2019広島vs中日12回戦1点差だが後一歩及ばずではない試合

Last Updated on 2019年12月31日 by wpmaster

試合には敗れたが、西川がマルティネスからライト線に打ったバッティングは、バッティングを研究する者にとって打撃の基礎を固める上で考えさせられる研究材料を提供してくれている。

ドアスイングのようでドアスイングでない西川龍馬のバッティング

マルティネスは、スパイクの外側に重心をかけて右股関節を外旋して左膝をレッグアップする。左膝を内に入れる。
「く」の字を作ったとき、左足内転筋を内旋しているが、右足の踵が地面から離れ、小指球を支点に右足前脛骨筋が回内(外反)し、右膝が前に倒れる。
リリースの瞬間に左足が突っ張り左股関節が引っ込むが、右足は小指球を支点に外踝が下に向き、右膝がの伸びる。瞬発力がボールに伝わっていない。

西川は、右足を着地したとき=振り下ろす直前に左足の内踝は前に倒れているが、左足の前脛骨筋が回外(内反)している。右肩も残っている。
左股関節の外旋は不十分だが右足内転筋の内旋はできている。

体軸を回転させながらスイングする。一見ドアスイングに見え、野球少年には真似して欲しくない動作に見えるが、両肩を結ぶラインができており、そのラインから右肩が外に外れていない。すなわち右肩が開かずに右肩関節を右肩甲骨にしまうこと(格納)ができている。右膝は完全に突っ張ってはいないが、右股関節が引っ込んで上体が後ろに倒れ頭が左足の上に乗っている。頭が右足の上に乗って回っていっていないのである。

よって押し手の肘が伸びずに右の股関節の前に押し手の肘が出ていくのである。引手の拳で押し手の人差し指の付け根を押し戻せばヘッドが手首を超える。

西川は、ミートの瞬間に押し手の手首が引手の手首を超えるのを抑止(手首はフォロースルーのときに返している)。

右足の着地のときに左足のスパイクの内踝が前に倒れているところは、スイングと共に左膝、左足首が飛び出してミートの瞬間に右膝が折れ曲がり左膝が伸びてしまって瞬発力をロスしてしまうので真似して欲しくはないところである。

間違っても100点満点のバッティングではないが最低限の動作をしたことにより安打になったという打撃である。

他球団の3番打者に比べ長打率が低いのは、体格や筋力量ではなく技術面、特にミートの瞬間に重心が前足:後ろ足=100:0にして前足を軸に打てていないことによるところが大きいのである。

その他気付いた面

山井の出来は良くなかった。
山井は「く」の字を作ったとき骨盤が滑る。
山井は、リリースの瞬間に左足はほぼ突っ張り左股関節が引っ込むが、右足は小指球を支点に右足の外側の甲が下を向き、右膝が外に外れている。右腕上腕部が凹む。右足をターンさせるが、瞬発力がボールに伝わらない。
鈴木誠也は、4回表、真ん中のストレートを打って左翼席に本塁打。

鈴木誠也は、本塁打を打った打席に関して言えば、割れを作ったときに右肘がヘッドの外に張り出し押し手主導で打てていた。両股関節をぶつけた後、完璧ではないが右膝を真下にほぼ落としている。

遠藤も「く」の字を作ったとき骨盤が滑る。リリースの瞬間に左膝が折れ曲がり、右足踵が三塁側に倒れ右膝が外側に外れている。瞬発力がボールに伝わらない。

九里も初回4連打を浴びたが、投球動作の誤差は大きくはない。「く」の字を作ったとき右足の踵がわずかに地面を離れ右膝が前に倒れていた。

フランスアは、リリースの瞬間に左膝が伸び、右足が突っ張っておらず、左足のターンも両足がクロスしない。瞬発力がボールに伝わっていなかった。

野間は、2つの四球で出塁したが、1回表の打席ではストライドが広がりヘッドが出かかる。6回表の打席も探りが大きい。8回表の左飛もヘッドがボールの内側に入っている。

[追記]

