岡田明丈は、先発か救援のどちらか。

Last Updated on 2024年3月30日 by wpmaster

4月は、ローテーションの谷間で先発、5月中旬から8月7日まで先発ローテーションに入り、9月に再登録されてからは、リリーフに回り優勝に貢献。

岡田は、来季以降、先発とリリーフのどちらで起用したらいいのであろうか。

プロフィール

生年月日 1993年10月18日
右投げ左打ち
中学では軟式野球を行う。高校入学前に硬式に転向する。
大阪商大附高ー大阪商大ー広島東洋カープ(ドラフト1位、2016-)
公称サイズ 185cm 92kg

岡田明丈のピッチング

岡田は、8月8日に右肩痛で二軍落ちした後、フォームを改造した。改造の内容は、下記のとおりである。

軸足をルーズに構え、骨盤よりやや上まで左足を上げ、ステップを始動する。肩甲骨付近の筋肉を使って右肩を押し込み、右肘のアクセレーションの開始を遅らせる。

左腕前腕部が回外することによって、両肩を結ぶラインから頭が外れなくする。

リリース後は、右膝が地面に付くぐらい曲げ、上体を前傾けさせさせる。フォロースルー後、重心移動後の軸足である左足が突っ立つ。

角度を付けると、ボールは、沈むのだが、重心移動が良くなったので、右腕上腕部の内旋運動、右股関節の内旋運動の加速距離が伸びる分、バックスピンが増す。又、人差し指と中指を藤川よりも開けるが、人差し指を開け、斜め下に置いているので、短いイニングを投げたときは、全盛時の藤川のように、低目のフォーシームもバットの軌道の上をホップするようになった。

リリーフのときの岡田の真っ直ぐは、中﨑、Jackson、今村よりも、バックスピン、トップスピンに関しては上であった。

先発に戻ると、カット系は、リリーフのときのストレートと同じ投球動作で、テイクバックを大きく取り、ボールを長く持つ。右肘をアクセレーション後、上体をぐっと前に傾ける。左膝をブロッキングして右腕前腕部を回外して腕のしなりを作る。ボールを切り、直前で左打者に食い込ませている。

先発登板のときは、右肘のアクセレーションを抑えて右肘側副靭帯の負荷を軽減させている。しかし、リリース後、右肘が上がらない分、右肘の側副靭帯、右腕上腕部の棘下筋への負荷が増大してしまっている。バックスピンに付される価値もリリーフ登板のときよりも落ちる。

しかし、ストレートを投げると、左足を上げる高さが骨盤より若干上下するが、重心移動はスムーズにでき、頭もラインからズレていないのだが、肘の押し込みをセーブすると、上体の傾きが足りず、右腕上腕部の内旋運動の加速距離が短くなり、制球もできない。

カット系は、ワンシーム又はツーシームでチョップするように投げ、中指を早く切るか直前で切るかで調整している。

岡田は、シーズンに入って、チェンジアップの握りを人差し指と薬指で挟み、中指を乗せて、親指を添えるバルカンチェンジのような握りにして抜くようにして、フォークのような軌道の球を投げるようになった。

フォークは、中指の先だけ縫い目に掛けて、握りが浅く、どちらかいうとスプリットである。もしかしたら、叩きつけるように投げるのがスプリット、指先から抜くのがチェンジアップで、両者は、同一球種で後者は、フォーク呼んでもチェンジアップと呼んでも差し支えないのかもしれない。スプリットの投げ方は、右腕上腕部棘下筋を損傷する投げ方である。

日本シリーズでは、左打者のアウトコース(右打者のインコース)のすっぽ抜いた球(前文で言うと後者)で大谷を封じることができた。

それでは、今季の岡田の成績を見てみることとする。

今季の成績

主要成績(2016)

