[比較野球守備研究]新庄剛志の内野5人シフト

Last Updated on 2023年3月12日 by wpmaster

日本ハムの新庄剛志監督が阪神とのオープン戦(甲子園、2023年3月10日)三回裏と八回裏の守備で内野5人シフトの実戦テストを行った。

新庄は、試合後の記者からのインタビューで「成功でしょ」、「ランナーセカンドとか、点を与えたくない場面で。ゴロを打たせるピッチャーの時には確率的には高いかなって。あとはフライが上がったら何とかあの足で取ってくれっていう感じですね。江越君、五十幡君、矢澤君が守るときはね、いい方法」とコメントした。

新庄が採用した内野5人シフトは、何れも走者無しのケースからテストしたものであり、ムキになって議論する必要はないだろう。

しかし、既に得点圏に一人以上の走者が出塁したケースに置き換えて内野5人シフトに関し、論じてみることには、価値を付けることができるであろう。

全ての野手は、地を這うゴロ、ショートバウンド、ハーフバンド、ライナー、飛球は、何れも定位置より深く守り、打者がコックアップした後に、打球の落下点の後ろに向かってスタートを切る。

内野手は、走者がリードするラインより前進しない。内野手も外野手も前進した後は、下がらない。後ろに回り込まない。深く守って前進する方がフォアバウンドシングルで小指基節骨で打球を叩くことができる。ベアハンドの前腕部を回外して捕球するとともに、送球のトップが作れる。

二死フルカウントから、投手がセットを解いた後に二塁走者にスタートを切られ、外野に地を這うゴロ、ショートバウンド、ハーフバウンドが飛んだとしても、二塁走者を本塁でアウトにできる。

2アウトでは、飛球をノーバウンドで捕球すれば、3アウトが成立します。先ず、二死からは内外野とも前進守備を採る必要はないというのが私の立場である。内野5人シフトを採用した指揮官の大半は、二死からは内野5人シフトは採用しない。更に、それ以外全てのケースでも前進守備を採る必要はないとする立場を私は採る。

マーティブラウンの内野5人シフト

打者がゴロを打てば、一以上の走者に進塁義務が生ずるケースでは、外野手が深めに守れば、フォアハンドで捕球でき、走者のリタッチを遅らせることができます。但し、野手にタッグする義務は消滅しません。二以上打者走者が出塁したケースに関しては、外野手は、本塁から遠い塁(一三塁であれば一塁)に送球しなければOKである。

次に、内野手が走者がリードを取るラインよりも前に守れば、走者は、投手がセットを解いた後に、二次リードを広げ、スタートを切ることができる。打者がフライングエルボーする前にスタートを切ることができる。ゴロゴーよりも早くスタートが切れる。

内野手が走者の後ろに守れば、投手又は捕手がベースに牽制を投げれば、内野手は、背走せずに、牽制が投じられたベースを蹴ることができるので、走者は、投手がセットを解いた後、次の塁に向けてスタートを切るのが難しくなります。二以上打者走者が出塁したケースに関しては、投手又は捕手は、本塁から遠い塁(一三塁であれば一塁)に送球しなければOKである。

広島vs中日22/04/2006

投手は左広池浩司、捕手は倉義和。4-4の12回表、一死満塁で打者は井端弘和。

一塁栗原健太は一塁走者がリードを取るラインよりも前に守る。

二塁東出輝裕、遊撃山崎浩司は、走者がリードを取るラインより前に守る。三塁新井も三塁ベースから離れ、二塁走者の進路よりも前に守る。

中堅福井敬治も二塁ベースの前に守る。

すなわち、5人とも走者より前に守っている。

広池は、井端をサードゴロに打ち取り本塁封殺する。その後、打者福留孝介の場面で倉義和の後逸により失点する。

広島vsホークス29/03/2009

投手は林昌樹、捕手は石原慶幸。3-3の9回裏、無死三塁で打者は柴原洋。 カウント1-2である。

一塁喜田剛は、一塁ベースを囲むアンツーカーから出て二塁方向に進み、一塁走者がリードを取るラインよりも前に出る。

二塁小窪哲也は、一塁走者の進路の前に出る。

遊撃石井琢朗が二塁寄りに立つ。二塁ベースを囲むアンツーカーから出てマウンド方向に進んだところに守る。

廣瀬純に代わって左翼に入った木村昇吾が遊撃手の位置に入る。

三塁シーボルは、三塁ベースアンツーカー内のマウンド寄りのコーナーに左足のスパイクの外側を沿わせる。すなわち、二塁走者の進路より前に守る。

木村昇吾は、二塁走者の進路よりも前に守る。

シーボル以外の喜田、小窪、石井、木村昇吾は、走者がリードを取るラインよりも前に守る。

すなわち、上記5人の内、走者よりも後ろに守っている内野手は一人もいない。

結果は、柴原がセカンドゴロ、続く中西健太はレフトゴロ(シフトは、柴原のときと同じである。木村が打球を処理した)。二死三塁となってシフトは解除され木村昇吾がレフトに入り、林が高谷裕亮を一塁ゴロに仕留めて試合終了した。

