今季台頭した中村祐太のピッチングの課題

Last Updated on 2024年3月30日 by wpmaster

中村祐太は、Johnsonが、開幕戦後、咽頭炎で離脱、ローテーション投手が不足する中で、5月3日に一軍昇格し、中日戦で、プロ初先発初勝利。

シーズン5勝を挙げた。

高卒のドラフト下位指名(4位以下)で入団した投手が先発ローテーションに入るのは、同じ関東一高出身の1996年の山﨑健以来、21年振りのことだ。

来季は、シーズン通して、先発ローテーションに定着することが期待される中村祐太のピッチングを解析してみよう。

中村祐太のピッチング

左膝は、骨盤の高さよりも高く上げます。

左股関節の内旋、右股関節の外旋運動が増えることにより、両股関節が損耗する。

右足は、拇指球でも地面を踏んでいますが、踵が下がって、爪先がやや浮いていますが、爪先体重で、股関節の外旋が早くなって、左膝が開いたり、肩、肘が上がらなくなるよりはいいでしょう。

プレートは、中央部よりやや一塁側を踏んでいます。

左膝を内(上体の近く、二塁方向)に入れて下しています。

ヒップファーストの投げ方です。

右膝を緩く曲げ、ふくらはぎ、くるぶしに負荷をかけずに、プレートを踏んでいます。

打者に後ろの骨盤を隠せています。

グラブを持つ手の前腕部を回外し、右手を下すことにより左肩関節が緩み、脱力します。

グラブを持つ手と、その肩を内旋します。

右腕を伸ばし、右腕上腕部内旋します。

左の股関節が伸びていないので、左足で弧こそ描きませんが、左膝が伸びてロックされています。

これでは、左股関節が荷重され損耗すると共に左太腿の外側も損耗してしまいます。

左の股関節を内旋しています。

左足前脛骨筋が回内(外反)し、左足のくるぶしを本塁方向に向けています。

右腕前腕部をMaxで回内します。

グラブを持つ手の方の腕も内旋したままです。

右膝がタイトに曲がり、右足に重心がかかり過ぎています。

右股関節を損耗してしまいます。

右肩は、極端に下がっていないので、右肘は、損耗しにくい投げ方です。

両肩は、水平より、右肩の方が若干下がっているので、重心移動と共に右肩が上がるので、縦回転の球が投げられます。

テイクバックが大きいので、頭がやや前に出されています。

左膝下を内(一塁線方向)に入れて左膝を本塁方向に向けていきます。

右肘から先をコックして(垂直にして)、逆L字型になっています。

右腕前腕部を回内します。

右腕上腕部に負荷がかかりますので、トップを作るのが遅れ、右肩を故障しやすい投げ方です。

また、両肘がそれそれの高さよりも高く上がっているので、ルーズショルダーになりやすい投げ方である。

エッジをかけた右足からボールを持つ右手にかけてCアーチが架けられています。右腕上腕部を外旋する間が作れます。右腕上腕部の内旋運動の加速距離を長くすることができます。

右肘をつまみ上げます。

大腿骨を骨盤に差しています。

しかし、左肘が落ちずに左肩が開いてしまっています。

右足を蹴り始めたとき、腸腰筋こそ回転していませんが、右股関節が内旋しています。

右股関節のタメが不足しています。

右腕のトップを作ります。右肘が沈みます。

コッキングの角度は、85°

ボールを持つ手は、耳の方を向いています。

ボールを持つ手は頭の後ろに隠れています。

右腕上腕部の棘下筋には負荷がかかっていません。

胸の張りを作ります。

ボールを持つ手が一部、打者の前に現れかかります。

右腕上腕部を外旋して、右腕の上腕部を後方に引っ張ります。

左肩を下げ、右肘を高くし、0ポジションができます。

右肘の角度は、スリークウォーター(45°)より、若干、オーバースロー寄りです。

左膝が垂直に曲がり、左股関節を荷重しています。右腕前腕部の回外運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。

回転軸が一塁側に傾いて、右肩を垂直に交わっているので、縦回転の回転数の多い真っすぐが投げられます。

左足は、スパイクの内側の踵側の歯から着地します。

手の平を外側に向けたま、右腕上腕部を内旋します。

右腕の上腕部の内旋運動が加速した結果(バックスピンが生じた結果)、小指の側から先にチョップするように手首の向きが変わるので、トップスピンがかかった球が投げられます。

