今季の丸佳浩
丸は、今シーズン、ロペスと同数ながら、最多安打のタイトルを獲得し、勝利打点13もリーグ1位(阿部と同数)。
先制、勝ち越し、逆転、サヨナラ打の合計数25は、福留、筒香に次ぎ、バレンティンと並び、リーグ3位。
リーグ連覇に貢献し、MVPを獲得。
556打数 171安打 .308 23本 92打点。
2014年以来の打率3割、本塁打と打点は、自己新記録を更新。
2年連続でベストナインとゴールデングラブ賞を受賞。
そんな丸の打撃を解析してみよう。
丸佳浩のバッティング
丸は、オープンスタンスで立ち、
投手が右足を上げたときに、左足で地面を踏んで、ヘッドを下げて同期(シンクロ)します。
バッティングにおける始動が早い原因です。
投手が重心を落とし始めたときに、右足を上げてヒッチします(グリップを下げる)。
頭が左足の骨盤の上に乗っています。
丸は、足を下して、グリップを上げてトップを作ります。
左足が後ろに下がらずに、左足全体で地面を踏んでいます。
昨年までと違うのは、バットと頭の距離が短いこと。
右足で弧を描かずに、くるぶしを投手側に向けて着地します。
左足のスパイクの内側を地面にかませています。
トップの位置をキープしています。
よって、バットがインサイドアウトで出ていきます。
体幹が後ろ斜め上に引っ張られ、左足内転筋が内側に向かってうねり上げられています。
頭が前に出されません。
投手は、前腕部を内旋し始めていますが、丸は、未だバットを振り下ろしていません。
左足でエッジをかけたまま(地面にかませること)左足を前に運んでいます。
右足の踵から着地し、右足の踵から着地させて、両大腿部をうねり上げていく打ち方は、昨年と同様で、ホームラン打者というよりは、中距離のアベレージヒッターの打ち方。
前の腰が横にズレています。
踵で着地したことも相俟って、バットが体の近くで回ります。
インパクトの過程も、頭が左足の上に乗っています。
始動を早めたことで、スイングして、スイングを加速していった結果として間が取れていたことになります。
振り切ったときに、頭の後ろで止まり、背中までは、達しません。
右足のくるぶしを地面につけてスイングを止めます。
左足に重心が残っています。
右足を股関節の外旋方向と同じ方向にターンすると、ライトスタンドへの本塁打が増えます。
中距離のアベレージヒッターのスイングです。
2016年の打撃と異なるのは、やはり、ヒッチしても、頭が前に出されなかったこと。
昨年は、着地したときに、右膝が割れていましたが、今年は、右膝を絞っているので、飛距離が出るようになりました。
各種成績
コース別打撃成績
右投手
左投手
腰の回転で産み出した瞬発力がバットに伝わるインローのすぐ外の真ん中低めを、右投手からも、左投手からも打っている。
右打者が投げたインローが打てないのは、腸腰筋、股関節の外旋を遅らせ、ステップ足が拇指球回転ではなく踵回転なので、左肘を内側に入れて先行させていったときの肘の高さが拇指球回転の場合より高くなることと関係があるだろう。
踵がロックされ、体の近くにバットの軌道ができるので、外の球は、腕が伸びてロックされることがある
球種別成績
ストレート 247 – 88 .356 16本
スライダー 123 – 36 .293 1本
シュート 43 – 15 .349 3本
フォーク 49 – 9 .184
カーブ 34 – 8 .235 1本
カットボール 30 – 5 .167 1本
シンカー 3 – 1 .333
フォーシームよりも失速の少ないカットボールの打率が最も低い。
ステップ足を踵回転にしたことも関係あるだろう。
打球方向
左方向 210-40 .190 8本
中方向 228-68 .298 6本
右方向 114-63 .553 10本
うねり打法と併せて、オープンスタンスの左打者は、右打者に比べ、開いた状態から、ステップ足を内に入れて、腰の回転で産み出した瞬発力をぶつけて振り切るのが難しいので、逆方向の当たりが増える。
主な投手との対戦成績
菅野 11 – 0 .000 5振