広島vsベイスターズ(14/07/2014)

投手は右投げの永川勝浩、捕手は倉義和。1-1の10回裏、一死満塁で打者は古木克明。

一塁栗原健太は、一塁走者がリードを取るラインよりも前に守る。

二塁東出輝裕が二塁ベースよりも一塁寄りに立つ。二塁走者の進路よりも前のアクリルの芝が植えてあるところに守る。

遊撃梵英心は、二塁ベースを囲むアンツーカーから出て、二塁ベースの前、アクリルの芝が植えてあるところに守る。

三塁新井は、三塁ベースを囲むアンツーカーと芝の境目の遊撃寄りのラインに左足のスパイクの外側を沿わせる。新井は、三塁ベースよりも前に守る。

森笠繁に代わった中堅井生崇光が遊撃手の位置に入るが、二塁走者の進路よりも前に守る。

よって、上記、5人の内、既に出塁している走者よりも後ろに守る野手は生じていない。

全体的に右寄りのシフトを採用し、左翼は、がら空きとなった。

結果は、永川がワンバウンドの投球をして失点した。

広島vs中日(06/05/2009)

投手は横山竜士、捕手は石原慶幸。2-4で中日リードの8回裏、一死一三塁で打者は荒木雅博。

荒木がゴロを産み出した後は、一塁走者に進塁義務が生ずる。

一塁栗原健太、二塁東出輝裕、三塁シーボル、遊撃石井琢朗に、天谷宗一郎に代わって右翼に入った木村昇吾が遊撃手の位置に入る。木村昇吾は、二塁走者の進路よりも前に守る。

三塁シーボルは、三塁ベースを空け、三塁ベースを囲むアンツーカーから出る。二塁走者の進路上に守る。

遊撃石井は、二塁ベースの前に守る。石井は、二塁ベースを囲むアンツーカー内に体全体が収まっている。

すなわち、上記5人の内、既に出塁している走者の後ろに守っている者は生じていない。左翼のマクレーンでなく右翼の天谷を代えたのは打順の関係である。

結果は、横山が荒木を三振に打ち取る。

広島vs西武(14/06/2009)

投手は青木高広、捕手は石原慶幸。4-4の12回裏、無死満塁で打者は黒瀬春樹。

一塁喜田剛、二塁東出輝裕は、一塁走者の進路より前に守る。

三塁石井琢朗は、右足も三塁ベースを囲むラインから出して、三塁ベースよりも前に守る。

遊撃梵英心は、二塁走者の進路より前に守る。

末永真史に代わって左翼に入った小窪哲也は、二塁ベースを囲むアンツーカーから出て、二塁ベースの前の位置に入る。

結果は小窪の真正面へのゴロとなり、7-2-3の本塁併殺ーが完成(レフトゴロ併殺打)。その後シフトは解除され小窪に代わって嶋重宣が左翼に入り、再び四球を出して二死満塁とした後、江藤智を内野フライに打ち取って試合は終了した。

直近シーズンの交流戦でも一三塁のケースで広島の一塁手マクブルームは、一塁走者の前に守り、今川に本盗を成功されています。

広島の関係者は、皆、本当に学習してませんな~

流石、バカープです。

原辰徳の内野5人シフト(11/07/2014)

6回裏一死二三塁、打者今成

マーティブラウン(2009年5月6日の試合を除く)と異なるところは、満塁策を採らずに、打者がゴロを産み出しても何れの走者にも進塁義務が生しない二三塁のケースで内野5人シフトを採用したところです。進塁義務が生じないケースでは、守る野手に走者をタッグする義務が生じます。

