昨季の菅野は、2年連続3回目の防御率1位、最多勝。
昨オフは、将来のメジャー行きを示唆しました。
カープにとって、セリーグからいなくなれば楽になるということは関係なく、
下り坂にならない内に渡米してメジャー相手にどのようなピッチングを見せ、どれぐらいの数字を残すか見てみたいものです。
個人的には、今渡米すれば、多分、黒田や前田健太よりも数字は残すと見ています。
広島東洋カープは、過去菅野に7勝15敗
菅野が最も多く勝っているのも、最も多く負けているのもカープである。
菅野の対広島戦の防御率(2.24)の割には、勝敗上は善戦できてはいます。
今季も5試合前後、カープ戦に登板してくるでしょう。
菅野が登板してきた試合に負けても他の投手が投げてきた試合に取りこぼさなければ、巨人戦は勝ち越せるでしょうが、
セリーグで最も攻略が難しい投手ですが、菅野に全敗することは是が非でも避けたいところ。
菅野を敗戦投手にすることはできなくても、少なくとも、菅野が先発した5試合中2回は勝ちたいところ。
それでは、菅野のピッチングを解析してみましょう。
菅野智之のピッチング
菅野は、プレートのやや一塁側寄りを踏みます。
プレートは、右足全体で踏んでおり、右足の重心も踵に残っているものの、やや踵を浮き、どちらかというと拇指球に重心がかかっています。
左肘が上がりにくく、一塁側に軸が傾きにくいかもしれません。
菅野が左足を上げます。左膝の高さは、ほぼ骨盤と同じ高さです。
西川は、右足の踵で地面で踏みます。
シンクロ打法です。
菅野は、左足を下し始め、左膝を内に入れますが(左膝を二塁ベース方向にテイクバックする)、それほど、極端に内に入れません。
グラブの一を胸より下に落とし、右腕も脱力できています。
上体も「く」の字に曲げているので、大腿骨を骨盤に突き刺して上体を立てたときに瞬発力がボールに伝わります。
ヒップファーストで重心移動しますが、それほど極端なヒップファーストではありません。
菅野は、左足を下して重心を落として、テイクバックして右手首を内旋します。
右腕のテイクバックは、背中に付くほどではないので、どちらかというと小さい方です。
グラブを持つ手の方の肩である左肩の内旋もできています。
左足のくるぶしを本塁側に向けています。
右足でエッジをかけ、骨盤も滑っていません。
後ろの骨盤も打者に隠せています。
両肩は水平になっていますので、ここまでを見る限りでは、右肩が上がっていく投げ方ではないです。
右肩を損耗する投げ方ではないです。
西川は、右足を上げ、グリップをわずかに下げます。
菅野は、大腿骨を骨盤に差していき、右肘を上げ、右肘が逆L字になります。
右肘の内旋はタイトではなく、右肘は右肩よりも下がっていますので、ルーズショルダーになりやすい投げ方ではありません。
左肩は開いていません。
両肩甲骨をぶつけていきます。
エッジをかけた右足から右手にかけてCアーチがかけられています。
左膝を本塁方向に向け、本塁方向に向かって左肘と左膝を並進運動していきます。
瞬発力がボールに伝わる投げ方です。
左足のスパイクの内側、左足拇指球から地面方向に入っていきます。
西川は、グリップを奥に入れていきながら、右足を下し始めます。
右肘をつまみ上げます。左肩は開いていません。
右足を蹴り始めたとき、右股関節、腸腰筋は外旋し始めていませんので、右肩、右肘は上っていきます。
菅野は、トップをつくっていきます。左肩がやや開き始めてしまっています。
これだとボールがシュート回転してしまうことがあります。
右股関節。左膝のタメもあります。
菅野は、トップを作り、左足が着地寸前のとき、西川は、右足を下げ始め、グリップを上げてトップを作っていきます。
ボールを持つ手は、耳の方に向けています。
ボールを持つ手と頭の距離も近いので、瞬発力が逃げません。
左肩はやや開いていますが、右胸は打者の正面に向けていません。
胸の張りを作っていきますが、胸の張りはそれほど大きくはないので、回転軸は、それほど一塁側に傾いていかないでしょう。
ボールを持つ手は打者の後ろに隠せています。
右腕上腕部を三角筋を使って後方に引っ張ります。
しかし、ボールを握る手が頭から出かかっています。
右肩、右肘は、着地直前で踵から地面に入っているので、上がっていますが、回転軸の一塁側の傾きが大きくないので、回転数を増すことができにくくなっています。