今季通算の成績は、

18試合登板 4勝3敗 1ホールド 89回1/3 被安打89 奪三振60 与四球25 自責30 防御率3.02

被安打率は、右打者.299 左打者.228 トータル.259である。

本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合である被BABIPが.297。

被長打率が.358

被本塁打率が9イニング換算で0.60本

与四球率が9イニング換算で2.40と悪くはない。

被出塁率が.308

被OPSが.666

奪三振率は、6.04である。奪三振/与四球=2.4

総投球数は、1,365球である。

1イニング当たりの投球数は、15.3球である。

インプレーの打球を排除した奪三振、与四球、被本塁打から評価するFIPが、3.29

1イニング当たりのランナーを表すWhipは、1.28

残塁率(LOB) 75.8%

アウト内訳は、ゴロ102、フライ91、 三振60 犠打5 犠飛1 失策2

ゴロ比率は、39.8%

ゴロアウト比率は、1.12

平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示すRSAA(高い程、優秀) 6.15

次に、通算成績に至る過程である先発、救援別の成績を見ていくこととする。

今季は、

先発15試合 84回1/3 86安打 6被本塁打  被安打率 .263  1,304球 奪三振53 奪三振率 5.66 与四球25

自責30 防御率3.20 Whipが1.32 4勝3敗  1イニング15.46 打者1当たり 3.64球 5.15球投げて1アウトを取っている。

QS率 66.7% QS勝3 QS敗1 勝敗付かないのが6 100球超3試合 救護率が4.40

初回失点8 6回が8点 3回に6取られている。

救援3試合  5回   3安打 被安打率.176  奪三振7 奪三振率5.66 与四球0 自責0 防御率0.00 Whip 0.60

打者1人当たり3.58球 4.06球で1アウトを取っている。

1失点までの投球回は、5/0≒∞

救援時に安打、与四球を許さなかった試合/救援登板数=0

救援時の失点/失点した試合の投球回 0

球種別成績

今シーズントータルの球種配分は、

ストレート系 66.08%、これには、カットボールが含まれていると考えられる。

スライダー 21.10%、カーブ8.72% これにはカットボール又は縦のカーブであるドロップが混入していることがある。

チェンジアップ2.64%、 フォーク0.95% チェンジアップには、フォーク、フォークにはチェンジアップが混入していることがあると思われる。

シュート 0.51% これには、シンカーしたチェンジアップが混入していることがあり得る。

球種別安打は、

ストレート 248-61 3本 42三振 19四球 .246

スライダー 62-20 1本 12三振 3四球 .323

カーブ 24-6 2本 3三振  1四球 .250

チェンジアップ 7-2 2三振 .286

フォーク 1-0 2四球 .000

球種別の空振り率は、

ストレート 7.76、スライダー11.11%、カーブ7.56%、チェンジアップ 5.56% シュート、フォーク0.00%

カウント別の被安打は、

1-0が30-16 .533 1本 2-0が12-5 .417 3-0が1-1 .1000、初球が44-13 .295とファーストストライクを打たれている。

2-1が15-6 .400 1本 3-2が15-7 .467 1本とボール先行のときにも打たれている。

1-2と追い込んでからも36-12 .333 1本

平行カウントが2-2 30-7 .267

勝負球も打たれている。

コース別成績(2016)

コース別(右打者ベース)では、

インハイ33-12 .363(ゾーン内 19-10 右.625 左.455)

後ろの手首を立てる打者のインパクトの際に瞬発力が伝わらないところに制球できていない。

真ん中低め 39-18 .461(ゾーン内32-16 右.583 左.450)勝負球が変化が早かったり、制球できていない。

打者がバットとボールの距離が取りにくい真ん中高めのゾーンよりボール2個分上が8-1 2三振、外角高めが45-7 .155。

外角ベルトの高さが54-12 .222 1本 8三振(右.227 左.228)

アウトローが45-11 .244 8三振(右.291 左.190)

インコースのベルトの高さが19-1 .053 6三振(右.000 左.071)

打者に横の動きを与えるが、縦の動きを与えていないこと(フォーク系の割合が少ない)が上記の結果になっている。

ケース別成績(2016)

ケース別は、

ランナー無しが190-56 2本

一塁 76-17 .224 3本7打点

二塁 25-4 .160 0本2

三塁が12-1 .083 0本1

一、二塁 16-2 .125

一、三塁 8-4 .500 1本7

二、三塁 9-3 .333 0本5

満塁 8-2 0本4

※データは、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他を参考にした他、独自計算したものもあります。

岡田は、走者のいないときでもセットで投げる。岡田の場合、走者が出てクイックで投げると、アクセレーション前に肘の引っ掛け(右腕前腕部の回内)が作れない。肩甲骨周辺の筋肉を使って肩関節を回転しながら押し込むことができない。右股関節の内旋運動の回転半径が長くなり、加速距離が短くなる。投げ終わりに左足も立たないので、変化球も落ちない。

