大瀬良大地に見るピッチングのストライドに関するアプローチ

Last Updated on 2019年7月2日 by wpmaster

大瀬良は、投球のステップの幅を小さく修正したという。

投手の歩幅は、従来、6~7.5歩数とされてきた。

投手は、歩幅が広い方がいわゆる速い球(≠球速表示)が投げられるのか、それとも短い方が速い球が投げれれるのかについては、

争いがあり、従来の日本では、歩幅が広い方がよいとされてきたが、果たして、それは現代野球においても妥当するだろうか。

①歩幅の狭い投げ方

大瀬良は、斎藤和己の投げ方を参考にして三塁側を投球モーションに入るときに見る

骨盤の上に頭を乗せることにより、上体が反り返って右足の踵に体重がかかることを防ぐ。

左足で弧を描くのを防ぐ。

骨盤の上に頭を乗せることで膝を緩く立つことができ、瞬発力が消耗させずに済む。

よって、歩幅を狭くしても、ステップしたときに後ろの膝が緩く曲がり、

右股関節のタメと左膝のタメができつつ、左膝がロックされない。

フィニッシュで左膝を真上に緩く蹴って、伸ばすことができる。

ルーズにステップしているので瞬発力のロスが少なく、

歩幅を小さく、左膝を伸ばすことにより、背骨と腰の骨、そして太ももの骨をつないでいる腸腰筋を瞬時にスライドできる。

伸ばした左膝、左足を軸に右足を緩く蹴って、骨盤の回転する方向と同じく、半時計周りに送ることができる。

腕を振り切ることができる。

実際、歩幅を小さくして投げているときの大瀬良は、フィニッシュで一塁側に右足を左足の前で通過させて送れている。

フォロースルーの大きい、前の大きい投げ方になり、瞬発力が指先に伝わり、

左膝を伸ばしたことにより、バックスピンのかかった球が投げられる。

トップを作ったときの右肘の高さが高くなり、テイクバックが小さくても

緩く三角筋を使って胸の張りを作ることができる。

伸ばした左膝で壁ができるから、打者に胸を見せるのが遅れる。

腕にしなりができ、腕のスイングを止めないから球持ちも長くなる。

打者の目線に近いところからリリースされる。

歩幅を狭めることにより、縦回転で投げられる。

②歩幅の広い投げ方。

歩幅を拡げることで後ろの膝が前方に伸びる。

トップを作るのが遅れ、着地と同時に腕を振り下ろすことになる。

左膝がつま先よりも前に出て、瞬発力が指先に伝わらない。

ステップして着地したときに右股関節、左膝のタメができるが、左膝がロックされて

フィニッシュで左膝を上方に緩く蹴って、伸ばすことができない。

下半身のバネを使った投球ができない。

バックスピンのかかりが良くない。

打者は、投手の胸が見えた瞬間に始動する。

左膝がロックされれば、打者に胸を見せている間が長くなる。

歩幅が広がるとスライダー、シュートが投げやすくなるが、

体が開くので打者の目線から遠いところからリリースすることになる。

後ろが大きくなえうだけで、前が小さくなる。

よって球持ちも良くない。

腕のスピードが加速するのは、前の大きさだ。

後ろが大きければ、瞬発力の消耗も大きい。

打者がスイングしてみたところ体感速度が遅く感じられる。

歩幅が広いと、フィニッシュで右足を一塁側に送ることができない。

フィニッシュで三塁側に右足を着地させる結果となり、

骨盤の回転の動きに抗うこととなり、腕の振りを止めてしまうことになる。

下半身も故障しやすい。

股間から下が台形になるので、右肩が開く。

体が開くので打者がスイングしてみたところ体感速度が遅く感じられる。

歩幅を広くすれば、重心は低くなるが、下半身がロックされるので、

下半身を使えずに、腕だけを内旋する手投げになってしまうのだ。

また、歩幅が広ければ、上体がバタンと前に倒れる。

トップを作ったときに右肩、右肘が下がる。

肩肘を損耗しやすくなる。

球数を多く放れなくなる。

③まとめ

筆者も子供の頃は、山本昌広氏と同じく、歩幅をできる限り広くしなさいと教わった。

しかし、野球の技術の事後研究が進むにつれ、それは体感速度の速い、失速を抑えた球を投げることとそぐわない結果となることが証明され、

ステップ幅を広くというアプローチは陳腐化してしまっているのだ。

これまで、山本昌広氏より前の日本の指導者は、事実とは逆のことを長年後輩たちに指導してきたのだ。

歩幅を広くして三塁側に四股を踏む投げ方を続けていけば、日本プロ野球とメジャーのレベルは、再び拡大してしまうだろう。

大瀬良くん、君のピッチングの歩幅に関するアプローチは間違っていないよ。

このまま、歩幅の狭いピッチングを続けていけば、今よりも更に上の段階の投手になれるよ。

[追記]

昨日の試合についていくつかコメントします。

この試合の大瀬良は、トップを作ったときに右肩が下がったのは、39,59,60,85,105球目

最初右肩が下がった球数は、いつもよりも遅い。

いつもよりもフィニッシュにおいて右足を一塁方向に送らせていた。

大和に打たれた2点目のヒットは、重心が三塁側に残っている。

下が使えてないから、腕が振り切れていない。

伊藤隼太に打たれた3点目のヒットは、フィニッシュで一塁側に右足を送って回っているが、

左膝を真上に伸ばし切れていない内に回っているから、バックスピンのかかりが良くない。

九里も4点目の内野安打は、フィニッシュで一塁側に右足を送って詰まらせていたが、

俊介が重心を後ろに残していた。

5点目のヒットは、九里が三塁側に重心が残っていた。

糸井に重心を後ろに残して打たれた。

中田廉は、テイクバックは大きくないが、テイクバックのときに右肩が下がる。

この投げ方は、肩を損耗させる投げ方だ。

トップを作ったときに右肩が下がってボールを引っ掛けることを連発した。

左膝にタメがなく、高めに外れる。

ブレイシアは、スライドステップのときに、ストレートに本塁方向にノンストップで着地。

フィニッシュでも一塁側に右足を送れていた。

阪神打線は、いずれも差されていた。

松山もバティスタもいずれもオープンスタンスから、トップは浅いものの、トップを作ったときにヘッドが立っていた分

引っ張って本塁打にできた。

能見は、立ち上がり、一塁方向につま先を向けたところからステップし、弧を描いている球が何球かあった。

23,26球目でトップを作ったときに左肩が下がり、ボールを引っ掛けており、

肩の状態はあまり良くない。

メヒアは、テイクバックのときに後ろ足がロックされている。

トップを作ってから、前足を下すのと同時に振り出していて始動が遅れている分、ボールを見る間が短い。

マテオも岩崎もトップを作ったときに肩が下がり、状態は良くないが、

フィニッシュで重心移動させて投げており、広島打線は、初回以降追加点を取ることができなかった。

[追記2]

辻空より先に一軍登録された藤井皓哉(21)が近々先発するようだ。

左足で弧を描かず本塁方向にステップし、フィニッシュで緩く右足を一塁側に送れている。

トップを作ったときに肩、肘が上がっている。

ここまでは、素晴らしいところ。

しかし、左膝にタメがなく、トップを作るのが遅れ、リリースと左足の着地が同時になって、

左膝がつま先よりも前に出て、瞬発力がボールに伝わらずに、高めに外れることがある。

上体がパタンと前に倒れることがあるので、肩を損耗しやすい。

イニングを食うことは難しいかもしれないが、投げてみることによって

課題が見つかるので、一軍で投げさせることには反対ではない。

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