広島東洋カープスプリングキャンプ2022の見どころ

資本から現場の指揮を委託されている佐々岡真司以下広島東洋カープのスタッフは、スプリングキャンプに関し、一二軍の振り分けを既に終え、間もなくスプリングキャンプが始まるところである。野球は、先発投手がロースコアの試合を作り、且つ、リリーフ投手を強化すれば、より少ない得点で勝てる。リリーフ投手の層が厚ければ、試合中盤から投手の打順で代打を出せる。野球は、長打を打って決める選手だけでは、ゲームの運営が成立しない。出塁する選手、進塁する選手、走者を進める選手も必要となる。長打を打てる選手が少なければ、4人がかりで一点を取るつなぐ野球ではなく2人で一点を取る機動力野球をやらないと試合には勝てない。
しかし、特に、プロに入ってくる選手の場合、「俺は本塁打が打ちたい、出塁する役割、進塁する役割、走者を進める役割は他の選手がやればいい」というのが各選手の本音だろう。女は、「男は身長ではない。中身が大切である」と綺麗事を言う。サラリーマンの男は「女は顔と若さである」と言う。サラリーマンの男は、「女は中身が大切である」とは決して言わない。それは何故か。一つは、男に面白いと感じさせるだけの女がいないこと。更に、サラリーマンの男の殆どは、女を抱かなくても、自分一人が生きていけるだけの栄養費が稼げるが、競争に負けた女は、一人で生きるだけの栄養費がもらえないから、チビデブハゲに股を開かないと生きていけない。学卒の女も栄養費を稼げない高身長とセックスして受胎してしまえば、現在でも大半は前の職場に復帰できないから、発展途上国からきた外国人や中卒のヤンママに混じって工場や介護施設で昼夜休養不規則のシフトで働いている。プロ野球選手の場合も、本塁打を打つ競争で勝てなければ、他の役割をこなさないと一生分の栄養費は稼げない。
鈴木誠也が抜けた現在、長打を”量産”出来得るのは小園のみである。特にオールドカープファンは、良い選手が揃っているのに勝てないのは、100%佐々岡の采配が原因であるとする。しかし、私から見れば、広島は、投手スタッフは、揃いつつあるが、野手の層は薄い。ハジメは、外国人をもう一人獲るカネも調達できる。支配下選手の枠にも余裕がある。しかし、長打を打てる外国人の補強がもう一人必要かというと、私は必要ないと思う。私は、大田泰示を獲らなかったことは間違っていなかったと今でも言い切れる。トラックマン、ホークアイも必要ない。根拠は、広島の若手に、守備、打撃の土台となる真っ直ぐに走れるということができる選手が多いからである。逆に、三連覇組の多くは、真っ直ぐに走ることができない。
一戦一戦の積み重ねにより、残り30試合の段階でリーグ優勝を争えるポジションに就けているかは、投手を中心とした守りの野球、機動力野球がポイントの一つとなるだろう。

