新外国人投手ー補強するなら先発投手かリリーフ投手か

Last Updated on 2017年12月21日 by wpmaster

カープの経営陣は、今オフも年俸1億円を超える新外国人選手を補強するとのことである。現状では、三塁手とリリーフ投手を探しているということである。どちらかに億単位の金をかけるということである。

一軍選手登録できる外国人枠は4枠、既に在籍する外国人選手は、先日契約が発表されたプライディを含め4名。前田が移籍濃厚、黒田の去就が未定である以上、一軍選手登録は、投手3:打者1で行く必要がある。

簡単に二軍に落とせない契約締結を余儀なくされるバルディリスやクルーズを入団させ起用する余裕などないであろう。木村昇吾(人的補償のないCランクであることが濃厚)の保留選手となった後の入団交渉についても、梵と同じ年で若くないし、守備範囲の広さ、柔軟なグラブさばき、エラーの少なさという点では、今年で引退した山﨑浩司の方がユーティリティプレイヤーとして上だったと思うし、是が非でも再入団させるという選手ではないと思う。

田中に故障があって菊池がショートに回る、又は、菊池が故障による離脱した場合のセカンドとして、巨人で勝つ野球を叩き込まれた、出番のない藤村辺りを金銭トレードで入団させた方が良いのではと思う。ライトに鈴木誠也が入れば、セカンドの肩が強くなくても進塁することへの抑止力になる。打撃も、現役時代に俊足巧打の石井琢朗コーチに、高校の先輩に前田智徳がいるのでまだまだ伸びると思う。

三塁は、堂林の育成が常勝チームへの途という方向に適っているし、安部もいる。

それでは、広島にとって、新外国人投手による補強が必要なのは、先発とリリーフのどちらであろうか。

リリーフ投手の要件を挙げると、

(1) ストレートの制球力:全力で投げてストライクを取ったり、内外角に散らしたり、ボールをコントロールすることは、セーブしながら投げて制球することよりも難しい。

(2) 変化球の制球力:変化球でストライクを取ったり、ボールを制球するよりも、フォーシームでボールを制球する方が難しい。

(3)スピード、キレ:100球を超えて、球のキレや球威が落ちた先発よりも遅い球を投げれば、相手打者にとっては打ちごろである。

(4) 先発投手よりも短い登板間隔で投げるので、相手打者に慣れられても打たれない、すなわち分かっていても打てない変化球と

打ち損じる真っ直ぐがなければならない。

(5)総合力:力のある球を投げられる投手は、週に1度年間28~29試合投げさせるよりは、週3日前後、年間60試合くらい投げさせる方がチームの勝率は上がる。

(6)コンディショニングの維持修正:回跨ぎによる肩の冷えがなく、長いイニングを投げることがないことにより、毛細血管が切れることなく、その再生回復を待つことなく連投や短い登板間隔で投げても、先発程、勤続疲労がなく、又、リハビリ明けの投手にとっても、肉体的に優しい。

先発の方がリリーフよりも体に優しく、消耗を遅らせることができるというのは、一試合100球投げることが如何に大変なことかがわかっていない議論である。

(7)先発は6回3失点で試合が作れ、及第点とされるが、リリーフは、1点もやれないケース、ゴロやフライも許されないケース、ランナーを出したケースでの登板がある。立ち上がりの良くない先発投手にはできない。

(1)(2)(4)(5)(7)を身につけることは非常に困難で、リリーフ投手は、先発投手よりも育成するのが難しく、時間がかかる。

若い内から、育成プランを練って準備をしていなければならない。

短い登板間隔で投げることで若い投手は制球力が向上する。

クィックやセットポジションでの投球が向上する。

(3)ができるのは、摩耗していない若手投手だけである。ベテランの経験だけではカヴァーできない面もある。

一方、先発投手はというと、

長年、先発をしてきたことやリリーフにより勤続疲労したベテランでも、経験や投球術でカヴァーし、又、基礎ができているから、他から学んだことも応用できるので、6回3失点に纏めることができる。

変化球を投げる方が、ストレートを投げるよりもエネルギーを消耗せず、スタミナを温存できる。

ストレートを全力で投げなくても、QSができるということは、それだけ、緩急や細かい変化球で少ない球数で打ち取る技術がある、球種が豊富であることである。

球種が豊富であれば、制球がアバウトで、一つ一つの球種の精度が高くなくても、的を絞らせずにイニングを食えるから、先発は、大卒、社会人投手や外国人投手に取って替えることができる。

