2020第2次スプリングキャンプ3日目、前日に引き続き対外試合が行われた。対戦相手は阪神。
今回のスプリングキャンプでは、西川龍馬、高橋大樹の調整が進み、この試合でも結果を出しましたが、両者のその要因は何なのか、昨シーズンまでと具体的にどの面が変わったからなのでしょうか。
広島の先発は、野村がいない隙に遠藤淳志、山口翔と先発6番手を争うアドゥワ誠
阪神の先発は、2018年左肩クリーニング手術後、育成契約となった横山雄哉。
既に一軍で育成落ち前に先発勝利を挙げているが、非公式試合を含め広島戦初登板
アドゥワ誠は3回無失点
阪神新外国人サンズは、ヒッチしてからトップ(振り下ろす直前の押手の手首の位置)を生成する過程に入ります。 振り下ろす直前にヘッド立つのでボーアよりも打つのではないでしょうか。 アドゥワは、手投げ右肘落ちてボールを引っ掛けて投球がインローに外れ、サンズに四球を与えます。サンズは頭が投球の軌道の方向と逆に向かないのでボーアよりやりそうです。
3回、アドゥワは、糸原ところで右腕前腕部の回内のときに骨盤が横にずれて頭が曲線のラインから外れるダブルプレーン投球、近本に対しても左肩が右肘の推進より先に開く手投げ、サンズのところでもダブルプレーン投球
本人のコメントから、そのことは了知していることが看て取れますので次回以降の修正に期待します。
西川龍馬のバッティング
西川については、従来から大資本メディアのライター、それに洗脳されたSNS利用者の間でバカの一つ覚えのようにバットコントロールの巧さが言われてきました。
私見としては、西川は、腹横筋、前脛骨筋を始めとするインナーマッスルの強化を源にボールを上から叩いている、しかし、股関節の外旋によるバットコントロールの面では鈴木誠也には及ばずそれが両者の成績の差となっているというのが私の認識です。
横山は、左足スパイク外踵寄りに体重をかけて左股関節が外旋して右膝をレッグアップ 骨盤は緩く前傾し二塁ベース方向にステイバック。 くの字を作ったときの左足のスパイクの外側に体重をかけています。両肩は水平です。右足の内転筋の内旋が解けたとき右肩よりも左肩を下げます。左腕前腕部を回内し左手は骨盤の横 左肘が逆Lのときの横はの捻転差は標準レベルです。
左打者の大部分はレベルスイングですが、西川と小園は上から叩けます。田中広輔は上から擦ることを昨季試みますが習得できませんでした。
西川は、右足首が底屈したときに押手の手首がトップのポジションの過程に入ります。ヘッドも立っています。右膝で地面を蹴って右足首を背屈させるので右股関節が引っ込み、左股関節が外旋します。左膝が前に倒れますが、左足の前脛骨筋が回外(内反)しているので内に入りません。後ろ足を軸に骨盤が回ることに二重で縛りをかけています。
両股関節が引っ込むので、左肘が右股関節より前に出ていくのでボールの外側を縦にこすることができます。
両股関節をぶつけ、左膝は地面に付くほどではありませんが左膝が真下に落ちていきます。右足の踵に重心を移して右足首を更に背屈させて前足を軸に骨盤を回します。インパクトからフォロースルー期にかけてのヘッドステイバックの角度(地面と前足踵から頭までのラインが交わる角度)が73°前後、吉田正尚に匹敵します。
この角度は後ろの股関節の外旋ができていないと作れません。野球の土台ができたので打撃が大崩れしません。
フォロースルー期まで終始両肘が伸びずに畳めているのも素晴らしい。
秋山翔吾は前肩が内に入る、森友哉は骨盤が後傾して臀部が沈む、骨盤が滑るという欠点がありますが、西川龍馬にはありません。
西川龍馬の技術水準は、既に秋山翔吾、森友哉のレベルを越えています。
西川は、打率.320 本塁打26~27本ぐらいに達し、今季は、今季の丸の数字を上回るかもしれません。
小園は、ギアを上げていないだけ。シーズンに入れば最低でも昨季のバティスタぐらいの数字を残します。バティスタのように引手主導の打撃が頻発しません。
2番西川、3番小園と重量打線ができます。
ピレラは右足のスパイクの内側でエッジをかけてしまっても右足の小指球でブレーキをかけているので、右肘がヘッドの外側に張り出し、左膝が屈曲しません。回転半径を狭く回れます。差されてもヘッドが内に入る合わせただけの打撃をしない。