小園海斗

何度も言うように、鈴木誠也が抜けた後の今季の四番は、チームに残された他の選手及び新入団の選手、外国人の加入に関係なく小園一択で決まりである。マクブルームは、初見の段階で構想外なのでキャンプに来日が間に合わなくても痛くも痒くもない。私がセットアップの一人として考えているアンダースン、フランスアのチーム合流が遅れるのは結構痛い。私以外のカープファンからしてみれば、私の小園4番論は、珍説、愚策であろう。しかし、私の小園4番論に対する異論反論は認めない。小園を一番打者にして西川龍馬、坂倉、會澤の何れかを四番にすれば、四番としては何れも弱すぎる。他球団の投手は、皆カープ戦に投げたがるであろう。小園4番に異論反論を認めないのは、今シーズンが終了した後、小園に対し、掌を返すのは、小園一番打者論を唱えた奴等になると断言できるからである。
小園は、打率三割に到達しなかったのは、バントの失敗が原因であるという公式コメントをリリースしたが、これは、東出、朝山、河田に言わされたのだろう。小園が打率三割に到達しなかったのは、本塁打を5本しか打てなかったからであるというのが私の見解である。過渡期とはいえ、本塁打一桁に終わったことは、小園にとって屈辱以外の何物でもない。打率三割に達しなかったことに関する小園の本音も、私の見解と同一であろう。私が小園を4番に推すのは、「悔しさをバネに」というメンタルではなく、技術面での根拠からである。
素人は本塁打が増えると大振りになるから打率が下がるとするが、素人のいう大振りは、フルスイングではなくドアスイングである。私見では、単打の延長が本塁打ではなく、本塁打の出来損ないが単打である。川端のようなドアスイングの打者でも首位打者は取れるが、本塁打王は取れない。単打を打てる選手が本塁打を打てるとは限らないが本塁打が打てる選手は単打も打てる。本塁打を打てる打者が単打を打てるのは、投球に合わせるのではなく、トップハンドの小指で振り切っているから内野の頭を越えるのである。小園ほど、前肩、後ろ肩が動かない選手、ヘッドステイバックが大きい選手、トップハンドの親指のしなりが大きい選手、加速距離が長い選手はいない。小園ほど、トップハンドの親指のしなりを解いた後、ヘッドが立つ選手はいない。小園は、右膝の壁ができるから、両股関節をぶつけると左膝が真下に落ちる。振り切っているから本塁打も打てる。昨シーズン本塁打が一桁に留まったのは、振り切った結果、差されてスライス回転が産み出された打球がスタンドまで到達しなかったからである。本塁打は安打に換算されるから、本塁打が増えれば打率は上がる。小園の本塁打が5本から30本と25本増えれば打率三割、長打率6割なんか軽く超えるのである。
小園の昨季の四球による出塁数は、13である。東出もカープファンも四球を取れないことにより出塁率が低いことを課題に挙げる。これに関し、丸や田中広輔のようにストライドを広げ重心を低くしてスイングを止めることによって四球を取れとする手段を押しつけることは、頭が固すぎである。フルスイングを続け、一シーズン30本塁打ペースで本塁打を積み重ねていけば、相手投手は、鈴木誠也に対峙するときと同じく、ヘッドの届かないボールゾーンに投げてくるようになるのだ。小園は、フルスイングを継続していけば、今季は、60前後四球で出塁できるだろう。小園は、今季、OPS1.000前後をクリアし、打撃三部門も鈴木誠也のプロ4シーズン目(.335 29本 95打点)ぐらいの実績は残すのではないか。小園一人で、昨季の鈴木誠也の.317 38本 89打点の穴を85%~90%は埋めることができるだろう。問題は、昨季小園が産み出した打率三割の穴を誰が埋めるかである。
小園は、今キャンプは、素振りとフライボールを打つ練習だけをして、一シーズン、フルスイングをしても労働力を再生産し続けることができるだけの体作り、スイング作りをしていけばいい。小園は、オープン戦で結果を出してアピールする必要はない。高目のクソボールは、ストライドを狭くしてヘッドステイバックを大きくしないとマン振りできない。小園は、オープン戦に関しては、開幕間際に高目のクソボールを一回マン振りすれば、それ以外は、故障しない程度にチンタラ、打席をこなして凡退してもヘラヘラ笑っていればよい。
小園の守備に関し、UZRを唯一の拠り所とするセイバー野郎からは、他のポジションへのコンバート待ったなしという見解が提起される。UZRは、並みの野手であれば、アウトにできたであろうとする、守備の動きに価値を付ける人間の観念が介在する。右投げの野手に対し、守備の動きに価値を付ける人間が「背骨の左側にグラブを出し、打球を前に落せ」、「右股関節をバックステップ(外旋)して体の中央で捕球しろ」という立場であれば、小園のUZRは、マイナスだろう。しかし、私が価値を付ける人間であれば、小園や中野のUZRが坂本のUZRよりも下であることは絶対にあり得ない。小園は、予備動作を怠らなければもっと捕殺数が増える。

