Last Updated on 2023年3月8日 by wpmaster
今シーズンの藪田は、一軍登録されてから、打たれても打たれても、監督、コーチは、リリーフで起用し続けてきた。
予告先発の福井の当日の故障申告により、代役で先発を務め、試合を作り勝利投手にもなった。
それでは、藪田は、先発とリリーフのどちらに適していると言えるだろうか。
藪田和樹のピッチング
今シーズン藪田は、7月30日に初めて一軍登録されている。
藪田は、キャンプから今シーズン前半、ストレッチボールを背中に入れたりして胸を開く運動をしてきた。それにより、肩甲骨の周りの可動域も広くなった。
その結果、骨盤辺りで足を上げるのを止めてからステップするまでに無駄な動きがなくなったことにより、重心移動後の軸足である左足が突っ立つようになった。
軸足の蹴りも強くなった。
変化球も落ちるようになった。
テイクバックは小さいままであるが、肩甲骨の入れ方、肩甲骨周辺の筋肉の回転を使って肘を前に押し込むことができるようになった。
腕が遅れて出てきて、しなりができ、腕を下向きに捩じることより、ボールに縦回転を与えられることができるようになった。
右足と頭のX軸ができ、上体を前で倒せるようになった。
スピンをかけたときに力が伝わるようになった。
低目の真っ直ぐがホップしたと錯覚させることができるようになった。
前述のトレーニングによる投球動作の改善により、90球以上の球数が投げられるようになり、連投もこなせるようになった。
先ずは、今シーズンの薮田の成績を見てみることとする。
今季の成績
主要成績
通算成績
16試合 3勝1敗 31回 自責9 防御率 2.61 被安打21 奪三振21 与四球22
各種成績
失点時回数5.1 3試合に1回失点している。
被安打率は、.196 右打者の被打率が.245、左打者が.155
被BABIP(本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合)が.217
被長打率が.308
被本塁打率が9イニング換算で0.87本
9イニング換算の与四球率が6.39。
被出塁率が.344
被OPSが、.652
奪三振率が6.10
奪三振/与四球=0.95
1イニング当たりの投球数が18.6球
インプレーの打球を排除した奪三振、与四球、被本塁打から評価するFIPが5.15%
1イニング当たりのランナーの数Whipが1.39
残塁率(LOB)88.2%
アウトの内訳は、ゴロ30、フライ35、三振21
ゴロ比率は、46.1%
ゴロフライアウト率 0.86
平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示すRSAAが4.93
登板した16試合の内、13試合がリリーフ、3試合が先発。
救援での成績は、
13回 11被安打 8奪三振 12四球 自責8 防御率5.54
本塁打3本は、満塁1本(自責は3)、2ラン1本、ソロ1本である。ランナーは、何れも四球で出したランナーである。
1失点するまでの投球回数は、1.63で、1回2/3当たり1点取られている。
救援時に安打、与四球を許さなかった試合数/救援登板数=30.8%
救援時の失点数/失点した投球回数が1.5で炎上型ではない。
先発での成績は、
18回 10安打 13奪三振 10四球 1自責 防御率0.50
球種配分
今シーズントータルの球種配分は、
ストレート41.35%
シュート24.74%
カットボール 17.99%
カーブ 9.17%
フォーク 6.75%
今シーズントータルの球種別の安打、本塁打は、
ストレート .244 45-11 2本
シュート .179 28-5
カットボール .167 18-3 1本
カーブ .200 5-1
フォーク .091 11-1
空振り率は、
ストレート 7.11% 11三振
シュート 17.48% 6三振
カットボール 13.46% 2三振
カーブ 5.66%
フォーク 12.82% 2三振
カウント別成績
カウント別では、初球が15-8 .533、カウント3-1で4-2 .500、0-2と追い込んでから7-2 .286と打たれている。
コース別成績
コース別の被打率は、ど真ん中が15-6 2本 .400、ゾーン内真ん中高め10-5 .500 インハイの更に高めのボール球2-1 1本.500、ゾーン内インローが5-2 .400、外角ベルトの高さが8-3 .375
インローのボール球が3-0 2三振.000、 真ん中低め8-0 3三振.000 真ん中のゾーンよりボール2つ高いところが2-0 1三振 .000、ゾーン内のアウトハイは、6-0 .000、ゾーン外のアウトハイは、7-1 .143
真ん中低めが14-1 3三振 .073 、アウトローが12-0 2三振 .000
ケース別成績
ケース別成績は、
ランナー一塁での被打率が15-6 .400
ランナー2塁 10-1 .100
ランナー1、2塁 6-2 .333
ランナー1,3塁 2-1 .500
ランナー2,3塁 1-0 .000
満塁 7-1 .143
得点圏被打率は、
ビハインドでの被打率 12-4 .333 2本
同点 5-1 .200
リード 11-0 .000
