木村昇吾のFAにより、ユーティリティプレイヤーが抜けた、代わりに誰をそこに当てはめるかということが問題提起されている。
バルディリスが自由契約になった以外にも、確定ではないが、ロッテのクルーズがロッテから契約更新の話がないことから、他球団への移籍を示唆している。
基本的には、一人一ポジション専任という考え方なので、ユーティリティープレイヤーという考え方には反対なのであるが、
当方も、先日、ショートのバックアップとして安部と小窪の名前を挙げた。
しかし、冷静に考えてみると、ショートのバックアップには、前述の2名を上回るプレイヤーが既に存在していたのである。
セカンドの菊池である。
セカンド守備のときの菊池の特徴を挙げると、以下のようになる。
①一塁方向への動きも打球に対して正面に入った後、最短距離で打球に追いついて送球している。
②三塁方向への動きも逆シングルで腕を伸ばした後、捕球時には打球に対して正面に入ってとることができる
③緩い打球へのチャージが速い。ケースによっては素手で捕って投げる柔軟なプレー。
④他の野手がダイビングして捕る打球にも、走って捕って送球してから体勢を崩して転倒することはあっても、ダイビングせずに追いついて捕ることができる(更に困難な打球についてはダイビングすることはある)。
⑤トスが正確である。
⑥捕ってからの送球が速い。
一二塁間の深い当たり、ライト前のゴロでも一塁又は二塁に投げてアウトにすることができる強肩、捕ってから送球に入る動作の速さ。
(実質ライト前のヒットを捕って、一塁走者の亀井を三塁で刺したことがある)。
⑦身長2メートルの選手でも捕れないライナーを捕る尋常でない跳躍力
⑧不規則なバウンドや途中でバウンドが変わった打球への対応
⑨ライト線のゴロやレフトフライまで捕る守備範囲。
ロッテのルイスクルーズが世界一の守備の職人という意見もあるようであるが、一塁方向の打球の守備範囲、三塁方向の打球の守備範囲、上の③~⑧のどの点を採っても、菊池の方が一枚上だと思える。
守備範囲は、菊池はケースに応じて浅く守ったり、深く守ったり、一塁寄りに守ったり、セカンドベース寄りに守ったりと一球毎に守備位置を変えていることを考慮に容れても後方の打球への対応、守備範囲は、ステップ3/4歩(菊池を基準)分くらい広いと思われる。
このことは、二塁での、捕殺数(菊池484、クルーズ386)、併殺数(菊池81、クルーズ78)と数字にも表れている。
又、①、②の動きを見ると、菊池はショートの動きをしている。ショートの打球の追い方でセカンドの守備をしている。
2014年は、田中や梵がショートに入ったときは、ショートの守備範囲に入ってショートの役割をしていた。
①、②、③は、ソフトバンク(ショート)の今宮と被るが、菊池の方が若干守備範囲が広く、チャージは菊池の方が数段速い。
一軍では、ショートは16試合しか守っていないが、二軍では、2012年に49試合守っている。
東出の故障により、二塁に回っただけで、ショート失格の烙印を押された訳ではない。
一年目は、外野手として一軍の試合にも出ている。
起用の仕方によっては、阪神大和以上のユーティリティプレイヤーになり得たのである(現在やらせても上回っているかもしれない。結論としては、ならなくて良かったが。)。
二年連続捕殺数日本記録を塗り替え(528、532)、エンドランによる一塁走者の三塁進塁、ライト方向のゴロで二塁走者がホームへ還ることを抑止できる強肩で、良い意味でのエクセントリックなプレー、誰も追いつくことのできない水準にある二塁手を敢えてショートへコンバートすることは反対である。
しかし、ショートのバックアップの準備をして一時的にショートをこなすことは十二分にできると思われるし、二塁に菊池よりも肩の弱い、守備範囲も菊池ほど広くない選手が二塁に入り、一二塁間を抜かれてもライトの鈴木誠也の肩により三塁又はホームへの進塁の抑止することができる。
緊急の場合には、ショートに菊池が入ることも考える必要がある。
バルディリスの入団は必要ないことは既に述べたが、クルーズについても、打撃成績(2014ー.238 16本61、2015ー.255 16本73打点、を併せて考慮に容れても三塁手としても、二塁やショートもできるユーティリティプレイヤーとしても入団させる必要はないと思います。