差されてもヒットになるバッティングにおける”差され方”

Last Updated on 2019年7月14日 by wpmaster

バッティングにおいて最悪なことは空振り三振であると言われることがあります。

この手の論者の空振りの三振が最悪であるとすることの論拠は、空振り三振は何も起こらないというところにあります。

しかし私の見解は異なります。

厳密に言えば、空振り三振も見逃し三振も正規捕球を捕手がしなければケースによっては何かが生じ得ます。

しかし、一般論として最悪なのは見逃し三振です。

消極的云々であるとかメンタルの話をしているのではありませんよ。

技術面において見逃し三振が最悪であると言っているのです。

四球においても触れなかった故の四球と振らなかった四球とがあります。

見逃し三振と空振り三振は紙一重であり、各々の根拠は同一又は共通する部分が多いのです。

空振り三振も見逃し三振も少ないに越したことはありません。

見逃し三振を、空振り三振を少なくする方法は何か。

投球の軌道と水平に振る。レベルスイングで振る。

しかし、ボンズのようにダウンスイング、アッパースイングでフルスイングしても空振り三振の少ない打者はいます。フルスイングをすることと三振を少なくすることを両立することは可能です。

すなわち、どのようなスイングでも、ボールを体の近くに引き付けて打つことです。実際にミートする場所は、へその周辺でももっと体の近くでも構いません。

ボールを体の近くまで引き付けて打てば差されることが多くなります。

しかし、差されていても失速を遅らせて野手の頭を超えたり、野手と野手の間に落ちる打者がいます。

一方、西川は三振数37、野間は46で、共に規定打席に到達している打者の中では少ない方から数えた方が早いです。

四球数は、西川が14、野間が21と共に少ない方から数えた方が早い。

それでは何故、彼等は出塁率が低いのでしょうか。何故打点が少ないのでしょうか。

彼等は早いカウントから振っていくからでしょうか。

差された打球がヒットになるならないは、運不運ではありません。偶然自然ではありません。

運不運、偶然自然の所為にする者は、どの仕事の分野でも二流三流にしかなれません。

差されてしてもヒットになる打者と言うのは次の動作の最低一つ以上、更には複数、全部できているからヒットになるのです。

割れを作っている

前肩を動かさない。

ミートの瞬間に前足を軸に骨盤を回している。

最後まで骨盤を回し切っている。

割れを作る助けとなるのが予備動作による波動です。

割れを作る

トップの位置は固める必要がなく絶えず動いていて構いません。

前足を下して前肩を下げながらも後ろ足の重心がスパイクの内側には連動させません。これを割れを作ると言います。

後ろ足のスパイクの外側に体重を乗せているので後ろ足の内踝が前に倒れません。
前足の内転筋の内旋もまた、ストライドを狭めることに役立ちます。

このときに手首の位置が一連の動作の過程で最高地点を通過していればいいのです。
重要なことは後ろの脇を空けることです。

後ろの股関節を外旋することによってボールの軌道と手首の距離を取ることができますのでワンバウンドのボールを振らなくなります。

前足の着地位置は前足ではなく後ろの股関節で探ります。

前足で着地位置を探ると探りが大きくなりストライドが広がったり着地が遅れます。
日本の打者は、押し手の肘が遅れてフルスイングできないだけなのに重心を低くしてヘッドが止まった、ボールを見極めたと錯覚しているのです。

