1安打 無失点

藤川は、1回 12球 1安打 1奪振  無失点

0-5となった段階で、今日は、これまで中継ぎで投げさせてきた投手を休ませることができた。

2番手オスカルは、2/3 11球 無安打 無失点

高橋樹也は、イニングを食って中継ぎ投手を

休ませることができたので、いい仕事をしてくれたと思います。

球速は、DeNA戦で1球141キロ(右投手に換算すると146キロと言われる)があった他は、

これまで、ストレートの球速は133~135だが、今のところ大部分の球は右足で弧を描かず、

トップが高く、左腕が大きく弧を描くので、ストレートも悪くないと思います。

今試合で投げている変化球はカーブとチェンジアップ。

高橋樹也は、2回 36球 2安打 1奪三振 1四球 1失点(自責同じ)

しばらく、敗戦処理で育てながら、

どこかで褒美に先発で80球投げられる権利を上げてや。

まとめ

試合は、0-6で広島の敗戦

勝利投手は、能見で、1勝2敗

敗戦投手は、九里で、2勝3敗

対戦成績は、広島の3勝6敗

九里が中盤で追加点を取られ、能見を捕えることができなかったね。

[追記]

左打者がインハイに対し体が前に出てくれば、ボールの進行方向と逆に体が進むわけですから、リリースポイントからの距離が近付き、体感速度がアップします。

そこへ更に、インハイにカット系又はフォーシーム系を続ければ、差したり、ボールを受けさせた里、窮屈にスイングをさせることができます。

[追記]

九里は、カットボールもフォーク、チェンジアップも投げられますし、既に実戦でも投げています。

問題は使い方なのです。

インサイドの、打者の肘の下付近に小さく切れ込むカットボールを見せて、アウトコースの低め又はベルトの高さににツーシームを投げたとします。

昭和~バブルの大打者レベルであればそれで打ち取れたと思います。

アウトロー、アウトコースのベルトの高さは目線から遠いので、インハイ、真ん中高めほど、俊敏に始動する必要はありません。

インハイに目付をしておけば、アウトロー、アウトコースベルトの高さは、ボール球であれば、簡単に見極められ、ストライクゾーンであれば、ルーズにスイングできます。

これまでの九里は、アウトロー、アウトコースベルトの高さのツーシームを最後に投げてやられています。

インハイに目付をすると後ろの膝が伸びて体が前に出ますので、アウトロー、アウトコースベルトの高さにツーシームを投げるぐらいなら、お辞儀しない真っすぐの投げ方でど真ん中に落ちてくる山なりのチェンジアップを投げるか、お辞儀をしない真っすぐの投げ方で真ん中低めに縦のスライダーかフォークを投げた方がまだいいと思います。

インコースの、打者の肘下のカットボールは、途中で見せておくのではなく、それで打ち取らなければならないと考えます。

左打者には、初球から一貫してインハイのカットボール若しくは真っすぐ、又は、初球からアウトハイのツーシーム若しくはフォーシーム、ワンシームを投げて、最後にインハイのカットボールを投げるとした方がいいと思います。

アウトローのツーシームを投げるのは、インハイを連続してファウルを打てる左打者の初球に投げて、シングルヒットを打たれて、簡単にアウトにできる打者からアウトを取る場合です。

[追記]

技術を駆使する源となるのは肉体です。フィジカルの大切さについても度々述べさせていただいています。

プレーの結果、メンタルは生まれるかもしれません。しかし、これは姿形がありませんので、本人にしかわかりません。

メンタルに結果を求めることは非常に楽なんです。

他人のせい(例えば、監督、コーチ、相手打者、スポンサー)にすることよりも楽なんです。

他人のせいにすれば、他人の行動に至るまでのプロセス、自分と他との関係を考えます。

メンタルのせいにしてしまえば、過去自分がそれをした一番最初のときに遡って、逐一、一挙手一投足を順に並べて、結果に至るまでのプロセスを考えるという面倒な作業をしなくて済みますから。

自然にそうなった、偶然そうなった、生まれつきの本能なんだ、俺は運が悪いんだということにしてしまうのと一緒ですから、因果関係について何も考えなくなります。

投げている本人は、ファンが考えるそれを遥に超越するレベルでフィジカルや技術のことを考えていると思いますよ。