球速160キロに迫る国吉佑樹のピッチング

かつて、私は、現場目線で、堂林の交換要員として国吉であれば応じると書きました。

昨年カープがマジック1での試合に先発し、今季はDeNAのリリーフスタッフ入りが予想される国吉。

ここ数年、一軍登板数は少ないですが、広島にとっても要研究です。

出身は大阪ですが、付された姓の示すようにルーツは沖縄

私と同様、コーカソイド系のクォーターです。

オープン戦で既に158キロを記録

2019年3月21日の日本ハムとのオープン戦(傾斜が急で黒土を入れマウンドが硬くなった横浜スタジアム)の9回裏、打者杉谷の場面、カウント2-2から、自己新記録となる159キロを記録(杉谷は踵体重になって空振り三振)。

それでは、国吉のピッチングを見ていきましょう。

動作解析

レッグダウンし、右股関節を外旋します。

右足の重心は踵寄りにあります。

テイクバックのときに右肩を左肩よりも下げる。

メジャーでは、スリークォーターの投手でも、テイクバックから左足の着地までのどこかでこの動作をして縦回転を作ります。

緩いヒップファーストでステップしていきます。

テイクバックのとき、右腕前腕部を回内しているがテイクバックが横に大きいので、右肘が上がっていかない、体軸が横回転になる原因となる。

右肘が逆L字になっています。

肩関節の骨がぶつかり合うので、右肩関節の外転が遅れ、インピジメントになりやすい投げ方です。

左足はスパイクの内側から着地する。

左足の着地位置の探りは一岡のように短くないので、マウンドの傾斜によってステップ幅を調整する(短くする)というのは上手くないでしょう。

右肩関節の外転のときに右膝が内に入る。

これも右肘が上がっていかない原因です。

左膝はスクエアであるが、左肩が開いているので、右肘を一塁側に引いても両肩甲骨がぶつかっていかないので肩甲骨の稼働域を広くすることができない。

右腕上腕部を外旋してトップを作ったときに、トップの角度は深く入りますが、左腕前腕部が回外(ボールを持つ手が打者の方を向く)し、左肘が下がります。

右脇が閉まっているので右肘の出が遅れます。

左足の着地から右肘が出てくるまでに間があります。

リリースの瞬間に左膝が突っ張る。

左の股関節が前に出されないので、瞬発力がボールに伝わります。

体軸の傾き方、右肘の高さ、コッキングの角度を総合すると若干オーバーハンド寄りのスリークォーターです。

しかし、右足に若干、重心が残ってしまっています。

ダブルプレーン(右腕前腕部の回内と骨盤の左回転がシンクロ)になってしまっています。

フォロースルーのときに上体が地面と平行になるぐらい倒れます。

これも回転数の多いボールを投げられる動作です。

リリースの瞬間に右足に重心が残っていたので、左足の位置がズレる(左足の拇指球で地面を蹴っているのではない)。

左膝の壁も崩れてしまっています。

右足を三塁側に着地させる。

右足でフォロースルーにブレーキをかけてしまい、三塁側に重心が残り瞬発力がボールに伝わり切れません。

まとめ

現状では、一連の投球動作のプロセスにおいて、いくつか瞬発力をロスする面がありますが、言い換えれば、投球動作の改善次第では、球速160キロを突破するだけでなく、回転数のより多いボールを投げられるということです。

打者としては、懐の深い打撃は可能ですが、ステップ幅を狭くして回転半径を小さくしてスイングすることが重要。

振り下ろす直前にヘッドが寝るのは禁物です。

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(2022)

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