交流戦日本ハム対中日2回戦
先発は、伊藤大海と松葉貴大
試合は、6-3で日本ハムが勝利します。
しかし、得点は、相手投手を中心とした守備の自滅が原因です。
先発伊藤は、内野ゴロで1点目、一塁線へのスクイズで2点目を取られ、何れも走者一三塁から無安打で得点されています。
投手としてはダメージの大きい点の取られ方です。
しかし、守備面における一つのプレイによって、ビハインドを抑えることに成功します。
一死一三塁における守備走塁
内外野はいかなる場合も前進守備を採らない。
先頭の走者の進行方向に送球する。
先頭の走者及び後続の走者の進行方向と逆の塁に送球しない。
二死を取られた後に飛球を産み出した場合を除き、野手は、飛球、ゴロ、ライナーに触れた後、先頭の走者を本塁でアウトにすることを最優先する。
ゴロの場合、打者走者をアウトにするのは、最も後回しにする。
1回裏一死一三塁、内野手は、走者より前に守ると投手がセットを解く前又は解いた後にスタートを切られます。三塁走者の後ろ、三塁ベースアンツーカーの後ろに守って清宮の守備位置はOKです。但し、プロの野手であれば、あの位置からノーバウンドで本塁に投げて三塁走者をアウトにできなければなりません。
後続の走者は、離塁後は帰塁することなく本塁に向かって走る。送球に触れた野手が落球することなくトップを作り、進行方向の塁とは逆の塁にリリースした後に帰塁を開始し、先頭の走者の本塁生還をアシストする。
野手が先頭の走者の進行方向と逆の塁に送球してきたら、先頭の走者の次の走者は、野手が送球したベースを右股関節を内旋、左股関節を外旋してオーバーランする(アピール崩し)。
一死一三塁のケースでは、打球に触れた野手が、本塁に投げて本塁に入った野手が三塁走者にタッグするか、三塁に投げた三塁に入った野手が三塁走者にタッグするか、ボールを三塁ベースに触れさせるか、ボールを持ってベースを蹴らないと三塁走者をアウトにできない。
打球に触れた野手が一塁に投げて一塁走者にタッグしたり、一塁ベースにボールを触れさせたり、ボールを持ったまま、一塁ベースを蹴ったとしても、一塁走者はアウトになるが、審判が一塁走者にアウトを宣告しない限りは、プレーは継続中であり、三塁走者はアウトにはならず生き続ける。
三塁走者は、野手が飛球に触れる前に帰塁せずに本塁を蹴った場合、本塁を蹴った後でも帰塁義務を放棄したことにはならない。
三塁走者は、審判が一塁走者にアウトを宣告するまでに三塁に帰塁し、既に野手が飛球に触れ、ボールを地面に触れさせることなく送球のトップを作っているのであるから、一塁に入ったが審判にアピールしている間に本塁に向かってリスタートを切ることができる。
一塁走者にアウトが宣告される前に三塁走者が本塁を蹴っても得点が成立しないのは、一塁走者に関しフォースドプレイの場合のみである。三塁走者は帰塁せずに本塁を蹴り、その後も帰塁しなくても、野手は、本塁に送球して三塁走者にタッグせず、また、三塁に送球することによって帰塁義務を怠っていたことをアピールしていないので、三塁走者の得点は認められる。
公認野球規則5.09c
本項規定のアピールは、投手が打者へ次の1球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行なわなければならない。アピールは、その消滅の基準となるプレイまたはプレイの企てとはみなさない。(5.09c)
アピール行為の趣旨目的は実体のない観念です。送球した理由を野手が審判に説明しても、審判にとっては、後付の方便です。
NPB公認野球規則は、メジャーリーグの規則に準拠して制定、改廃されていますが、メジャーリーグの現場では、アピール権の消滅に関する規定を応用した手段(アピール崩し)が開発されています。
その例として下記のようなものが生じています。
