Kris Johnsonには、全くウィークポイントはないのか。

Last Updated on 2021年3月11日 by wpmaster

1年目の2015年は、14勝、防御率1.85で防御率のタイトルを獲得。

2016年は、15勝、防御率2.15で防御率2位で、優勝に大きく貢献した。

先発の柱として高レベルな成績を2年続けて記録しているが、ウィークポイントは全くないのだろうか。

まずは、投球動作から見てみることにする。

Kris Johnsonのピッチング

Johnsonは、ノーワインドアップから始動する。

右足を引いて、左足を横にステップするとき、左足をいったん上げる。

右足は、骨盤より下の高さに上げる。

右足を本塁方向に弧を描いて膝が割れることなくストレートに伸ばす。

テイクバックの際、腕を真っすぐに伸ばす。左肩は下がっていない。

左肩をヒッチさせて、上げる。

右足のステップの幅は非常に狭く感じられる。

グラブを持つ手を肋骨に沿わせて引く。

スリークウォーターだが、左肩は、右肩よりも上にある。

左肩甲骨の周辺の筋肉を使って内側に回転する。

左肩に後ろ回転をかけて肘が先に出る。

ストロークが長くなり、しなりを作る。

左腕を外側にねじりながら、真下に振り下ろす。

左足の蹴りも強く、投げ終わったときに右足が伸びる。

テイクバックの際に左肩が下がることがある。

本塁方向に右足を踏み出すときに、九里、福井(彼等は左足)、オスカルに比べれば、ごくわずかではあるが、弧を描くことがある。

シュートの曲がりが大きいときは、フォーシーム、カットのキレがいつもより落ちていつもより打たれる。

Johnsonの2016年の成績は下記のとおりである。

昨季の成績

主要成績

26試合 15勝7敗 3完投 2完封 180回1/3 43自責 防御率2.15 被安打154 被本塁打11 四球49 死球3 奪三振141

本塁打を除くグラウンド内に飛んだ飛球が安打になった割合である被BABIPが.277(2015年は、.263)

対右打者 444-104 9本 103三振 34四球 犠飛3 被打率.234

対左打者 221-50 2本  38三振 15四球    被打率.226

通算被打率 .232

被長打率 .316

2015年の被長打率は、.260

本塁打は2015年の5本から11本に増えている。

被本塁打率(9イニング換算) 0.55本

与四球率(9イニング換算) 2.45個(2015年は、3.10)

被出塁率 .286

被OPSは、.602

奪三振率(9イニング換算) 7.04個

奪三振/与四球=2.88

アウト内訳は、ゴロ 230 フライ 127 三振 141 犠打 16 犠飛 3 失策13

ゴロアウト比率(GO/AO)=1.81 ゴロ比率 43.4%

グラウンドボール比率は、230/(230+127)=64.4%

1イニング当たりの走者の数Whip 1.13人

インプレーの打球を排除した奪三振、与四球、被安打から評価したFIPは、2.99

残塁率(LOB)は、81.85%

平均的な投手と比べるとどれだけ失点を防いだかを示すRSAA(マイナスよりもプラス、プラスはその数字が大きいほど、高く評価される)は、31.04

総投球数 2,895球

打者 736人

打者1人当たり 3.93球

5.35球で1アウトを取っている。

1イニング当たり投球数 16.1球

100球超 23試合

1試合最多投球数は、130球(8/9 対阪神6回)

球種別成績

球種配分は、下記のとおりである。

ストレート 33.29%

ストレートは、中指だけを縫い目にかけるワンシーム(見方によってはフォーシーム)である。

ストレートのMaxは、153km/h(先発)

カットボール 28.90%

シュート 16.28%

カーブ  13.10%

チェンジアップ 8.43%

チェンジアップは、浅く握るスプリットのようなものと握りの深いフォークのようなものとがある。

球種別被打率は、下記のとおりである。

ストレート 217-48 .221 2本

カットボール 199-43 6本 .216

シュート 120-33 1本 .275

カーブ  71-17 2本 .239

チェンジアップ 58-13  .224

球種別空振り率は下記のとおりである。

ストレート 4.57%

カット  12.88%

シュート 5.52%

カーブ 8.97%

チェンジアップ 11.07%

球種別見逃し率は、下記のとおりである。

ストレート 21.91%

カットボール 13.64%

チェンジアップ 3.69%

カーブ 21.37%

シュート 15.50%

人差し指をナックルのように曲げて親指と中指を使ってリリースする120キロ台のハードカーブは、左打者にぶつかりそうなところからゾーンに入ってくる”フロントドア”であり、見逃し率が高い。