昔は、外国人選手は2人までしか獲れなかった。ほとんどの球団が打者2人獲って外国人投手を獲る球団はほとんどなかった。その頃であれば前肩を残してヘッドを残す打ち方でもやっていけた。今は外国人投手は3人まで同一試合で一軍で使うことができて次の対戦のときには前回対戦した外国人投手は抹消されていてまた別の外国人投手が出てくる。
右膝を上げるのが遅れて割れを作る間がなくて後ろ足のスパイクの外側に体重が乗らない。左足の内側のくるぶしが前に倒れて探りのまま右足が前に出ていってしまう。フルスイングができなくなって見逃し三振が増える。ブレーキの利かない踵体重になってワンバウンドを振ってしまう。
ヘッドをボールの外側に入れるとなると左足のスパイクの外側に体重を乗せてストライドを狭めないといけない。スパイクの外側に体重が乗ればワンバウンドを振らなくなって四球が増える。

前肩を残してヘッドをボールの内側を打つと着地と同時に後ろ足を軸に骨盤が回る。レベルだとどうしても頭とヘッドの軌道が離れるのが早くなってしまう。ミートの瞬間に右膝が突っ張らない。右股関節が引っ込まない。上体が後ろに倒れない。左肘が右の股関節の前を走らない。手の甲が伸びて手のひらでボールを受けてしまう。ふにゃっとした打球になってしまう。バットの先や芯よりグリップ寄りに当たる。

日本の指導者は、東出に限らず、インサイドアウトをボールの内側を打つことだと誤解している。ボールの内側を打てば両手首とヘッドが押し手の肘より前に出るからインサイドアウトとは言えない。
昨シーズンの野間は、割れができて右の股関節が引っ込んで押し手の肘がヘッドよりも前に出てヘッドが残る、ヘッドがしなる、ヘッドがボールの外側に入るという本当のインサイドアウトで振れていた。昨シーズン、野間が飛躍したのはまぐれではありませんよ。
今シーズンの野間が、使えば使うほど負ける選手になっているのはインサイドアウトで打てていないから。ストライドが広がってフルスイングができないのもインサイドアウトで打てていないことと関係があります。OPSが低いということは、野間を使うなという根拠としては非常に脆弱ですね。

慶彦が菊池に「ボールの内外後上下」を打つ練習をしていたことを話したことがあります。
ボールの後ろまたは外を縦にこすり下ろすとヘッドをボールの下にくぐらせてフライが打てます。
ボールの上を叩けば地をはうゴロになります。ヘッドをボールの下に入れヘッドを下から上にこすり上げる(ヘッドアップ)とバウンドの高いゴロになります。ヘッドをボールの下に入れ手首を返すとスライス回転がかかってバウンドの高いゴロになります。
「ヘッドがボールの下に入って手首を返す」は、新井さんぐらいまでの世代はやっていましたが、今の選手達がやってしまっているのはヘッドアップの方。
前進守備をやっているカープは他球団の選手がヘッドアップした打球をハーフバウンドの跳ね上がったところ(バウンドの頂点)で捕球して本塁に返えられ、他球団は前進守備を採らずにハーフバウンドが頂点から落ちてきたところかショートバウンドで捕って本塁又は他の塁で刺している。その結果、野間は打撃を崩して自滅している。

[注記]

昨日の中日戦、野間の8回表の「当てただけの左飛」がヘッドがボールの内側に入るって奴です。
ボールの軌道と水平にボールの後ろにヘッドをコンタクトさせるとライナー、ゴロになります。ヘッドをボールの外側に入れてヘッドをボールに引っ掛けて打つとゴロやライナーになります。上から下にこするとフライになります。インローはアッパーで打つとボールの軌道に芯がぶつかります。引手の拳で押し手の人差し指の付け根を押し込まずに引手の肘を抜けばゴロやライナーになります。ヘッドアップしてヘッドがボールの上に被さるとゴロ、ヘッドをわずかに擦り上げてヘッドの上に投球が滑っていくとライナー。打球方向やバットの先かグリップ寄りかは骨盤、体軸を回すタイミングで調整する(回すタイミングが早いほどバットの先)。スイングの仕方によって打球は変わります。
また、ボールの上下と言うのはボールの中心から7~8mmのところを指します。

