松山は、開幕してから1か月は、打率が1割台で、ファンからは、二軍に落とせという声が相次いだ。
その後は、打率も向上し、松山は、鈴木誠也が離脱してから、大半の試合で、4番を務め、9月は、月間MVP。
387打席で、規定打席には、到達しなかったが、打率、本塁打、打点、何れも自己記録を更新して優勝に貢献した。
規定打席に到達できなかった原因は、どこにあるのか、松山の打撃を解析してみよう。
よりよいパフォーマンスを産み出す打ち方
各選手によって、フォジカルの変動のプロセスや置かれた立場は、異なり、これは、松山にとって、よりよいパフォーマンスを産み出すというもので、必ずしも、全ての選手に当てはまるというものではありません。
松山は、コックしながら(トップハンドを親指の側に曲げる動作を反復すること)ボールを待ちます。
それにより、右肩の開き、手首の返しが早くなることを抑止します。
シンクロ打法ですが、投手が右足を上げたときに、松山は、右足を蹴り上げます。
後ろの脇は、空いていないので、ホームラン打者ではありません。
左膝を骨盤よりやや下まで上げ、グリップを下げ、ヒッチします。
左足のスパイクの歯全体を地面にかませています。
右足は、ヒップファーストで重心移動していきます。
膝下を内に入れ、右足を着地位置を探りながら下し始め、トップを作ります。
松山にしては、トップが深く入っていますが、グリップは左足より奥に入っていないので、ホームラン打者ほど、トップは深く入ってはいません。
ステイバックは、大きくないので、中距離打者ですが、ヘッドは、立っています。
左足のスパイクの内側を地面に噛ませたまま、左足を運んでいきます。
トップの角度は、辛うじてキープしています。
春先より、ステップの幅が狭くなりました。
割れ(前の膝を前に出したとき、上体は、前膝の動きと逆にツイストすること)もできています。
よって、頭とヘッドの距離が近い。
これまでより、始動が早くなって、トップの角度をキープできていることから、振り下ろした結果ボールを長く見られるようになって、ボール球にヘッドが返らなくなった。
左足の踵を浮かせ始めますが、左足のスパイクの内側を地面に噛ませて左足を運んでいきます。
インサイドアウトで振り下ろします。
拇指球で、回転します。
拇指球で回るので、速球派の投手に強い。
振り出すときに、左の肩が下がるので、低めの球に強い。
この打席では、骨盤の右足の方が前に出ていませんので、本塁打を打てています。
頭も後ろの足の上に乗っています。
右肘も上に上がっていません。
左足は、拇指球に重心を置いて、運んでいきます。
左足は、完全に踵が浮いてつま先立ちにならないので、ホームラン打者ではありません。
次第に、右足の重心をスパイクの外側に移していき、うねり上げていきます。
グリップを肩より下から振り下ろしているので、差されず、バックスピンを掛けられます。
左足側の骨盤に頭が乗っています。
インパクトのときは、左肩は下がっても構いません。
スイングし終わった後、左足を後ろにステップして1歩引きます。
右足は、再び拇指で着地します。
前に出された体の重心を後ろに戻します。
よりよいパフォーマンスを産み出すとは言えない打ち方
今回は、松山にしては、比較的、トップが深く入りましたが、本塁打になりましたが、左のオープンスタンスで一旦、右足を内に入れる関係もあるものの、トップが深くないこと、フィニッシュでの左足のターンがないことと、フォロースルーを背中にバットがつく前に止めているので、ツーベースやフライにとどまることもあります。
両足を着地して、振り下ろす直前に両肩が水平になっています。
高めを打つ場合には、重要なことです。
しかし、トップも浅く、ヘッドが寝ています。
インパクトの瞬間は、右肩が下がるるのは、止むをえません。
右足は、つま先立ちになったので、距離が出ます。
高めの球が来たときに、トップを作ってから、右足を下して着地してトップをキープしておく必要がある位置までに、グリップが左足より前に出されて、ヘッドが寝て担いでいるので、逆方向に飛びます。
一つの方法なので、間違いとまでは言いませんが、もう少し、トップを作ったときに、ヘッドを立てて、センターに飛ばした方がいいだろう。
始動がやや遅らせているので、左足を着地したときに、トップの角度がキープできていないからです。
