トラックマンの導入により得られることとその限界

Last Updated on 2019年10月23日 by wpmaster

鈴木清明本部長は、各メディアに対し、広島東洋カープではトラックマン導入を見送る旨を表明しました。

トラックマンを導入しないことにより得られるメリットを享受するのは誰か

ユダヤ金融であるロスチャイルド、ロックフェラー、サザーランド、モルガン、チェスターは、実際には、労働に付される価値を借りて他の労働者から借りた価値を返している。

しかし、労働者から借りた価値を疎外して他の労働者に貸したことにしてしまっている。

ユダヤ金融は、自らに借り入れの申し込みをして、実体のない紙幣を無制限に発行し、実際には存在しない会社や国家を創造して労働者に借金を負わせている。

紙幣を無制限に発行できるので、労働者や産業資本が仮想通貨や中央銀行をフィクションしても経済上、法律上成立させないことができる。
貸した金が返ってこなくても、ユダヤ金融は破産しない。
生殖による労働力を再生産をしていない者にも、営業担当事務を行う者を派遣する。

企業資本には、労働者の代表であった産業資本が出資した自己資本とユダヤ金融が出資した他人資本とがある。
ユダヤ金融に労働量を多く課さされている大資本は、自己資本では賄いきれず、ユダヤ金融から借り入れをせざるを得ない。
経済関係上、ユダヤ金融の方が優位となり、産業資本、労働者はユダヤ金融にコントロールされる。
実体のない仮想債務である利息は、利潤を産み出したか否かにかかわらず、リスケジューリングによって返済の延期はできるが、法律上返済しなければならない。

松田元は、自社及び外注先の、納品してくる会社の労働者に付加する価値を搾って利潤を生みだしているが、自らの懐を潤しているのではなく、ユダヤ金融に貢いでいるのである。

トラックマンは、レーザを使った弾道測定器であり、トラックマンとカメラ映像を組み合わせて運用、分析する仕組みがスタットキャストである。

更にメジャーリーグ運営事務局では、スタットキャストの開発の継続とAmazon Web Serviceの機械学習システムを利用してパフォーマンスの解析の基礎とし、これらのデータは、放送局に配信されるだけでなく、アプリの取得によって誰でも取得できる。

トラックマンの開発、原材料、設置、試運転、運転、得られたデータの解析に関するイニシャルコスト、ランニングコストの合計額については、他人資本に依らなくても、産業資本が支出し合えば支払うっても経済上のダメージそのものは大きくない。

トラックマン、スタットキャストから得られるデータについては、全過程を通して撮影することによって得られた総論的なデータと動作の各段階の、又は肉体や道具の一部分を切り取った各論的なデータについても、この程度のことしか得られないのかというのが、私の率直な意見である。

よってトラックマンもスタットキャストを導入したからといって、それで全仕事が解決するわけではない。トラックマンやスタットキャストを導入した企業とで大きな差異が生まれるとまでは言えないのである。

トラックマンを導入することによって得られるものは何か

それでは、トラックマンを導入することによって得られるものには、どのようなものがあるだろうか。

投球要素

時間は、一の労働に対する価値を付する際に用いる架空の概念である。
①初速

②Spin rate(リリースポイントでの1分間当たりの回転数)

2016年のMLBの球種別スピンレート(rpm)の平均値は下記のとおりである。

4シーム 2253

2シーム 2159

カットボール 2275

スプリット 1613

スライダー 2264

チェンジアップ 1787

カーブ 2413

③Spin rate per velocity(spin rateを初速で割ったもの:SPV)

バックスピンは、ボールの回転軸がボールの進行方向と垂直になるボールの軌道のことである。すなわち、ボールの回転軸はピッチャーズプレートと平行になる。
SPVは、後ろ足の股関節の外旋、前足への軸足移動、前膝で地面を蹴ること、両股関節をぶつけること、上腕部の外旋→内旋、前腕部の回内によってコントロールする。
ボールの回転数が増すほど、揚力が増し、ボールの軌道がホップする。

ジャイロ回転は、ボールの回転軸がボールの進行方向と平行になるボールの軌道である。
揚力を受けないのでボールの回転数が増しても、SPVが増してもボールの軌道がホップしない。

④回転軸/回転方向

⑤ボールの軌道

データスタジアム社は、目視でコース、球種を識別しているので、トラックマンによる評価と乖離が生ずる。
トラックマン、スタットキャストも設置、稼働させるのは、労働力商品すなわち人間の肉体の稼働である。誤差も全く生じないわけではない。
投手は、ゾーン内に投げずにアウトカウントを稼ぐことはできない。
投手によって重要なことは、トラックマンやデータスタジアム社のデータ通りに投げることではなく、いかに瞬発力をロスせずに投げるかである。
打者は、いかにフルスイングできるかである。

スタットキャストによってわかることは、上記の他に、体感速度(錯覚)、スパイクの外側に体重が乗ってから前足の着地まで、前足の着地からリリースまでの時間がある。

⑥球種

⑦ボールの変化量

ホップ成分は、縫い目との関係によって股関節、腱、前脛骨筋、大腿骨、肩甲骨、前膝、上腕部、前腕部、指先によって産み出した瞬発力が作用して変化する、ほぼ無回転のボールよりも上にホームベース上で到達する場合を言う。