左翼亀井が一二塁間の一塁ベース寄り、一塁走者の進路上に守る。

二塁手の片岡は、二塁ベース寄りで前進守備を採る。しかし、二塁ベースを囲むアンツーカーの中には入らない。

三塁手村田は、三塁ベースを空け、アンツーカーと芝の境目に左足の外側を沿わせる。二塁走者の進路上に守る。

遊撃手の坂本は、定位置より前、二塁走者の進路上に守る。

右翼手長野は、中堅寄りに移動し、外野定位置を結ぶラインよりも浅く守る。

中堅松本哲也は、左翼線を空け、中堅寄りに移動し、外野定位置を結ぶラインよりも浅く守る。

しかし、阪神監督和田は、代打西岡を球審に告げ、上記のシフトは採用されなかった。

三塁手村田は、三塁ベースから離れるが、両足を三塁ベースを囲むアンツーカー内に入れる。二塁走者がリードを取るラインよりも前に守る。

左翼手亀井は、三遊間の三塁寄り、二塁走者がリードを取るラインよりも前に守る。

遊撃坂本は二塁ベースに寄るが、二塁ベースを囲むアンツーカー内には入らない。二塁走者がリードを取るラインよりも前に守る。

二塁手片岡は、二塁定位置の前、一塁走者の進路上に守る。
一塁手のアンダースンは、一塁ベースを囲むアンツーカーから出て一塁走者がリードを取るラインより前に守ります。

結果は、右中間を破られ、2人が本塁に還ります。

中嶋聡の内野5人シフト(29/07/2022)

二死一、二塁、投手は、阿部翔太、捕手は、若月、打者は、左打ちの代打菅野剛士、カウントは、3-2である。
3アウトを取られる前に本塁に還らないと得点が成立しない。フェアゾーンに飛んだ飛球は帰塁の必要がない。一塁走者、二塁走者は、強制スタートのケースである。

一塁手太田椋は、一塁線を空け、一塁走者がリードするラインよりも後ろに守る。

二塁手大城滉二は、二塁ベースの後方、アンツーカーを出て外野に植えてある芝部分に守る。

遊撃手紅林は、遊撃定位置に守る。

三塁手宗は、三塁線を空けているが、三塁を囲むアンツーカーと外野に敷いてあるアクリルで作った芝との境目のラインと遊撃寄りのラインの交わるポイントからボール1個分アンツーカー内に入ったところに守る。すなわち、二塁走者がリードを取るラインよりも後ろに守る。

中堅手の福田は、二塁定位置(一二塁間)の後ろ、土と芝の境目に守る。

左翼手中川は、左翼線を空け、右中間に守る。定位置よりも浅く守る。

右堅手は、右中間で、定位置より浅く守る。

一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、中堅手は、何れも走者がリードするラインより後ろに守っている。

菅野の産み出した打球はゴロで福田と紅林の間を抜けていく。

左翼手中川は抜けたところで捕球し、本塁に送球する。二塁走者の藤岡裕大はホームタッチアウトとなり、3アウトで攻撃が終了した。

新庄剛志の内野5人シフト

3回裏、一死走者なし、右投手の生田目、打者左打ちの佐藤輝明は、カウントは0-2
佐藤輝明は、左手首を耳の高さにセットする。左手親指の第一関節を屈曲し、左手親指の爪の内側でグリップを押す。左手人差し指の付け根にグリップを嵌めている。ヘッドの角度を45°にしている。
スクエアスタンスで立つ。頸反射はしていない。

佐藤輝明のセットアップから産み出し得ることは、下記のとおりである。

左手親指の爪の内側でグリップを押して左肘をコックアップした後、右肘、首、右肩が左肩の方に入る。

右肩がホームベースに被さる。

左足拇指球で地面をバックネット方向に蹴る。

左腕上腕部を内旋(スイングの開始)し、左手親指の爪の内側でグリップを押し込んだ後、両腕前腕部の深層屈筋が突っ張る。

アウトローのワンバウンドを空振りする。

インステップしなければ、インロー、真ん中低め、アウトローのノーバウンドは、球種問わず本塁打できる。

スクエアステップでスウェイしなければ、インローは本塁打できる。

投手が、左膝を骨盤より上げず、両股関節を通過する前に右腕前腕部を回外して右肘をコックアップすれば(=テイクバックを小さくする)、ベルトより上の投球の軌道に対しては、トップが作れない。
スイングできずに、審判からストライクが宣告される。

または、ベルトより上の投球の軌道は、左腕前腕部の回外を開始できてスイング(左腕上腕部の内旋)できたとしても、差されてポテンヒット、二塁打は打てても本塁打は打てない。

