カープ投手陣の前に立ちはだかる筒香嘉智のバッティング

Last Updated on 2023年3月8日 by wpmaster

昨シーズンの筒香は、開幕直後は、数字が上がらず、13試合で1打点、初本塁打は、91打席目。

それでも、6月に入ってから徐々に数字を上げ、8月には、月間MVP。

閉幕まで爆発することはありませんでしたが、本塁打王、打点王の二冠を獲った2016年より数字を落としたもの、最終的には、.284 28本 94打点と持ち直しました。

カープも、8月22日の筒香、ロペス、宮﨑の3連発を始め、終盤は、相当やられてしまいました。

2018年も、セリーグで最も優れた打者の一人である筒香を抑えないことには、3連覇は難しくなるでしょう。

カープの打者にとって、ロペスと共に避けては通れない打者の一人です。

筒香嘉智のバッティング

筒香は、大瀬良が右足を上げたときに、右足で地面を踏みます。

シンクロ打法です。

筒香は、大瀬良が重心を落とし、右腕を内旋したときに、右足を上げ始めます。

右足の上げ下げの幅が小さい割に、同じく前足の上げ下げの幅の小さい外国人選手に比べると1本足で立つのが早い。

これも近めの球に対処する工夫です。

スイングの結果、ボールを長く見れます。

左足は、スパイクの内側でエッジをかけ、拇指球も踵も浮いていません。

足裏全体に重心がかかっています。

筒香は、右膝の高さがMaxのときでも、骨盤よりも大分下までしか挙げません。

右足は、足の上げ下げというよりは、ほとんど踏むだけです。

これも近めの球に対処する方法の一つなのでしょう。

グリップの位置も殆どず、ヒッチの幅も殆どありません。

筒香は、右足で地面に着地する位置を探ります。

右足はわずかに弧を描きます。

1球1球違う球がくるので中々難しいでしょうが、右くるぶしを投手の方に向けてL字型にステップすると更に近めの球に強くなるでしょう。

脱力して右肩の可動域を拡げ、左脇を空けて体近くの球に対応できるようにしています。

左足が少し頭が前が前に出されています。

2016年のときに比べると、頭が若干前に出される、ここが昨季今一つ彼にしては結果がでなかった原因の一つでしょう。

右膝を投手方向に送ったとき、グリップの位置を上げ、ステイバックしていわゆる、割れを作ります。

筒香は、左足の踵から着地します。グリップの位置も肩より上に上がらず、

トップの角度もキープできています。

左足の内側でエッジをかけていますが、少し踵が浮いて左足を前に運びかかっていますが、踏み留まっています。

筒香は、振り下し始めのとき、左足かかと浮かせ、拇指球付近のスパイクの内側でエッジを架けて左足を前に運んでいきます。

左肩もほとんど上がっていません。

この打席の大瀬良の球は、ハードなコースではありませんが、左足の踵を浮かせてることで、体近くの球にも対処して差されにくくしているのでしょう。

ボールの軌道とほぼ45°にバットを振り下ろし、肘先行のインサイドアウトです。

この打席の筒香のいわゆるヘッドのしなりは(実際にはバットはしなりません)、踵が浮いていた関係であまりありません。

右足の踵で回ることにより、頭は、左足の方の骨盤の上に乗っています。

ミートして運んでいくのに合わせ、右足の踵で回わりながら、右膝を伸ばしていきながら、骨盤を横にずらしながら、うねり上げていきます。

内転筋、太腿の裏を伸ばして、頭が前に出るのを抑止し、両肘を伸ばし、瞬発力を伝えます。右膝を伸ばして壁を作ります。

筒香のフォロースルーは、背中の近くまであります。筒香は、少し壁が崩れています。

大瀬良の左足の膝が曲がり、壁が崩れています。

手投げですので、打たれても仕方がありません。

筒香は、右足の重心を拇指に移していきます。

大瀬良は、三塁側に重心が残っています。

昨季の成績

主要成績

139試合 503-143 .284 28本 94打点 

二塁打 31 三塁打0 犠飛 3 四球 93 死球 2 三振 115 併殺 7

盗塁 1 盗塁失敗 0 失策 1

出塁率 .396 長打率 .513 OPS .909

コース別成績

右投手

左投手

右投手がインハイに投げた球は、2016年の10-1 .100 4三振から大幅に改善させた。

右足の踵で回るので、詰まりを活かした、別の見方をすれば、近めの球に差されやすい打法なのだが、

前述のような動作上の工夫があったのだろう。

左投手がアウトハイに投げた球は、2016年14-3 .214 1本 3三振と2年連続で打てていない。

うねり上げる際に骨盤がどうしても横にズレるので、瞬発力がバットに伝わらないのだろう。

それか、頭が前に出されて左肘が伸びてバットが遠回りになりバットの可動域が狭くなるのも関係しているのかもしれない。

球種別成績

ストレート 228-66 .289 14本 64振

スライダー 79-22 .278 4本 21振

シュート 53-15 .283 3本 8振

チェンジアップ 28-12 .429 3本 3振

フォーク 48-11 .229 2本 7振

カットボール 41-9 .220 2本 6振

カーブ 25-8 .320 3振

シンカー 1-0 .000

詰まりを活かす打法なので、失速の少ないカット系は打てていない。

始動が遅れて頭が前に出されることがあるので、フォークもあまり打てていない。

打球方向

左方向 217-43 .198 5本

中方向 181-49 .271 9本

右方向 101-51 .505 14本

極端なオープンスタンスで、腸腰筋、股関節の外旋を遅らせ、外旋の幅が大きくないので、逆方向の打球が多い。

その他成績

2ストライク後の成績 259-48 .185 4本

8回の打率 56-15 .268 1本

得点圏打率 141-46 .326

ビハインド  43-17 .395 1本 16打点

同点 50-16 .320 1本 16打点

リード 48-13 .271 4本 29打点

満塁 6-3 10打点

走者2塁 56-21 2本 15打点

