高橋昂也(たかはしこうや)は、2016年ドラフト2位で、花咲徳栄高校から広島東洋カープに入団した左投手です。
1998年9月27日生まれの19歳(投稿時現在)。
左投げ左打ちのオーバーハンド、公称181cm、83kg。
背番号34
Max公表152キロ、変化球は、カーブ、スライダー、スプリット、ツーシームを投げます。
今季は、ウェスタンで、7試合に登板して、28イニング 15被安打、15四死球、27奪三振、防御率1.29
ファーム日本選手権で先発し、一軍経験のある打者を含む巨人打線を6回2失点に抑え勝利投手になっています。
私が最も大好きな投手の一人です。
それでは、高橋昂也のピッチングを分析してみましょう。
高橋昂也のピッチング
上体を骨盤の上に乗せ、やや前傾させ、左膝を緩く曲げています。
グラブの高さは、胸元の高さ。
体全体から瞬発力による体重の負荷を解いています。
よって、重心移動前に大腿骨を少し浮かせることができています。
右足を骨盤より高く上げているので、
プレートを踏んだときの体重は、拇指体重だが、踵にも重心が残っている。
腰がやや後ろに反っており、これが瞬発力をやや消耗させる原因の一つになっている。
テイクバックするときに、利き腕の肩を下げれば、その反動で肩肘が高く上がり、縦回転の球が投げられますが、これは、始動の仕方によっては、肩を損耗する投げ方です。
高橋昂也は、高校生のときから、テイクバックのときに左肩が下がることがありましたがプロに入ってから前足レッグアップの始動は修正されています。
グラブを持つ手の肩も緩く内旋しています。
テイクバックは、小さめです。
左股関節を二塁方向に向けて外旋させています。
骨盤が一塁側に滑っていません。
後ろの股関節も打者に隠せています。
因みに、打者は、ここで足を上げてグリップの位置を下げて、いわゆるヒッチをさせます。
藪田和樹(右投手)同様、肘をつまみ上げるようにして、左肩、左肘を持ち上げています。
プレートの縁に左足をかけて、ボールを握る手の内旋の形がCの字になっています(これをCアーチをかけると言います)。
テイクバックが小さいので、頭が前に出されません。
「く」の字に曲がっていた上体も緩く真っすぐに立ち、瞬発力を上体に伝えています。
後ろを小さく、前を大きくする投げ方です。
当方は、以前からステップ足で弧を描くことの弊害を述べています。
具体的には、
①瞬発力を消耗する、
すなわちボールを置きに行く投げ方になる、
②リリースポイントが打者の目線から遠くなるので、スイングした結果として体感速度が遅いと錯覚するということ、すなわち、打者は、トップを作ってから振り下ろすまでの間ができ、ボールを長く見れているということです。
高橋昂也は、右足のくるぶしを本塁方向に向けてステップしているので、右足で弧を描くことがありません。
打者は、足を下し、グリップを上げ、トップを深く入れます。
ステップ足を爪先から着地するとインステップになり、右膝が開き、瞬発力が消耗してしまいます。
爪先から着地すると地面が削れてしまい、後々、投球動作における上半身と下半身のバランスを崩してしまいます。
この点、高橋昂也は、右足は、踵を含むスパイクの内側から着地しています。
トップを作ったときに、両肩が水平で左肘が85°~90°に曲がっています。
三角筋に瞬発力による負荷がかかっていません。
胸の張りも作れています。
軸を三塁側に傾け、背筋を消耗させない投げ方なので、
一試合の中で球数を放ることができます。
グラブを持つ方の肩を内旋していたおかげで、右肩が開かず、
ボールを握る手が頭の後ろに隠れています。
打者に胸を見せていません。
右膝もルーズに直角に曲がり、タメができています。
後ろの膝も緩く曲がっています。
爪先より前に右膝が出たり、右膝が後方に伸びて、腰が引けて重心が後ろに残っているということがありません。
右肩の肩甲骨を左肩の肩甲骨を引き寄せます。