田口 19 – 4 .211 3振
マイコラス 15-5 .333 6振
畠 7 -3 .429 3本 4打点
宮國 9-4 .444 2打点 2振
Mathieson 2 -0 .000 1振
山中 7-4 .571 2打点 1振
原樹里 8-4 .500 1本 3打点 1振
石川 14 – 4 .286 3打点 5振
小川 14 – 3 .214 2打点 4振
ブキャナン 13-2 .154 4振
ルーキ 4-0 .000 2振
石山 6-2 .333 1本 2打点 2振
杉浦 1 – 1 .1000 1本 1打点
エスコバー 8 – 5 .625 1打点
ウィーランド 14 – 7 .500 3本 4打点
濱口 8 – 3 .375 2打点 2振
石田 6 – 2 .333 1振
今永 19 – 0 .000 1振
井納 5-1 .200 1振
パットン 4 – 1 .250 2振
砂田 7 – 1 .143 2振
山﨑康晃 4 – 0 .000 2振
柳 5 – 2 .400 1本 1打点 1振
吉見 5 – 3 .600 1打点
バルデス 11 – 4 .364 1打点 1振
又吉 6 – 2 .333 1本 1打点 1振
小笠原 12 – 3 .250 1振
大野 3 – 1 .333 1振
鈴木翔太 7 – 1 .143
岡田 4 -1 .250
笠原 8 – 3 .375 4打点 2振
谷元 3 – 1 .333 1本 3打点
岩瀬 5 – 2 .400 1振
田島 5 – 1 .200 3振
メッセンジャー 12 – 2 .167 1打点 4振
能見 9 – 4 .444 1打点 1振
岩貞 7 – 2 .286 1本 3打点 3振
藤浪 5 – 1 .200
小野 7 -2 .286 1本 3打点 1振
岩崎 14 – 6 .429 3打点 2振
髙橋聡文 5 – 2 .400 1打点
桑原 3 – 0 .000
マテオ 4 -2 .500 1点 2振
ドリス 4 -1 .250 1振
福永 2 – 1 .500 1本 2打点
柳瀬 2 – 1 .500 1本 2打点
涌井 4 – 1 .250 1振
佐々木千隼 3 – 2 .667 1本 3点
金子千尋 3 – 1 .333
バンデンハーク 3 – 3 .1000 3本 3打点
美馬 3 – 0 .000 3振
岸 3 – 0 .000 1振
野上 3 -1 .333 1打点
メンドーサ 3 -0 .000
加藤貴之 3 – 2 .667
菅野には、完璧に封じられた。ステップ足は、かかと回転にしたことも原因の一つだろう。
その他
二塁打 35
三塁打 3
犠 打2
犠飛 6
87四死球(死球4)
113三振
盗塁 13 盗塁死 3
失策 2
出塁率 .398
長打率 .505
OPS .903
得点圏打率 .318 得点圏安打 50本
ストライク空振り率 11.60%
ボール見逃し率 80.83 %
ストライク見逃し率 26.40%
2ストライクを取られてからの打率 267 – 58 .217 6本
※文中データは、データで楽しむプロ野球を基に作成しています。
まとめ
シンクロ打法により、始動(トップを作ること)が早くなりましたので、
投手が、股関節の内旋をし続けたり、前の足を上げ続けて重心移動を遅らせれば投手が瞬発力を消耗させるだけで、打者は、スイングするまでに間ができますので、打者のスイングを崩すのが難しいでしょう。
前の足の拇指球で回転する場合よりも、前の足の踵で着地し回転する場合の方が、前膝がロックされますので、外の変化球に前に出されなくなる一方で、インサイドアウトで体の近くにグリップを巻きつける打ち方の限界を超えると、差されやすくなるので、後ろ(テイクバック)が小さく、前が大きい(打者の近くでリリースする)投手に、始動を早めた後、どのように対応していくかでしょう(例えば、目線から近いところは、前の足は、ミートするまでの過程は拇指球回転でスイングし、フォロースルーの過程になってから踵回転するとか)。