前回の試合から間隔が開くので、社会人オール広島との間で練習試合が行われた。
主力、勝ち継投の投手の調整具合、若手のテストと見どころ満載の試合だ。
投手リレーと個々の投手の投球内容
この試合の先発は、Kris Johnson
初回、Johnsonは、右くるぶしを本塁側に向けてから右肘、右膝を並進運動しながら、踵寄りで着地し、胸の張りもそこそこあるコッキングの角度もスリークウォーターよりもオーバースロー寄りで投げ、左足を三塁側にターン。
リリース前に脱力できているし、右肩も開いていない。
右膝の高さは、昨年より若干上げている。
スライドステップのストロークは昨年よりも短くなった。
インローの打者が腸腰筋で産み出した瞬発力が最も伝わるコースなので、右中間を割られた。
2人目以降もリリース前まで脱力して投げているが、一塁側に重心が残る球が多い。
開幕まで時間にすると3週間以上あるから、シーズン中のレベルまで今は仕上げる必要はないのだが、腰、太腿を含め、フィジカル上は未だ2015,2016年の水準には戻っていないのかな。
6回裏は、Jacksonが登板。
コックの角度は、スリークウォーターに近いオーバースローになったが、ヒップファーストからスパイクの外側の踵着地で、回転軸が一塁側に傾き、そこそこ回転数のある球が投げられていた。
リブダウンも一塁側への右足のターンもできている。
ライト前にヒットを打たれた球は、フィニッシュで左膝が伸び切っていないので瞬発力の乗りが今一つ。
四球を出した球は、胸の張りもそこそこ大きく、右腕が頭の近くを回るようになり、悪い球ではない。
その次の打者は、フィニッシュでJacksonも左膝を完全に伸ばして右足をターンさせて、相手打者も膝が伸びて差されてファウル。
ボールをこすって真後ろに飛んだのではない。
最後は、遊ゴロだが、胸の張りも作れ、コッキングの角度はスリークウォーターに近いオーバースローに戻ったが、右肘は腸腰筋の回転よりも先行し、上体も一塁側に傾けていた。
7回裏は、カンポスが登板。
159キロは稼働ミスだろうが、球速表示なんてどうだっていい。
スパイクの内側の踵寄りから着地でメジャーでもやってきたし、マツダのマウンドの投球後の錯覚は、メジャーに近い固さで、日本のボールはメジャーよりも軽い。
ボールを頻繁に交換しなければ指先を下にこすってバックスピンをかけてメジャーにいた頃よりはスピードは出るだろう。
カンポスは、前傾した上体と左足が垂直に交わり、左足のくるぶしを本塁に向け、前スライドステップのストロークが体幹の近くを通過しており、メジャーの平均より速く短い。
胸の張りも大きく、右肘も高く、トップの位置も高く、回転軸が傾き、右腕が股関節、腸腰筋の内旋よりも先行して頭の近くを回る。
高めに外れても右肘が伸びたり、股関節の外旋が早かったのではなく、壁が完全に出来ているが故のもの。
左肩も開かないし、左肩の内旋もタイトでない。
上体の一塁側への傾きも大きく、リブダウンも2人目の打者を三振に取ったときの球なんかは、背中を捕手に向けてチャップマンのようだ。
左足の太腿の裏、内転筋、左膝を伸ばし壁を作って一塁側にターン。
高めに外れることはあっても、ボールを引っ掛けてアウトローに外れないということは、内旋からターンまでほぼ完璧に投げられているということ。
来日1年目のサファテよりも球そのものは上なんじゃないの?。
調整段階でこれだから、今オフにメジャーに獲得されてしまうのではないかというレベル。
社会人の打者は、ボールの出所が現れるのが遅くて打席に立ってスイングしてて怖かったんじゃないの?