また、後ろ足の内踝が前に倒れないのでストライドが広がることがありません。

よって前足の着地が遅れることがありません。

着地が遅れなければ着地よりも先又は直地とシンクロして後ろ足を軸に骨盤が回ることはありません。

右肘が前肩、前足の推進に遅れることがありません。

ストライドが狭まれば、前膝が折れ曲がることがありません。

ストライドが狭まっているのでミートポイントが臍より前になっているだけで実は体の近くまで引き付けて打っているのです。

ストライドが狭まれば、回転半径が狭くなりヘッドの稼働域が広がります。、

前肩を前後左右に動かさない

割れを作ったときに、前肩の肩甲骨と肩関節の上下にラインができると共に後ろの肩関節、前肩の肩関節を結ぶ線にもラインができていなければいけません。

前肩を内側に入れて投手に前肩の棘下筋を見せると、前肩を開かないと押し手の肘が前に出ていきません。

前肩を先に開くと押し手の肘が伸びてドアスイングになります。
前肩が内側に入ると横に上体と下半身の捻転差が大きくなります。
後ろの股関節を内旋して後ろ足を軸にして骨盤を回さないと押し手の肘が出ていきません。
後ろの足を軸に骨盤を回すと割れを作る過程で押し手の肘がヘッドの内側に入ってしまいます。
引手主導のスイングになってしまいます。
ヘッドの内側に押し手の肘が入れば振り下ろす直前にヘッドが寝ます。振り下ろし始めにヘッドの軌道が頭と離れ、押し手の肘が伸びてドアスイングになります。
ドアスイングになるとヘッドがボールの内側に入ります。
レベルスイングはドアスイングに近い。
手の甲が寝て手のひらでボールを受けてしまいます。右肘よりも前に手首、ヘッドが来てしまい、これではインサイドアウトにはなりません。すなわち回転半径が広くなってヘッドの稼働域が狭くなります。

ミートの瞬間に前足で骨盤を回している

ストライドが狭まれば、重心が高くなり前膝を蹴る(=前足内転筋、前膝を伸ばす)ことができ、前足の踵を支点に前の股関節が引っ込みます。
前の股関節よりも前に押し手の肘が出ます。
押し手の肘の推進によって胸の張りができます。
押し手の肘が前の股関節より前に出ることによってヘッドが残り、ヘッドがしなります。
ミートの瞬間に引手の拳を押し手の人差し指で受けることができます。
押し手の手の甲がL字に曲がってヘッドが手首を超えます。

両股関節をぶつけても前足の壁は崩れません。
両股関節をぶつけているので前足の踵に重心が乗って上体が後ろに倒れても後ろ足には体重が残りません。
ミートの瞬間に前足を軸に骨盤を回します。

前肩と後ろの肩の肩関節のライン、前肩の肩関節と肩甲骨のラインを崩さずに前肩の肩関節を前の肩甲骨に収めていきます。

骨盤を限界まで回す

前足を軸に骨盤を限界まで回すことによってミートした後に後ろの膝が真下に落ちます。
後ろの膝が真下に落ちたら。後ろ足の拇指球で地面を後ろに蹴るか前に蹴ります。

先ほどの割れができていないと足首と後ろの膝が前に飛び出たり、外側に外れてしまいます。

そうなると後ろの股関節の外旋、内旋で産み出した瞬発力が逃げてしまいます。

また、後ろの膝が伸びて瞬発力がバットに伝わりません。

まとめ

このように個々の打撃の動作は全てつながっています。個々の動作をチェックするだけでなく、一連の動作をランスルーしてチェックすることが必要になってきます。

前傾した動作の内の一つよりは複数、全てに当てはまる方が、差されてもヒットになる確率は上がります。

野間と西川が三振が少ないのは前肩が内に入らないからである。

しかし、野間は、始動が遅く割れを作る間がないからストライドが広がる、探りが大きくて着地が遅れる。踵に重心をかけてもブレーキがかからない。すなわち引き付けているけど十分引き付けて打てていないから悪い差され方をする。当てた打撃、合わせただけの打撃になる。

西川は、野間と原因がほぼ同じですが、後ろの足の前脛骨筋が回内(外反)しない、後ろの膝が前に倒れない分、着地前、又は着地にシンクロして後ろ足を軸に骨盤が回らない分、野間よりは打率を残せています。しかし、後ろの膝が伸びるから打球が早くに失速する。

バティスタは引手主導で泳いでいるけれどもヘッドが残って押し手を使って打っているから野間や西川よりも打率や本塁打の数値が高い。

深く守って打球の正面に入らなければハーフバウンドの頂点で捕球しなくて済みます。打球が掘れた地面の窪みに当たって変化しても対応できます。
後ろに守って助走しながら投げれば前膝を下したときにトップの位置がMaxに通過します。
三振をしなければいい、当てれば何かが起こるという野球では勝てないのです。

前掲した事項に照らせば、カットしてファウルを連発して球数を投げさせる打法は悪い差され方です。
ヘッドがボールの内側に入れば差されてスライス回転がかかるどころか当てただけの打撃、合わせただけの打撃の手打ちの打撃になります。

差され方が悪かったり、当てただけ、合わせただけの打撃、ヘッドアップや手首を返した打撃をしているから出塁率、打点が上がらないのです。

差されるなら押し手主導のインサイドアウトスイングで差されろということです。