ピレラは5番レフトとして定着できるので鈴木誠也の前後を打つ打者という課題がクリアできます。
髙橋大樹のバッティング
中田賢は、リリースの瞬間、右膝が真下に落ちるが三塁側に外れる 左膝が屈曲する。
高橋大樹は、右肘がヘッドがボールの外側に張り出さずにヘッドが寝る。打撃の動きの源となる腹横筋、外旋六筋、前脛骨筋というインナーマッスルが鈴木誠也、坂本、ピレラと比べると強化されていないのかな、昨季まではまるで長打が期待できなかった。
髙橋大樹は、その前のボールを三塁線にファウルを打ったとき、振り下ろす直前にヘッドが寝た。
しかし、次のカーブに対し、振り下ろす直前(=トップのポジション、左足首の底屈)にヘッドが立っています。
しかし、ヘッド寝ないが右膝が内に入る。右股関節の外旋が解けるのが右肘の出より早い。左足首の背屈より右肘がヘッドの内側に入るのが早い。ヘッドの稼働域が狭く右肘の推進とヘッドが加速しないからバットの先にボールが当たる。
同じことは左越二塁打を打ったときにも言えます。
しかし、ヘッドが寝なくなったので骨盤を前傾させて地面をつぶすように縦に回転させて振れるようになった。
そこから左膝で地面を蹴って両股関節を引っ込めて右肘の遅れの推進を取り戻す。
左手の拳で人差し指の付け根を押し込んでヘッドの下がりを抑える。これはファウルゾーンに打球が切れることを抑止する。両股関節をぶつけると左膝が地面に付くほどではないが真下の落ち投手の方に向く。左膝も突っ張っている。
打席内、同一スイング内で修正できるようになっているので昨シーズンまでよりは進歩している。
3安打を打った堂林は、右足のスパイクの内側でエッジがかかり右足の小指球でブレーキをかけられていないのでストライドが広がる。三塁線への二塁打を打ったときもヘッドが下がってヘッドアップしている。ステイバックの過程でまだ左肩が内に入る。
8回の打席は、左肩を下げて縦に振れており、ヘッドをボールの外側に入れて左へ二塁打
これは内容がいい。
最後の打席もストライドが広がりスイングできずに三振
ソフトバンクを自由契約になって阪神に入団したスアレスは、スライドステップのときも右股関節を外旋してから左膝をレッグアップしている。 くの字を作ったときに右肩を左肩よりも下げる。右足踵が地面を離れ右足の小指球に体重が乗る。右肘の逆Lの過程を経ないアーム式で、外転の小指球支点で踵が明確に離れる。左手親指が上に切り替わる。両肩甲骨少しだけ接近する。
曽根は、骨盤を前傾して立ち、インパクト踵支点右膝突っ張る 三遊間に左膝が向く 右手拳で左手人差し指の付け根を押し込みヘッドの下がりを抑える。曽根もいいアピールができたと思います。
三好は、ヒッチしてからトップを作りヘッドが立つから遊撃後方に打球が落ちる。メヒアは、振り下ろし直前にヘッドが寝るから左翼定位置で失速する。
途中出場の中村奨政は、ステイバックのとき左肩が内に入って右飛、次の打席は、ヘッドをボールの外側に入れて左前安打
藪田和樹のピッチング
藪田は、終始、手投げのダブルプレーン投球が多かったですね。右打者のインハイに外れてくれれば押手の手首との距離が接近していきますから振ってくれることもあり得る。左打者も引手主導の打者が大部分ですからヘッドアップしてくれます。
しかし、藪田は、近本のところでは、担いで投げてはいるのですが、左肩が開いてから右肘が出てくる手投げでリリースの瞬間に右腕上腕部が凹んで右肘が落ちる。
インロー(左打者のアウトロー)に投球をワンバウンドさせる。
肉体の動きの源となるフィジカル面の状態も良くないので責められないのですが、更に肉体を損耗させる投げ方です。左打者にとっては押手の手首とボールの距離が最も遠いコースですから、後ろ足の股関節の外旋が解けてストライドが広がる打者でない限りは、最も簡単に四球が取れるんですね。
藪田は、石原貴規が盗塁を刺したときの投球も藪田手投げダブルプレーン外転のときに左手が親指が上に切り替わる
石原貴規は、捕球から右肘をつまみ上げるまでが非常に速い。しかし、右肩関節の外転~レイトコッキング期にかけて左足がインステップ