前田健太の代わりは簡単に見つからないが、3番手以下の先発であるなら、代わりがリリーフ投手よりもすぐに見つかる。

中継ぎ、リリーフから1人回しても良い。

ソフトバンクや日本ハムは、ローテーション投手が複数退団しても翌年、先発投手陣は崩壊していない。

摂津、かつての佐々岡、紀藤のように中継ぎ、リリーフの後先発に転向して成功した例は多いが、球速、球威が衰えてリリーフに回って成功した例は少ない(津田や中﨑のようにストレートは速いが、血行障害により長いイニングが投げられなくなって成功した例はある。)

 

よって、若い段階から準備を開始してリリーフ投手を育成しなければ常勝チームはできないのである。

リリーフについては、短い年数で帰国する外国人選手を取り替え、引き替えでは、退団したときには、既に勝ち継投は崩壊し、手遅れである。

日本のプロ野球は、かつては、ドラフト下位指名の選手を中継ぎにし、1位指名選手を先発に起用してきたが、中日の与田辺りから、佐々木、岩瀬、

永川、篠原、馬原、浅尾と大卒社会人の新人がプロ入りして間もない段階からリリーフを務め、高卒で入った選手も、赤堀、平井、藤川、五十嵐、

今村、楽天の松井のように、数試合の先発をこなした後に転向した選手もいるものの、実質的にはリリーフとしてキャリアをスタートさせてきた。

岡田、横山も1年目からリリーフでの起用で良いと思う。

前述の諸点から、藪田や中村恭平もリリーフで育成の方が良いと思う。

リリーフは、スピード、球威の衰えたベテランがやるポジションではない。

江夏の21球とメディアが持ち上げ、永川劇場と揶揄されるが、長年、カープを見てきた側に言わせると、江夏の方が劇場で失点も多く、数年前までの永川の方が無双していたし安定していた。

僅差リードのみの登板で、回跨ぎをさせない、1イニング限定で、ローテション制にすることで連投を回避することで、また、リハビリ技術の向上で、岩瀬や山口哲や藤川のように息の長いリリーフ投手になれるのである。

新外国人投手の力を一時的に借りるのであれば、一定の実績のあるベテラン外国人先発投手である。

40年連続黒字で前田の移籍金24億の半分の12億、マツダスタジアムを建設したとはいえ、実績のある先発投手を補強する金はあるだろう。

[追記]

リリーフ投手の場合も、勝ち試合限定、1イニング限定での起用であっても、球数を投げさせれば、先発投手で100球以上投げさせた場合同様、毛細血管が切れ、登板間隔を開けなければ、肩、肘、腰、鼠径、指先を故障してしまいます。勝ち試合限定、1イニング限定、登板間隔を開けるだけでなく、リリーフ投手の場合にも球数制限は必要であると考えます。

一般論では、リハビリという観点からは、リリーフの方が体に優しいと思われますが、負担という点では、個々の選手によって、投球歴、スタミナ、身につけた回復力、故障歴他が異なるので一概にリリーフの方が先発よりも軽いとは、言い切ることはできないと思います。

先発は、中6日の間に2回ブルペンに入って、それぞれ40球前後投げます。

先発で中6日で回るのは、肉体的に楽とは言えないでしょう。

一度、リリーフ又は先発で右肩、腰を故障して、実戦復帰したものの故障前のストレートのキレ、スピード、球威が戻らなかった投手、勤続疲労によりストレートのキレ、スピード、球威の衰えた先発又はリリーフ投手が務まるのは、ストレートを全力で投げることなく、豊富な球種、経験による投球術、データ、応用力を駆使して、緩急を使い、制球を重視し、打たせて取る先発だと思います。投手は、一日1000スイング振込みができる野手と異なり、投げ込みは投げたとしても、せいぜい、100球程度。これらは、実戦の中で、又、多くの投手を見て研究することでしか身につきません。

よって、先発は、将来の現役生活が長くないベテラン投手が務める仕事だと思います。若しくは、ストレートが速くなく、キレ、球威もなく、これらのアップが困難なドラフト下位指名の大学、社会人投手、3Aクラスの技巧派投手が務める仕事だと思います。

ドラフト1位の人材よりも、これらの人材の方が数が多いので、ローテーション投手が一人乃至二人抜けても、3番手以下の投手ということでローテーションの穴を埋めることは、リリーフが抜けたことに比べ、取って替わる選手を当てはめることは差ほど困難でないと思われます。