ヘーゲンズは、4月22日に一軍登録されてから、救援で主に7回を担当し、44試合に登板し、中継ぎの層の厚さを救った。福井と岡田が故障で離脱していた、8月21日からは、先発で6試合に登板した。来季は、先発として起用したらよいのか、それとも救援で起用したらよいのであろうか。
ヘーゲンズの投球動作を見ると、
ヘーゲンズは、軸足の膝はルーズにして、右脇を開けて、肩を使って右腕を弧を描くようにして、リリースのときに下向きに捩じって縦回転を使って投げる。体重移動後の軸足である左足は、そこそこ突っ張っている。球に力は、十分ではないが、それなりに伝わっている。
ヘーゲンズは、リリースのときに左肩の開きが早く、右肩が下がり、頭が下がって上体が突っ込み、低目に暴投することがある(大分、捕手に助けられている)。
軸足の蹴りが足りず、開きが早く、肘が伸びて横振りになって高目に外れることがある。
それでは、ヘーゲンズの今季の成績を見ることとする。
今シーズンの通算成績は、
50試合 83回1/3 被安打71 被本塁打4本 33奪三振 与四死球36 暴投4 ボーク0 自責 27 7勝5敗 19HLD(24HP) 5SP 防御率2.92
被安打率は、右.216 2本 犠飛3、左.269 2本、トータルで.242である。
本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合である被BABIPが.259
被長打率が.304
被本塁打率が9イニング換算で0.43と少ない。
与四球率は、3.56とやや多い。
被出塁率が.322、被OPSが.626
奪三振率は、3.56 奪三振/与四球は、1.00である。
総投球数は、1,293球である。
インプレーの打球を排除した奪三振、与四球、被本塁打から評価するFIPが1.25
1イニング当たりの走者の数を表すWhipが1.25
残塁率73.96%である。
アウト内訳がゴロ130、フライ58 三振33 犠打10 犠飛3 守備妨害1
ゴロフライアウト率が2.24
ゴロ比率が55.3%
平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示すRSAA(高い程、優秀)が5.44
次に、先発、救援別成績を見ることとする。
先発においては、
6試合 31回2/3 被安打28 0本 11三振(奪三振率3.12) 四死球20(与四球率5.68) 自責13 Whip1.48 2勝3敗 3.69
134打者と対戦し、打者一人当たり3.89球 5.49球投げて1アウトを取っている。
QS率33.33% QS勝2 QS敗0 救護率2.06
100球超1試合
イニング別では、6回が6失点、4,5,7回が3失点 失点したイニングは14回で失点回率が28.00%
救援での成績は、
44試合 51回2/3 43被安打 4本 22奪三振(奪三振率3.83)、与四死球20(与四球率3.48)
総投球数771球、打者208人と対戦し、打者1一人当たり3.70球投げて、4.97球で1アウトを取っている。
連投が7試合、3連投が5回。 9試合で回跨ぎをしている。
1失点までの投球回が3.44 失点時の回数が14.0
救援時に安打、与四球を許さなかった試合/救援登板数は、31.8%
救援時の失点/失点した試合の投球回=1.07 炎上型ではないが、3試合に1回の割合で小刻みに失点する。救援としては頻度がやや多い。
1シーズントータルの球種配分を見ると、
カットボール 55.26%・・・小さく曲がり落ちるスライダーも含まれる。
ツーシームなどのシュート系 17.72%
ストレート 11.84%・・・カットボールなどの動く球が含まれ、純粋なフォーシームは、殆どないと推定される。
カーブ 11.46%・・・130キロ台の速いカーブもある。
チェンジアップ3.72%・・・握りがチェンジアップなだけで球速は、真っ直ぐ系と差がない。
球種別被安打は、
カットボール 178-39 2本 .219
シュート系 43-14 2本 .326
ストレート系 32-8 .250
カーブ 27-6 .222
チェンジアップ 13-4 .304
球種別空振り率は、
カットボール11.76% 26三振 24四球
シュート系 3.06% 1三振
ストレート系 6.54% 2三振
カーブ 9.46% 3三振
チェンジアップ 6.25% 1三振
カウント別の被打率は、
初球が35-9 1本 .257、
1-0が23-7 .304 2-0が12-6 1本 .500
0-1が33-11 .333 1-1が37-10 1本 .270 2-1が18-2 .111 3-1が6-0 .000
0-2が11-4 .364 1-2が30-7 1本 .233 2-2が33-8 .242 3-2が22-7 .318
ファーストストライクを打たれているので、カット、ツーシームの、軌道、制球に問題がある。
0-2と追いこんでからはカットボール以外の比較的あらゆる球種を使うも打たれている。カットボール以外の球種は、制球、キレが弱いということである。
3-2から奪った7つの三振は何れもカットボールである。一方、勝負せざるを得ないことが多い3-2でも打たれている。カットボールの割合は、その他のカウントを同じ位、カットボール以外の球の投球動作、軌道、制球を含めて評価した精度に問題がある。カットボールのそれらも完璧ではない。
コース別の被打率は、
インハイが7-2 1本(ゾーン6-1)、インコースベルトの高さが18-7(右.444 左.333)、インローが9-3。
真ん中が低目が33-7(ゾーン25-6).212 1三振 ど真ん中が26-11、高目33-7(ゾーン30-5)
外角は、低目が83-14 .169 24三振(右.148、左.194 ゾーン内右.234 左.263 トータル42-9 .214 3三振)
バットとボールの距離が取りにくい外角高めが27-11 1本 .407 コースが真ん中の、ゾーンよりボール2個分上のところが3-2 .667と左肩の開きが早いと、対応できてしまう。
