戸田隆矢のピッチング

Last Updated on 2017年12月19日 by wpmaster

07/07/2017 12回戦 広島9-8ヤクルト 神宮球場

ヤクルトとの初戦は、9回に秋吉の故障離脱により抑えに転向した小川から、バティスタ、菊池、新井の3本塁打を含め、5安打1四球で、6点を奪い逆転勝ちしました。

小川の先発防御率は、9試合 61回1/3 16自責で、防御率2.34。

小川の登板数が少ないのは、左内腹斜筋の肉離れで離脱していたから。

他球団は、先発で内容、結果が出なかった投手ではなく、昨年の岩嵜、今年の又吉、小川と、先発で内容、結果を残した投手をリリーフに回しています。

小川とは過去に先発してきた試合は、この試合前まで、極端に打てていなかったわけではありませんが、広島は4勝11敗と勝てていませんでした。

しかし、リリーフで負けを付けることができました。

それでは、逆転3ランを打った新井さんのバッティングを見てみましょう。

小川がトップを作って、左足が着地する寸前に、左足を上げ、地面にスパイクの内側をかませています。

着地したときに、トップの角度がキープされています。

インパクトの瞬間、左足の踵で回転し、うねり上げています。

打線は、9点取りましたが、投手陣は、8点取られたことを忘れてはいけないでしょう。

今季初先発した戸田のピッチング

先発の戸田は、5回 94球 8安打 1被本塁打 4奪三振 7失点(自責同じ)。

2番手の九里は、2回 38球 1安打 4奪三振 2四球 1失点(自責同じ)

一方のヤクルト先発は、原樹里。

原は、松山に1発を打たれ、6回2/3 112球 9安打 7奪三振 2四球 3失点(自責同じ)。

2番手の近藤は、2球で1アウト。

ルーキも、1回 18球 1安打 2奪三振。

8回終了の段階では、ヤクルトが8-3でリードしていました。

今回は、戸田のピッチングに焦点を当てて書いてみたいと思います。

戸田は、ステップするときに、次の3つを使い分けています。

1 右膝を曲げたまま下して一旦静止してから本塁方向にステップする。

2 骨盤の高さから右足を下すときに一塁側に蹴ってから、自分の体のライン方向に引っ込めて、本塁側にステップする。

3 スライドステップのように、ホームベースの方向に右膝を伸ばしてプレートから本塁までの線上に着地する。

1の動作は、制球は安定するが、静止したときに瞬発力、注いだ体重が消耗してしまう。

この日の戸田は、2の動作のときに、右足を自分の体のライン方向に引っ込めずにつま先が本塁に向かって出ていってしまうことがあった。

いわゆる右足で弧を描いてしまっていることがあった。

また、3の動作のときに、骨盤の横から、すなわち、一塁線上の一、本間の中間辺りにつま先を向けて右膝を伸ばして、ステップを始動していることがあった。

ここでも、やはり、右足で弧を描いてしまっている。

そうなると股関節を消耗してしまう。

3の動作のときに、右足に体重が伝わって硬直してしまっている。

よって、瞬発力、伝えた体重がリリース前に消耗してしまっている。

右足のステップの始動のときには、だらりと右膝を伸ばし、瞬発力、体重を伝えずに、ノンストップで本塁に向かって真っすぐステップする必要がある(着地に従って右足が加速されていく)。

この日の戸田は、テイクバックした後、左肩と右肩のラインが直線になっていることが多く、

頭さえ前に出ていかなければ、確かにゾーン内の制球が安定するが、

三角筋を使っての胸の張りができていない球が多いので、腕のしなり、内旋が不十分でバックスピンのかかった球がいかない。

更に、背筋を消耗してしまう。球数が投げられなくなる。

この日の戸田は、フィニッシュのときに、三塁側への体重移動が不十分な球が見られた。

いいときは、フィニッシュのときに右膝が真上に伸びるのだが、右膝が一塁側から斜めに伸びて

投げ終わった形が「大」の字になっていることがあった。

前が小さくなってしまっている。フォロースルーが小さくなってしまっていることがあった。

野球選手で肩や肘が痛くない投手はいない。

肩の故障で投げられなくなると、投げられるところまで回復しても「終わった」投手になってしまうことが多い。

只、「終わった投手」になっても、下半身主導の投球動作にすることで、キレを産み出すことはできる。

肘の場合には、故障の程度にもよるが、重度でなければ、しばらくノースローでいれば、故障前と同じレベルで投げられる。

極端な話、試合前の注射や座薬を始め、応急処置で故障していないときと変わらないレベルで投げられることがある。

戸田は、昨年までより、腰回りや胸囲は太くなっている。

まとめ

この日の戸田は、Max145キロ昨年までと球速表示上は変わっていない。

キレそのものも、中盤の山田、バレンティンの連続安打は、ゴロヒットなので、球そのもののキレは極端に悪かったわけではない。

きちんとした動作で投げた上でのキレのある球が全くなかったわけでもない。

戸田の場合、肘の故障により、昨年までの球が投げられなくなったのではなく、

投げ方に問題があるから、昨年までのキレが完全には戻っていない。

フィジョカル面のリハビリ中に昨年までの投げ方を体が忘れてしまって戻っていないのだと思う。

次に投げるまでの一週間に、投球動作を見直すことで、投球内容、結果は変わってくると思う。

試合は、9-8で広島の勝利

勝利投手は、8回の1イニングを14球 1安打 2奪三振 無失点のJacksonで、Jacksonで、2勝2敗

セーブが、1回 9球 無安打 1奪三振 無失点の今村に付いて、1勝1敗 17 S。

敗戦投手は、小川で、4勝3敗

対戦成績は、広島の8勝4敗

[追記]

広島打線といえども、毎試合8~9点取れるわけではないので、先発投手は、5回を5点ぐらいに留めないと難しいでしょう。

山田哲人は、始動が遅れなくなったので、藪田は、特に、ストライクゾーン内に投げるときは、球速表示上のスピードではなく、下半身主導で体感速度の速い球を投げなければならないでしょう。

鈴木誠也を始め、広島打線は石川の緩い変化球を待ってフルスイングできるかどうか。

それができれば、始動が修正されてくると思います。

[追記]

スライドステップは、従来、ワインドアップ、ノーワインドアップ、足を骨盤以上に上げてのセットポジションよりも、ボールに瞬発力、体重が乗らず、体感速度が落ちると言われてきました。

しかし、スライドステップは、テイクバックもスライドステップでないときよりも小さく、前の膝を伸ばしてノンストップで本塁に直線でステップ、着地するので、頭が前に出ずに前(ストローク、フォロー)が大きくなり(リリースに近付くにつれ、加速する。)、前の足で孤を描かなければ、ワインドアップ、ノーワインドアップ、足を骨盤以上まで上げて下ろす投げ方よりも、瞬発力、注いだ体重を消耗しないので、伸びたり、ポップしたと錯覚する体感速度の速い球を投げられます。

[訂正]

最終段落

(誤)次投げるまでの一週間の間に
→(正)次投げるまでの10日間の間に