09/03/2021矢崎拓也4回5失点も憂慮する必要なし

先発投手は、全球、ギアを上げて投げていたら、球数を多く投げることができなくなります。
解説者やブロガーは、ギアを上げるとよく言いますが、ギアを上げるとは、具体的にどのようなことを言うのでしょうか。

広島先発矢崎拓也のピッチング

人間は、ガイドハンド(押し手、トップハンド)の前腕部を回外してトップを入れ替えるととガイドハンドの肘が落ち、前足が地面から浮きます。後ろ足のスパイクの内側でエッジをかけると前足にウェイトがかかります。前足のスパイクの外側で地面を噛ませていれば後ろ足にウェイトはかかりません。前足のスパイクの内側で地面を噛ませると、後ろ足にもウェイトがかかります。守備走塁は背骨の左右にボールが来ますので両足にウェイトをかけていなければなりませんが、投球や打撃ではその必要がありません。両足にウェイトをかけると、軸足とは逆の方の足(スイング足)の股関節を軸足側の股関節ぶつけると、スイング足の股関節を、トップを入れ替える(ガイドハンドの前腕部を回内→回外)するまでに、スイング前の位置に戻さなければ、軸足を入れ替えてもう一方の足の股関節を前にスイングすることができません。前足を地面に向かって落とすと、ガイドハンドの肘が上がります。前膝を地面に向かって蹴り前足首を背屈させるとヘッドステイバックが大きくなります(スライドステップ、例:小園、鈴木誠也、王貞治)。丸は、前膝は屈曲させたままで、前膝は地面方向に蹴らずに前足の着地位置を探ります=前足を着地させません。
私に言わせると、ギアを上げるとは、①前膝で地面を押しつぶす(蹴る)、前足の内転筋を引っ張り上げる、前足首を背屈させる(ブロッキング)、②前膝を使ったブロッキングによって投球肘の推進を加速させる=ガイドハンドの親指をしならせる、③ガイドハンドの親指でボールを深く押し込む=投球肘の前腕部の回内(リリース)後ろの股関節を前に振り切らないをすることです。

先発再転向の矢崎は、ギアを上げずにどれだけの投球をできるかに注目していました。すなわち、セットアップの段階におけるウェイトが100%前足に乗って、前足首を背骨の近くで底屈させていれば、投球腕前腕部の回内以降の動作は、オープン戦や走者のいない場面では重要ではありません。投球肘をつまみ上げるところまでできていればOKです。この段階まで投球動作ができていれば、現段階では、打たれても、ワンバン以外の四球を出しても、点を取られても構いません。69球投げて12のアウトを取り、8安打2四球というスタッツだけを見て矢崎を批判してはいけません。

確かに、矢崎は、前膝のブロッキングも弱く、ヘッドステイバックも小さいです。一塁側へのタンブルもレギュラーシーズンに比べると小さいです。アウトコースのベルトの上、下に投げるときも右股関節のターンも途中で止めています。ギアを入れて投げていません。
大山は、セットアップ直後にトップを入れ替えて右肘を落とします。その後、左足をスライドステップします。前肩が落ちます。前肘は畳んでいるので、引手も肘→手首の順で前に出ます。右肘のヒッチが遅れれば、前足首の底屈、背屈も遅れます。右肘のヒッチが中途半端だと前足のつま先は前に出ます。左手首が左肘より先に出て泳ぎます。
近本、梅野は、セットアップの段階で両足にウェイトをかけ、セットアップの直後にトップを入れ替えません。後ろ足に軸ができて前肩が背骨の方に入ります。この2人は、大山と同じく、前足の着地位置を探らずに、前足首を背屈します。だから、前肩にブレーキがかけられます。だから、ワンバンやインサイドアウトで加速距離を長くしてもヘッドが届かないボール球は振りません。
矢崎は、前膝を使ってブロッキングしていませんので、大山、近本、梅野は、前膝を使ってブロッキング、ヘッドステイバックをする間ができます。矢崎は打たれても仕方がないんです。
佐藤輝明は、セットアップの段階で両足にウェイトをかけています。セットアップの直後にトップを入れ替えません。近本、梅野と同じく、前足のスパイクの内側で地面を蹴って左肘(梅野は右肘)をヒッチします。後ろ足に軸ができます。近本、梅野と異なり、佐藤輝明は、右肘が突っ張ります。落合、古田、石毛のようにトップが深くて低いんです(セットアボトムハンドの前腕部を回内するとヘッドが寝る。ピレラは、セットアップのときヘッドを寝かせ、ボトムハンドの前腕部を回外させてヘッドを立ててからトップを入れ替えてヒッチ→前足のスパイクの外側を浮かせる。だから差される。前田智徳は、トップが高くて浅い。鈴木誠也は、トップは高くて浅いが、ヘッドを投手側に向ける分前田智徳よりはトップが深い。村上は、右股関節が左股関節を跨ぐがもう少しトップが浅い。西川はトップが深くて高い)。右腕前腕部は回外しているのでヘッドは寝ていない。トップを深くして加速距離を産み出します。前足の着地位置を探ります。前肩が下がりません。前足首の背屈が遅れても、前肩が残ります。しかし、前肘を抜かないと、トップを入れ替え(左肘は落ちる)も、左手首を底屈してグリップを前に運んでいくことができません。前肘を抜くと前肩が前に動いたり、開きます。前肩は真下に落ちずに、緩やかに前に出ます(クサイボールをカットする打者と同じです)。左手首は底屈したまま寝ます。鈴木誠也は、スイングの軌道はV字スイングですが、ボールの軌道に対してはレベルスイング。青木とか佐藤輝明は、スイングの軌道は、レベルスイングですが、ボールの軌道に対してはレベルスイングではない。わかりやすく言うとドアスイングなんです。トップを深くして加速距離を出す昔の人に言わせるとホームランバッターということになるんですが、私から見ると、彼は中距離打者です。前肘を抜くのが、すっぽ抜く変化球もファストボール、スプリット、シンカーと同じなので、ファストボールに合わせて変化球を振っているものと投手や第三者は錯覚します。ガイドハンドの親指、中指、人差し指をしならせない、加速させないので、変化球にはボールの軌道に手首の位置を合わせただけのスイングになります。

