ヤクルトのクローザー候補マットカラシティーのピッチングを解析します。

Last Updated on 2022年4月11日 by wpmaster

退団したセットアップのルーキの代わりとして、又は、クローザーとしての働きが期待されるマットカラシティ(Matthew Joseph Carasiti</strong)。

1991年7月23日生まれの27歳

右投げ右打ちの投手

公称サイズは、190.5cm、90kg

メジャーでの実績は、2016年ロッキーズで、19試合に登板 1勝0敗 防御率9.19

2017年は、ロッキーズ3A、カブス3Aアイオワで、計46試合 49回2/3で68奪三振 1勝3敗 21S 防御率3.26

Max157キロ、平均150キロ前後の真っすぐに、ツーシーム、カットボール、スライダー、132キロ前後のスプリット、チェンジアップを投げる。

オリックスも調査していたが、ヤクルトに入団が決まった。

それでは、マットカラシティのピッチングを解析してみましょう。

マットカラシティのピッチング:ストレート系(2016年)

カラシティーは、左膝を骨盤よりも高く上げます。

この動作は、瞬発力が消耗してしまうでしょう。

右足は踵にも一応は、重心が残っていますが、踵が浮いており、どちらかというと拇指球に重心がかかっています。

この動作を見る限りは、右股関節の外旋が早まらないか、右肘が上がっていくかどうかが懸案事項です。

右足がルーズに曲がっているので、体が前に出されるのを抑止します。

左足を下し始めますが、左膝は、ほとんど内に入れません。

取り敢えずは、ヒップファーストですが、それほど大幅なヒップファーストではありません。

左足のくるぶしを本塁の方向に向けています。

グラブを胸元まで落としますが、今一つ脱力し切れていません。

グラブを持つ手の肩である左肩は、内旋できています。

テイクバックを始めていき、右肩が下がります。

テイクバックは、背中に付くほどではないものの、現代のメジャーでは、小さくはありません。

右肩の内旋がややタイトで右肩に負荷がかかっています。

エッジをかけた右足からボールを持つ手にかけてCアーチがかけられています。

瞬発力がボールに伝わる投げ方です。

しかし、徐々に両肩がM字型になっていきます。

左膝を本塁方向に向けて、左膝を左肘を並進運動させていきます。

インステップでははありません。

大幅なヒップファーストではありませんでしたが、左足は、体幹の近くを回るので、左足で弧を描く(バッティングでいうところのドアスイング)にはなっていないので瞬発力は逃げません。

右肘が右肩よりも上がりM字になっており、右肘が上がっていきにくい投げ方で、また、ルーズショルダーになりやすい投げ方です。

ここでは未だ、左肩は開いていません。

大腿骨を骨盤に差して両肩甲骨をぶつけていきます。

右足を蹴り始めたとき、右股関節、腸腰筋は外旋していないので、右股関節を左膝にタメがあります。

しかし、ここで、左膝は開いていないものの、左肩が開いてしまっています。

右肘をつまみ上げます。

トップを作ったときに、右肘が沈んでしまっているので、右肘の出が遅れやすくなります。

ボールを持つ手は頭の後ろに隠せています。

胸の張りは小さくはないですが、大きくもありません。

三角筋を使って右腕の前腕部を後方に引っ張ります。

両肩甲骨を剥がしていきます。

回転軸は、さほど一塁側には傾きません。

左足の内転筋、太腿裏を伸ばして左膝をタメを短くするのは、下半身がロックされないので、瞬発力が伝わりやすい投げ方ですが、

右股関節の外旋が肘が出ていく前にしてしまっているので、少し早いです。

ボールを持つ手が出かかり、振り遅れさすことができないだけでなく、右肘の出よりも、右股関節、腸腰筋の外旋が先行した上で、左膝を伸ばして壁を作るので、右肘を故障しやすい。

