2018年キャンプ、オープン戦のチェックポイント

Last Updated on 2019年7月12日 by wpmaster

先日、2018年のキャンプの一、二軍の振り分けが行われました。

振り分けは以下の通りです。

【1軍】

<投手>九里、大瀬良、今村、岡田、野村、中崎、藪田、中田、一岡、高橋昂、塹江、藤井皓、ジョンスン、高橋樹、アドゥワ、戸田、辻、オスカル、ジャクスン、中村祐、カンポス、フランスア(練習生)

<捕手>會澤、石原、磯村、坂倉

<内野手>上本、田中、安部、堂林、新井、菊池、庄司、美間、西川、メヒア

<外野手>丸、下水流、野間、松山、鈴木、バティスタ

【2軍】

<投手>福井、加藤、永川、横山、床田、ケムナ、飯田、山口、中村恭、長井、遠藤、平岡、佐藤、岡林、藤井黎、佐々木、モンティージャ(練習生)タバーレス(同)

<捕手>中村奨、白浜、船越

<内野手>小窪、桑原、エルドレッド、青木、木村

<外野手>岩本、赤松、土生、天谷、高橋大、永井

今季、一軍の戦力になってくれるであろう選手については、過去記事の中で、採り上げましたが、これまで採り上げてこなかった選手について先に採り上げます。

一軍キャンプに呼ばれた選手の中では、アドゥワは、昨シーズンは、一塁側に右足をターンするメジャー式の投げ方で、数字こそ上がらなかったものの、脱力できてよくなりかけたのですが、秋季キャンプでは、何者かに直されたのでしょうか、三塁側に重心を残す投げ方に変えさせられてしまったのが残念です。

プロ野球指導者やオールドファンのオッサンの中には、一塁側に流れる投球動作を批判し、外国人投手=上体の力に頼った手投げ、日本人投手=下半身を使ったピッチングという固定観念に縛られている方が多く見られます。

ステップした方の足を垂直に曲げているのは、着地した瞬間だけです。

いつまでも垂直に膝を曲げて重心が低いままでいたら、下半身がロックされて瞬発力をボールに伝えることができません。

腕が出ていかないのは、後ろの股関節の外旋が早いからです。

後ろの股関節の外旋を肘の出よりも遅らせれば、ステップした足を膝を伸ばして壁を作っても故障しません。

バッティングも同じです。

かつて落合さんは、壁を作ると膝を故障する、だから壁を作らずに前の膝を回せと言っていましたが、

股関節の外旋が肘より先でなければ、膝は故障しません。ターンするのは、ピッチングもバッティングも後ろの足の方です。

一旦壁を作らないと、三塁側のファウルゾーンに打球が切れてしまいますし、瞬発力も伝わりません。

昭和の日本人投手のように、フィニッシュで三塁側に四股を踏めば、フォロースルーの出口をふさぎ、腕だけ内旋することになります。

手投げなのは、日本人投手で、下半身を使った投球をしているのがメジャーの投手です。

先発で100球投げたとして全力投球できるのは、せいぜい20球。

それゆえに、残りの80球も、肩、腕、肘に負荷を掛けることなく(もの足りないぐらいでいい)、下半身を使って瞬発力を損なわない球を投げなければならない。

ファンの方は、現場には関与できませんので、せめて固定観念を取っ払って野球を観て下さい。

辻空は、腕の位置を下げましたが、腕の位置は、胸の張り、回転軸の傾け方によって調整します。

サイドアームやアンダーアームにすれば、三塁側に(左投手の場合には一塁側)重心がかかります。

打撃系格闘技のアッパーやフックがストレートよりも瞬発力が損なわれるのと同様に、サイドアームやアンダースローは、頭の位置と腕の軌道が遠いので瞬発力が伝わりません。

このことは、ドアスイングが瞬発力を逃がすのと同じです。

ヘッドが遠回りすると加速するということを聞いたことがある方も多いかもしれません。

ゴルフは止まった球を打つので腰の回転が先ですが、野球は、動く球を打つので肘が先行です。

肘を伸ばしたまま振り下ろすドアスイングよりも肘先行で、ヒッチとステイバック(ステイアップではない)の幅を広げて前の肩の開きを遅らせるバットを出すインサイドアウトの方がヘッドの軌道が長くなります。

したがって、投手は、ボールを地面に叩きつける練習をして、腕のトップの位置、コッキングの角度、腕の軌道を固めます。

今回、一軍キャンプに呼ばれた投手手で個人的に注目しているのが練習生のフランスワ。

フランスアのピッチング

ジェロニモフランスアは、ドミニカのカープアカデミーの出身のカープの練習生で左投手です。

ドミニカや西アフリカ系の選手は、腱が細くで長いので、瞬発力が投げられます。

私は、遺伝については、否定派ですので、経済関係、労働条件、トレーニング方法、食生活によるものと考えます。

日本人でも、菊池などは、身長も165程度で女の子のように腱が細長いですが、大の偏食家ですので、これは瞬発力を消耗させない体の使い方をしていることによるものでしょう。