ドロップ成分は、トップスピン(バックスピンとボールの回転軸は同じだが、回転方向が逆)により、無回転のボールよりも下に到達したときのことを言う。

シュート成分は、ボールの軌道が右投手の投球腕方向に曲がっていた場合をいう。

スライド成分は、ボールの軌道がシュート成分と逆の場合を言う。

2016年のMLBの各球種の平均変化量は、下記のとおりである。

4シームのホップ成分は、45cmであり、シュート成分は、23cmである。

2シームは、4シームに比べ、ホップ成分が11cm少なく、シュート成分が15cm大きい。

カットボールは、ホップ成分が31cm、シュート成分が2cmである。

スプリットは、ホップ成分が20cm、シュート成分が29cmである。

スライダーは、ホップ成分が13cm、スライド方向に5cm曲がる。

チェンジアップは、ホップ成分が26cm、シュート成分が34cmである。

カーブは、ドロップ成分が15cm、スライダーよりも15cm曲がりが大きい。

⑧各審判毎のストライクゾーン

審判の仕事は、投手に球数を投げさせて労働の単価を下げることである。
ピッチングにとって重要なことは、審判と勝負することではない。ゾーン内に瞬発力をロスしない投げ方でボールを投じ、少ない球数で打たせて取ることである。
打者にとって重要なことは、臭いボールは、後ろの股関節をコントロールしてストライドを狭めてフルスイングすることである。
各審判毎のストライクゾーンを知ることのメリットはない。

⑨地面からリリースポイントまでの高さ

⑩プレートからリリースした距離

⑪変化球の変化するタイミング

⑫ホームベース到達時のボールの位置

投手要素

①リーチの計測

②リリースポイント

③投げ下ろす角度

④effective velocity(リリースポイントからホームプレートまでの最高球速)

打球要素

①打球の軌道

②滞空時間

③Spin rate

④打球方向

打者要素

①インパクトの瞬間の打球速度

②コンタクトの角度

トラックマンによって割り出された本塁打になりやすいSweet Point(バレルゾーン)は、打球の時速が158km/h、ミートポイントを基準点にした打球の角度が30度前後であるとされた。2017メジャー最長飛距離150.9mにおける打球速度は、190.9km/h、打球角度は、28.4°であった。

これに関連して各球種別の被本塁打率も判明している。
下記は、2017年のMLBの球種別被打率である。

チェンジアップ 2.0%
スプリット 1.9%
スライダー 1.7%
カットボール 1.6%
フォーシーム 1.6%
ツーシーム 1.5%
カーブ 1.3%

③インパクトポイント

④推定飛距離

守備要素

①野手の移動距離

②キャッチプロパヴィリティ(捕球確率)

③初動の速さ(ファーストステップ)

スタットキャストによりわかることは下記のとおりである。

打球を追う速度

捕球から送球までの時間

打球を追う走路

送球速度

走塁要素

スタットキャストによりわかることは、下記のとおりである。

リード距離
第二リード距離
スタート
加速
最高速度

トラックマンを導入しても得られないこと

トラックマンは、相手チームの動作を解析できるが、自分のチームの野球の動きを相手チームにも提供することとなる。
広島のスカウトは、ビジターの球場での試合においては、トラックマンにより相手チームの投手の投球や相手打者の弾道を測定できるが、ホームゲームで相手の投手、打者が放ったボールの軌道を測定することができない。

トラックマンは、観客席の壁の決められた場所に固定して設置するのでから測定するので、動作の全体を映し出せるものではない。投手のリリースポイントや捕手の手首の角度、打者のミートポイントは測定できても、肩甲骨や後ろ足のエッジのかけ方、後ろの股関節、腸腰筋、大腿骨の動きがわからないのである。
ボールの回転軸は実体がないので、測定することができない。
ボールの軌道は、選手のフィジカルによっても異なる。マウンドの掘れ具合によっても異なる。

肉体の稼働の一部を移すことにより、いかなる動作をすれば、いかなるサービスを産み出すかが全くわからないわけではないが、相関関係の全てがわかるわけではない。

ラプソードは、取扱説明書には、ホームベースから7フィートのところに設置しろとあるので試合中は使えず、他球団の選手の動きを測定できないが、脚立式で、自チームの選手の近くや全方位、全方角に設置することができる。
広島東洋カープは、取り付け取り外しに労力を要しないラプソードという装置を導入しているので、トラックマンやスタットキャストよりも多くのデータを得ることができる。
全部位を個別に測定し、それらを関係付けることにより、肉体の損耗の手がかりを得ることができるので、リハビリにも使える。

トラックマンやスタットキャストから得られたデータは、動作解析の問題点の一部を探る糸口にはなっても全ての問題点をピックアップしつくせるものではないのである。

トラックマン導入によって、自チームの選手のパフォーマンスを向上させることに限界があるだけではなく、他球団の選手の野球の動きの全てを解明することができるものではないのである。

トラックマンを導入するのであれば、ラプソードも併用しないとトラックマンの限界を補うことができない。

肉体の各部位や道具の各部位にセンサーや隠しカメラを取り付けて肉体の動作やヘッドの軌道を解析したりトラックマンの限界を補完する手段が必要なのである。
試合中や練習中に他球団の選手をラプソードで測定したり、他球団の選手にセンサーやカメラを取り付けることはできないのである。

トラックマンを稼働するのは肉体の稼働であるにもかかわらず、練習量が減ったことをもって、土地や機械が利潤を生みだしたかのように主張して選手や裏方のスタッフの賃金が下げられてしまうと言うことがあり得る。

データというのは結果であり、建築物の上層階に相当する。全ての問題点をピックアップすることに近付けて、サービスの源泉であるフィジカル、土台である肉体の稼働を修正、更新できたチームがサービスを向上することができる。

結論

現状としては、トラックマン導入は、金融資本が、人件費を抑制、削減したことに対する方便として利用しているというのが私の見方である。

私見としては、トラックマン、スタットキャストは、トラックマン以前に既に存在していたカメラ、センサー、スピードガンを始めとする解析ツールと全くと言っていいほど差がないので、トラックマンスタットキャストの更なる開発の更新、労働問題の進展を待ってからでも遅くはないと考える。