右股関節の外旋が早かったことからコッキングの角度は、スリークウォーターに近い。

ヒップファーストは大幅ではなかったですが、右肩の凹みは抑止できています。

右肩を内旋し、リブダウンしますが、それほどリブダウンの幅は大きくありません。

上体は一塁側に傾けているので、横振りになりかかったころを縦回転に戻して持ち直してはいます。

スパイク外側から踵着地します。

左膝を伸ばして壁を作り、股関節が前に出るのを抑止できていますが、右股関節が開いているので、瞬発力が逃げてしまいます。

右足を一塁側にターンします。

マットカラシティのピッチング:変化球(2017年)

左足を上げ始めるときに、右足全体で地面を踏んでいます。

握りからしてスプリットでしょう。

左膝の高さは、骨盤と同じ高さです。

右足はどちらかというと踵寄りですが、踵もつま先も浮いていません。

右足は、少しタイトに曲がっています。

それだと、首の上下動とリブダウンで前傾させるのではなく、大腿骨を骨盤に刺すのが遅れて上体が前に倒れるボールを叩きつけることがあり得るのです。

左膝は、ほとんど内に入れません。

左足のくるぶしを本塁方向に向けています。

ヒップファーストは大幅ではありません。

テイクバックのときの右肩の下がりはそれほど大きくはないので、右肘は上がらないでしょう。

テイクバックは、現代の投手の中では、中規模です。

エッジをかけた右足からボールを持つ手にかけてCアーチがかけられています。

右肘をつまみ上げて、大腿骨を骨盤に差して両肩甲骨をぶつけていきます。

左膝を本塁方向に向け、左肘を左膝を並進運動させます。

トップを作ります。

右股関節、左膝にタメがあります。

左膝は本塁方向に向いていますが、左肩が開いてしまっています。

トップを作った後に、右腕前腕部が一塁側に傾き、傾きがタイトで、且つ、ボールを持つ手が頭から遠くなってしまっているので、ドアスイングがバットの芯のストロークが短くなるのと同じく、右肘が伸びて、コッキングの角度が小さくなって回転軸の遠くを通り、右腕がリリースポイントの可動域が狭くなり、右腕の弧を大きく描けないでしょう。

胸の張りを大きくはないものの、作って、ボールを持つ手を頭の後ろに隠して右腕のドアスイングを修正していきます。

左足の内転筋、太腿裏を伸ばしていくので、真っすぐ系を投げるときと同様に、タメは短いので瞬発力が伝わる投げ方です。

胸の張りが大きくなかったので、右肘が伸びてしまっています。

バッティングでいうところのドアスイングです。

左足は、踵から着地します。

左膝を伸ばして壁を作ります。

右股関節を左太腿に沿わせているので瞬発力が逃げません。

右足を一塁側にターンします。

まとめ

カラシティーは、踵着地なので、着地してみて柔らかいと錯覚する日本のマウンドに適合できる。

下半身を損耗しない。

後ろの足がルーズに曲がり、ステップ幅が短く、タメも短いので、これらだけを見ると、右肘も上がり、左膝で壁も作りやすいはずです。

しかし、左足の上げ下しと、右足のターンのときに股関節が開くので、瞬発力を消耗する動作がある。

これらは、修正されつつあるが、右膝がタイトに曲がってしまって重心移動が遅れ、左肩の開きが早くなってしまっている。

また、左膝から下が内に入るわけではないので、左膝を本塁側に向ける動作も特段速いわけではない。

トップを作るのが遅れ、胸の張りもそれほど大きくなく、回転軸の一塁側への傾きもそれほど大きくなく、コッキングもスリークウォーターに近いので、回転数は、プロの投手としてはそれほどでもないだろう。

股関節の外旋が早く、右肘の出が遅れるので、指先でボールをこすって右腕を内旋するときに、縦回転の、バックスピンがそれほどではなく、打者は、振り下ろしを早くすることができるので、スイングの結果として体感速度は球速表示ほどは感じないだろう。

変化球を投げるときも、胸の張りを作って遅らせる(そうは言っても右股関節の外旋よりは先行するが)のではなく変化球は、更に右肘の出が遅れる。

変化球の落差もそれほど大きくはない。

バーネット、オーレンドルフ、ロマン、ルーキの方が実力は上だろう。

左肩の開きが早くなったところ、右股関節の外旋が早くなってシュート回転をしたところを畳みかけたい。