[ドラフト2023]ハムに一推しは西舘勇陽(中央大)

2シーズン連続でパリーグの最下位に沈んだ日本ハムは、走塁、投手を含めた守備、攻撃の全てが課題である。

今オフのドラフトを利用した補強ポイントは、投手、捕手、内外野全てであるが、特に、投手スタッフは、既に加藤貴之がFA権を獲得し、上沢がメジャーとの契約に挑戦する。

上沢、加藤貴之の2人が抜けた場合、筆者の構想では、先発ローテーションは、金村、伊藤、北山、ポンセ、上原健太であり、この5投手が故障なくローテーションに入って働いてくれれば、先発スタッフは、オリックス、ソフトバンクと比べても弱いとは思わない。

しかし、筆者としては、今回のドラフトで投手を獲得し、投手王国を築き、パリーグの他の5球団に対し、大きくアドバンテージを得たいところである。

投手獲得のポイント

投手を獲得する上で、チェックしなければならない項目の数は、膨大なものとなります。詳細は、下記の記事で述べています。

各プロセス別選手獲得チェックリスト[投手編]

上記記事で述べたの項目を全て満たしている投手は、現実的には、存在していないと言ってよいが、しかし、全く土台ができていない投手を獲得しても、投球動作を造り変える前に、投球で使う体の部位を再生産できなくなってしまう。

投手を獲得するポイントを抽出すると下記のとおりとなる。

abstract

①テイクバックが小さい。

②ストライドが狭い。

③トップポジションにおける投球する手の小指基節骨の入射角が垂直に近い。

投球腕の前腕部を回内すると投球肘が上がるが、グラブを持つ手の肩、肘が投球肩の方に入ってしまうと、グラブを持つ手の前腕部の回外、回内、投球腕の前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなる。

ストライドが長いと、投球腕の前腕部を回外して投球肘を促進する間が作れなくなる。

投球肘を促進させた後、スローインをする前の投球腕の小指の基節骨の入射角が垂直に近いと、ホップ回転が産み出される。投球腕の前腕部を回外(フォロースルー)させた後シュート回転が産み出されるが、初速(ボールが投球する手の親指からリリースされた直後のスピード)と終速との差を小さくすることができる。

選考の過程

今回ドラフトで経済関係上他球団と競合し得る投手の内、常廣(右投手)(青学大)は、左足をオープンスタンスにして右肩方向に捻転してからセットを解く(玉井、前日本ハムの井口、現ロッテの西村と同じ)。

右腕前腕部回内後のテイクバックの大きさは、後述の西舘勇陽と同程度であるが、右肘を上げた後、右足拇指球で地面を蹴ってしまい、極端ではないもののストライドが広がってしまう。

上田大河(右投手)(大阪商大)は、左足を入射した後、右肘を回外した後も左足がインステップする。

下村(右投手)(青学大)は、左膝をヘソの高さまで上げる。右足拇指球でバックを踏む。

村田(右投手)(明大)は、アマチュアでの実績は、二段モーションを使って産み出したものである。右肘を上げた後、両肘を結ぶラインがM字になる(インバートW)
右肘の高さがスリークォーター

西舘昂汰(右投手)(専大)は、左膝を骨盤より高く上げる。アマチュアでの実績は、二段モーションを使って産み出したものである。

草加(亜大)は、二段モーションを採用、右肘を屈曲させた後(インバートL)、右肘を右肩の高さに上げる前に右腕前腕部を回外させずに上げるインバートWである。

細野(左投げ)(東洋大)は、グラブは、背骨の前、脇の下の高さにセットする。プレートの一塁側に左足のスパイクの外側を沿わせる。

左腕前腕部を回内後、左腕前腕部は背中から出ず、背骨の方にも入らない。

左腕前腕部を回内後、左腕前腕部を回外してから(スタンダードW)、左腕前腕部を回内して左肘を上げる。右足前脛骨筋は回内(外反)する。

右足は、スパイクの内側から入射する。ストライドは、6足半弱と狭い。

トップポジションにおける左手小指基節骨の入射角は、55°~60°、右膝の屈曲の角度は、150°である。

左腕前腕部の回内後の左肘の高さ、レイトコッキングの角度、左腕と背骨の交わる角度は、オーバーハンドである。

右足拇指球で地面をタップした後、右膝をヘソの高さまで上げる。左足が踵体重になる。左膝が外側に逃げる。

左肘を上げた後、左足拇指球でバックを踏んでしまう。左肘が沈む。極端ではないが、ストライドが広がってしまう。獲得するとすれば、ドラフト2位だろう。

椎葉(徳島インディゴソックス)は、二段モーションを採用する。左膝を上げた後、右膝が外側に開く。
左股関節を外旋して左膝を下した後、右膝の屈曲が深くなってしまう。

右腕前腕部を回内後は、右腕前腕部は背中から出ず、背骨の方にも入らないどころか右股関節も通過しない。テイクバックが非常に小さい。ここがストロングポイント。
右腕前腕部を回内後、右腕前腕部を回外後(スタンダードW)、再び回内して右肘、右腕前腕部を上げる。

しかし、前述のように、二段モーションを採用するが故に、右肘を上げる前に右腕前腕部を回外する間が作れないと、右肘を上げた後、両手首を結ぶラインがインバートWになってしまう。
右肘を上げた後、右肘のアクセレーションを完結する間が作れず、右手首を煽った状態からスローの過程(右腕前腕部の回内)に入ってしまう。