空振り率 8.33% 見逃し率 36.39%

見極め率 79.64%

主な投手との対戦成績

菅野  18-4  .222  5振

マイコラス 9-2  .222  3振

田口 8-2  .250   1点 1振

畠  8-1  .125  1点 5振

大竹  7-3  .429  1点 2振

内海  3-1  .333

山口俊 3-1  .333  1本 2点

吉川光夫 3-1  .333

宮國      1-1  .1000

高木勇人 1-1  .1000  1本 2点

Mathison   6-1 .167   2振

カミネロ 2-1  .500

森福  4-1  .250  2点 1振

西村  3-0  .333  1振

小川 10-3  .300  2点 2振

石川 14-2  .143  2振

ブキャナン 9-4  .444  1本 5点

原  12-6  .500  2本 5点 3振

山中  4-2  .500  1本 2点

星  7-0  .000 1点 1振

オーレンドルフ 4-0  .000  1振

由規  1-1  .1000

石山  2-1  .500

中澤  4-2  .500  3点 1振

山本哲哉 2-2  .1000  1本 1点

近藤  2-1  .500  1本 3点 1振

ルーキ  3-1  .333

秋吉  2-0  .000  1振

大野  13-2  .154  5振

バルデス 13-5  .385  1本 5点 1振

吉見    6-1  .167  3振

小笠原  5-2  .400  1本 2点 1振

鈴木翔太  6-2  .333  2振

笠原  5-1  .200  2振

若松  4-3  .750  1点

柳   2-1  .500  1点

三ツ間  3-2  .667

山井  3-1  .333  1本 1点

伊藤準規 4-1  .250  2点

阿知羅  3-0  .000

岩瀬  2-0  .000

岡田俊哉 1-1  .1000  1点

又吉  6-1  .167  1点 3振

田島   5-1  .200  1振

秋山 11-4  .364  1本 3点 1振

能見 10-5  .500  2本 3点 1振

藤浪 10-2  .200  1本 2点 1振

メッセンジャー 6-0  .000  2振

岩田   6-1 .167  2振

岩貞  6-3  .500  1本 1点 2振

小野  6-1  .167  3振

メンドーサ  3-0  .000

青柳  3-0  .000  1振

石崎  2-1  .500  1本  3点 1振

髙橋聡文 12-1  .083  4振

岩崎 7-2  .286  2本 4点 3振

桑原 2-1  .500  1振

メンデス 2-1  .500  1本 2点

藤川  3-0  .000 1振

松田  2-0  .000

マテオ  2-0 .000

ドリス 3-0  .000  2振

野村  16-6  .375  2本 3点 3振

岡田  10-4  .400  1本 5点

Johnson 9-2  .222  3振

大瀬良  8-2  .250 1本 1点 1振

藪田  5-2  .400

中村祐太 6-4  .667  1本 1点

九里 4-3  .750  2点

加藤 2-1  .500  1振

高橋樹也 6-0  .000  2振

一岡  6-2  .333  2点 3振

中田 2-1  .500

ヘーゲンズ 2-1  .500  1点

ブレイシア 3-1  .333  2点

中﨑  3-0  .000  1振

今村  2-0  .000

Jackson 5-1  .200  1本 1点 1振

菊池雄星 3-1  .333  1振

牧田 1-0  .000

加藤貴之 2-0  .000  2振

斎藤佑樹 2-0 .000

宮西  1-0  .000  1振

チェングァンユウ 2-2  .1000  1本 1点

唐川 3-1  .333  2振

石川歩 3-0  .000  2振

益田  1-0  .000

金子千尋 2-1  .500

松葉 2-2  .1000

黒木 2-1    .500

千賀 3-1  .333  1振

バンデンハーク 3-0  .000  3振

岩嵜  2-0  .000

辛島 1-1  .1000  1本 2点

則本 4-3   .750  1点 1振

カード別成績

巨人 81-20 .247 2本 10打点

ヤクルト 85-26 .306 6本 22打点

中日 90-30 .333 3本 16打点

阪神 97-22 .227 9本 18打点

広島 93-30 .323 6本 19打点

西武  9-1 .111 0本 0打点

日本ハム 7-0 .000 0本 0打点

ロッテ 12-3 .250 1本 1打点

ソフトバンク 11-2 .182 0本 2打点

楽天 11-5 .455 1本 6打点

月別成績

3,4月 91-25 .275 1本 12打点

5月 74-28 .243 3本 9打点

6月 74-23 .311 6本 19打点

7月 77-24 .312 5本 18打点

8月 92-29 .315 7本 23打点

9,10月 95-24 .253 6本 13打点

まとめ

昨季の打撃のプロセス一つ、一つを見ると、ベストのときに比べると、完全には戻っていないのですが、それでも、打席の中で修正して、よりよい結果を出していくところは、カープ投手陣にとって手ごわい相手には、違いありません。

生半可なボールを置きにいったコーナーピッチングでは、抑えられる相手ではありません。

広島の各投手は、脱力してリリースのときに、瞬発力を伝える、下半身が遠回りせずに、膝で壁を作って右足を股関節と同一の方向にターンし切ることで、筒香の頭を前に出させて、前後の懐を崩すピッチングを極めなければならないでしょう。