右肩を捕手のミットの方に向け、背中を捕手のミットの方に向けていきます。左膝が内側に閉じてしまってしまっています。右腕前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなってしまいあす。

左膝を上方に蹴り伸ばしていきます。

左膝を伸ばして、出ていく股関節を引っ込め、壁を作ります。

右腕のフォロースルーする間ができるので、右腕をフルスイングできます。

上体も一塁側に傾いているので、縦回転の球が投げられます。

右足を一塁側にターンします。

今季の成績(2017)

主要成績

15試合 5勝4敗 防御率 3.74

1,300球 打者312人 74回2/3 68安打 被本塁打 7本  54奪三振 26四球 2死球 31自責

被出塁率 .314 被長打率 .368 被OPS .682

5.80球で1アウトを稼ぐ。

打者1人当たり、4.16球

1イニング当たり 17.4球

Whip 1.26人

残塁率(LOB)率  73.09%

QS率 42.86%

中5日が2回ある以外は、中6日以上空けて登板。

1試合最多投球数は、114球

先発登板での1試合平均 90球

コース別成績

右打者

左打者

股関節の外旋の早い投げ方だが、右打者には、目線が近い分、インコースは、どの高さも打たれていない。

しかし、打者の目線から遠いアウトロー、アウトコースベルトの高さの球は打たれている。

左打者には、右打者より、リリースポイントと目線が遠くなるので、インハイよりもリリースポイントから遠く、股関節で産み出した瞬発力が最も伝わるインロー、真ん中低めの球を打たれている。

左打者には、アウトローよりもリリースポイントから近い、両肘がインパクトの瞬間に伸びるアウトハイも、右打者よりも目線から遠いので打たれている。

球種別成績

①ストレート 137-36 3本 .263

空振り率 5.51%

見逃し率 18.31%

ストレートは、カットボールのように動く。

失速が少ない。

ストレートのMaxは、148km/h(先発)

②フォーク   31-13 .419

空振り率 11.97%

見逃し率 5.98%

③スライダー 89-13 2本 .146

空振り率 12.21%

見逃し率 17.05%

④カーブ    18-6 2本 .333

空振り率 0.85%

見逃し率 16.24%

⑤チェンジアップ 2-0 .000

空振り率 7.14%

見逃し率 28.57%

打球方向

(右打者)

右方向 28-4 .143(23.1%)

中方向 41-11 .268(33.8%)

左方向 52-15 .288 4本(42.9%)

(左打者)

右方向  41-18 .439 2本(37.2%)

中方向  34-9 .264 (30.9%)

左方向  35-11 .314 1本(31.8%)

右打者は、左打者よりも、リリースポイントの近くに立つので、真っすぐ系に差されている。

右打者には、それほど引っ張られていないが、左打者には、相当引っ張られている。

これには、右股関節の内旋が早いことも関係しているだろう。

アウト内訳

内野ゴロ 58

併殺によるアウト増 5

犠打  6

内野フライ 22(内、邪飛10)

