Last Updated on 2020年2月6日 by wpmaster
今季は、オールスター前に一軍昇格し、得点圏では、特に追加点を叩き出し、
3年振りの本塁打も放ち、リーグ優勝の瞬間にも立ち会うことができた。
ここ3年は、一軍で、79打数28安打 .354と結果も出している。
過去には、クルーンから本塁打を打つなど、速球系の投手には強い。
カープでは、数少ないホームラン打者の一人でもある。
しかし、投手が右肩が凹んで、膝が開いて手首が寝てボールを引っ掛けた
アウトローの極端なボール球に体が前に出されて振ってしまう。
手首の返しが早くてボールを引っ掛ける。
そんな岩本の打撃について解析してみよう。
岩本貴裕のバッティング
クローズドスタンスに近いスクエアスタンスで立ちます。
後ろ足を内旋した状態で立つので、股関節の外旋により、瞬発力を産み出すことができるので、インハイにも遅れず、ホームラン打者の立ち方です。
両膝をルーズに曲げて、両内転筋を緩く締めます。
前後に懐の深い打撃ができます。
クローズドスタンスやスクエアスタンスで、両内転筋を締める鈴木誠也、前田智徳、岩本貴裕のような打者は、内旋していた両股関節を外旋し、前の膝を外旋して前膝を投手側に運んだときに瞬発力を産みます。
骨盤の上に頭を乗せて、体を緩く「く」の字に曲げます。
両肩も水平になっています。
ボトムハンドの中指、薬指、小指で緩くバットを握ります。
バットのロゴマークは、捕手の方に向けています。
両脇は、緩く締めています。
右肩が内に入らないので、肩の可動域を広く使えて、インハイに差されにくい。
投手が足を上げたときに、右足の踵で地面を踏みます。
投手が重心を落とし始めたとき、右足を上げ始めます。
投手は、着地寸前になれば、投球動作が修正が難しい。
岩本は、投手がステップする足を着地する寸前に
右足を骨盤より下のところまで上げ、グリップの位置を下げ、ヒッチします。
左足のエッジのかけ方(スパイクの内側の歯を地面をかませること)が甘い(≠緩い。緩いは、太腿、ふくらはぎ、くるぶしに負荷がかかり続けていないこと。)ので、頭が前に出されます。
どちらの骨盤の上にも乗っていません。
右足を下し始め、グリップの位置を上げていきます。
骨盤が三塁側にスライドしています。
これも、右足のエッジのかけ方が甘いからです。
上下、前後にスイングがブレます。
瞬発力も消耗させてしまいます。
取り敢えずは、後ろの骨盤は、隠せています。
右足を下し、グリップの位置を上げてトップを作っていきます。
左足のスパイクの外側に重心がかかっています。
どんな選手でも、引き付ける瞬間は、後ろ足のスパイクの外側に一瞬重心が移ります。
左股関節を内旋しても、左足が後ろに(一塁側に)下がっていないので、左足も踵体重にはなっていません。
トップを作ってから振り下すまでの間ができ、スイングの結果として、
ボールを見続けられていたことになりますが、
太腿、ふくらはぎやくるぶしに瞬発力による重心の負荷がかかり過ぎてしまっているので、瞬発力が消耗してしまいます。
大腿骨を骨盤に突き刺すのが遅れます。
ステップ幅が狭いこととにより、瞬発力のロスが相殺されて、インハイの球が打てているのである。
トップを、左足よりも一塁寄りに、深く入れます。
トップの角度、深さ共にホームラン打者のものである。
右くるぶしを投手の方に向けてステップして。
右足の着地の位置を探っていきます。
ボールを引き付けすぎて、振り下ろしが遅れ、ヒップファーストなので、
頭が更に前に出されています。
ここまで、右肩は、投手の方を向いています。
右足を着地したときに、トップの角度は、キープできていて、左肩と耳の間からヘッドを振り下ろし始めます。
徐々に割れを作っていきます(右膝を外旋、上体を内旋)。
着地の位置を探った後の着地のステップの幅は、他の打者に比べて、尋常でなく狭いので、腸腰筋回転を瞬時にできるので、インハイに右膝が伸びない(差されない)、ゾーンから大きく外れたボール球や落差の大きい変化球でも前で拾って当てられる。
グリップも両肩より上に行きませんので、バックスピンがかけられます。
後ろの肩が振り下ろしたときに下がっていきません。
しかし、左足のエッジのかけ方(左足の内側のスパイクの歯を地面に噛ませること)が甘いから、体が前に出される。
ボールの軌道と45°にバットを振り下ろしていきます。
ステップ幅が狭いことも、この振り下ろす角度を助けています。
グリップの角度をキープできていたので、ヘッドがしなります(錯覚の話です)。
右脇、右肘が開かず、緩く締まっています。
胸は投手の前に出していません。
ここでも、ヘッドがしなっています(錯覚の話です)。
一応、前の腰が横にズレています。