試合経過

1回裏

平田は、3球目、真ん中のチェンジアップ132キロを打って右前安打

無死一塁、大島は、9球目、真ん中高目のストレート144キロを打って右前安打

無死一三塁、アルモンテ(左打席)は、14球目、インハイ(左打者のアウトハイ)のフォーク130キロを打って中前安打
広島0-1中日

無死、一二塁、ビシエドは、16球目、アウトローのシュート143キロを打って中前安打
広島0-1中日

無死一二塁、髙橋周平は、18球目、インロー(左打者のアウトロー)のスライダー128キロを打って右飛

一死一二塁、阿部は、22球目、真ん中のナックルカーブ119キロを打って三併打

2回裏

九里は、24球目、真ん中低目にチェンジアップ132キロをワンバウンドさせる。

京田は、28球目、真ん中低目のチェンジアップ129キロを空振り三振

木下拓哉は、31球目、インローのチェンジアップ132キロを空振り三振

山井(右打者)は、35球目、インロー133キロのツーシーム133キロを空振り三振

3回裏

平田は、39球目、インローのストレート147キロを空振り三振

九里は、40球目、真ん中低目にスライダー128キロをワンバウンドさせる。

大島は、42球目、インロー(左打者のアウトロー)のチェンジアップ130キロを打って三ゴロ

アルモンテ(左打席)は、44球目、インロー(左打者のアウトロー)のナックルカーブ122キロを打って二ゴロ

4回裏

九里は、51球目、インローにチェンジアップ132キロをワンバウンドさせる。ビシエドは、空振り三振

髙橋周平は、56球目、インロー(左打者のアウトロー)のチェンジアップ133キロを打って中前安打

一死一塁、阿部は、61球目、インコースベルトの高さのフォーク133キロを打って右中間に二塁打

一死二三塁、京田は、64球目、真ん中低目のツーシーム133キロを打って左飛。これが犠飛となり、広島1-3中日

九里は、67球目、真ん中低目にチェンジアップ129キロをワンバウンドさせる。

二死二塁、木下拓哉(右打者)は、71球目、アウトコースベルトの高さのストレート146キロを見逃し三振

5回裏

山井は、73球目、アウトコースベルトの高さのスライダー126キロを打って中飛

平田は、68球目、真ん中低目のチェンジアップ131キロを打って右飛

大島は、83球目、インロー(左打者のアウトロー)のチェンジアップ131キロを打って二ゴロ

6回裏

遠藤は、6球目、インロー(左打者のアウトロー)にフォーク136キロをワンバウンドさせる。アルモンテ(左打席)は、空振り三振

ビシエドは、10球目、インローもストレート147キロを打って左前安打

髙橋周平は、15球目、インコース(左打者のアウトコース)ベルトの高さのストレート146キロを空振り三振

阿部は、18球目、真ん中のカーブ115キロを打って三ゴロ

7回裏

京田は、4球目、インロー(左打者のアウトロー)のフォーク134キロを空振り三振

木下拓哉は、7球目、インコースベルトの高さのストレート144キロを打って二飛

今村は、9球目、真ん中低目にフォーク134キロをワンバウンドさせる。

福田は、13球目、アウトコースベルトの高さのストレート145キロを見逃し三振

8回裏

フランスアは、2球目、アウトロー(右打者のインロー)にスライダー131キロをワンバウンドさせる。

平田は、5球目、インハイ(右打者のアウトハイ)のチェンジアップ134キロを空振り三振

フランスアは、9球目、真ん中低目にチェンジアップ139キロをワンバウンドさせる。

大島は、12球目、真ん中高目のシンキングファストボール150キロを打って左前安打

フランスアは、17球目、真ん中低目にチェンジアップ140キロをワンバウンドさせる。アルモンテは、右打席

一死二塁、アルモンテ(右打席)は、18球目、インハイ(右打者のアウトハイ)のチェンジアップ137キロを空振り三振

ビシエドには、一球も投げずに申告四球を与える。

