ロースコアの投手戦で、ゲームは引き締まっていました。
この試合の明暗を分けたのは、何だったのでしょう。
則本のピッチングvs松山のバッティング
明暗を分けたのは、Johnsonが、トップを作るまでに、脱力して(=無駄な動作を少なくして)、体全体を使って左足をターンさせ、三塁線寄りに斜め前に体を倒してフォロースルーして、後ろを小さく前を大きくしたピッチングをしたのに比して、則本は、トップを作るまでの過程で脱力できずに、三塁側に右足を着地させてフォロースルーを止めてコーナーを突いたこと。
Johnsonは、打たせて取るピッチングで90球で7イニング(1イニング平均12.85球)を食いますが、則本は、125球で8イニング(1イニング平均15.62球)。
則本は、テイクバックのときに、右肩を内旋することはできているが、背中方向に右肩上腕部が深く入ります。
松山は、手首をコックさせながら待ち、則本が左膝を上げたときに右足で地面を踏んで、テイクバックのときに、右膝を上げてヒッチ(グリップを下げること)させていきます。
トップを作ったときに、右肩上腕部が外旋して、コックした右肘が背中の方に入り、ボールを持つ手の手の平が頭の方を向きかかっています。
松山は、この段階で、右足の着地位置を探りながら、グリップの位置を上げていきます。
左肩の開きよりも右肘の出が遅れ、右肩上腕部の外旋がMaxのときに、右の腸腰筋と右の股関節が外旋し、打者の正面に両胸が向いてしまっています。
これでは、打者は、バットとボールの距離を取りやすくなります。
松山は、この段階でトップを作っていきます。
則本が右腕前腕を回外し始めたたときに、松山は、右足を前に運び、ステイバックして頭を後ろの骨盤に乗せて割れを作ります。
ヘッドを残した分、ボールの外側にヘッドを入れた後、バットの上っ面でボールを擦ってスライス回転(横回転)がかかります。
その分、ホームランになりました。
ヘッドの下がりを抑えてヘッドを加速させてボールを擦って、ヘッドでボールを引っ掛けると(≠手首を返す)、ライナーになって打球が上がりません。
ボールの軌道と45°の角度でヘッドをボールに擦らせて、ボールの下にバットをくぐらせるとバックスピン(縦回転)がかけられてホームランになります。
左膝の壁が崩れて(左膝が曲がっています)、三塁側に右足を着地させます。
下半身を使えておらず、手投げになります。
この右足の着地の仕方が度々このサイトでダメ出ししている昭和式の投げ方です。
則本の失投は、この一球だけでなく、松山には、4回裏に順方向、逆方向のポール際に、それぞれファウルを打たれています。
ライトスタンドのポール際の当たりは、ヘッドをボールの外側に入れて引っ掛けてアウトコース(松山から見ればインコース)のベルトの高さのストレート打った分(ヘッドが寝なかった分)、スライス回転がかからずに、ファウルになった。
レフトスタンドのポール際の方は、ヘッドを残してインコースベルトの高さのスライダーを打ったが、右肩の突っ込みに、ヘッドがやや遅れて出てスライス回転がかかった分、ファウルになった。
複数の失投の原因は、やはり、ホームランを打たれたときと同じく、右肘の出が右股関節の外旋とシンクロし、三塁側に重心が残る瞬発力が損なわれたシュート回転した投げ方に原因がある。
丸に、4回裏、真ん中のカットボールの握りで投げたボール143キロを壁を作ってレフトオーバーの二塁打を打たれたときもそうだ。
カットボールの握りで投げたがボールが裏返っている。
60、77球目のスプリットも、トップを作ったときにコックした右肘が背中の方に入って右肘の出が左肩の開きより遅れ、右股関節の外旋とシンクロする投げ方だと、手首が本塁方向に向くのが早くなるから、ボールが引っ掛かってボールを抜くことができない。
抜けずにインローにシュート回転する。
また、右肘をつまみ上げるときに、両肩がM字になるのも、右肩上腕部を外旋→内旋したときに、右肘が下がりトップも下がる原因だ。
松山は、ストレートを続けられて、ステイバックが小さくなり、ファウルを連発した挙句、更には、僅かなステイバックの後、右肩が前に出されて低目のボール球に空振り三振を食らうという醜態を晒した後、8回裏の打席で、失投をミスショットせずに捕らえた。
Kris Johnsonのピッチング
則本は、右足踵に重心をかけ、右股関節を内旋して(内旋しないこともある)左膝を上げ、トップを作ったときに、上体を直立で左足を踏み出すスリークウォーター。
左足は、スパイクの内側又は踵から着地し、回転軸は、それほど一塁側に傾かない。
カープの先発ラインアップは、鈴木誠也がいるものの(前回対戦3-1)、前回対戦で本塁打を打ったエルドレッドが既に二軍落ち。
捕手石原、三塁庄司と下位打線が弱いことは否めない。
