Last Updated on 2023年3月8日 by wpmaster
野村祐輔は、勝利数こそ9勝ですが、防御率は、2点台。
QS率だけを見ると68.00%ですが、5/23日のヤクルト戦に腰痛で3回2失点で降板し、10日間の登録抹消がありましたが、シーズン通して先発ローテーションを守り、
投げた試合は、8/15日(阪神戦6回6失点)の1試合を除き、試合を作り、優勝に貢献してくれています。
結果としては、申し分のない数字です。
しかし、更にレベルアップできる改善点があれば、どこにあるでしょうか。
野村祐輔の投球動作を見ていきましょう。
野村祐輔のピッチング
プレートは、やや一塁側を踏みます。
縦回転の球が投げられます。
振りかぶらないノーワインドアップモーションです。
左足を骨盤の高さまで上げ、グラブを頭のところまで上げます。
踵もつま先も下がってがっておらず、足裏全体でプレートに平行に踏んでいます。
上体の傾きから言うと、右足は、どちらかと言うと、踵に重心がかかっています。
グラブを胸の高さまで下ろし、腰を後ろに捻ります。
ヒップファーストの投げ方です。
ヒップファーストにすると、左膝や頭が前に出されたり、左膝が開いてしまう投手とそうならない投手とがいます。
これは、右足のエッジのかけ方が甘かったり、右足の拇指に体重がかかっていると左膝が前に出されたり、左膝が開いたりします。
また、右肩が下がる角度が大きいと、着地後、上体がバタンと前に倒れますが、野村の場合、右肩は下がっていません。
逆に水平すぎるので、縦回転の球が投げられません。
右の股関節は、内旋していますが、骨盤が三塁側に滑っています。
ボールを引っ掛けてアウトローに外れてしまったり、インハイに外れたりします。
上体は、骨盤に乗ってはいますので、右足のエッジのかけ方が甘いということです。
グラブを持つ手は、脱力して、左肩は、内旋出来ています。
重心を落として、左足を下ろします。
後ろの骨盤は、打者に隠せています。
左足で弧を描いています。
左足が体幹から離れていってしまっている。
これでは、瞬発力を消耗します。
瞬発力が外に逃げてしまうのです。
膝が開いていきます。
もっと素早く左膝を本塁方向に向けていく必要があります。
ここで、左の膝下を体の方に戻します。
左膝を本塁方向に向けていくのが遅れています。
左の股関節から先が三塁側に伸びたままであったということです。
右手首を内旋しています。
右肘を逆L字型に曲げています。
右足でエッジをかけて、cアーチが出来ています。
ここだけ見れば、瞬発力がボールに伝わる投げ方です。
しかし、右肩、右肘が上がり、両肩がM字型になっていますので、ルーズショルダーになりやすい投げ方です。
大腿骨を骨盤に突き刺します。
しかし、左肩が開いてしまっています。
トップを作ります。
右足を蹴り始めます。
ヒップファーストの投げ方で、且つ、右肩が極端に下がらなかったので、頭が前に出されません。
腸腰筋こそ外旋していませんが、右の股関節は、外旋しています。
ボールを握る手は耳の方を若干向いていますが、
トップの角度は、ほぼ直角です。
ボールを握る手は、頭の後ろに隠せていますが、後ろの骨盤は、隠せていません。
左足は、踵から着地します。
胸の張りを作りますが、それほど大きくありません。
左足は、スパイクの内側の踵から着地します。
左足の膝が垂直に曲がっていますが、開いてしまっています。
三角筋を使って、右肘上腕部を後ろに引っ張ります。
しかし、ボールを握る手が打者に隠せていません。
左足を踵から着地させた分、右肘は上がりますが、右肘の角度は、スリークウォーターです。
右の股関節の外旋が早いのが原因です。
捕手のミットに背中を向けていき、右腕を内旋します。
左膝を上方に蹴り伸ばします。
出かかった左股関節を引くので、回転軸ができ、これだけ見ると、瞬発力が伝わる投げ方です。
昨シーズンと今季前半は、フィニッシュでの右足の一塁側へのターンは、出来ていたのですが、
フィニッシュのときに、三塁側に重心が残ります。
フォロースルーの通路を塞いでしまっているので、右腕が振り切れません。
右腕だけで内旋することになります。
右肩関節唇損傷が完治していないので腕が振り切れていないのであれば、この三塁側に重心を残す投げ方は、更に損耗させてしまうでしょう。
今季の成績
25試合 9勝5敗 2,560球 645人 155回1/3 152安打 12本 38四球 4死球 106奪三振 自責48 防御率 2.78
中5日が、2回、それ以外は、登録抹消期を除き、中6日で登板
1試合最多投球数は、126球
1試合平均 102.4球
コース別成績
右打者
左打者
野村は、体の開きが早いが、右打者の、インハイは、打者との目線が近いことに助けられている。
打者の目線から遠い、ストライクゾーンの真ん中低め~アウトローは、右打者、左打者共に打たれている。
球種別成績