私は、ヘボい左投手を投げさせるぐらいなら、まともな右投手を投げさせろという考え方なので、左腕不足というチーム状況からここで取り上げるわけではありません。

過去には、四国の独立リーグに派遣され、Max156キロを記録しています。

三軍及び二軍の練習試合でも投げています。

真っすぐ系の球速は参考程度で当てになりません。

記録上の数字よりも打者がスイングした結果として体感速度が速く感じられるかが遥に重要です。

それでは、フランスワの投球動作を解析してみましょう。

フランスワは、右膝を骨盤よりも高く上げ、右膝を内に入れます。

ヒップファーストで重心移動をしていきます。

左足の重心は、どちらかというと拇指球にかかり、踵が若干浮いています。

右足のくるぶしを本塁側に向けていきます。

左腕を下げ、グラブの位置も胸より下にして脱力できています。

左足のスパイクの内側でエッジをかけ、骨盤も滑っていません。

股関節の内旋もできており、後ろの骨盤も隠せています。

左腕を緩く内旋します。

左腕は、背中に付くところまで内旋しないので、テイクバックは大きくありません。

左肩が右肩よりも若干下がっているので、左肘が上がり縦回転の球が投げられます。

極端に左肩が下がっていないので左肩も損耗しません。

左肘が左肩よりも上がっていないのでルーズショルダにもなりにくい。

グラブを持つ手も内旋できているので、右肩が開きません。

エッジをかけた左足からボールを持つ左手までCアーチがかけられています。

上体も骨盤の上に乗っています。

右足は、スパイクの内側を地面に向け、拇指球から着地に入っていきます。

右肘と並進運動をしていきますので、下半身が損耗しません。

しかし、着地の途中で左足が一旦静止してしまうので、止めることなく右膝を本塁方向に向け、着地すると更に瞬発力を損なわない球が投げられます。

大腿骨を骨盤に差して両肩甲骨をぶつけていきます。

左腕のトップを作ります。

ボールを持つ手は、耳の方に向き頭との距離も近い。

右膝を本塁側に向け、右肘との並進運動を続けています。

左足を蹴り始めたときに左股関節、腸腰筋が外旋し始めておらず、左股関節、右膝にタメがあります。

ボールを持つ手も頭の後ろに隠せています。

胸の張りを作り、三角筋を使って左腕上腕部を後ろに引っ張ります。

両肩甲骨を剥がしていきます。

ボールを持つ手も後ろに隠せています。

コッキングの角度は、ほぼ直角でボールを持つ手が頭の近くにあります。

重心移動前は、左足の踵が浮き、右足も拇指球から着地しますが、胸の張りが大きいので、左肘が上がり方も日本人投手と比べ尋常ではなく、回転軸が三塁側に傾きます。

回転軸と左腕が直角に交わり、右膝が開かないので、左腕がドアスイングせず、回転数の多い球が投げられます。

リリースの瞬間、右足の内転筋、太腿の裏を使って右膝を後方に伸ばしていくので瞬発力がボールに伝わります。

テイクバックが小さく、腸腰筋の内旋が早くなかったので、頭が前に出されず、後ろが小さく前が大きい投げ方です。

右膝を蹴り伸ばし、壁を作りますので、股関節が前に出ません。

左腕を内旋し、フォロースルーの通路をふさぎません。

左肩、左肘も捕手のミットの方向に向いています。

左足の股関節も伸びていないので、瞬発力が逃げません。

右足を三塁側にターンさせます。

投球動作上は、完璧でこそありませんが、合格点です。

一軍の打者も対応が難しいでしょう。

オープン戦で試運転をして、開幕後にファームの試合に投げさせ、結果に関係なく、支配下選手登録して今シーズンに一軍に上げろ。

坂倉vs中村奨成

坂倉のバッティングについては、過去記事において何度か採り上げた。

坂倉のバッティング其の壱

坂倉のバッティング其の弐

昨季閉幕前の段階において、もはや二軍レベルではない。

カープファンの皆様方が期待していらっしゃる美間、高橋大樹、庄司よりも、既に遥かに上のレベルにあります。

二軍の水準を超えて一軍で通用するレベルにあるのですから、二軍に置いておいても仕方がありません。

今季は、會澤85試合 坂倉45試合、磯村と石原で13試合と、坂倉には45試合ぐらい先発マスクを被らせてもいいでしょう。

どんどん失敗させて下さい。

中村奨成は、二塁への送球のスピード、送球のキレはプロの捕手としては並みですが、キャッチングやボールを止めるのは結構上手いです。

前に落として一塁への送球も甲子園のときよりも、大分俊敏に動けるようになりました。

岡田明丈も相当上背を盛っていますが(安部よりも低い)、中村奨成も公称は、185センチですが、体が細いからではなく、他の選手との比較で大分盛っている(多分179ぐらい?)でしょう。