右打者のインコース(左打者のアウトコース)のベルトの高さを打たれたときは、軸足の蹴りが足りず、左足に体重が乗らず、肘の引っ掛けが作れず、スピンに力が伝わっておらず、伝わっているときは、打者が手が出ない球を投げる。
難しい場面では、外角は打者が見やすいので、右打者の手の届かないところに投げて凌ぎ、強打者のツボ近くに、始動を早くさせて真ん中低めの変化球で三振を取るということが、殆ど全くできない。
先発のときは、9月4日のヤクルト戦の7回途中(打者26人90球)が最長で、平均5回1/3程度イニングを食い、6回に最も点を取られているが、リリーフで投げていて、先発調整の間が与えられず、中3日で先発初登板をしたことを割り引いて考えなければならない。
先発6試合中、4試合が自責1以内で、防御率3.69は、急遽、転向した投手としては、又、4番手以降の先発としては、合格点である。
AA、AAAでは、先発をしていた。
ヘーゲンズは、初球からカットボールを散らして打たせてとる組み立てである。
自力救済の投手ではなく、バックの守りに助けられて抑える投手である。
Whipが1.48であることから、5.49球で1アウトが取れる計算になるが、打者一人当たり、3.89球と球数が少ない。カウントを整えながら見逃し三振を取る投手ではない。カウント3-0が一度もない。
先発で100球を超えたのは、8月28日の中日戦の102球(5回2/3)のみで、左肩の開きを抑えた上で制球を散らせたときは、5回69球、6回86球と少ない球数で試合を作れる。
リリーフのときは、Whip1.10、打者一人当たり3.70球、先発のときは、Whipが1.48であることから、5.49球で1アウトが取れる計算になるが、打者一人当たり、3.89球と球数が少ない。カウント3-0が一度もない。
カットボールは空振り率は、11.76、見逃し率10.64%であるが、打者がファーストストライクを振って球のスピードを評価しているだけで、奪三振は、178打数で26三振と高確率で三振を取れる球ではない。ファウルを打たせたりボール球を打ってゴロを打たせることができないと、四球になる。カットボールの四球は24である。
フォークを投げず、チェンジアップのスピードもカットボールや動く真っ直ぐと差がないので、又、突出した球がなく、先発のときもリリーフのときも奪三振率が低い。
ランナーがいない場面では、先発でも救援でも打たせて取ればいいが、三振ですら点が入ることもある一、三塁、ランナーを貯めてからの被打率が高い。
先発、救援のときの双方で与四球率が高い。
終盤で大量点は、敗戦が確定してしまうが、早い回であれば、打線が挽回できる。
ヘーゲンズは、先発に適していると思う。
先発ローテーションが組めなくなって先発に回すのではなく、キャンプ、オープン戦から徐々に球数を増やして先発調整をさせてもらいたい。
[主な打者との対戦成績]
坂本 4-2 .500
ギャレット 4-2 1本 .500
阿部 4-1 .250
長野 6-2 .333
バレンティン 8-1 1本 .125
山田 6-1 1本 .167
西田 4-2 .500
西浦 5-2 .400
筒香 3-1 1本 .333
ロペス 5-0 .000
倉本 5-0 .000
福田 7-3 .429
大島 7-2 .286
森野 7-2 .286
堂上直倫 7-1 .143
ビシエド 3-0 .000
西岡 3-3 .1000
原口 4-2 .500
鳥谷 5-2 .400
高山 5-1 .200
※文中データは、データで楽しむプロ野球、ヌルヌルデータ置き場他に基づいた他、独自計算によるものもあります。
[追記]
肘は投げないことで、大分、治癒されますが、確かに、肩、腰は、治ることがありません。一度やる毎に球のキレは、徐々に落ちていきます。
薮田は、3軍で故障しにくいフォームとトレーニングを重ね、肩の故障とつき合う方法を模索してきました。
故障してきた肩と上手く付き合うのでれば、回跨ぎのないリリーフの方が適切であると考えます。
岡田の魅力の一つは、テイクバックを大きく取って、リリースの際だけでなくテイクバックの際にもしなりができて、キレを生み出しているところです。8月8日の登録抹消前には、テイクバックの際に右肩の下がりがありましたが、9月に入って再登録されリリーフのときには、テイクバックの際に両肩が水平になり、高目に外れることがなく、真っ直ぐ系は、殆ど全て低目に制球され、且つ、テイクバックの大きく取るところも損なわれていませんでした。本文中で挙げた下半身の使い方と共に右肩の下がりもファームで修正してきています。
本文中でも指摘しましたが、ヘーゲンズも故障しやすい投球とされるテイクバックの際の右肩が下がる動作のときもあります。九里もテイクバックのときに右肩が下がることもあります。
広島の投手では、今村も九里もテイクバックのときに両肩がM字型になるので、故障しやすいフォームです。田中正義もテイクバックの際に両肩がM字型になります。
[追記]
先発は、先発以外では、抑えることが困難な投手、例えば、野村、福井、Johnsonのような技巧派投手が務めるポジションだと思います。
先発投手と、スピード(機械を稼動させての数値ではない)が変わらない投手は、相手打者に対応されます。
活きのいい若手投手は、先発もリリーフもできます。先発もリリーフもできるのであれば、リリーフに回すことも考える余地はあります。
ヘーゲンズは、7回を担当させられるまでは、広島の中継ぎは、中田、オスカル、永川らが打たれまくっていたので、ヘーゲンズは、救世主のような評価がされますし、その評価は、間違っていませんが、優勝争いをするチームの中継ぎとしては、更に、後ろを強化して連覇するのであれば、リリーフ投手としては、強くない。
当ブログでは、中﨑、Jackson、今村への登板の偏りを避ける手段としては、岡田、大瀬良、藪田のリリーフ起用を挙げています。