得点圏被打率は、ビハインド 21-2 .095、同点21-6 .286 リード 36-8 .222 トータル 89-16 .222

まとめ

岡田は、上記の分析から、先発もリリーフのどちらもこなせる投手と言える。

しかし、どちらのときでも、ボールを置いてファーストストライクを取らないこと、スライドステップのときにボールの切れ、変化球の落ちをレベルダウンさせないことが課題。

100球前後を投げる6回の失点が初回と同じく最も多いが、初回の8点中6点は、4月のヤクルト戦でのもので、再昇格してからは、立ち上がりは改善されている。

大谷を封じたように、勝負球に縦の変化球の割合を増やすことが必要だが、先発では、握力が落ちて真っ直ぐが走らなくなるから多投できない。

先発での奪三振率は、5.66だが、救援では12.60と跳ね上がる。

真っ直ぐの空振り率は、7.76と平均的だが、真っ直ぐのバックスピンは、救援のときにアップする。

先発のときでもリリーフのときでも、回の頭から投げるときは、三振でも点が入るとはいえ、三振が望ましい無死又は一死ランナー一、三塁、二、三塁のような場合以外は、攻め方を変える必要はない。初球から、各打者の打率の高いコース付近のヘッドステイバックをする間が作れない、スイングが加速しない、バックスピンをかけられない、打者によっては、インパクトまでの加速距離を長くできないコースに変化球を投げて打たせてとればいい。

リリーフのときの方が少ない球数で無駄な球がなく1アウトを取れている。

後ろの投手は、100球投げた先発よりも、真っ直ぐ系、変化球、共にバックスピンが増す強い球を投げられる投手でなければならない。

Johnson以外の先発投手のときは、Johnsonのとき以上に、野村にしろ、福井にしろ、点差は拮抗する。終盤の7,8回勝負になる。

ペナントレースは、5割後半勝てれば優勝争いに絡める。10割勝つ必要はない。

先発4~6番手は、負けても仕方がない投手で、5回4失点、4回3失点でも許容範囲であるから、別に2点台後半から3点台前半の投手でなくてもよい。

大野、佐々岡、大瀬良も先発の結果が悪くなくても、大野は開幕から、フィジカル上、望ましいことではないが、佐々岡、大野は、シーズン途中からリリーフに回っている。

リードして逃げ切るよりも追い上げる方が確かに難しい。

序盤の1~3回に3~4点であれば、長い攻撃で、相手投手は、外旋運動を停止したことにより、投球腕の上腕部棘下筋が張り、内旋運動を停止したことにより肩甲下筋が突っ張る。味方打線の追い上げもあり得ること、早めに降板させて継投させれば、何とかなる。

終盤1イニングで3~4失点したら、詰みの状況で、負けは確定に等しい。

ロースコアの僅差の試合では、リリーフに一人でも弱い投手がいたら負ける。

岡田には、スライダー、フォーク系と空振りを取れる変化球が投げられる。

バックスピンを増した真っ直ぐがあってのスプリット、フォーク(チェンジアップ)、縦のスライダー(ドロップ)なので、真っ直ぐでは先発のときより空振り率は高まっても中々三振を取ることは難しいだろうが(ファウルではカウントを稼げる)、変化球の奪三振率は、今年以上に上がる。

投球動作や投げている球そのものから、又、チーム事情からも、リリーフの方が対応できる。

岡田は、シーズン開始から、回の頭からのリリーフの方がいいと思います。

主な打者との対戦成績(2016)

坂本     7-4  .571

阿部     5-2  .400 1本

ギャレット  8-2  .250

村田     8-2  .250

長野     8-1  .125

筒香     10-5  .500 2本

倉本     9-3  .333

梶谷     9-3  .333

ロペス    7-2  .286

ビシエド   6-0  .000

大島     7-2  .286

平田     5-1  .200

福留     8-4  .500

中谷     6-3  .500 1本

鳥谷     8-3  .375

ゴメス    9-1  .111

追加更新情報

投球動作

(2017)

投球をワンバウンドさせる原因に関して詳説した記事

故障歴

過去に右肘内側側副靭帯再生術、屈筋腱断裂修復手術、肘頭骨棘切除手術を行っている(2021年10月27日)

年度別通算成績

NPB