プロ3年目の2012年に全試合出場、その後、伸び悩むも、ファンの中には、期待する声も多い堂林。
果たして、堂林は、再生することができるのか、このまま終わってしまうのか。
先ずは、堂林の打撃の動作について、述べていきたいと思います。
堂林は、右手の腕、リスト力が強く、バットの出方が内から外に出し、インパクトのこきに後ろの手の手首を立てるので、特に、Mathiesonやメッセンジャーのような速球系の投手のときに、右方向の打球が飛ぶ。
この打法だと、どのような問題があるのだろうか。
堂林は、2012のフォームもヘッドを横に倒す打法のときも、トップを高く作り、手首を体の近くで回し、右手の方が力が強いので、インパクトのときに左肘が空き、インコースを打つときには、鈴木誠也や内川のように、打ち終わった後に左膝が突っ立たなければ強く引っ張った打球は、打てないが、堂林は、エルドレッドや悪いときの新井と同じで、インパクトのときに左膝が伸びて空振り又は詰まって左に強い打球が打てない。飛距離が出ない。
トップの位置が高く、右手首を体の近くで回し、肘を畳む坂本のような打ち方は、左脇が空き、実は内角が打てない打法であるが、坂本の場合は、足をかきながらステップして割れを作って対処していたが、克服できなかったが、左肘を体方向に抜くことで克服した。
堂林は、事実、落合博光同様、内角が打てないからオープンスタンスにしている。鈴木のように、スクエアスタンスにすると、堂林の場合、長い手足が邪魔をする。
ホームラン打者というのは、メジャーの打者、前田智徳、鈴木誠也のように、始動からインパクトまでのストロークを長くして、前の腕の方が強く、インパクトのときに前の脇が空かず、バックスピンをかけて角度を作れる打者で、低反発係数に作られたボールでも本塁打が減らず(一方、後ろの手を主導で、後ろの手首を立てて振る選手ほど、低反発球のときは、飛距離が出なくなる)。、本塁打数が多くても、落合、山本浩二、新井、栗原などは、ホームラン打者ではなく、中距離打者であり、堂林も本人が言うように中距離打者である。
次に、堂林の打撃成績を分析していくことにする。
今季の2本塁打は、レフトスタンド、センター方向に各1本ずつ。
2012年の14本塁打の内訳は、下記のとおり、左8、中3、右3本。2012年の安打118の内訳は、左57、中46、右15である。
2012年に一軍昇格後の各年の打球方向は、下記の通りである。
2012年 安打内訳 左57(8) 中46(3) 右15(3) 空振り率10.91
2013年 安打内訳 左29(3) 中29(2) 右21(1) 空振り率10.44
2014年 安打内訳 左31(1) 中24(3) 右15(4) 空振り率10.84
2015年 安打内訳 左6 中9 右3 空振り率14.60
2016年 安打内訳 左7(1) 中5(1) 右2 空振り率4.31
()内は、本塁打。
空振り率は、2012年の10.91から2016年の4.31と川端レベルにまで激減したが、見逃し率は、37.93%
打てる球種と打てない球種は、どうか。
2012年の球種別打率は、ストレート.342、スライダー.229、フォーク.123、チェンジアップ.179、カーブ.176、シンカー.167、カットボール.200、
シュート.032
2013年、ストレート.242、スライダー.182、シュート.310、カットボール.231、フォーク.182、カーブ.143、チェンジアップ.222、シンカー.000
2014年、ストレート.304、スライダー.208、チェンジアップ.438、シュート.278、カットボール.267、フォーク.100、カーブ.111、シンカー.000
2015年 ストレート.222、カットボール.1000、スライダー.188、チェンジアップ.500、フォーク.250、シンカー.333、シュート.143、カーブ.000
2016年の球種別打率は、ストレート.316、スライダー.300、シンカー.333、チェンジアップ.200 カーブ、シュート、フォークは、.000である。
インハイの打率は、2012年38-5 .131、2013年27-4 .148 、2014年12-3 .250、2015年10-1 .100、2016年2-1 .500
打てない球種の打てない原因と、現在の打撃に至るまでの過程の分析は、数字だけを見ただけでは、限界がある。
私も堂林の打撃の動画を幾つも見ていえることは、