ヤンキースの一塁走者ジャッジは、外野フライで飛び出してしまいます。しかし、2塁を回ったところで、外野手に打球を触れられた後、1塁に戻ります。そして、一旦はアウトになるものの、チャレンジ成功してセーフになります。
ジャッジは、飛び出した後に二塁ベースをオーバーランしていますが、帰塁の過程で二塁ベースに触れていません。
投手が二塁にリリースした後、ジャッジは、二盗をします。
二盗は、アウトになりますが、二盗に成功すれば、二塁走者として生き残ります(2017年10月18日)
無死二三塁、カルロスコレイアは、右翼に飛球を産む。三塁走者のユリグリエルは、右翼手が打球に触れる前にスタートを切り三塁ベースを離れた。
ユリグリエルは、本塁ベースを蹴る。
二塁走者カイルタッカーは三塁に進塁する(一死三塁)
相手投手は、三塁偽投する。
二塁走者のカイルタッカーは、本塁に向けてスタートを切る。
ボールを持ったまま、二塁走者のカイルタッカーを三塁方向に追い詰める。
カイルターカーは三本間に挟まれる。
カイルターカーは、本塁に走るが、三塁手にタッグされる。
一死三塁から二死走者無しとなるが、三塁走者の本塁生還取消しを阻止した(ヒューストンアストロズvsアリゾナダイアモンドバックス2021年9月18日)
一死一三塁、投手伊藤(右投げ左打ち)
一塁走者細川成也、三塁走者岡林、打者福永(右投げ右打ち)
福永は右邪飛を産みます。
万波は、本塁に送球して岡林の本塁生還を阻止します。
一方、一塁走者細川成也の二塁進塁を許します。
右翼手万波は、打球に触れなければ、一塁走者、三塁走者は本塁にスタートを切っていたとしても、審判に其々、一塁、三塁に戻されます。
しかし、万波は、打球に触れて落球せずに送球のトップを作った以上は、本塁に送球して三塁走者をアウトにして得点を防ぐことを最優先しなければなりません。
本塁に投げて三塁走者をアウトにした結果、一塁走者が二塁に進塁するのはOKです。
万波が二塁に送球して一塁走者をアウトにするということは、一死一三塁の場面で、捕手が二塁に送球して一塁走者をアウトにした結果、三塁走者に本塁に還られてしまったのと全く同じことです。
偽装スクイズを仕掛けられた場面で、本塁突入を阻止したのに「何故、一塁走者に二盗を許したんだ」と怒るのと同じです。
一死一三塁で、打者が遊直を産み、三塁走者と一塁走者が飛び出して遊撃手が一塁に送球してアピールする間に三塁に帰塁することなく本塁に走った三塁走者に得点されてしまうのと同じです。
一死一三塁は、無安打で得点できる。すなわち、内野ゴロでもライナーでも飛球でも本盗でも得点できる。
触れることが難しくない邪飛をスルーした後にゴロでアウトを取れる、三振で走者をアウトにできるというのは実体のない観念。
内野フライは、外野飛球よりもスライス回転がかかっている。打球の軌道がℓを描く。
野手が頭上でバックハンドで触れた後であれば、走者は離塁のスタートを切れる。
野手がバックハンドシングルで捕球すれば、投げる手の親指の爪の裏でボールを押さないとグラブからボールを抜き取れない。グラブを持つ手の上腕部の内旋運動、送球腕前腕部の回転半径が長く加速距離が短くなるからです。
私は、万波が右邪飛に触れて本塁に送球をしたことは支持します。
本塁に送球して三塁走者を三塁に帰塁させた本塁生還を抑止した万波は、基本に忠実にプレーをしただけです。
「俺はどうしても万波をディスるんだぁ~」と言うのであれば、万波が本塁に投げたことではなく、右邪飛に触れたことをディスらなければなりません。
但し、邪飛のスルーは、クロスプレーの繰り延べにしかすぎません。
「ファウルフライに触れたこと」、「本塁に投げたこと」をディスるのは、「守り勝つ野球なんて糞食らえ」、点を取られたらカット打法、四球ゲット、シングルヒットで繫いで取り返すルーズベルトゲームで勝つバカープ野球、田中広輔くんの野球です。
万年最下位争いをするチームになります。
脚注
用語の意味に関しては下記記事参照