シュート 124-37 3本 .298
チェンジアップ 141-34 .241 1本
カットボール 117-30 .256 2本
ストレート 78-21 .269 1本
スライダー 77-16 ,208 2本
カーブ 50-14 .280 3本
フォーシームも、縫い目をズラして投げるので、厳密には、フォーシームの軌道ではない。
ストレートのMaxは、144km/h
右打者のフロントドアのインコースのスライダー、カットボール、は、打たれていない。
左打者のバックドア(ツーシーム、シュート)、シュート系が打たれている。
outの内訳
三振 103
内野ゴロ 199
併殺によるアウト増 15
内野フライ 34(内、邪飛10)
内直 5
3バント失敗 3
外野フライ 88(内、邪飛3)
犠打 14
犠飛 2
捕殺(安打) 1
盗塁失敗 2
合計 466
内野失策 4
フィールド内に飛んだ打球のゴロ比率=199+4/466-103-1-2-15+4=58.1%
フェアゾーンに飛んだ打球のゴロ比率=203/466-103-1-2-15-3-10-3=60.4%
主な打者との対戦成績
阿部 13-3 .231 3振
坂本 14-3 .214
マギー 11-2 .182 1本 1振
長野 11-3 .273 1振
村田 8-2 .250 1本
小林 10-2 .200
中井 10-3 .300 1本 2振
重信 8-3 .375 2振
陽 6-1 .167 1振
亀井 4-1 .250 1振
立岡 7-1 .143
雄平 5-3 .600
山田哲人 5-2 .400
バレンティン 4-1 .250 1振
中村悠平 4-1 .250
坂口 5-0 .000 2振
倉本 15-7 .467 2振
桑原 19-3 .158 5振
柴田 9-4 .444 1振
ロペス 16-7 .438 1本
筒香 16-6 .365 2本 3振
宮﨑 14-2 .143 2振
梶谷 15-3 .200 6振
嶺井 5-1 .200 1本 2振
石川 8-0 .000 1振
高城 6-0 .000 1振
戸柱 5-1 .200 2振
ビシエド 10-3 .300
溝脇 2-1 .500 1本
京田 12-5 .417 1振
大島 9-2 .222 1振
ゲレーロ 8-0 .000 2振
福田 5-2 .400 2振
松井雅人 7-2 .286 4振
藤井淳志 7-4 .571 1振
高橋周平 3-2 . 667
梅野 6-4 .667 1振
鳥谷 10-6 .600
大山 7-4 .571 1振
西岡 12-5 .417 1振
中谷 13-5 .385 1本 1振
福留 13-2 .154 1本 1振
糸井 8-3 .375
上本 7-2 .286 1振
糸原 2-2 .1000
北條 5-2 .400 1振
原口 1-0 .000
大和 7-0 .000
髙山 5-0 .000 2振
清田 3-2 .667 1振
角中 2-1 .500
上林 3-2 .667
今宮 3-1 .333 1本
柳田 3-1 .333 2振
川﨑 4-0 .000
茂木 4-2 .500
アマダー 3-1 .333 1本
ウィーラー 3-1 .333
ペゲーロ 4-1 .250
カード別成績
巨人 5試合 2勝2敗 32回 6自責 防御率1.69
ヤクルト 2試合 0勝0敗 10回 3自責 2.70
DeNA 6試合 3勝1敗 39回 13自責 3.00
中日 4試合 2勝0敗 27回 4自責 1.33
阪神 5試合 2勝1敗 28回 15自責 4.82
ロッテ 1試合 0勝0敗 5回 3自責 5.40
ソフトバンク 1試合 0勝0敗 7回 2自責 2.57
楽天 1試合 0勝1敗 7回1/3 2自責 2.45
※文中データは、データで楽しむプロ野球を基に作成しています。
まとめ
修正点としては、次のようなことが挙げられるでしょう。
1. ステップのときに、左足で弧を描くこと。
2. 左肩が開くのが早いこと。
3. 右股関節の内旋もないわけではないですが、骨盤が三塁側に滑ること。
4.上の3つと関係がありますが、右股関節の外旋が早いことで、ボールを握る手が顔と遠くに回ること。
5.フィニッシュのときに、右足の重心が三塁側に残ること。
6. 右肩を内旋するとき、右肘が上がる。
左足で弧を描いたり、フィニッシュで三塁側に重心を残せば低めの制球は良くなります。
しかし、それでは、シュート回転して失速してしまいます。
1~5のことが解消されると、更に瞬発力の乗った球が投げられます。
技巧派投手も生命線は、真っすぐ系の回転数、バックスピン、真っすぐ系が失速しないことです。
野村は、左足で弧を描く動作がなくなれば、右肩に負荷をかけなくても、まだまだ、打者に、打者がスイングした後に速いと錯覚させられる真っすぐ系が投げられます。
くれぐれも、コーナーピッチングをしないことです。