開幕直前セリーグ各球団総合分析:ヤクルトスワローズ編

昨シーズン、ヤクルトスワローズは、45勝96敗と記録的な大敗で最下位になった。

しかし、カープが連覇する前の優勝チームでもある。

これほどまでに負けて最下位になった最大の原因は、やはり、故障者が続出したことだろう。

直近の優勝後低迷したのは、バーネット、ロマン、オンドルセクと相次いで退団したことも大きいだろう。

そこで、オフには、元ソフトバンクの山田大樹、元中日のジョーダンことアルメンゴを獲得。

補強に取り掛かった。

先ずは、2018年のヤクルトの成績を予想する上で、土台の一部となる昨季の投打の実績を見てみよう。

投手部門

[2017年 チーム先発投手成績]

先発勝利数 : ⑥位

先発防御率:⑥位

先発球数:④位

先発イニング数:④位

先発投手の防御率が最下位の割に、球数、イニング数は、4位となっている。

このことから、救援投手陣の層が薄かったことが看て取れる。

[2017年 チーム救援投手成績]

救援防御率:⑥位

救援球数:③位

救援イニング数:④位

救援投手の層が薄く、先発を引っ張った結果、救援イニング数は、3位。

しかし、救援防御率が最下位になるだけあって、それだけ打たれていたわけであり、先発降板後のイニングを食うのに要した球数も多くなっている。

次に、今季の投手成績をする上で重要となるのは、支配下投手の入れ替わりだろう。

そこで、退団、新加入投手についてまとめてみよう。

[その他退団選手]

古野(再契約見込み)

田川(再契約)

徳山

[新入団投手の昨シーズンの成績]

 

アルメンゴの先発、救援別成績については、中日編参照。

次に、既存の先発投手と新加入の先発投手の個々について見てみよう。

ヤクルトは、2017年のシーズン終了後に小川泰弘と星が右肘手術。

小川は、いわゆる疲労骨折、星も全治3か月。

開幕一軍には間に合わない。

肩や腰ではないので、シーズンを棒に振ることはないだろう。

実際、小川は、今週末にイースタンで登板する。

ハフのピッチングについては、以前記事にした。

3/14日の阪神戦のピッチングも米国の頃の動作と比較して投球動作に関する私の評価は変わっていない。

山田大樹のピッチングについては、2017年6月18日の交流戦のところ書いた。

今季は、一軍でもファームでも投げていない。

それらを踏まえても、先発が手薄なヤクルトにおいても、ローテーションに入るほどのレベルではない。

アルメンゴ(旧ジョーダン)は、左足の足裏全体でプレートを踏み、右膝を上げたとき、左足踵に重心を残している。

左股関節を一瞬内旋させてから、左膝を少し内に入れてフットファーストでステップする。

左肘をつまみ上げたときに左肩は開かない。

トップを作る過程で左足を蹴り始め、左股関節を外旋する。

フィニッシュで左足をターンするが、左股関節が開き、右膝の壁が崩れているので、瞬発力を消耗する。

しかし、投球動作の完成度は、トータルで見れば、平均より劣るというわけではないので、ヤクルトにとって、相応の補強にはなっただろう。

館山は、右足全体でプレートを踏み、右足踵に重心を残してヒップファーストでステップ。

Cアーチのときに、右足踵が離れ、右股関節の外旋が始まる。

左足をスパイクの内側から着地してトップの角度をキープして右肘を出すとき、三塁側に重心が傾き、ボールを持つ手が頭から出てリリースの際に打者の正面に胸が向く。

次に、リリーフ投手について、個別に分析してみよう。

ヤクルトは、セットアップのルーキが退団。

カラシティのピッチングについては、以前、記事にした。

オープン戦では、球速表示は、157キロ出ているが、トップを作ったときに、右足を蹴り始めていて右足は拇指球で立ち、右足踵が三塁方向を向いており、右股関節だけでなく腸腰筋までも外旋している。

