Last Updated on 2017年12月4日 by wpmaster
今日の先発は、藪田和樹と金子千尋。
藪田は、8回 115球 3安打 11奪三振 2四球。
奪三振もコーナーを突いての見逃しではなく、大部分は空振り。
藪田は、他の投手よりもインコースを使うんだけれども、
6回に、左肩が内側に入り、両肘の高さが高く、バットを担ぎ、左足を上げ、左足で弧を描き、
インハイに差される打ち方の中島宏之に対し、外一辺倒で歩かせた。
それ以外は、完璧な投球。
プロ入り当初から、他のファンから過大評価だと言われながらも、高く評価し続けた俺としては、純粋に嬉しい。
藪田は、ストレートの平均球速が則本を抑えて12球団ナンバーワン。
球速なんてどうだっていい。
重要なのは、打者の錯覚だ。
藪田は、球速表示以上に打者は感じていたのではないか。
根拠は以下に書く。
藪田は、チャップマン、いいときの岡田やブレイシア同様に足を上げた後、左膝を本塁方向に真っすぐ伸ばして
予め本塁方向に向けて左足で弧を描かずにストップすることなくステップし、ストップすることなく着地する。
ステップする足で弧を描かない投手も、膝を曲げたまま真下に左足を下すと、本塁方向に左足をステップするときに軸と左足が一旦止まる。
腰から下、両足に体重が負荷される。
そこで下半身が消耗してしまう。
よって、着地し、リリースしたときに最大に瞬発力、体重が伝わらない。
藪田は、左足を下してからストップすることなく本塁方向に着地するので、リリースの瞬間に
Maxで体重、瞬発力が伝わる。
テイクバックを大きく取る動作は、トップを作ったときに手の平が外側に向き、
リリースをしたときに手のひらを正面に向けることで、腕が真下に内旋するので、
ボールにバックスピンがかかる。
藪田は、テイクバックが殆どない投げ方になったのは、
肩肘の故障により、テイクバックをしたことによる肩への負荷に耐えられなくなったからだと書いた。
テイクバックが大きく、頭が前に突っ込むと三塁方向に空間ができます。
恒常的に肩が痛い投手は、テイクバックを取ることにより、腕が横振りしやすくなります。
球速表示が出ていても打者は遅いと錯覚し、ボールが見やすく、
ボールの下にバットを入れやすくなり、バックスピンがかかった打球を打たれます。
一方、藪田のように、テイクバックを取らないことにより、頭が本塁方向に向かって前に倒れることがなくなる。
肩肘に負荷をかけることなく、トップを作ったときに肩肘が上がります。
腕をつまみ上げるように上げた段階で手のひらも外側に向いています。
手首が寝てボールを引っ掛けてアウトローに外れることがほとんどない。
縦回転でバックスピンをボールにかけられます。
頭が前に突っ込まないので、下半身にタメ(二塁側に股関節を引いて外旋し、着地したときに左膝を直角にすること)ができる。
右足から左足への重心移動も円滑にできる。
投げ終わったときに左膝が真上に伸び、左膝を軸に骨盤を回転し、右足を左足の上を通過させ、
一塁側に重心移動しやすくなる。
ボールが左打者のアウトハイに外れることがほとんどない。
テイクバックが小さい投げ方は、フォローを大きくすることができるのだ。
したがって、リリースの瞬間にMaxでボールに体重、瞬発力を伝え、且つ、
腕を最後まで振り切ることができる。
現段階でも、広島の先発、リリーフを含めた全ての右投手の中でナンバーワンといってよい。
金子に投げ勝ったこともそんなに大騒ぎするほどのことではない。
今後も先発で投げても抑えで投げても大崩れはしないといってよい。
現段階では、菅野がセリーグのナンバー1の右投手であり、簡単に追い抜くことができる投手でないことには異論はない。
しかし、菅野はフィニッシュのときに三塁側に体重が残るのだ。三塁側に四股を踏む動作がある。
今日の藪田は、ほとんどそれがなかった。
真っすぐだけでなく、ツーシームで投げる縦のスライダー、カットボール、深く握ったツーシームのチェンジアップ、ワンシーム、ハードカーブ(ナックルカーブのこと)、いずれも一塁側に体重移動をして投げていた。
変化球も手元でよく落ちる。
捕らえられたように見える6回の当たりも差されている。
衰える前の菅野を追い抜くとすれば、藪田ではないかと思っている。
今日は、トップを作ったときに右肩が下がったのが、49球目が初。
その次が67球、88球、97球目。
岡田や大瀬良ほど右肩の下がりが連発しない。
フィニッシュでの一塁側への体重移動とテイクバックの短さのおかげである。
技術的にもフィジカル上もクローザーもセットアップもストッパーも先発どれも行ける。
3試合中2試合でいい投球し、3点取られた前回も3安打しか打たれていないのに、
何故、この期に及んでリリーフに推すのか。
藪田の場合、肩甲骨周辺の筋肉は使えるが、三角筋をあまり使うことができないから、
胸の張りが大きく作れない。
背筋に負担がかかり、消耗するから、球数を投げるとキレが落ちてくるので、
どちらかというとリリーフに適している。
加藤の場合、三角筋を使えて胸の張りが作れる分、球数を多く投げてもキレが落ちないが、