動作にほぼスキがないので、日本のプロ野球のトップレベルの打者だってそう簡単には打てないだろう。
8回裏は、藤井皓哉が登板
藤井は、初球、明確なヒップファーストと、若い頃の藤川のように前傾した上体と左足が垂直に交わるところは、瞬発力を産み出すから直さなくていいが、左足は弧こそ描いていないが、左膝を本塁に向けるまでのスパンが長く、瞬発力が消耗したところを打たれた。
2,3球目以降はそこは修正された。
2人目の打者を内直に取った球は、スライドステップのストロークも短い。
初球から左膝のタメが短く内転筋は、初球から伸びていたが、3人目の打者からは、胸の張りも大きくなり左膝も真っすぐ伸びるようなった。
フィニッシュでの右足の一塁側へのターンもできるようになってきた。
しかし、ヒットを打たれた球は、フィニッシュで左膝が折れ曲がってしまい、三塁側に重心が残り、右腕だけで内旋し、振り切れていない。
初球から一貫し肘の高さ、トップが高く右腕を垂直にコックして頭の近くを回せていたが、4人目の打者からは、胸の張りもできてきた。
しかし、最後の球は、重心移動の前に骨盤が滑り、低めに外れた。
5人目の打者は、3球目は骨盤が滑ったが、2球目は胸の張りが大きく、最後の三振に取った球は、上体が一塁側に傾き、バックスピンのかかったナイスボールだ。
6人目の打者の2球目は、胸の張りも大きく、右肘、トップの位置も高く、右足の一塁側へのターンまできっちり投げ切り、ナイスボール
3球目の一塁寄りのファウルも同様に投げ、打者はボールをこすれず、バットがボールの下、左膝も伸びて差されている。
最後の球も右肩を叩きつけるようにリブダウンして二ゴロに打ち取る。
ネット上では永川劇場の再来と評する声もあるが、真っすぐに関して言えば、全盛期のオーバースローの頃の永川よりも格段に上だよ。
ランナーを出してからの投球は概ね良くなったが、ブルペンでの調整方法を含め、回の頭の入り方、投球動作の見直しが必要だ。
9回裏は、アドゥワが登板
アドゥワは、左膝を上げる高さは骨盤の高さでベストポジション、足裏全体でプレートを踏み右足の重心を踵にも残している。
グラブを解いたときも脱力できたおり、前傾した上体と左足も垂直に交わる。
大腿骨を骨盤に刺したときに瞬発力を産み出せる。
上体が前に出されて右肘の出が遅れるるのを防ぐ。
Cアーチもかけられている。
以前とは別人のように胸の張りが作れるようになりボールを頭の後ろに隠せるようになった。
リブダウンもできている。
先頭打者のヒットは、フィニッシュのターンが出来つつあるが、途中で止まってしまっている。
三振を取った球は、胸の張りを作って右肘、トップの位置も高く一塁側に上体を傾けての背中が見えるぐらいリブダウンしたのは素晴らしく、フィニッシュでの右足のターンもできたが、
ヒップファーストが不十分で、三角筋で右肩を引っ張るのがタイトで、右肘の出がわずかに遅れ、ボールが若干頭から出て頭からわずかに外れたところを右腕が回っていたので、プロの一軍の打者には対応されてしまうのではないか。
最後の変化球も三塁側に重心が残ってしまっており、右腕だけで内旋してしまっている。
今季は一軍で通用するかと言えば難しいでしょうが、徐々に成長し、この試合のピッチングは、今年になってから最も内容がいいですよ。
若手のバッティング
美間は、左足を上げたときにヒッチして、左足の探りの前にステイバックし、左肩が動かず、本塁打。
これはナイスバッティング。
後は、これからのオープン戦で一線級の投手が出てきたときにこれができるかどうか。
メヒアは、基本に忠実に打っています。
耳と肩の間から振り下ろし始めたときに右肩も下がっていません。
グリップ先行のインサイドアウト、ヘッドを残してセンターに本塁打。
只、ヒッチが殆どなく打っているので、今後、一線級の投手が出てきたときに、体が前に出されて振り遅れずに、対応できるかどうかでしょう。