Johnsonは、トップを作ったときに、左肘が背中の方に入らずに、左肘の出が右肩の開き、左股関節の出よりも先行して、左腕前腕の回外してすぐに右膝も蹴り伸ばせていた。
1回表
茂木は、インコースベルトの高さのカットボールを、ヘッドをボールの外に入れて、ライト前ヒットを打つ。
藤田は、インハイのストレート148キロをヘッドを残して壁を作ってレフトフライ。
右打席に入った田中和基は、11球目、アウトロー(田中和基から見ればインロー)のカットボールをヘッドを残して打つが、浅いライトフライ。
鈴木は走りながら一塁送球し、一塁アウトで併殺完成。
1回裏
田中広輔は、7球目、真ん中低目のカットボール144キロを打って二ゴロ。
菊池は、9球目、真ん中のストレート152キロを打って右飛。
丸は、14球目、インローのスライダー132キロを見逃し三振。
2回表
ジョンスンは、14球目、真ん中低目にチェンジアップ136キロをワンバウンドさせる。
ウィーラー(右右)は、アウトハイのスライダー141キロ左中間にヒット。
今江は、インローのツーシーム147キロを、ヘッドをボールの外側に入れてボールを引っ掛けて打つが、投ゴロ併殺。
聖澤は、真ん中低目のナックルカーブを、ボールの下から手首を返して一ゴロ。
2回裏
鈴木誠也は、16球目、インハイのストレート152キロを打って三ゴロ。
松山は、18球目、真ん中低目のフォーク146キロを打って一ゴロ。
野間は、20球目、真ん中のスプリット147キロを打って中前安打。
庄司は、22球目、インローのストレート147キロを打って左飛。
3回表
ペゲーロ(左左)は、22球目、真ん中のツーシーム145キロを打って中前安打。
嶋(右右)は、23球目、真ん中高目のストレート144キロを一塁側にバントする。
則本は、アウトコースベルトの高さのストレート149キロを空振り三振。
3回裏
石原は、23球目、真ん中のスライダー138キロを打って遊ゴロ。
ジョンスンは、29球目、真ん中のストレート150キロを空振り三振。
田中広輔は、32球目、アウトハイのストレート150キロを打って見逃し三振。
4回表
藤田は、アウトローのストレート146キロを、ボールの下から手首を返して、一、二塁間のゴロを打つ。
田中和基は、真ん中チェンジアップをヘッドを残して打つ二直。
Johnsonは、左足を三塁側にターンしてフォロースルー。
ウィーラーは、アウトコースベルトの高さのフォーシーム149キロをを見逃し三振。
4回裏
菊池は、インコースのベルトの高さのフォーク142キロを、ヘッドをボールの外側に入れて、三ゴロを打つ。
丸は、真ん中高目のカットボール143キロを、ヘッドを残し、壁を作ってレフト線に二塁打を打つ。
則本は、アウトローに、スライダー142キロが外れて、鈴木誠也に四球を与える。
松山は、真ん中低目のフォークを空振り三振。
野間は、ヘッドを残し、アウトローのスライダー144キロを打ち、二ゴロ。
5回表
今江は、アウトローのフォーシーム149キロを打ち、一邪飛。
聖澤は、フォーシームにミートポイントをステイバックの場所から近くなっていたが、壁を作って、アウトローのスライダー137キロを右中間にヒット。
ペゲーロは、アウトハイのスライダーをヘッドを残して打って、遊ゴロ併殺。
5回裏
庄司は、63球目、インコースベルトの高さのストレート149キロを打って左飛。
石原は、69球目、真ん中のスライダー140キロを打って遊ゴロ。
ジョンスンは、72球目、インコースベルトの高さのストレート149キロを空振り三振。
6回表
嶋は、61球目、アウトローのスライダー139キロを打って二ゴロ。
ジョンスンは、67球目、アウトハイにストレート147キロが外れて則本に四球を与える。
茂木は、72球目、アウトコースベルトの高さのストレート148キロを見逃し三振。
藤田は、76球目、アウトコースベルトの高さのストレート149キロを打ってショートへの内野安打。
田中和基は、77球目、アウトハイ(右打席のインハイ)のストレート146キロを打って二飛。
6回裏
田中広輔は、73球目、インコースベルトの高さのチェンジアップを、ヘッドをボールの外側に入れて、センター前ヒット。
菊池は、74球目、インハイのストレート140キロを投前にバントする。
則本は、79球目、真ん中低目のフォーク139キロをワンバウンドさせる。
丸は、80球目、真ん中のスライダー142キロを、ヘッドを残して、ヘッドをボールの外側に入れて打つが、投直併殺。
7回表
ジョンスンは、78球目、真ん中低目にチェンジアップ134キロをワンバウンドさせる。
ウィーラーは、これを空振り。
Johnsonは、トップを作ったときに、左肘が下がってボールを持つ手が捕手のミットを向きかかっています。