明らかなボールからゾーンに入れるのはいいが、際どいコースを突いて見逃し率が高いことも、球数がやや多い原因の一つと考えられる。

コース別成績

上の表の82-15のエリアは、対右打者が54-8 .148 対左打者が28-7 .250

上の表の56-15のエリアは、対右が34-12 .353、対左が22-3 .136

上の表の18-4のエリアは、対右打者が13-4 .308 対左打者が5-0 .000

右打者に、インローのボールからゾーンに入る真っすぐ系、フロントドアになるシュート系を打たれている。

インローは、ヘッドを下げてバックスピンをかける打者は手が届き、飛ぶコースでもあり、2本塁打されている。

インローの、右打者からみれば、更に体の近くの球速が評価しにくいコース、左打者からすればバットの届かないコースの初速と終速の差が小さく感じられるカット系は、15-0 15三振と完璧に抑えている。

左打者には、アウトローのボールからゾーンに入るバックドアのシュート系(シンカー、ツーシーム)は、打たれていない。

上の表の26-6のゾーンは、対左打者は、8-3 .375。左打者のインハイは、ボール球を含むと14-5 .357と打たれている。左打者には、インハイのシュート系の球を打たれている。

カウント別被打率

初球 75-23 1本 .307

1ボール0ストライク 51-29 2本 .373

2ボール0ストライク 11-2 1本 .182

3ボール0ストライク 2-1 .500

0ボール1ストライク 52-10 .192

1ボール1ストライク 75-21 .280 1本

2ボール1ストライク 46-9 .196 1本

3ボール1ストライク 17-10 .588 1本

0ボール2ストライク 22-5 .227

1ボール2ストライク 52-14 .364 1本

2ボール2ストライク 77-24 .312 2本

3ボール2ストライク 44-16  .364 1本

3球3振 30

1ボールを含む三振 49

2ボールを含む三振 38

3ボールを含む三振 24

ストレート四球 2

1ボール0ストライクからの2球目の真っすぐ系、シュート系を打たれている。

フルカウントからシュート系、カット系を厳しいコース、高さに投げ切れって打たせて取ることができずに、グランダーの安打になってしまっている。ゴロアウトは、4つだけである。

得点圏に走者がいないときなどは、ファウルで粘られてフルカウントになる前にゴロを打たせられればベストだが、早いカウントでシングル安打を打たれてしまうことも重要。次打者には、厳しい球から入りやすい。

ケース別被打率

ランナーなし 391-84 .215 6本 6打点

走者一塁  129-39 .302 4本 10打点

走者二塁  45-8 .178 0本  2打点

走者三塁  9-3 .333 0本 3打点

走者一、二塁 45-9 .200 1本 5打点

走者一、三塁 14-4 .286 0本 6

走者二、三塁 16-3 .188 0本 6

満塁     16-4 .250 0本 9打点

三振捕逸、三振暴投、内野フライでも1点が入ることがあるケースのうち、一、三塁のケースは、あまり抑えられていないが、全てタッチプレーを要するニ、三塁のケースでは、打たれていない。

走者の後ろに飛ばされるとシングル安打でも1点が入る走者二塁の場面は、.178と抑えている。

各打者がバットコントロールしにくいところ(例えば、早いカウントではインハイ、カウントが進行してからは、インローのボール球、アウトハイ)に制球している。

得点圏打率は下記のとおりである。

ビハインド 34-7 .206 0本7打点

同点  46-8 .222 0本7打点

リード  75-16 .213 1本 7打点

得点圏では、長打を打たれない。ビハインドでも、追加点を取られて引き離されるということをしない。

イニング別失点数

1回 9点

2回 5点

3回 4点

4回 17点

5回 7点

6回 3点

7回 2点

8回 1点

9回 2点

失点イニングの失点分布は下記のとおりである。

失点イニングの平均失点は、1.67

野村の1,52より高いが、試合の中で修正するのも早い。

失点イニング率は、31.25%

1試合最多失点が4(7/27 対巨人 4回4 8/2対ヤクルト 6回4 )

その他データ

救護率

昼間の試合 1試合 0勝1敗  7回 6安打 2本 1四球 2三振 2自責 2.57

夜の試合  25試合 15勝6敗 173回1/3 148安打 9本 139三振 48四球 41自責 2.13

Home  12試合 8勝2敗 1.85 87回1/3 73安打 5本 18自責

Away  14試合 7勝5敗 2.42 93回   81安打 6本 25自責(裏が投球)

QS率(2015年は、85.7%)