スタンスの幅が広すぎるので、始動が遅れて前に出される。
堂林は、左手主導で、今季の2本は、外の球やインローを、上から叩くのではなく、左手主導でバックスピンをかけ、打つこともできるようになり、改善されつつはある。
打撃改造により、こじんまりしたと言われるが、実は、こじんまりとしていたのは、2012年のスイングで現在のスイングの方がややスケールが大きくなった。
足を上げる打法に戻して、左足をかくようにステップして割れもできてきた。
しかし、未だ、ヘッドを小刻みに回してボールを左手で受け、臀部が沈むことによりトップを作る(始動)が遅れ、左足で弧を描くことにより、グリップを肩より上から振り下ろすことにより、バックスピンがかからず、インコースベルトより上の球に差されることもあるのである。
又、ステップ幅が広いので、軸がスウェイして、スイングの結果、目線がブレたり、差されてしまうことがある。
但し、スイングの後ろは大きくないので、ストロークが短く、完全にホームラン打者になったとは言えない。
鈴木に比べると下半身は、細いが、2012の頃よりは、太くなってきたが、
待っている間、始動、スイングのとき、鈴木誠也は、左足も右足の膝を緩く曲げ、引きつけてタメて軸足を強く蹴ることができるが、堂林は、左足の膝を強く曲げすぎているので、外の球の見極めができなかった。一時、一番打者で起用されたり、横にバットを倒す構えのときは、矯正されたかに思えたが、また、元に戻りつつあり、今度は、バットが出なくなったり、強い打球が打てなくなった。
膝を強く曲げすぎると、腰の回転を活かすことができないし、左右、上下の変化についていけないのである。
実際、スライダー、シュートの他、フォーク、シンカーに弱い。
チェンジアップは、体の開きが早い投手は、腕が若干緩み、変化し始めるのが早いので、膝を強く曲げたまま、ポイントを前でも打つことができ、
チェンジアップは、人差し指や中指の力加減で、カーブや抜けない山なりのフォークのようににボールからストライクにして見逃させることができる。
何故、あんなど真ん中の甘い球を振らないんだと怒る人がいるが、ボールからストライクになるから手が出ないのである。
投手が開き直ってど真ん中に投げたとか、運が良かったとか言う人がいるが、そういう問題ではないのである。
しかし、チェンジアップは、基本的には、緩急を付けてもストライクからストライクで、前後の変化で、減速するストレートのようなものであるから、ストレート待ちで対応できる。膝を強く曲げたまま対応できる変化球である。投手によっては、フォークのように抜いたり、スプリットのように減速しないチェンジアップを投げるようになった。
チェンジアップが打てるようになった以外、強い変化球がない。
膝を柔らかくするストレッチとかはやっているんだろうけど、まだまだ、固いんだよな。
落合のような打法は、堂林には合わない。
右方向への打球が増えた2013年以降も打率は向上していないし、低反発球でなくなったにも関わらず、本塁打率は減少している。
巷間言われるような右方向の打撃に徹すれば殻を破れるという単純なものではない。
下半身を使って、きちんとスイングができていないから、伸び悩んでいるのである。
方向としては、技術上は、新井と同じ方向で育成すればいいと思うけど、一番の課題は、重心移動、膝の使い方だと思う。それ次第で広角に打てるようになる。
それともっと、トップの角度を低くした方がいいと思う。三振やファウルは減る。バットが上からでなく、水平又は下から出るようになり、面で捕らえられるようになる。
堂林が数字を伸ばすかはそれらが鍵だと思う。
[年度別打撃成績]
年度 試合 打数 安打 本 打点 打率 三振 OPS
2012 144 488 118 14 45 .242 150 .716
2013 105 364 79 6 41 .217 96 .522
2014 93 330 70 8 28 .246 87 .712
2015 33 69 18 0 3 .261 16 .582
2016 47 56 14 2 2 .250 11 .645
[追記]
後ろの腰の骨盤を使って捻るところは、私の考えと共通するところですが、腕の振りは、プロ野球選手でも前の手(右打者であれば、左腕、左打者であれば、右腕)主導の人もいれば、後ろの手主導の選手もいますので、合う、合わないは、選手各人次第だと思います。私個人としては、前の手主導派ですが、手塚氏のいう後ろの手主導が間違いということではないと思います。