内直 3

3バント失敗 1

外野フライ 72

犠飛 1

三振 53

盗塁失敗 1

捕殺(安打2) 2

合計 224

投失  1

安打以外の打球の内、ゴロの割合=58+6+1/224-53-5-2-1+1=39.8%

同上のフェアゾーン内に限った場合=65/163-10=42.4%

フライボールピッチャーである。

主な打者との対戦成績

坂本 10-3 .300 1本

阿部 9-2 .222 1振

マギー 9-2 .222

長野  6-3 .500 1本 2振

村田 6-2 .333 1振

陽岱鋼 7-1 .143 2振

小林  6-0 .000 3振

石川慎吾 2-1 .500

坂口  3-2 .667

バレンティン 3-1 .333 1振

山田哲人 3-0 .000 2振

山崎晃大朗 3-0 .000 1振

藤井亮太 2-1 .500

筒香  6-4 .667 1本

ロペス  9-4 .444 1本

梶谷  8-3 .375 1本

エリアン 2-1 .500

柴田  5-2 .400 1振

倉本  7-2 .286 1振

桑原  9-0 .000 1振

戸柱  6-1 .167 1振

京田  3-2 .667 1本

藤井淳志 2-1 .500 1振

松井雅人 1-1 .1000

平田  3-0 .000

大島  2-0 .000

ゲレーロ 2-1 .500

ビシエド 1-0 .000

糸原  2-2 .1000

中谷  3-1 .333 1本

上本  3-1 .333

福留  4-1 .250

鳥谷  5-1 .200

西岡  6-0 .000

糸井  3-0 .000 3振

北條  3-0 .000

大山  3-0 .000

梅野  2-0 .000

角中  2-1 .500

清田  3-1 .333

鈴木大地  3-1 .333

福田秀平  2-2 .1000

今宮  1-1 .1000

松田  1-1 .1000

上林  1-0 .000

柳田  1-0 .000

嶋   2-1 .500

藤田  2-1 .500

茂木  3-1 .333

銀次  3-0 .000

アマダー  2-0 .000 2振

ウィーラー 3-0 .000

ペゲーロ  2-0 .000

カード別成績

巨人  4試合  1勝2敗  20回1/3 9自責  防御率 3.98

ヤクルト 1試合 1勝0敗  6回 0自責 0.00

DeNA 4試合  1勝1敗 18回 10自責  5.00

中日   1試合  1勝0敗  5回 3自責  5.40

阪神   2試合  0勝0敗  12回 4自責 3.00

ロッテ  1試合 1勝0敗  6回 0自責 0.00

ソフトバンク 1試合 0勝1敗 1回2/3 4自責

楽天  1試合 0勝0敗 5回2/3 1自責  1.59

まとめ

中村祐太の投球動作の課題と改善点を挙げると次のようになるだろう。

今回取り上げた絵では、左の股関節が三塁側に伸びていないが、左の股関節が伸びて、ドアを押し開けるように、左足で弧を描くことがある。

これだと、左膝が開き、ボールの出所が早くに現れて、リリースポイントが打者の首から遠くなり、右腕前腕部の回外運動、その後の右腕上腕部の内旋運動の加速距離が短くなりシュート回転(失速)してしまう。

もう少し、左膝から下を引っ込めると、失速の少ない、より打者がスイングした後の体感速度の速い球が投げられる。

テイクバックが大きいので、頭が前に出されることがある。

右腕上腕部の内旋によって、手の平が外側に向くので、それが後のバックスピンを産み出し、球速表示以上に打者がスイングした後での体感速度を錯覚させるので、右腕上腕部を内旋すること自体は必要だけれども、右腕上腕部の棘下筋の故障の原因にもなるし、左腕上腕部の内旋運動、右腕前腕部の回外運動の回転半径を短くして右肩に負荷をかけずに内旋した方がいい。

その方が失速を抑えられるであろう。

右股関節のタメが足りないので、右股関節の内旋、左肩、左膝の開きが早くなる。

ボールの出所が早くに現れて打者の振り下ろし(トップハンドの前腕部の回外運動)が遅れなくなってしまう。

股関節の内旋が早ければ、肘も上がらなくなり、右腕前腕部を回内して右肩甲下筋を引っ張ったとき、左足と右の手の距離がより引き離されて右腕上腕部棘下筋を故障しやすくなる。

横の変化球の変化量が大きくなり、打者がトップハンドのコックアップ、トップの作成をする間が生ずる。トップハンドの上腕部を内旋する間ができる。打者のヘッドが下がらないから打者のヘッドを返させることができなくなる。

右肘が上がらないから、横の変化球を少ない失速でゴロを打たせることができなくなる。

スプリットが落ちなくなる。

球数が増える。

故障という点から言えば、重心移動の際の、両肘を結ぶラインがM字になるところも、修正した方がいいだろう。

左肩甲下筋に負荷をかけて内旋すると、左腕上腕部の内旋運動の回転半径が長くなるので、もう少し、負荷をかけずに内旋すると、

胸の張りを作って両肩甲骨を剥がしたとき’=右肘を推進させたとき)の加速をより産み出すことができる。

これらの課題がクリアできれば、先発ローテーションに定着することができるだろう。

年度別通算成績

NPB