坂倉将吾

小園を4番に据えた場合、小園が攻撃イニングの先頭打者として打席に入ることは避けたい。すなわち、1~3番が三者凡退することは避けたいのだ。そのように考えると、現状では、三番は坂倉だろう。しかし、これは、トップが浅い、後ろの脇が空くという面で、坂倉の打撃の動きが、小園以外の、西川龍馬を始めとする他の広島の選手の中では益しというだけの根拠で起用する、苦肉の策に過ぎない。坂倉の三番は、現状では、他球団と比べると絶対的、相対的にも弱い。坂倉が投手の前の8番を打って決める役割をしたときが広島のリーグ優勝が実現するときである。
相手打者のスイングが投球に合っているか否かに関し、投手が最も把握できるのは、投手である。私は、森下同様、投手が捕手をリードするという立場を採る。よって、私は、捕手のリードは重要であるとは考えていない。
捕手のキャッチングについて私に言わせれば、捕逸の数=キャッチングの巧拙ではない。坂倉はキャッチングが劣るとするのは、野球をやったことのない、野球の動きを知らない奴の言うコメントである。坂倉は、グラブで投球をカットし、右手で捕球し、捕球~送球の連携という面で、実にロスの少ない捕球をしている。よって、坂倉のキャッチング、スローイングは、広島の捕手の中で最も巧い。また、白濱のキャッチングが巧いと言ったのは紛れもなく私である。白濱のキャッチングは、広島の捕手の中では中村奨成と並んで広島の捕手の中では2番目に巧い。根拠は、坂倉のキャッチングと同じである。機動力野球、守り勝つ野球、若手の底上げを主張する者を「頭の弱い向き」とする者は、ディスる対象こそ「頭の弱い向き」とする者と異なるものの、長打が打てる打者として推す選手は、「頭の弱い向き」とする者の内、私以外の者が推す選手と同一なのである。すなわち新聞記者、アナウンサー、雑誌記者が長距離打者として推す選手と同一なのである。白濱のキャッチングが巧いとすることを珍説、馬鹿者という価値を付けるのであるなら、是非ともその根拠をご教示いただきたいものである。
投手がワンバウンドの投球をするということはデスピッチである。ワンバウンドの投球は、投球腕の上腕部、側副靭帯、股関節の損傷を進行させる。ワンバウンドを振る打者は、ノーバウンドでいかなるコースに、いかなる球種を投げても打ち取れる。投手にワンバウンドの投球をさせなければチーム全体の捕逸の数も減る。坂倉のファースト守備は、松山のファースト守備、西川龍馬のファースト守備と大差ない。よって、広島の正捕手は、今季も坂倉である。會澤は円を描くように捕球する。會澤の打撃は、右肘がヘッドの外側に張り出さない。會澤が正捕手を務めているようでは、広島は、DeNA、中日と最下位争いをするだろう。
外野のレギュラー争いに関しては、中村奨成、堂林、野間、西川龍馬、正隨、中村健人、末包が弱いことは散々書いてきたので、今回は、カープファンが付けた評価がプロ一年目よりも上がっている宇草について分析してみることとする。

宇草孔基

宇草は、走塁面は、ハーフウェイから塁間を結ぶラインの内側に入って走る。左股関節のバックステップ、右股関節のバックステップが共にできている。守備面では、飛球に関しては、右股関節を内旋、左股関節を外旋して背骨の右側で飛球を捕球できるようになった。飛球の追い方は、廣瀬に似てきた。しかし、ゴロの打球に対する入り方が相変わらず下手である。西川遙輝と同じく、宇草は、捕球動作を省いて「投げるだけ」をすれば、弱肩ではないと思う。しかし、この2人は、打球を前に落として後逸を避ける打球への入り方をする。体の中心で左手でボールをガッチリ握る。西川遙輝は、体の中心でボールを右手に持ち替える。宇草はグラブを手元に引きつける。共に、投げるとき、右肩が残らない。故に送球が弱くなる。
宇草の打撃は、高校~大学~プロ一年目は、トップポジションを形成するまでの過程において、右肩が背骨の内側に入る。故に、左足が踵体重になる。トップポジションに到達すると、左足拇指球に重心が移っていた。両股関節をぶつけると右膝の壁が崩れていた。プロ二年目の昨季は、右肩が背骨の方に入らなくなった代わりにトップが深くなった。すなわち、右肘が突っ張る。故に、左手親指の加速距離が小園に比べると短い。宇草は、相変わらず右膝の壁が崩れる。
宇草に関して、総合的に見れば、外野のレギュラー争いから一歩抜け出たとまで言い切ることができないのが現状である。