右胸が打者の正面を向けてしまっています。
テイクバックが小さかったので、頭が前に出されていません。
前の画よりは、回転軸が一塁側に倒せています。
右肘のコッキングの角度は、85°、回転軸の一塁側への傾き具合から言うと、オーバースローです。
左足の内転筋、太腿裏を伸ばして左膝が後方に伸びています。
腰は引けておらず、重心は後ろに残っていません。
藪田やCampos同様、瞬発力がボールに伝わる投げ方です。
西川は、左足の着地位置を探ります。
菅野は、踵から着地して右腕を内旋します。西川は、トップ深く入れます。
左膝を上方に蹴り伸ばし始めていきます。
西川のトップは、左足よりも深く入り、グリップも頭の後ろに隠れます。
西川は、インハイの球に、拇指球で着地したとき、トップの角度をキープしています。
菅野は、左膝が真っすぐに伸び、股関節が前に出ていくことを抑止でき、瞬発力がボールに伝わり、バックスピンがかけられます。
西川は、左肩と耳の間からバットを振り下ろします。
左肘先行のインサイドアウトです。
菅野は、右股関節が開いていないので、瞬発力が逃げません。
菅野は、左膝が曲がり、壁が崩れています。
一塁側に右足をターンするのが難しくなります。
菅野は、フィニッシュで三塁側に着地し、三塁側に重心が残っています。
右腕だけ内旋する手投げになっているということです。
左膝も曲がっていますので、右腕のフォロースルーの出口をふさいでしまっているので、右腕が振り切れません。
昨季の成績(2017)
主要成績(2017)
25試合 17勝5敗 2,795球 打者713人 187回1/3 129安打 被本塁打10本 与四球 31 与死球 1 奪三振 171 失点36 自責33 防御率 1.59 完投6 完封4 無四球3 QS 84.00%
被打率 .194 被長打率 .265
被出塁率 .231 被OPS .495
Whip 0.85人
LOB率(残塁率)85.03%
Max 155km/h
コース別成績(2017)
右打者
左打者
右打者は、体が前に出されてアウトローのボール球を振らせれている。
左打者は、インサイドアウトで打たないと瞬発力が伝わらないアウトハイを打てていない。
球種別成績(2017)
球種割合
ストレート 33.20%
シュート(ツーシーム、ワンシーム) 15.53%
カットボール 13.88%
スライダー 24.20%
カーブ 8.03%
フォーク 5.09%
チェンンジアップ 0.07%
①ストレート 222-42 .189 3本 71振
空振り率 10.04% 見逃し率 16.41%
②シュート 98-28 .286 1本 6振
空振り率 3.93% 見逃し率 19.86%
③カットボール 96-24 .250 2本 7振
空振り率 10.08% 見逃し率 18.60%
④スライダー 159-24 .151 4本 57振
空振り率 18.37% 見逃し率 13.04%
④カーブ 54-6 .111 18振
空振り率 11.16% 見逃し率 20.98%
⑤フォーク 36-5 .139 12振
空振り率 10.56% 見逃し率 4.23%
⑥チェンジアップ 0-0 .000
空振り率 50.00% 見逃し率 0.00%
カウント別成績(2017)
カウント2-0 14-5 .357 1本
ストレート≒シュート、スライダー>カットボール
カウント 3-2 40-13 .325 1本
カウント 0-1 45-12 .267 3本
ケース別成績(2017)
初球 97-24 .247 3本
満塁 9-0 .000
二、三塁 9-3 .333 5点
一、三塁 12-3 .250 6点
二塁 32-3 .094 1点
三塁 8-1 .125 1点
主な打者との対戦成績(2017)
山田哲人 17-3 .176 5振
バレンティン 16-2 .125 1本 7振
坂口 14-2 .143 3振
中村悠平 13-2 .154 3振
山﨑晃太朗 11-0 .000 3振
武内 5-2 .400
藤井亮太 9-3 .333 1振
雄平 8-2 .250
奥村 8-1 .125 1振
荒木 6-1 .167 2振
上田 5-0 .000 1振
ロペス 23-9 .391 1本 2振
筒香 18-4 .222 5振
宮﨑 19-2 .105 4振
桑原 24-6 .250 1本 3振
梶谷 21-1 .048 1本 12振