右足を着地したとき、右足の内側全体でエッジをかけていなかった分、前の腰が大きくズレていないので、右足は、拇指球で回転しています。
肋骨周辺の筋肉をスライドしていきます。
肘から先に出るインサイドアウトですが、グリップが肘より先行しないので、引っ張ることができます。
ボールの下2/3に、こするように、バットをくぐらせてバックスピンをかけます。
右膝が緩く曲がっています。
ここまでは、右足の拇指球、腸腰筋で回転します。
右肘が開きません。
右肘も上がりせん。
インハイに強い原因はここにあります。
右肘を肋骨に沿わせて一塁側に引きます。
徐々に右足の外側の歯を支点に移していき股関節を外旋していきます。
両肘が伸びます。
右肘でボールを掃います。
右足の踵を支点で回ります。
右肩が開いていなかったので、両肩甲骨を剥がすことができるので、
バットが背中につくまで振り切ることができます。
ホームラン打者のフォロースルーです。
左足も股関節の外旋方向にターンしています。
各種成績
33試合 48打数 18安打 .375 1本 13打点 四球1 犠打1 併殺2 三振 15
出塁率 .388 長打率 .521
OPS .909
代打成績 14-6 .429
2ストライクを取られてからの打率 23-7 .368
コース別成績
右投手
左投手
右投手のストレート、フォーシームより失速の少ないカットボールが来るインハイ、真ん中高めは、打っている。
右左共、アウトローのボール球、右投手の真ん中低めのボール球に手を出している。
ストライク空振り率 9.09%
ストライク見逃し率 35.23%
ボール球見極め率 62.96%
球種別成績
ストレート 23-11 .478 1本 6振
スライダー 11-3 .273 4振
カーブ 6-2 .333 2振
カットボール 1-1 .1000
フォーク 3-1 .333 1振
シュート 2-0 .000 1振
シンカー 1-0 .000
チェンジアップ 1-0 .000 1振
打球方向
左方向 24-4 .167
中方向 16-9 .563 1本
右方向 8-3 .375
ケース別成績
得点圏 18-8 .444 1本
ビハインド 6-3 .500 1本
同点 3-1 .333
リード 9-4 .444
主な投手との対戦成績
Matheison 3-1 .333
西村 1-1 .1000
マイコラス 2-0 .000 2振
菅野 0-0 .000
(通算 6-1 .167 1振)
小川 3-1 .333
原樹里 1-0 .000
ルーキ 1-0 .000 1振
近藤 1-0 .000
ウィーランド 7-3 .429 1打点
エスコバー 1-0 .000
田中健二朗 2-1 .500
砂田 2-0 .000 2振
三嶋 1-0 .000 1振
三上 1-0 .000
谷元 2-1 .500 1本 3打点
又吉 2-2 .1000 1打点
三ツ間 2-0 .000 1振
福敬登 1-1 1打点
伊藤準規 1-1 .1000
藤浪 2-1 .500
(通算 8-4 .500 5打点 2振)
桑原 3-1 .333 1打点 1振
石崎 1-0 .000 1振
ドリス 1-0 .000 1振
まとめ
良いパフォーマンスを継続していくことができずに、一軍に定着できなかった原因を総合的に探って結論付けるとすれば、次のようになるだろう。
まず、ヒッチは、優れた打者として評価されている選手は、ほとんどすることで、投球動作とのシンクロを助けている。
ステップ幅が狭いのは、前後にスウェイ(体が前に出されること)の原因ではなく、むしろ長所なので、修正する必要はない。
後ろ足を、前足を着地させた後も、エッジをかけたまま前に運んで、後ろ足の内くるぶしを地面に付けてスイングを止める打ち方は、変化球打ちには、よりよいパフォーマンスを産み出すが、スイングした結果としてのインコースベルトより上の体感速度の速い球には、差されてしまうことがある。
前足を拇指球で着地後、後ろ足の踵を浮かせて、前足の拇指球と後ろ足の母指球で回る打ち方でも、トップの角度をキープしている間は、後ろ足でエッジをかけてるプロセスがある。
トップを作ったとき(始動のとき)、後ろ足のくるぶし、ふくらはぎに負荷がかかり続けることにより、瞬発力が消耗し、
後ろの足のエッジのかけ方が甘くなることにより、体が前に出されることが、打撃を崩す原因になっている。
トップを作ったときに、タイトに後ろの膝が曲がっているので、もう少し、後ろの膝を緩くを曲げる必要がある。
岩本の役割は、走者を還すこと。
四球が少ないのはいい。
上記の問題点が解消できれば、目線から遠く、即対応することが要求されないアウトローのボール球にヘッドが返ることが激減して打撃が安定し、レギュラーを獲ることも不可能ではないだろう。