大盛穂

人間は、手首の伸展、屈曲だけで投げると女の子投げになる。故に、野手のスローイングについて、オーバーハンドで投げるにしろ、サイドハンドで投げるにしろ、スナップスローという価値を付けるのは正確ではない。手首は、底屈(屈曲)しているとき、他者が運動させた物体を受けると最も破壊されやすい。最大背屈位から手首を底屈するスローにスナップスローという価値を付けるのであれば、スナップスローは送球が垂れるのである。ショートスローは、後ろの股関節の内旋をトップハンドの小指の関節の内旋に先行させると、投球肘をヒッチさせる間ができない。後ろ肩が残らずサイドハンドになる。トップハンドの掌側内転がトップハンドの小指の関節の内旋回に先行すると、橈側が外転する。手首を背屈(伸展)させる間ができない。トップハンドの小指をその関節の内旋によって立たせていく間が作れない。よって、トップハンドの小指の加速距離が短くなる。すなわち、送球が弱くなる。大盛は、深い守備位置からの送球はこなせるが、ショートスローに関しては、上から投げているものの右肩が残っていないので弱いのである。ショートスローが難しいのは、捕手までの距離を詰めるとヘッドステイバックを大きくしないとオーバーハンドで矢のようなノーバウンドの送球を投げられないからである。故に、私は、どの選手に対しても前進守備のシフトを敷かせることに関しては反対であるし、前へのチャージを大きくするのも反対なのである。試合においてショートスローが必要となるのは、内野手が一つ先の塁に投げる場合のみである。ショートスローが弱いと先の塁で走者を刺せないのである。
ショートスローは、グラブを持つ手の小指で打球を叩いて雑に捕球しないと、右肘をヒッチ(ヘッドステイバック)する間が作れない。ヘッドステイバックを大きくしないと後肩が残らず、送球を強くすることができないから、捕球とセットでショートスローの練習をすることは無駄ではない。根拠は、ショートスローの練習によって、雑に捕球することと、中指基節骨及びその上下の関節にボールを引っ掛けることができ、深い捕球位置からの送球を強化することができるからである。
大盛は、打撃の方は、天秤打法を止めて、一昨年までのスイングに戻すことが必要である。

林晃汰

林は、昨シーズン終盤、左肘ではなく、丸と同じく左手首をヒッチするスイングにマイナーチェンジをした。故に、右肩が背骨の方に入る動きに拍車がかかった。林は、昨季終盤の打撃を改善しない限りは、今季も低目のワンバウンドを振って三振の山を築くだろう。今季も、林をスタメンで起用するとすれば、菊池涼介とともに7,8番を構成するだろう。
この選手の走塁、守備はバックステップができており、セイバー指標を産出する人間によって走塁、守備に付けられた数値ほど、走塁守備の動きはロスが大きくはない。
小園、坂倉の2選手を除くと、現状、広島東洋カープの打順は決まっていない。鈴木誠也が事実上抜けた広島の右打者の中で最も振る力が高いのは上本である。しかし、上本は、守備面で課題を残す。現状、上本については、代打の切り札という価値を私は付けている。但し、上本の内野守備は使い物にならないが、外野守備は練習次第では上達する余地があることは昨季終盤看て取れた。守備面でも、遊撃小園、捕手坂倉以外は、菊池涼介の二塁しかレギュラーは決まっていない。チームの守備が脆弱であるとする菊池涼介の守備の動きも、特にカバーリングに関しては盤石ではない。菊池涼介の二塁に関しても、絶対的に動かさないこととすると、今季の広島の浮上はないし、チームの将来も暗い。広島の選手は、走塁に関しては、股関節のバックステップができている選手が多い。走塁、守備、打撃はリンクしている。しかし、走塁において股関節のバックステップができているのに、それが守備、出塁の前提となる打撃には活かされていない。ファンの中には、併殺崩れの打撃を賞賛する者がいる。しかし、無死又は一死走者一塁の場面で、左打者が遊ゴロを打って、打者走者である一塁走者がアウトにならずに併殺を免れたとしても、走者を二塁に進められなかったという事実は変わらない。無死又は一死走者一三塁で、左打者が遊ゴロを打って、打者走者がアウトにならずに併殺崩れの間に一点が入ったとしても、一塁走者を二塁に進められなかったという事実には変わりがない。この2つのケースで打者走者を賞賛することは、打者走者に対しても一塁走者に対しても甘いと言わざるを得ない。一塁走者が左股関節をバックステップすれば、そのスタートが遅れたと偽装ができるからである。
よって、ペナント終盤にリーグ優勝を争うポジションに広島が就けているかに関しては、現状では、私は期待していない。但し、監督には、試合を成立させるというノルマが課せられている。個々の選手の欠点を捉えてスタメンで使うことを躊躇していたら、スタメンを組んで試合を進め、試合成立にこぎつけることはできない。どうせ勝てないのであれば、間違った体の使い方をして労働力の再生産ができなくなったベテランよりも、守備、打撃に課題が残っていても走塁に関してはバックステップができている若手を優先して起用することを望むところである。

韮澤雄也

私が監督であれば、過去の実績や対戦成績、セイバー指標に基づいて起用しません。①打球を追うプロセス、ベースランニングでバックステップができること、②ベアハンドキャッチ(外観上は、グラブで捕る)ができること、③素振りの量をこなしながら労働力を再生産でき、素振りの量をこなせばインサイドアウトスイングの完成度が上がることの三要件の完成度が高い順から優先して使います。この三つの面で、成長したのが韮澤です。私は、佐々岡が菊池涼介に休みを与えて韮澤を二塁スタメンで使ったところを見てみたい。