フィニッシュで、松山は、右足を後ろに引き直しています。
後半戦も、始動が遅れたり、振り下ろしが遅れたり、体が前に出されたりは、するのだが、重心を後ろ足に残して、安打を稼げるようになった。
しかし、左足を上げて一本足で立ったときに、拇指球に体重がかかって踵が浮くことがあります。
始動が遅れて、体が前に出されたり、右膝が割れるのが早くなることもあります。
それでは、拇指球が浮いて踵に体重がかかっていたらどうかというと、それも差される原因になります。
ここでの松山は、右足を上げたときに、グリップが下がってヒッチしなければいけないところ、グリップが上がります。
右足を下し始めたときには、トップができていません。
右足を下したときに、グリップの位置が下がります。
始動ができていないということです。
始動が遅いので、右足を真下に下し、ヒップファーストではなく、フットファーストの重心移動になっています。
トップを作っていく過程です。
始動が遅れています。
トップが深く入っていないのに、振り出し始めます。
トップの角度を45°にしてから、トップを深く入れることができずに、左足を下しながら、バットを振り下ろし始めているのです。
ボールを握る手が頭から出てきているのに、未だ、トップができていません。
左足の踵が浮いています。
こちらの絵だと、右膝が前に進行したとき、踵が完全に浮き、グリップが前に出て、ヘッドと頭の距離が離れています。
割れのないスイングです。
割れができないと、瞬発力を産み出してバットをボールにぶつけることができません。
投手のボールを握る手が現れ始めていく過程です。
右足を下げたときに、グリップの位置が下がっていて、トップができていません。
左足の踵が浮いています。
オープンスタンスの打者は、両膝がロックされます。
丸や安部は、投手に近い方の足を踏みながら、投球動作をシンクロさせます。
松山の始動が(トップを作るのが)遅れるのは、体近くから三塁側へバットを往復させて速度を評価しているので、ボールを受けてしまうのとも関係があるでしょう。
右膝を前に出したとき、グリップが本塁方向に出てきています。
トップも浅く、ヘッドが寝ています。
割れのないスイングです。
体が前に出されて差されます。
ヘッドが体より前に出ています。
左肩が投手の正面を向いています。
今季の成績
主要成績
120試合 350-114 .326 14本 77打点 二塁打23 三塁打 4 31四球 45三振
犠飛 6 犠打0
併殺打 8
失策 2
得点圏打率 .367
出塁率 .375 長打率 .534
OPS .909
右投手 270-84 .311 10本 58打点 33三振
左投手 80-30 .375 4本 19打点 12三振
コース別成績
振り下ろし始める段階で、左肩が下がることも相俟って、腸腰筋で産み出した瞬発力がバットに伝わるインロー、真ん中低めは、右投手からも左投手からも打っている。
体とバットが離れてスイングするとと瞬発力が逃げてしまう、アウトローより目線から近いアウトハイは、引っ張らずに打っている、インサイドアウトで打っていることもあり、高打率である。
体が前に出されることもあるので、アウトローにヘッドが返って打率が良くない。
球種別成績
ストレート 159-55 7本 .346
スライダー 65-14 2本 .215
シュート 24-13 .542
フォーク 40-10 2本 .250
カットボール 23-8 1本 .348
チェンジアップ 18-7 .389
カーブ 19-6 1本 .316
シンカー 2- 1 1本 .500
左足でエッジをかけるのが甘いので、体が前に出されることがあるので、ブレーキの大きいスライダーやフォークの打率が低い。
打球方向
右 82-51 .622 13本
中 152-42 .276
左 114-21 .184 1本
その他
空振り率 4.80%
ストライク見逃し率 34.45%
ボール球見極め率
2ストライクを取られてからの打率 164-43 .262 2本
満塁での打率 11-6 .545 15打点
得点圏打率
ビハインド 28-9 .321 11打点
同点 31-13 .419 2本 16打点
リード 39-14 .359 28打点
8回の打率 38-11 .289 2本
月別成績
3、4月 46-9 .196 1本 2打点
5月 34-13 .382 8打点