1.一塁手清宮は、一塁線を空け、一塁走者がリードするラインよりも後ろに守る。

2.二塁手の加藤豪将は、二塁ベースの後方、土と芝の境目に守る。

3.遊撃手の上川畑は、遊撃定位置に守る。

4.三塁手野村は、三塁線を空けるが、三塁ベースを囲むアンツーカーに相当するエリア内の外野に植えてある芝との境目、遊撃方向に55%進んだところに守る。三塁を囲むアンツーカーに相当するエリア内に体全体が収まっている。二塁走者がリードを取るライン、三塁走者がリードを取るラインよりも後ろに守る。

5.左翼手の松本剛は、二塁定位置(一二塁間)の後ろ、土と芝の境目に守る。

6.右翼手矢澤は、右翼線を空け、右中間に守る。定位置よりも浅く守る。

7.中堅手五十幡は、左中間に守る。左方向に右翼手と平行移動したことになる。定位置よりも浅く守る。

マーティブラウン、原辰徳が採用した内野5人シフトと異なるところは、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、内野に入った外野手は、何れも走者がリードするラインより後ろに守っているということである。

全ての野手は、地を這うゴロ、ショートバウンド、ハーフバンド、ライナー、飛球は、何れも定位置より深く守り、打者がコックアップした後に、打球の落下点の後ろにスタートを切る。内野手は、走者がリードするラインより前進しない。前進した後は、下がらない。後ろに回り込まない。深く守って前進する方がフォアバウンドシングルで捕球できる。

よって、結果を問わず、結果が生じる前から、1.~4.は、正解である。

打者の打撃の動きに応じて外野手3人が平行移動して左翼線、右翼線を空けることは理解できる。

外野手の一人に内野を守らせること及び外野の2人を前進守備は賛同できない。

結果は、万波が、二直を背骨の左側、頭上でバックハンドキャッチした。

8回裏、無死走者なし、投手は、右投手の玉井、 打者は、左打ちの島田 カウントは、1-1である。

島田は、左手親指の爪の裏でグリップを押してヘッドをホームベースに倒して構える。左足内踝でエッジ、右足拇指球でエッジをかける。左足の踵から爪先までが右足の爪先からホームベース方向にフルで出ている。オープンスタンスとしては極端である。頸反射はしていない。
島田のセットアップから産み出し得ることは、下記のとおりである。

右足で拇指球で地面を蹴って右膝を上げれば、左足が踵体重になるか、ヒールアップする。

左手親指の爪の裏でグリップを押して左肘をコックアップした後は、左足の拇指球で地面をバックネット方向に蹴る。

右肘が左肩の方に入る。
右肩がホームベースに被さる。

右投手が投じたインロー(左打者のアウトロー)のワンバウンドを空振りする。

ベルトの高さの投球は、コース、球種(緩急)問わず、左腕前腕部を回外してトップを作れない。

右投手が左膝を骨盤より高く上げるか右肘のコックアップ前までに割れ(上体と下半身の捻転差)を作って投じた投じたアウトハイ(左打者のインハイ)、真ん中高めは、追っ付て逆方向(左方向)に打てる。

右投手は、アウトコース(左打者のインハイ)のベルトより上肋骨より下に投じた。よって、これは、結果を問わず間違いではない。

1.一塁手清宮は、一塁線を空け、一塁走者がリードするラインよりも後ろに守る。

2.二塁手の石井は、二塁ベースの後方、土と芝の境目に守る。

3.遊撃手の上川畑は、遊撃定位置に守る。

4.三塁手野村は、三塁線を空けているが、三塁ベースを囲むアンツーカーに相当するエリア内の外野に植えてある芝との境目、遊撃方向に55%進んだところに守る。すなわち、三塁を囲むアンツーカーに相当するエリア内に体全体が収まっている。二塁走者がリードを取るライン、三塁走者がリードを取るラインよりも後ろに守る。

5.左翼手の万波は、二塁定位置(一二塁間)の後ろ、土と芝の境目に守る。

6.右翼手江越は、右翼線を空け、右中間に守る。定位置よりも浅く守る。

7.中堅手五十幡は、左中間に守る。左方向に右翼手と平行移動したことになる。定位置よりも浅く守る。

一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手は、何れも走者がリードするラインより後ろに守っている。

全ての野手は、地を這うゴロ、ショートバウンド、ハーフバンド、ライナー、飛球は、何れも定位置より深く守り、打者がコックアップした後に、打球の落下点の後ろにスタートを切る。内野手は、走者がリードするラインより前進しない。前進した後は、下がらない。後ろに回り込まない。深く守って前進する方がフォアバウンドシングルで捕球できる。

よって、結果を問わず、結果が生じる前から、1.~4.は、正解である。

結果は、万波が、二直を背骨の左側、頭上でバックハンドキャッチした。

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