倉本 20-4 .200 7振
戸柱 14-3 .214
柴田 7-1 .143 1振
石川 6-0 .000 3振
荒波 3-0 .000 2振
大島 7-1 .143 2振
京田 8-0 .000
ゲレーロ 7-0 .000 3振
藤井淳志 6-2 .333 3振
森野 3-2 .667
福田 6-3 .500 1振
ビシエド 4-1 .250 2振
福留 13-3 .231 1本 2振
鳥谷 11-2 .182 3振
糸井 15-2 .133 1振
髙山 7-4 .571 2振
大山 5-1 .200 2振
俊介 4-1 .250 2振
糸原 6-1 .167
大和 6-1 .167
原口 7-1 .143 1振
中谷 3-0 .000 1振
上本 8-3 .375 1振
梅野 8-0 .000 4振
北條 3-1 .333 1振
秋山 7-2 .286 3振
鈴木誠也 11-3 .273 1振 (通算 24-6 .250)
菊池 13-3 .231 2振
田中 11-2 .182 2振
安部 11-2 .182 4振
松山 11-2 .182 1振
西川 8-3 .375 1本 2振
丸 11-0 .000 5振
會澤 5-0 .000 2振
石原 5-2 .400 2振
エルドレッド 4-0 .000 4振
天谷 1-0 .000 1振
小窪 1-1 .1000
メヒア 3-0 .000
栗山 3-2 .667 1本
秋山翔吾 3-0 .000
浅村 3-1 .333
源田 3-0 .000 1振
中村剛也 2-0 .000 2振
長谷川 3-1 .333 1本
柳田 4-0 .000 3振
川﨑 4-1 .250
今宮 3-0 .000
松田 3-0 .000 1振
上林 3-0 .000
中村晃 4-1 .250
茂木 3-2 .667
嶋 3-2 .667 1振
聖澤 3-2 .667
藤田 2-1 .500 1本
ウィーラー 3-1 .333 1本
ペゲーロ 3-0 .000 2振
銀次 3-0 .000
カード別成績(2017)
①ヤクルト 5試合 5勝0敗 39回 1自責 0.23
通算12勝4敗 1.99
②DeNA 7試合 6勝1敗 53回2/3 6自責 1.01
通算12勝5敗 2.64
③中日 2試合 1勝1敗 16回 2自責 1.13
通算 8勝3敗 2.27
③阪神 4試合 2勝1敗 31回 6自責 1.74
通算 10勝5敗 1.38
広島 4試合 2勝1敗 27回2/3 6自責 1.95
通算15勝7敗 2.24(180回2/3 45自責)
西武 1試合 0勝0敗 6回 5自責 7.50
ソフトバンク 1試合 1勝0敗 9回 1自責 1.00
楽天 1試合 0勝1敗 5回 6自責 10.80
まとめ
個々で見ると修正点は全くないわけではありませんが、トータルで見ると、概ね瞬発力を逃がさない無駄のない投げ方ができています。
投げているプロセスで、動作上の失敗を修正してマイナス点を最小限に抑えてリリースに持っていくことができています。
盗塁されても中々本塁にランナーを還されない投手
ファウルで粘って球数を投げさせたり、走り打ちをしたり、セーフティをしたり、右打ちをしたりといったような低レベルな作戦が通じる相手ではない。
カープサイドから言えば、左肩の開きが早く、胸の張りが大きくなく、胸が打者の正面に向くのが早く、ボールの出所が頭から出てきて、シュート回転をした球を打ち損じることなく捉えていくことが必要
ボールを見るのではなく、体に近いインハイを振って速度を評価し、始動を早めて、トップの角度をキープし、体に近いところはステップを狭くしてインサイドアウトにして振り遅れない、体から遠い真ん中低め~アウトローに体が前に出されないという基本に忠実に打っていくことが必要。
個々の選手がティーバッティングやトス打撃を反復してフルスイングのスキルを高めるという一見最も遠回りに見える対策が最も大切。
それと、フィニッシュで左膝の壁が崩れて、三塁側に右足の重心が残っているので、腕が振り切れないので、瞬発力がボールに乗り切りません。
こちらの方は、巨人を退団すれば、昭和式の三塁側に四股を踏む動作を強要する指導者から解放されますので、渡米前に、右足を一塁側にターンする投げ方に変えて渡米するでしょうから、解消されるでしょう。
追加更新情報補
(2018)