プロ入り後は、二段モーションを封印することを要件にドラフト5位で獲得するのが妥当であろう。

古謝(左投手)(桐蔭横浜大)は、アマチュアでの実績は、二段モーションを使って産み出したものである。二段モーションを使うと、セットを解いた後に、首、グラブを持つ手の肩、肘が投球肩の方に入ってしまう。

武内(左投手)(國學院大)は、右足をオープンスタンスにしてセットアップする。左肩の方に捻転してからセットを解く。

滝田(左投手)(星槎道都大)は、左足がヒールアップするまで右膝を高く上げる。

故に、走者を出す前からセットポジションからクイックで投げる西舘勇陽に注目し、詳細に分析した結果、日本ハムのドラフト1位候補として一本化したところである。

西舘勇陽のプロフィール

右投げ右打ち

小中学校では軟式、硬式野球は、高校に入る直前に始める。
花巻東高ー中央大
183cm 79kg

ファストボールのMax 158km/h
球種は、カッター、チェンジアップ、スプリット、スライダー、カーブ

西舘勇陽の投球動作

グラブは、背骨の前、両鎖骨間の高さにセットする。
右足の内踝、左足の拇指球でエッジをかける。
プレートの一塁側寄りに右足のスパイクの外側を沿わせる。

走者を出した後は、首を走者の方に向けた後、首の位置を左打席の内側のラインに戻してからセットを解いている。
右腕前腕部を回外してセットを解く。
左足の拇指球で地面をタップする。
左膝は、右股関節より下の位置までしか上げない(ニーアップせず、スモールステップ)。

左腕前腕部を回内後、グラブがブライアンロドリゲスと同じ右打席の内側のライン方向に向く。ニュートラルポジションができる。
右腕前腕部を回内する。
右腕前腕部は、右股関節を越えるが、背中からは出ず、背骨の方にも入らない。

テイクバックの大きさは、テイクバックを小さく修正した後の北山(今季の北山)、テイクバックを金村の水準までなくす前の上沢(昨季までの上沢)、田中正義と同レベル。

左股関節を外旋後(ニーダウン)、左足前脛骨筋が前阪神ピアースジョンスン、広島森下レベルで回内(外反)する(左足裏が立つ)。

ストライドは、6足半弱と身長に比して狭い。

右腕前腕部を回外(右肘のコックアップ前の両手首を結ぶラインがL=スタンダードW)し、再度、右腕前腕部を回内して右肘、右腕前腕部を右肩の高さに上げる。
右足拇指球で地面を後ろに蹴らず(=バックを踏まず)、右足の内踝でエッジをかけている。

左腕前腕部を回外する。
左足は、スパイクの内側、内踝より踵寄りから入射する。

右肘のアクセレーション前に頸反射する。

右肘アクセレーション後(トップポジション)、右腕前腕部回内(スロー)前の右手小指基節骨の入射角は、55°~60°(煽り投げをしないときの上沢と同程度)。

右腕前腕部回内後の右肘の高さは、オーバーハンド又はオーバーハンドに近いスリークォーター

右肘のレイトコッキングの角度、右腕と背骨の交わる角度がオーバーハンド

リリース直前の左膝の屈曲の角度は、150°である。

右腕の前腕部の回内後、右肘がオーバーハンドの高さに上がった場合(0ポジションに近く上がった場合)、右腕前腕部の回外(フォロースルー)後、右腕前腕部のしなりが尋常でない(リリースポイントが打者に近い)。

右腕前腕部の回外後、左足首が背屈し、左膝が突っ張り、左股関節から下がしなる(後に反る)。

右足を一塁側にターンする。

右腕前腕部の回外後、右手親指基節骨でボールを叩いてフィニッシュする。

西舘勇陽の現状の課題

左腕を前腕部を回内してグラブを右打席の内側のラインに向けた後、ヒップファーストが過度になると、右腕前腕部を回内し右肘を上げ始めた後、右足内踝が地面に着くぐらい倒れることがある。

左肘と左膝が併進していってしまう。

右腕前腕部を回外(右肘が右肩の高さに達する前)後、左股関節が戻って左足の入射位置を戻し、ストライドが広がるのを抑止することはできる。

しかし、右腕前腕部を回内する間を作れず、右肘をアクセレーションする前(右腕前腕部をふけた状態)に右肘が沈んでしまう。

右肩腱板が横に伸展してしまう。右肘内側側副靭帯が緩まない状態で右肩を担ぐ(右腕前腕部を回内する)。

右腕前腕部を回外する間が作れず、右手首を煽った状態(右腕前腕部がレイバックした段階)から、右腕前腕部を回内してしまう。

右肩腱板が横に伸展し、右肘がスリークォーターの高さに近付き、右腕上腕部が凹む。

西舘勇陽は、右手首を煽らずに投げられている場合には、オリックス、広島、中日のように打線の弱いチーム相手には現状でも無双できる。しかし、煽って投げれば、プロ相手では、炎上してしまうだろう。

上記の面が改善されないと、コンスタントに7回2失点を達成することができないだろう。

footnote

用語の意味に関しては、下記記事参照

[知って得する]頻出野球用語集[完全保存版]