左膝を先に開いてやらないと右肘が出ていかない。右肘が左膝の開きに後れて出てくるので、ベースカバーに入った野手は、ガイドハンドと送球の軌道の距離が取りやすいので捕球しやすいと思う。左肩が残ってた分インローのタッチしやすいコースにボールが行った。
私がここで言っているようなことはアウトになった近本はインプットしたと思う。
近本は、”コイツはイケる”と思ったと思う。
石原は、2回に押手主導で上からヘッドをボールの外側(投手寄り)を叩き左翼線に二塁打。打では素晴らしい面を見せたがスローイングに課題を残した。
岡田明丈のピッチング
岡田は、担いで投げるが、左肩の開きが右肘の推進に先行する手投げの投球でリリースの瞬間に右肘下がる。投球がアウトローに外れ江越に四球を与える。
片山に投げたインローも手投げでリリースの瞬間に右肘下がってインローに外れ、江越が盗塁成功
岡田は、最後も、右肩下がるが手投げでダブルプレーン投球。左打者の片山がストライドが広がって重心、手首が下がったので、アウトハイを振り遅れてくれ、空振り三振を取ることができた。
岡田は、北條のところまではオーバーハンドで肩峰ぶつける投げ方ができていたが、江越のところからは、一塁側に傾いた体軸と右腕の交わり方がスリークォーターの交わり方になっていた。
結果は無失点であるが、調整が必要。
中村奨政は、前述のインローの投球を左腕前腕部を回内して捕球したのはokだが左膝を地面に付いて捕球。右肘をつまみ上げるのがワンテンポ遅れる。右肘をつまみ上げたときに体重が右足の拇指球にかかる。よって左膝をインステップからスクエアにする間がない。しかし、左膝を開いてやらないと右肘が出ていかない。左膝の開きに後れて右肘を推進させ二塁送球がインハイに外れる。阪神の俊足選手達に舐められますね。
小園海斗の守備
9回試合途中から遊撃に回った小園は、一歩出てしまったが、フォアハンド(左打席に立ったのと同じ体の向き)で左足つま先をセンター方向に向け 小指球にも体重をかけて捕球
小園は、初回、二塁守備で、糸原がヘッドアップして打った打球に対し、一歩前に出てしまったが、フォアハンドで左足小指球に体重をかけ左股関節の外旋により打球の軌道を引き付けて捕球
小園は、バッターボックスから距離が離れている二塁ベース寄りに守っていたが、打球そのものは安打になるスピード、硬球は弾まないので地を這うゴロになったところで捕球。菊池涼介は定位置に守ったときは一二塁間の打球に追いつけなくなったが、まだまだ二塁ベース付近のゴロには対応できるので、菊池涼介には及ばないが、小園は、安部、曽根と同じぐらいのレベルで二塁を守れる。
打球の軌道の正面に入ると前肩を開いて打席に入るのと同じだから頭と打球の軌道が逆を向く。
小園は、打球の軌道の正面ではなく左打席、右打席に入ったのと同じ状態でガイドハンドと打球の軌道との距離が取れるようになってきた。
小園の守備に注文を付けさてもらえば、二塁守備、遊撃守備も、最初に一歩前に出るという動きが無駄。予備動作は上下、左右のシャッフルで十分
しかし、小園は、押手主導でスローイングできるので遊撃一本で行かせたい。飽くまでも田中広輔は、三塁で安部、三好と競争であるという私のスタンスは変わらない。
総括
一流選手になれていなくても凡退した打席やエラーをしたプレーについては事後に分析をします。
鈴木誠也や西川クラスになると本塁打を打った打撃は完璧に打てているのですが、レギュラーを獲れない選手は、投手の立場から見て打撃を崩す糸口が見つかるんですね。
レギュラーを獲れていない選手は、守備にしても走塁にしても結果が出たケースでも相手から見て崩せる余地があるのです。
試合が決まった後、又は得点に関係しなかった場面、得点の基礎とならなかった場面で行った動作についても相手のスコアラーは拾って攻略の材料にします。
オープン戦では、一見すると快勝の試合のときに、結果が出た個別のプレーについて問題点を探り出してピックアップする作業が重要になります。
試合結果
アドゥワ誠ー藪田(4回)-一岡(6回)-中村恭平(7回)-菊池保則(8回)-岡田(9回)
横山ー中田賢(4回)-スアレス(4回二死から)ー岩貞(6回)-谷川(9回)