よって、二軍で練習、実戦を積めば守備は、プロでモノになるでしょう。

どうやったら使われる捕手になれるかについて野村謙二郎に訊いていたようですが、メンタル論に終始していましたので何が言いたいのかわからなかったかもしれません。

実践的な話をすると、審判にボールの交換を頻繁に要求する捕手がいますが、

そういう捕手は、総じて投手から嫌われます。

新球は、滑らないのでバックスピンがかからず、変化球も変化しないからです。

それと、たかが走者一、二塁程度でマウンドにいかないこと。

投手は、試合中は、自分の投球動作を見ることができません。

オスカルとかじゃなくて一軍の投手の球をブルペンやフリー打撃のときに受けて、常に新しいピッチングを勉強して、動作解析については、少なくとも畝コーチよりも詳しくなって、フィジカル上の異変を察知できるようになって下さい。

中村奨成と坂倉とを高校三年の段階で両者を比較しても攻守ともに坂倉の方が勝っていましたが、現段階では、坂倉は、中村奨成の手の届かないレベルにあります。

中村奨成の二軍スタートは、至極妥当でしょう。

心理学の話で言っているのではありませんよ。

今季一軍で5本塁打?

今のバッティングでは無理です。

清原がプロに入団した32年前とは、一軍投手のレベルが段違いです。

今季一年は、二軍で捕手として実戦を積ませましょう。

逆方向へ打つのは、練習でやることです。

二軍の投手と対戦して、成績ではなく、引っ張った打球が6割前後、逆方向の打球が15%以下になってから一軍デビューです。

岩本の打撃改造

岩本は前田智徳同様、すり足に近い足の上げ方ですが、東出は、岩本に始動を早くして右膝を高く上げるように言いました。

更に、東出は、岩本に、悪癖が出るといけないから右膝を内に入れずにそのまま下に落とせと言いました。

すり足打法で、ボールの軌道、振り下ろしの結果としての体感速度に応じて着地の位置を調整できるのは、前田智徳ぐらいのレベルにならないと難しいでしょう。

投手が足を下し始めたときに右足を上げ始め、始動を早めることにより、投手が投げる方の肘をつまみ上げたときに、ステイバックすれば、ボールを持つ手とグリップの位置が遠くなり、スイングの結果、目線がボールから遠くなります。

始動を早めれば、振り下ろすまでの間に、グリップの上下移動、トップの角度、深さを調整しやすくなります。

右足を上げるときに、右膝を内に入れてヒップファーストで右足の着地位置を探らずに、そのまま右足を真下に足を下すと、右足で弧を描いたり、右肩、右膝の開きが早くなります。

右肩の開きが肘が前に出るよりも先だと、振り下ろし始めたときにボールの軌道が死角に入ります。

ヒッチすることと、後ろ足でエッジをかけることで右肩の開きが肘の出よりも早くなることを抑止します。

右足を真下に落とすことで体が前に出されることや、右肩の開きが肘の出よりも早くなることを抑止するのではありません。

すり足打法だろうと、スライドステップだろうと前の膝を内に入れてヒップファーストで着地の位置を探ります。

基本的には、バッティングも、体の使い方は、ピッチングと同じです。

岩本は、入団前からの技術水準から言っても、打撃に限って言えば、松山どころか後輩の柳田悠岐以上になっても驚かない選手。

まだまだ、一寸したころで(具体的には、腰が前に出されること)変われる選手。

東出も岩本も、元投手ですから、そこら辺は、私なんかよりは比較にならないぐらい詳しいでしょうから、よく話し合って新しい打撃を作り上げて欲しいものです。

鈴木誠也の一軍キャンプ参加

監督コーチは、鈴木誠也を一軍に置いてリハビリのオーバーペースを抑止するようです。

これは私も賛成です。

故障箇所付近をも含めてギプスで固定していましたので、関節や腱の動作が従前のレベルに回復するまでには、相当かかります。

昨シーズンは実戦復帰することなく閉幕を迎えましたので、実戦の打撃の中でスイングしていませんので、実戦の中での投手の投球に対応するのには、それ相応のプロセスを要します。

開幕戦出場は、100%無理でしょう。

交流戦に代打出場、DHのある試合で先発出場。

それも難しいかな。

今季は、ゴロを打っても全力疾走しない。

外野に抜けるヒットや四球で出塁した場合には、代走を出す。

故障前の動きができるのは、2020年頃になってからではないでしょうか。

速い送球を投げるのも、打球を遠くに飛ばすのも、腱や関節の伸縮を使った瞬発力。

いかに直前まで脱力できているか。

鎧のような筋肉ではない。握力でもない。

重力や推進力でもない。

これ以上は、体重を増やさない方がいいのではないか。

松山のファーストは、キャッチボールからやり直せレベルなので、

今季以降、松山は外野専門で、バティスタは、外野よりも、エルドエレッドと共に、むしろファーストの方がいいように思います。