二死一二塁、髙橋周平は、20球目、真ん中高目のシンキングファストボール150キロを打って左飛

1回表

山井は、5球目、インハイ(左打者のアウトハイ)のストレート142キロが外れて野間に死球を与える。

安部は、9球目、インロー(左打者のアウトロー)のフォーク131キロを打って二直
一塁走者野間は帰塁できず併殺成立

西川は、12球目、真ん中のスライダー127キロを打って中飛

2回表

山井は、13球目、アウトローにスライダー128キロをワンバウンドさせる。

鈴木誠也は、15球目、インコースベルトの高さのスライダー131キロを打って二飛

松山は、22球目、真ん中高目のストレート142キロを打って中前安打

會澤は、29球目、インコースベルトの高さのストレート143キロを打って遊飛

小窪は、30球目、真ん中のストレート143キロを打って右飛

3回表

田中広輔は、32球目、真ん中のスライダー124キロを打って右飛

九里は、40球目、インハイのスライダー125キロを打って一ゴロ

山井は、41球目、真ん中低目にカーブ114キロをワンバウンドさせる。

野間は、42球目、インコース(左打者のアウトコース)ベルトの高さのストレート143キロを打って左飛

4回表

安部は、44球目、アウトハイ(左打者のインハイ)のスライダー127キロを打って遊飛

西川は、48球目、アウトロー(左打者のインロー)のストレート141キロを見逃し三振

山井は、50球目、アウトローにスライダー128キロをワンバウンドさせる。

鈴木誠也は、53球目、真ん中のストレート142キロを打って左中間に本塁打
広島1-2中日

松山は、61球目、インコース(左打者のアウトコース)ベルトの高さのスライダー125キロを見逃し三振

5回表

山井は、68球目、アウトローにストレート145キロが外れて會澤に四球を与える。

小窪は、70球目、アウトハイのストレート142キロを打って遊ゴロ

田中広輔は、74球目、インロー(左打者のアウトロー)のフォーク129キロを打って遊併打

6回表

坂倉は、77球目、インハイ(左打者のアウトハイ)のスライダー132キロを打って左飛

山井は、78球目、アウトロー(左打者のインロー)にカーブ114キロをワンバウンドさせる。

山井は、81球目、インハイ(左打者のアウトハイ)のストレート141キロが外れ野間に四球を与える。

安部は、86球目、真ん中高目のストレート141キロを打って三邪飛

山井は、88球目、真ん中低目のストレート141キロが外れカウント2-0
一塁走者野間が二盗に失敗

7回表

山井は、90球目、インロー(左打者のアウトロー)にフォーク130キロをワンバウンドさせる。

西川は、93球目、真ん中高目のスライダー124キロを打って左飛

山井は、94球目、アウトローにスライダー135キロをワンバウンドさせる。

鈴木誠也は、95球目、インコースベルトの高さのカーブ113キロを打って捕邪飛

山井は、96球目、アウトロー(左打者のインロー)にカーブ112キロをワンバウンドさせる。

山井は、101球目、インハイ(左打者のアウトハイ)のフォーク130キロが外れ松山に四球を与える。

會澤は、1球目、アウトローのカーブ117キロを打って投ゴロ

9回表

安部は、1球目、インロー(左打者のアウトロー)のストレート155キロを打って中前安打

無死一塁、西川は、6球目、真ん中高目のチェンジアップ133キロを打って右翼線に二塁打を打つ。

無死二三塁、マルティネスは、8球目、鈴木誠也に対し、真ん中低目にフォーク134キロが外れカウントが2-0となってからは鈴木誠也には一球も投げずに申告四球を与える。

無死満塁、松山は、11球目、真ん中低目のストレート155キロを打って中飛。これが犠飛となり、広島2-3中日

一死二塁、會澤は、16球目、真ん中低目のフォーク136キロを空振り三振

二死一二塁、小窪は、20球目、インハイのフォーク135キロを打って一ゴロ