矢崎は、セットアップの段階で、右足、左足は、共にスパイクの内側で地面を噛ませてします。前足のスパイクの内側で地面を蹴って右肘をヒッチさせます。右足のスパイクの外側の踵よりにウェイトがかかります。右足に軸ができます。骨盤の右側が浮きます。右足のスパイクの内側で地面を後ろに蹴ってしまいます。左足のつま先が加速していきます。背骨の近くで左足首を底屈できません。左足のつま先が加速してから右肘をつまみ上げています。前膝を使ってブロッキングをする間ができないので、ヘッドステイバックが小さい。トップを入れ替える(右腕前腕部の回内→回外)間がない。栗林も矢崎と同じです。
栗林は、右肘をつまみ上げたときに前肩が背骨の方に入りますが、矢崎は入りません。栗林ほど踵体重になっていないのです。セットアップのときのウェイトのかけ方が栗林ほどには後ろ足偏重になっていないのです。
矢崎は、セットアップのときのエッジのかけ方を変えるだけで、その後の投球動作は大きく変わります。

阪神先発西純矢のピッチング

西純矢は、右足の踵にウェイトがかかり、右足に軸ができます。左足の拇指球で地面を後ろに蹴ってしまいます。左足つま先が加速し、左膝を使ってブロッキングができていません。
クロンは、前膝を使ってブロッキングする間がありますので、ヘッドステイバックできます。前肩が前に出ません。梅野は、西純矢に中途半端な高さに投げさせてクロンをテストしますが、クロンは、西純矢クラスの投手であれば、高目も本塁打できます。
クロンは、真ん中のボールに対しては、後ろの股関節は前に出なくなりましたが、前足の底屈が加速して左の股関節が前に出ます。トップを入れ替えて右肘を右手首の前に出した後も後ろの股関節の外旋は解けていませんが右手親指がしなり切りません。左足首の背屈が右手親指でグリップを押し込んだ後になります。右腕前腕部を回外してボールの外側を縦にこすると打球にドロー回転がかかり、レフトのポール外側に切れていきます。

得点圏で三振した鈴木誠也

鈴木誠也は、昨シーズン、キャンプ中、今回と全て前膝を上げる高さが全て異なります。昨シーズンは、トップを入れ替えてから、前足スパイクの外側で地面を蹴ってから左足首は背屈していません。キャンプ中と比べると、ヘッドステイバックは小さかったです。

キャンプに入ってからは、トップを入れ替え、左足スパイクの外側で地面を蹴ってから左足首を背屈してヘッドステイバックを大きくしました。西川はトップを入れ替えずに右足のスパイクの外側で地面を蹴ります。スパイクの外側で地面を蹴ってから前足首を背屈するというのは、小園をモチーフにしたものです。西川のようにトップを入れ替えずに、前足首を背屈するスイングも試しましたが、左股関節が右股関節を跨いでしまい失敗したのでやめました。この試合の打席では、左足のスパイクの外側で地面を蹴ってから左膝を上げる高さをキャンプ中ほど高く上げませんが、前足首を背屈して昨シーズンまでよりヘッドステイバックを大きくしています。
左股関節を引っ込めてヘッドステイバックが大きくなったので、腰を引いていると錯覚します。
昨シーズンも今キャンプも前足の着地位置は探らずに、前足首を底屈してトップを耳の高さまで持ってきています。前足首を底屈する前に腰を捕手側や三塁側に引くのは構いません。
坂倉や松山のように前足首を底屈して前足の着地位置を探った後、骨盤を背骨の方に引くのが良くないのです。
鈴木誠也は、右肘のヒッチ(トップの入れ替え)が遅れ、左足首の背屈が遅れてトップを入れ替える(右腕前腕部の回内→回外)ことができずに三振しました。右肘のヒッチから左足首を背骨の近くに底屈するまではできています。試合は、鈴木誠也が得点圏で三振して負けましたが、現段階の鈴木誠也は、これでOKなんです。