手のひらを外側に向けています。
腸腰筋と両股関節を使って後ろの腰の内臀筋を外旋させ始めます。
右膝を上方に向けて蹴り上げ始めます。
胸の張りを作って、三角筋に負荷をかけずに、三角筋を後転させ始めます。
右肩を内旋し、肩甲骨を引き寄せていたおかげで、肩甲骨周辺の筋肉の可動域を広くすることができています。
いわゆる肩甲骨を剥がす投げ方ができます。
耳と左手首の距離もトップを作ったときから引き続き狭いので、靭帯を故障しにくい。腕が伸びて高めに外れることもない。
ボールを握る手は、未だ、頭の後ろに隠れています。
ボールの出所が見えにくい投手です。
打者は、ボールを握る手が見えてから振り下ろし始めるので、
振り下ろすのが遅れます。
胸の張りを作って三角筋を後転させました。
三塁側に傾いた回転軸と右肩が垂直に交わっているので、
回転数の多い球が投げられます。
肋骨に沿わせるようにしてグラブを持つ手を引きます。
ここでボールを握る手が見え始めかかります。
右肘から前に出て、頭が後ろに残っており(骨盤の上に乗っている)、
肘も高く上がり、右肩がへこんでいません。
肘も捕手の方に向いています。
いわゆる0ポジションもできています。
左手の平を外側に向けていたので、手首もきちんと立っており、ボールを引っ掛けていません。
ボールを握る手の位置も高く左腕で大きく弧を描けています。
右膝が伸び始めます。
左投手の場合、左膝のタメが足りずに右膝が開くと、ライン(左足の左脇の縦の空間)から頭が外れ、頭の左脇の空間が、右膝が開いていないときよりも、大きくなり、左腕が伸び切り、左腕の軌道をコントロールできなくなり、インハイに外れます。
この点、高橋昂也は、右膝が開いていないので、ラインができ、左腕の通り道をふさいでいません。
三角筋に負荷をかけずに、三角筋を後転できていたので、左腕がしなっています。
上体も三塁側に傾いているので、縦回転の球が投げられています。
腕をしっかり内旋しているので、小指の側からチョップする手の平を三塁線に向けているので、バックスピンのかかった球が投げられます。
右膝が真上に伸びます。
これも、肩、肘を上げて、バックスピンをかける球が投げられる要因です。
右膝が真上に伸びることで、壁ができ、体のターンが早くなること、右膝、右肩の開きを抑止します。
壁を作ることで、フォロースルーする左腕の通り道を作っていますので、
腕だけを内旋させる手投げにはなっていません。
腕のスイングに急ブレーキがかからないので、肩を痛めません。
只、左足を高く蹴り上げているので、瞬発力をやや消耗してしまっています。
左投手の場合、一塁側に左足を着地させて四股を踏むと、
一塁側に重心が残るので、左腕がフルスイングできずに、途中で止まり、
瞬発力がボールに伝わり切れません。
ボールを置きに行く投げ方になります。
腰の回転方向に抗うことになるので、左肩、左膝も開き、ボールの出所からリリースポイントが見えやすくなります。
打者の目線からもリリースポイントが遠くなります。
腰の回転方向に抗うことは、股関節や左肩の故障にもつながります。
その点、高橋昂也は、腰の外旋と同じく、左足を時計回りさせています。
腕をフルスイングできています。
日本の投手でこれだけ、左足のターンがコンスタントにできている投手は、中々、いません。
左足を三塁方向に送るときにも、もっと、上体が三塁方向に傾けていられるようになると、メジャーで通用する投手になれます。
まとめ
高校時代は、もう少し、体に負荷がかかっていましたが、プロ一年目にもかかわらず、
リリース前に脱力して投げられているところが何といっても素晴らしい。
これ、ほとんど全てのプロの投手が出来ずに引退するんですよ。
右足を上げる高さを骨盤より下に下げて投げ、左足をフィニッシュでもう少しルーズに蹴れるようになれば、
瞬発力の損なわずに、更に凄い球が投げられるでしょう。