フィニッシュで一塁側に重心移動しても、高めに外れることがある(アウトローに外れるよりは益し)。
下半身のタメもあるし、しなりができるので胸の張りは修正する必要は全くありません。
フィニッシュでの重心移動ができていれば、
インコース高めに外れる分には、目線から近いので振ってくれるので、大目に見てあげましょうということ。
それと、個人的には、フィジカルよりも技術面が原因で先発で試合を作れない投手にリリーフをやらせてはいけないからだ。
先発で抑えられるから、無双できるから、リリーフに抜擢するのだ。
先発だと、週1度25試合前後の登板だが、リリーフだと60試合前後投げる。
接戦において確実に勝てる試合が増える。
打者は、第1打席よりも第4打席の方が、スピード(表示上のではなく、体感速度のことです。)に慣れてくる。
リリーフ投手が先発よりも体感速度が遅いと錯覚されてしまうと捕まってしまう。
リリーフに配置転換したからといって、一段階ランクダウンしたと思って欲しくないのだ。
僅差の試合で後ろで投げる投手で、タフな投手は、現状、Jacksonしかいない。
僅差の試合でない試合で後ろを投げるタフな投手であれば、ブレイシアがいる。
調整次第では僅差の試合で起用できるかもしれないが、それでもJacksonと2人では不十分。
今日の今村は、腕を内旋させ、バックスピンがかかっていたし、フィニッシュで左膝が真上に伸び、一塁側に重心移動をさせていた。
中島同様の構えをしているマレーロにもインコースを攻めていて内容は良かった。
今村も中﨑もヘーゲンズ、九里も戸田も大瀬良も一岡もタフか否かというと、全くタフではないというわけではないけれども、
どちらかいうと技巧派で、後ろを投げる投手としては、すば抜けてタフではない。
大瀬良は、先発もリリーフもできるが、フィジカル上の理由でリリーフの方が輝く。
異なり、中田廉は完全に先発型だが、球数を多く投げるのが難しいからリリーフをしている。
リリーフが先発よりも肩、肘、腰に負担がかかり、消耗させるというのは、
硬式野球をやったことのない記者や医者が言っているだけで、常識の嘘。
プロ野球の現役、OBで先発の方が肩、肘の負担が軽く、消耗も少ないということを言う人は激減した。
リリーフ、先発もどちらも肩、肘を消耗し、故障するのだ。
リリーフに戻すことによって、藪田が潰れたらどうするんだという人がいたら、
中﨑、Jackson、今村らは、潰れてもいいのかよという話になる。
どの程度、痛いかは本人にしかわからない。
どの選手にも本人に申告させて、故障の悪化を止め、
離脱しても給料を保障しなければならない。
長いペナントレースを踏まえれば、交流戦後は、九里も藪田も元のポジションに
戻した方がいいと思う。
金子千尋は、過去広島戦に5試合投げて2勝0敗。
今日は、左足で弧を描いており、トップを作ったときの肘も全盛時よりも下がっており、
スリークウォーターに近くなっていた。
カット、スプリット系でかわしていたが、前述の投球動作ゆえ、それほど変化球はキレていなかった。
打ち終わった後に開く左打者には、ボールが遅く見えるのだが、打ち損じている。
広島打線にはとらえて欲しかったが、中盤までは、ヘッドを残して打った新井の2安打だけで、
どの打者も引っ張りきれていない。
鈴木誠也も待ち方はいいのだが、手元で動かした変化球に泳がされていたり、(体が、とくに曲げた膝がつま先よりも前に出ること)
壁がつくれていない(=手首の返しが早い)。
野間の盗塁死はいただけない。
スライディングは頭からだろうと、足からであろうと、どの距離から滑り始めても失速する。
しかし、ブロックされたら足からいかざるを得ない。
あんな近くから滑り始めたらけがするぜ。
ロースコアの接戦の終盤に盗塁を決められる選手にならなければならないのに、
あんなところで躓いている場合ではない。
ベースの近くから滑るから躓くんだ。
軍曹が解説だったら怒られるぜ。
大卒でプロ3年目だろ。
プロ3年間で1本塁打であんなことやってたら、今オフすぐにではないが、再来年ぐらいには自由契約になるぜ。
広島は、ようやく、8回田中広輔の2塁打で1-0で勝利。
しかし、守りの面では、1-0というロースコアの試合を勝ち切り、
個人的には、最も好きな試合展開であった。
但し、野次と落球には因果関係はなく、技術上の問題ではある.
[追記]
藪田がブルペンから抜け、九里が後ろに回った現状では、リリーフの層の厚さという面では、阪神より劣ります。
しかし、広島は、チーム全体で、一軍で通用するレベルの投手が20人以上いますので、やりくり次第では、阪神よりも強力なブルペンを作ることは十分可能です。
藪田は、先発転向前に、登板数がリーグ最多の時期があり、そのときは、「最後まで最多登板数を抜かれないようにしたい」と発言していましたし、以前もリリーフにやりがいがある旨のコメントをしていました。
先発については、先発させていただけるのであれば、頑張りたい旨の発言をしていましたので、発言だけを見ると先発、リリーフのどちらかに対するこだわりは、特にないように見受けられます。