6月 53-20 .377 4本 16打点
7月 74-22 .297 1本 13打点
8月 72-21 .292 3本 15打点
9、10月 71-29 .408 5本 23打点
主な打者との対戦成績
菅野 11-2 .182 1振
マイコラス 15-7 .467 4打点 3振
田口 7-1 .143
畠 8-2 .250 1打点 1振
大竹 2-2 .1000 1打点
宮國 6-3 .500 1打点
Mathieson 4-0 .000 1振
西村 3-0 .000
今村 1-1 .1000
山口鉄也 1-1 .1000
カミネロ 4-1 .250 1本 1打点 1振
小川 16-5 .313 3打点
ブキャナン 7-3 .429 4打点 1振
原樹里 6-2 .333 1本 1打点 1振
石川 2-1 .500
山中 5-3 .600 2本 2打点
石山 6-3 .500 1本 2打点
由規 3-3 .1000 1打点
星 5-4 .800 2打点
ルーキ 2-1 .500
近藤 2-0 .000 2振
秋吉 2-0 .000
今永 11-5 . .455 1本 3打点 1振
ウィーランド 11-1 .091 1振
濱口 5-2 .400 1振
石田 2-0 .000
久保 6-1 .167 1本 2打点 1振
井納 4-1 .250
砂田 4-2 .500 1振
三上 2-1 .500
田中健二朗 2-1 .500 1打点
尾仲 3-1 .333 2打点
エスコバー 3-1 .333
パットン 3-1 .333 1打点
三嶋 1-0 .000
山﨑康晃 5-1 .200 1打点 2振
小笠原 10-3 .300 1打点 3振
又吉 7-0 .000
田島 3-2 .667
岩瀬 1-1 .1000 1本 2打点
福谷 2-2 .1000 3打点
吉見 2-1 .500
笠原 4-1 .250 1振
三ツ間 3-2 .667 1振
小熊 3-0 .000 1振
柳 4-1 .250 1打点
谷元 1-1 .1000 1打点
メッセンジャー 7-0 .000 2振
藤浪 5-2 .400 1本 4打点
岩貞 4-3 .750 1打点
能見 2-1 .500 1本 3打点
小野 7-1 .143 2打点 2振
髙橋聡文 4-2 .500 1本 2打点 1振
マテオ 8-1 .125 2振
ドリス 3-1 . .333 1打点 2振
メンドーサ 3-1 .333 1打点 1振
岩崎 2-0 .000 1打点
メンデス 1-1 .1000 2打点
秋山 2-0 . 000 1打点
石崎 1-0 .000
榎田 1-0 .000 1振
十亀 2-1 .500 1本 2打点 1振
野上 3-1 .333
浦野 3-0 .000
益田 1-1 .1000 1本 1打点
金子千尋 2-1 .500
サファテ 2-1 .500 1本 2打点
バンデンハーク 3-1 .333
岸 3-2 .667
美馬 2-0 .000
カード別成績
巨人 65-20 1本 10打点 .308
ヤクルト 61-25 4本 16打点 .410
DeNA 69-20 2本 11打点 .290
中日 55-19 1本 13打点 .345
阪神 57-15 3本 20打点 ,263
西武 8-3 1本 .2打点 .375
日本ハム 5-1 .200
ロッテ 8-2 1本 1打点 .250
オリックス 7-3 .429
ソフトバンク 8-3 1本 2打点 .375
楽天 7-3 2打点 .429
※文中データは、データで楽しむプロ野球を基に作成しています。
まとめ
松山は、これまでよりも始動が早くなって、トップの角度をキープできるようにはなってきている。
それが今季の成績につながっている。
しかし、松山の打撃のプロセスをみると、エッジのかけ方が甘いので、トップを作るのが遅れ、右足を下すのと並行して、振り下ろし、左足の踵が浮いて体が前に出されることがある。
それにより、ボール球に、ヘッドが返ってしまい、バットが下から出でいるのにゴロになったり、空振り率は優秀であるが、三振したりする。
スパイクの内側の歯を地面に噛ませて、トップの角度のキープをコンスタントにキープできれば、継続してベターな打撃の結果を出し続け、スタメンから外されることが今よりも少なくなり、規定打席にも到達できるだろう。