※データは、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他を参考にしています。
まとめ
藪田は、左足をステップが早くて、軸足の蹴りが足りず、テイクバックを大きく取った場合、肘の押し込みが足りず、右肩をホームに向けたとき、ラインに頭が残っていても、上体が突っ込むことがあり、先発でもリリーフでも四球が多い。
投球成績の結果だけを見ると先発の結果の方が良い数値が出ているが、それだけで先発に適しているのは早計であると思う。
リリーフでも、回の頭から投げるので、無死又は一死ランナー1,3塁、2,3塁のようなケースでない限りは、先発と同じく、初球からバックスピンをかけられないコース、インパクトのときに瞬発力が伝わらないコースのボール球になる変化球を投げて打たせて取ればいい。
ボールからストライクになるバックドア(右打者の外からのシュート系、左打者の外からのスライダー系)、フロントドア(右打者の内からのスライダー系、左打者の内からのシュート系)を投げる制球が未だないので、相手打者の打率の高いコースやストライクからボールになるバックドア、フロンドドアを大雑把に投げられるかである。
先発をしたことは勉強になったと思う。
藪田は、四球が多く、ゴロ比率が低く、FIPが示すように、良く言えば、自力救済、悪く言えば独り相撲の投手である。1イニング当たりの球数も多いので、先発では、球数が増えてイニングが食えない。実際、引っ張られたゴロを打たれ始める。
握力が弱くなり、真っ直ぐが走らなくなるので、先発ではフォークは多投できない。リリーフでもフォークを投げるが、実数は少ない。
無死又は一死ランナー1,3塁、2,3塁のようなケースでは、先発は、回が早いので、バックスピンをかけられたりして大きい当たりを打たれなければいい。後ろの手首を立てる打者のライナーヒットやゴロヒット、コースヒット、バットとボールの距離が取りにくいコースに投げた結果、振り切られてのポテンヒットは構わない。しかし、リリーフは三振に取りたい。
藪田は、空振りを取れる球が、カットボール、ツーシーム、フォークと3つある。
特に、今年全投球における比率を増やしたツーシームの落ち方は、尋常でなく、懸河の如く落ちる。3段に落ちているのではと錯覚する。
ストレートの空振り率は平均的だが、カーブの空振り率は、高い。
残塁率も88.2%とランナーを還されにくい。
三振でも点が入ることはあるが、三振が取れるに越したことはない無死又は一塁、三塁又は二、三塁の場面では、打者の動きを見てだが、バットとボールの距離が取りにくいアウトハイ、真ん中ゾーン外高目のコース(捕手は腰を上げない)でカウントを稼いで、ゾーン外のインハイで始動を早くさせ、インロー、真ん中低めのボール球の変化球で三振を取れるかどうか。
アウトコース高目の制球はあるので、インハイの制球が課題となる。
ボールからストライクになるカーブの制球も課題である。
故障のしにくい投球動作に修正したとはいえ、肩の故障歴があるので回跨ぎのないリリーフの方がいいと思う。
先発をして登板間隔を置かずに、中3~4日でリリーフをさせたり、リリーフをさせて登板間隔を置かずに、翌日~中4日で先発(今シーズンは、リリーフから中2日での先発をさせたことがある)をさせたりということは止めなければならない。
全てのリリーフに言えることだが、各投手共、点差に関わらず、ブルペンに入らない日を作るということも考えなければならない。
今年の広島は、中田、永川、オスカル、西原、小野らが中継ぎをしていた4、5月は、抜け出すことができず、6月にヘーゲンズが加わり、16勝6敗.727。しかし、ヘーゲンズ、Jackson、中﨑以外に、まとまなリリーフがおらずこの3人に偏った。今村の復活に、大瀬良、一岡、藪田、岡田をリリーフに回した8,9月以降に31勝14敗 .689、貯金17を作り、巨人を大きく突き放して優勝した。
ヘーゲンズは、来季先発に回るかもしれない。
チーム事情からいっても、リリーフを厚くする必要がある。
森福と契約しろという声もあるようだが、左のサイドスローで球も速くない。横振りの投手は、開きが早く打者は対応しやすい。
それだったら、右左に関係のない実力のある右をリリーフに置いた方がいい。
森福の入札参入は、個人的には、反対ですね。
総合的に見ても、藪田は、シーズン開始からリリーフで起用して欲しいと思う。
[追記]
回の途中に、前の投手がランナーを貯め、どんな当たりでも1点入る、三振でも点が入ることがあるとはいえ、三振を取ることが要求される場面で登板するとなると、どんな投手でも、登板即ギアを入れて0で抑えることは難しい。
藪田に限らず、基本的には、どのリリーフ投手にも回の頭から行って欲しいです。
先発投手の誰もがリリーフができるわけではないので、チームとしては、藪田をリリーフに置いておいた方がいいと思います。
[追記]
後半、大瀬良、藪田、岡田をリリーフに回すなど、畝さんも学ばれたのだと思いましたが、岡田を先発に戻し、日本シリーズでは、特定の投手を6連投させたりしました。畝さんは、動作解析の専門家なので、佐々岡コーチと共に二軍コーチで、一軍コーチは、リリーフで故障歴のあるコーチにするというのも一つの手段だとも考えましたが、現在のところ、投手コーチにストップをかけるとすれば、トレーナーかブルペン捕手になるでしょうか。