桒原は、ヒッチして上げずに踵体重でファウルした後、ヒッチせずに腸腰筋が先に回って左肘の出が遅れ、右足の探りと一緒にバットを振り下ろしており、結果、レフト前に落ちるヒットになったが、今のままでは、一軍の投手相手には通用しないだろう。
始動が遅れているのよ。
西川も右足を下すのと振り下ろしが一緒で、4回に併殺に倒れたが、始動が早いんじゃなくて、腸腰筋が回るのが先でトップを作ってからの振り下ろしが遅れているから、始動が遅いのよ。
只、西川の場合には、ヒッチとステイバックがあるから、これから実戦で投手と対戦してスイングしていけば直に戻るのよ。
ネット上では、西川を二軍に落とせ、美間、メヒアの方が期待できる、美間とメヒアを使えという声が沸いているが、野球はそんな簡単じゃねえんだよ。
西川は、一軍の試合で必要な選手。
美間やメヒアとは未だ未だ格差がある。
中村奨成は、レフト前安打を放つ。
しかし、頭が骨盤の上に乗らずに骨盤から上が前に出されている。
腸腰筋の回転が先で振り遅れているのよ。
右肘のコックの角度はいいのよ。
左肘を肋骨の間が空いている。
社会人の投げたアウトハイのプロにとっては易しいコースだからヒットになったけど、二軍も含めプロの投手の近目の球はこれでは打てない。
左膝の上げ下げの動作が小さいから、投手の頭からボールが出かかってから始動(トップを作る)するのはいい。
ステイバックのときに両脇を締めると右肘が出が遅れるから両脇を空けてステイバックするのはいい。
しかし、左膝を上げたときにグリップの位置を下げてからステイバックしなければならない。
そうでないと腸腰筋が先に回って、右肘が出て行かなくなって遅れる。
いずれの打席でも、トップハンドとボトムハンドのグリップを握る位置が離れているから始動(前膝を上げてトップを作ること)が遅れている。
現にこの後、振り遅れてライトに二塁打を打つ。
社会人相手にヘッドを残して上手く打っただの褒めてはいけない。
それとステイバックが大きいのはいい。
だが、右肩が上がり過ぎじゃ。
そこから振り出したら瞬発力が乗った打球が打てない。
現段階では、今季中の一軍の右の代打なんて無理よ。
今は、基礎から勉強し直しや。
ファンの皆さん、長い目で見守ってやれや。
坂倉は、左肩が内に入って振り遅れて(右足の探りとほぼ一緒)、この後ヘッドが残って遊ゴロになってしまったが、ゲレーロや前の試合までの美間やとは異なり、ヒッチとステイバックがした上でボトムハンド側の肩だけ内旋しているわけではなく、割れを作っているので、修正は早いだろう。
野間は、最終回、細かなヒッチの後、トップを入れ直したが、トップの角度をキープしてヘッドを残して中越えに三塁打。
社会人相手であれば、この程度の打撃はするので、取り立てていうことはない。
まとめ
Johnsonは、今すぐ開幕に入れるという出来ではないので、これから段階を踏んでフィジカル、投球動作の精度を上げていく必要がある。
Jacksonもベストな状態ではないが、底というわけではない。例年並みの数字は残してくれそうだ。
Camposは、当落線上の投手ではない。間違いなくコンスタントに必要な投手。
藤井は、立ち上がり良くないなりに、ランナーを出してからは、持ち直して抑えたが、投球動作は要調整だ。
藤井も一年間ペナントを乗り切る上で欠かせない選手であることには変わりがない。
この試合坂倉が先発マスクでJohnsonのボールを受けた。
失敗するリスクが~、失敗したら坂倉のメンタルが~というバカは相手にするな。
実戦で失敗しなけりゃ上手くならない。
主力投手の球を実戦の中でどんどん受けさせろ。
45試合は先発させろ。
先発出場させたら接戦になったぐらいで簡単に石原に変えるな。試合の最後まで務めさせろ。
タバーレスとフランスワは、育成契約を結んだようだが、フランスワは、着地寸前に静止して瞬発力が逃げることを含め細かな課題はあるが、今季中にモノになる。
シーズンに入ったら、フランスワと支配下選手契約をしていつでも一軍の試合に投げさせられるように準備をさせておけ。