山本由伸のアーム式投法

セパ交流戦広島ーオリックス1回戦、山本由伸は、広島打線を7イニングを投げ終えて完全試合。山本由伸が良かったから完全試合をされても仕方がない?この試合の山本由伸は、左膝を使ってのブロッキング(ヘッドステイバック)は100点満点でしたが、右足のターンは途中で止めているのがほとんど、ギアを上げていませんし、相対的には良くても絶対的には、良くありませんよ。
このまま完全試合を達成して、広島の各打者に己の実力の低さを思い知らせてくれることを願っていました。
従来から投球肘を伸ばしたところからトップポジションに入るアーム式は、投球肩関節、上腕部を損傷するとしてネガティブに価値を付けられてきました。しかし、アーム式即肩関節を故障するのではなく、肩関節の使い方が間違っているから肩関節、上腕部を故障するのです。

セットアップ、予備動作からトップポジションに入るまでの山本由伸の投球動作

山本由伸は、右手中指の基節骨でボールを握り、前肩をわずかにオープンスタンスにしてセットアップします。フォーシームは、人差し指と中指をくっつけて投げるものと、開けて投げるものとがあります。カーブは、人差し指、中指の第二関節を曲げて投げます。左打者に投げるときも右打者に投げるときもプレートの一塁側に右足の小指球を沿わせます。
右投手がプレートの一塁側に右足のスパイクの外側を沿わせると、アウトコースを投げるときもインコースを投げるときもトップハンドの人差し指の付け根でボールを押してしまいます。四隅に制球しやすくなりますが、中指、小指でボールを叩かないので、トップスピンもバックスピンも軽減します。スプリットを投げるとき、人差し指の付け根がボールの上っ面に被さりボールを人差し指、中指の間に引っ掛け、右腕上腕部が凹むことがあった。右打者に投げるときの方がマウンドの頂点寄りに右足小指球を沿わせます。左足スパイクの外側で地面を蹴ります。ワインドアップで投げるときは、右足小指球、セットアップの解除、左足踵、左足小指球、左足拇指球の順で地面を蹴ります。右腕前腕部を回外してセットアップを解きます。右肘がヒッチします。右股関節が外旋します。右足の外踝よりやや踵寄りで地面を蹴ります。左膝を下した後に左足首を背屈して「く」の字を作ります。山本由伸は、昨シーズンまでよりもヒップファーストを小さくしています。ヒップファーストが大きくなるとインステップして前の股関節を外旋して骨盤が水平回転してしまうので、ヒップファーストは小さい方が望ましいのです。
前肩関節が背骨の方に入らず、前肩関節と投球肩関節を結ぶラインが一直線になり、このラインがホームベース方向に向きます。後ろ肩関節も外旋しません。これをニュートラルポジションと言います。打撃においては、鈴木誠也、ピレラ、小園がトップポジションでニュートラルポジションになります。ボトムハンドの肘が回外して前肩が後ろ肩よりも下がっていますので、即トップが入れ替えられます。

アーム式が指導者やファンに嫌われていたのは何故?