評価としては、ルーキの方が上。

防御率は、3.20~4.30の間ぐらいだろうか。

中継ぎの近藤、石山は、昨季から引き続き投球動作を見てきたが、昨季の数字ほど悪い投手ではない。

中継ぎのレギュラーは、秋吉、近藤、石山、松岡、カラシティ。

昨年、右肩の故障で、殆ど登板のなかった筆者が推している平井が復活できるかどうか。

本人曰く、右肩は問題ないと言うが、さて如何に。

敗戦処理が中澤、村中、成瀬、山本哲哉

打撃部門

[その他退団選手]

リベロ

[新入団選手の昨シーズンの成績]

 

山田哲人の打撃は、3/16日のオープン戦を見たところ、昨年の不振から修正されていない。

バレンティンは、ヘッドを残して打つ打撃に徐々にモデルチェンジしてきており、フィジカルがプレーできるレベルにあれば、打撃を昨季の数字を残すレベルにまで仕上げてくるだろう。

日本プロ野球に復帰した青木は。トップハンドの肘が伸びてロックされて、バットが遠回りする。

川端も3/16日のオープン戦を見たところでは、首位打者を取った頃の打撃には戻っていない。

青木も川端も全盛時の成績を残すのは、まず無理ではないか。

2014年に、.316 23本 90打点の実績を残した雄平も2016年7月27日に左側腹部筋挫傷で登録抹消されて以降、年々数字を落としている。

オープン戦での走塁により、下半身のコンディションが良くないとのことだが、回復がいつになるかだろう。

そこで、待たれるのが若手の台頭だが、山﨑は、両肘がロックされて始動が遅れる弱点がオープン戦で明らかになった。

オープン戦で、山田哲人を一番打者に置いて数多くの打席数を与えて調整させているだけで、シーズンに入ったら、毎試合、必ず一回は、無走者で打席に入る一番打者にチーム最強の打者を入れるということは勿体ないことで、まずあり得ないこと。

2018年の基本オーダーは、次のようになるのではないか。

(右一)坂口

(中)青木

(二)山田哲人

(左)バレンティン

(三)川端

(一)荒木or(右)雄平

畠山

(捕)中村悠平

(投)

(遊)廣岡

まとめ

これまで、分析してきたところを踏まえて総括してみよう。

2018年先発ローテーションは、小川、ブキャナン、石川、原、ハフ、星

小川と星の代役が由規と館山

ハフとの入れ替えでアルメンゴ

他に、控えが、寺島、岩橋、中尾、山田大樹、山中

先発は、昨シーズンよりも層が厚くなった。

小川 6-4    3.49

ブキャナン 9-10

石川 5-8   4.86

原  6-9   3.47

星   1-4    5.50

ハフ   4-4     3.94

アルメンゴ   4-2    2.79

館山 3-6    4.30

由規    3-3   3.64

山中 0-2      6.94

寺島 1-1

中尾 1-0

山田大樹 0-2

合計  43勝55敗

中継ぎ、抑えは、秋吉、カラシティ、近藤、石山、松岡

控えに、中澤、山本哲哉、平井、成瀬、村中、梅野

リリーフで17勝27敗

石山の成長、平井の復活次第だ。

現代野球は、中継ぎ、抑えが重要。

2015年の優勝の大きな要因は、中継ぎ、抑えの層が厚かったから。

石山と平井のどちらかがクローザーに収まるぐらいでないとチームは浮上しないだろう。

石井、河田両コーチの移籍については、

いくらカープの選手のデータを蓄積していても、実際に現場でプレーするのは、選手。

プレーする前に打ち合わせても、プレーするとなったら関係ない。

青木、川端、畠山、館山が復帰したとしても、昨年、96敗したチームがいきなり急浮上して最下位を脱出するのは、ほぼ100%ないだろう。

川端、畠山、館山が過去の故障からいってフルシーズン一軍の試合に出れるとは思えない。

荒木、山﨑、藤井辺りの若手は伸び悩んでいる。

今村からオープン戦で本塁打を打った2年目廣岡がどこまでやれるか。

しかし、昨年のようなぶっちぎりの最下位はないだろう。