球数が80球に達して左肘が限界に近付いたのだろう。
左肘の出が、右肩、右膝の割れよりも遅れて出て、ターンとタンブルをして右足に重心が乗せて投げた分、アウトハイ(ウィーラーから見ればインハイ)にカットボール145キロが外れ、ウィーラーに死球を与える。
今江が左足の踵から拇指球に重心を移してアウトハイのストレートを三塁線にバント。
三塁庄司、一塁松山、投手Johnsonが前進。
三塁庄司が右手をグラブに添えて捕球し、右手がロックされる。
一塁走者が二塁ベースを回る。
Johnsonは、三塁ベースカバーに入る。
途中、庄司とクロスする。
菊池が一塁のベースカバーに入るが、庄司は、一塁に送球できず、無死一、二塁。
一塁走者がリードを広げ、Johnsonは、ピッチドアウト。
Johnsonは、トップを作ったとき、左肘が背中の方に入り、左肘が下がり、ボールはシュート回転し、インハイにいく。
三塁庄司は前進せず、三塁ベースカバー、田中広輔が二塁、菊池が一塁ベースカバー。
聖澤が、左足の拇指球に重心をかけて一塁寄りにバント。
松山とJohnsonが前進。
ペゲーロには1球も投げずに歩かせる。
ジョンスンは、85球目、真ん中低目にチェンジアップ135キロをワンバウンドさせる。
嶋は、86球目、アウトコース(嶋から見ればインコース)ベルトの高さのストレート147キロを、右足踵に重心を残し、エッジをかけた右足のスパイクの内側に重心をかけ、バント。
打球はJohnsonの正面だが、本塁に投げられず、一塁に送球。
広島0-1楽天。
Johnsonを打てないから、バントするわけですから、Johnsonは、ピッチングで楽天の打者に負けたわけではありません。
則本(右左)は、90球目、ジョンスンがワンバウンドさせたアウトローのスライダー135キロを空振り三振。
7回裏
則本は、82球目、真ん中低目にフォーク135キロをワンバウンドさせる。
鈴木は、これを空振り。
則本は、86球目、インハイにスライダー131キロが外れて鈴木に四球を与える。
松山は、91球目、インコースベルトの高さのストレート147キロを打ってレフトポール際の本塁打。
広島2-1楽天。
野間は、93球目、アウトハイのスライダー143キロを打って二飛。
庄司は、97球目、アウトコースベルトの高さのストレート149キロを打って右飛。
則本は、103球目、真ん中低目にフォーク139キロをワンバウンドさせる。
則本は、104球目、アウトローにカットボール145キロが外れて石原に四球を与える。
西川龍馬は、107球目、真ん中高目のスライダー140キロを打って一ゴロ。
8回表
茂木(右左)は、2球目、真ん中高目のスライダー139キロを打って右前安打。
藤田(右左)は、3球目、インハイのシュート回転したボール149キロを投前にバントする。
田中和基(右両)(左打席)は、5球目、アウトコースベルトの高さのストレート151キロを打って一ゴロ。
渡辺直人(右右)は、10球目、真ん中のストレート153キロを打って右飛。
8回裏
田中広輔は、109球目、真ん中のスライダー142キロを打って左飛。
菊池は、114球目、アウトコースベルトの高さのスライダー143キロを打ってセカンドへの内野安打。
則本は、119球目、インコースベルトの高さのストレート147キロが外れて丸に四球を与える。
鈴木は、122球目、アウトコースベルトの高さのストレート148キロを打って一邪飛。
松山は、125球目、インローのフォーク139キロを打って一ゴロ。
則本は、逆転本塁打を打たれてから、回転軸を一塁側に傾けて、トップの位置を高くして右足をターンさせてフォロースルーをし始めたが、後の祭りであった。
9回表
今江は、中﨑が投じた真ん中のストレート147キロを、ヘッドをボールの外側に入れて、レフトフェンスダイレクトの当たりを放つ。
野間は、ライトスタンドに背を向け、クッションボールを処理し、体の向きを変えることなく、返球。
シングルヒットに留めます。
聖澤が、アウトコースベルトの高さのストレートを、左足でエッジをかけて拇指球に重心をかけてバント。
中﨑は、二塁に送球し、二塁フォースドアウト。
中﨑は、ストレートがインハイに外れ、ペゲーロに四球を与える。
銀次は、インコースベルトの高さのバックドアを空振り三振。
内田は、アウトコースベルトの高さからの縦のスライダーを空振り三振。
試合データ
2回戦
2018年6月9日 14:00 マツダスタジアム
勝利投手 Johnson 4勝2敗
敗戦投手 則本 4勝6敗
セーブ 中﨑 0勝0敗 16S
ホールド Jackson
捕手(楽)嶋
捕手(広)會澤
残塁 楽天8 広島6
本塁打 松山5号2ラン(7回裏 則本)105m
対戦成績 広島2勝0敗(通算 28勝27敗)
試合時間 2時間54分