私が野球をしていた頃は、セットアップを解いた後、右肘を逆Lにして投球肘からつまみ上げろと言われてきました。これを英語でインバートWと言います。これだと投球肘の側副靭帯にかかる負荷が増します。
一方、古くは中日小松、最近であるとジェイジャクスン、戸郷なんかは、投球肘を逆Lにしないアーム式ですが、小松、戸郷は、後ろの肩関節が外旋されます。投球肘が背中の方にぶつかります。ジェイジャクスンは、後ろの肩関節を外旋しません。ニュートラルポジションになります。前者も後者も投球肩関節を外転するだけで投球肘をつまみ上げるので投球肩関節の上腕部にかかる負荷が増します。
岡田明丈は、インバートWですが、投球肘をヒッチするから右腕上腕部を損傷したのではありません。右手親指の基節骨でボールを叩けば、右肘を担げるからです。後ろの肩関節を外旋するから右腕上腕部のローテカフを損傷するのです。
このブログでは、右手親指の基節骨でボールを叩いてトップハンドの手首→投球肘の順に上げることを推奨してきましたが、山本由伸は右手首→右肘の順につまみ上げています。右肘が背中にぶつかりません。アーム式はアーム式でも一岡に近いアーム式です。投球肘が伸びるアーム式になりますが、投球肘の側副靭帯も投球腕上腕部にかかる負荷も軽減されます。親指の加速距離が長くなるので、トップハンドの中指、小指のしなりが大きくなります。投球肘の角度がアウトサイド135°前後になります。後ろの肩関節が、投球肘がインサイド90°以下の場合よりも残ります。これをスタンダードWと言います。高橋昂也の場合、アーム式の他に、投球肘から先につまみ上げるインバートWも用いますが、スタンダードWです。
但し、山本由伸は、右手親指でボールを一塁側に叩くことがあります。そうすると、右肘が背中の方に接近し、後ろの肩関節が外旋されます。
レッグドライブ(前膝の推進、前足首は底屈)、フットストライク(前足つま先の接地、前足首は底屈)を経て、投球肘の上腕部を外旋すると投球肘の角度は、アウトサイド90°に近付いていきます。投球肘がヒッチします。トップハンドの小指でボールを叩く=トップを入れ替えると、更に投球腕上腕部が外旋し投球腕の前腕部をレイバックすると後の胸郭が張り出します。後ろの肩関節が引っ込みます。投球肘の後ろに投球する手首が来ます(最大外旋位~アクセレーション期)。メジャーリーガーの多くは、ここで前足首が背屈します。
レジースミスは、胸郭→肩関節→投球肘の順にリンケージしていくと言っていますが、正確には、後ろの胸郭→投球肘→トップハンドの小指→投球肩関節の順です。この順番で稼動させていくことにより、投球肘が前の股関節の前に出て後ろの胸より投球肘が前に出ないゼロポジションでリリースできます。
前足を底屈させたまま着地すると前足つま先の親指から小指までの距離が広がります。前足首を背屈すると前足つま先の親指から小指の距離が縮まります。前足首を底屈して前膝を屈曲したままリリース(トップハンドの親指基節骨でボールを叩いて投球腕前腕部を回内)
すると、トップを入れ替えて、両股関節をぶつけることによって、更には親指でボールを叩いて両股関節を剥がしたときに産み出した瞬発力が地面に吸収されてしまいます。前足に回転軸を作ることができません。後ろの肩関節、側副靭帯、ローテカフだけで半円運動又は円運動をしなければならず、これらにかかる負荷が増します。レッグドライブからフットストライクまでが長いとトップハンドの中指、小指の加速距離が短くなってしまいます。

アーム式でもトップスピン、バックスピンが軽減しない最大の秘訣はココ

山本由伸は、左膝を畳んで、頭、背骨のほとんど真下に落とし、レッグドライブの距離が全くといい程ないノーステップです。右腕上腕部を外旋したときには、左足首を背屈しています。高橋昂也に至っては、完全に頭、背骨の真下に前足を落としています。
ストライドの狭い立ち投げなので、トップハンドの親指をしならせ、親指基節骨で叩く間が作れるので、投球肘を担げます。トップを入れ替える間もできます。前足を軸に半円運動を行うことで、肩関節、股関節、投球肘、投球腕の上腕部の負荷を軽減して投球腕前腕部の回内、回外を繰り返すことができるのです。故にカーブが懸河の如く落ちます。
両者の差は、山本由伸は、レッグドライブ期に後ろ足の踵が浮いて小指球で地面を後ろに蹴ってしまっているからです。高橋昂也もセットアップを解いた後に後ろ足の外踝よりも踵寄りにウエイトがかかると、レッグドライブ期に後ろ足の拇指球にウェイトが残ります。右股関節を引っ込めると右足首は背屈できます。しかし、トップを入れ替えて両足をクロスさせると右膝が右足つま先の前に出てO脚になります。
トップを入れ替えると、右股関節は左股関節に近付いていきますが、山本由伸は、右打者のアウトコース(左打者のインコース)に投げるときは、リリースの瞬間に右股関節を左股関節から剥がさずに投げます。右打者のインコース(左打者のアウトコース)に投げるときは、右股関節を左股関節から剥がして投げます。