QS勝   QS敗

スタメンマスクは、全て石原。

但し、8月2日のヤクルト戦は、初回2死に石原が退いた後、5回1/3は、會澤がマスクを被っている(自責4)。

月別成績

3,4月 3勝2敗 2.28

5月  3勝2敗  1.66

6月  1勝1敗  2.84

7月  2勝1敗  2.52

8月  4勝0敗  2.38

9月  2勝1敗  1,29

球団別成績

対巨人 4試合 1勝2敗 30回 4自責 1.20(東京ドーム2試合 17回 1自責0.53 0勝1敗)

対ヤクルト 5試合 5勝0敗 35回 13自責 3.13

対中日  5試合 3勝0敗 35回 3自責 0.79

対阪神  5試合 3勝1敗 23回 7自責 1.91

対DeNA 4試合 2勝2敗 26回 9自責 3,11

まとめ

2015年よりも大きくインコースの比率を高めたわけではない。むしろ、2016年の方がややボール球を散らしている。

カットボールは、初速と終速の差を感じないので、ポイントを後ろにして前の膝が伸びる打者、手首を体の近くで回す選手にインコースに投げて抑えている。

ボールを動かすので、後ろの手を主導にしてヘッドを下げない打者を抑えている。

失速しているように感じられるシュート系、カット系(スライダー、カット)をポイントを前にしてさばく選手、ストロークを長くしてボールの下にくぐらせる選手に若干対応されつつある。

四球率が下がり勝負球を増やしたので、その分長打率は上がった。

しかし、ゴロアウトの比率は高く、フライアウトは少ないままである。

いいときの投球動作は、無駄がなく、欠点を挙げるのが難しく、完璧に近い。

これだけ球種が多いといくつか弱い球種があるが、粒が揃っている。

投球動作の精度が高いときとそうでないときの誤差が他の投手よりもかなり小さいので、よくないなりに6回3失点ぐらいに投げられる。

研究して練習しても簡単に打てる投手ではない。

Whipが2015、2016と特段でないが、低いのでQS率は、85.7→と上昇し、良いときと悪いときの差がなくなった。

極端に打たれているコースが1箇所しかなく、それも4割、5割打たれているわけではないので、今年も防御率2点台前半の防御率は残すだろう。

主な打者との対戦成績

阿部  5-3 .600 1本

長野 13-6 .462 1本 2三振

村田 13-5 .385 3三振

坂本 10-1 .100 2三振

ギャレット 9-3 .333 1三振

クルーズ 7-2 .286

小林  10-1 .100 2三振

山田哲人 17-6 .353 2本 5三振

バレンティン 16-5 .313 2本 2三振

川端  15-4 .267 3三振

大引  12-3 .250 2三振

中村  12-2 .167 2三振

比屋根 13-2 .154 2三振

雄平   8-2 .250 2三振

坂口   7-1 .143 1三振

西浦   4-2 .500

西田 3-1 .333 1本

倉本  10-6 .600

宮﨑   6-3 .500

梶谷   5-2 .400

石川   9-2 .222 1三振

桑原  10-2 .200 3三振

戸柱  11-2 .182 2三振

ロペス  7-1 .143 1三振

筒香  10-1 .100 1本 2三振

大島 18-8 .444 1三振

エルナンデス 10-4 .400 1本 3三振

福田  10-3 .300

高橋周平 12-3 .250 3三振

平田   10-1 .100 5三振

藤井   7-0 .000 6三振

ゴメス 13-5 .385 4三振

北條  14-3  .214 1本  2三振

鳥谷  11-1 .091 2三振

福留  13-1 .077

大和  9-1 .111 1三振

狩野  6-2 .333

上本  3-1 .333 1本

文中データは、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他を参考にした他、独自に計算したところもあります。

[追記]

岡田は、細かい制球は微調整が必要ですが、テイクバックのときに右肩が下がることなく投げられており、要所でカットボールでゴロに仕留めるなど、まずまずの調整です。

ヘーゲンズも右肩が上がって角度が作れて、ゴロを打たせる投球を見せました。

丸は、トップを作れていますので、バットの出し方は、悪くないです。

堂林は、左前安打は、トップが作れて、膝を曲げて引っ張りいい形で打てていましたが、

左の岩崎から打った本塁打は、右肩を下げてボールの下にバットをくぐらせてるのはいいのですが、インパクトの際に左膝が伸びてボールに刺されていました。あの球は、レフト方向に運ばないと、シーズンになってからもっと速い投手が出てきた場合には苦しいでしょう。

庄司の三塁アウトは、庄司の後ろの打球でしたので、走ったのはオーソドックスな野球ですが、板山の制球が良かった。庄司は、あまり足速くないな。