Last Updated on 2023年4月27日 by wpmaster
日本ハム対ロッテ5回戦
先発は、伊藤大海と森遼大朗
試合は、3-4で日本ハムが敗れた。
敗因は、何か?
敗因は、伊藤大海の出来が最悪であったからである。しかし、私は、伊藤大海を責めない。
伊藤大海は肩肘の故障を押して投げていたからである。
しかし、エースの金村が右肩の故障で登録抹消された現在、更に先発ローテーションから離脱する投手を産み出すわけにはいかない。
エスコンフィールドのマウンド
ホームグラウンドのマウンドは、そのチームのエースの意見を聞いて建設される。
メジャーにトライすることが事実上確定している上沢は、従前よりストライドを狭くし、メジャー投手並みの立投げで投球肘を加速し、投球肘を上げている。
しかし、伊藤、ストライドを狭くする前の上沢は、何れも6足半未満とストライドが狭く、テイクバックが小さい金村は、6.0足に近く、伊藤、ストライドを狭くする前の上沢よりも狭い。
エスコンフィールドのマウンドは、札幌ドームのマウンドほどではないが、赤土の粘土の割合が高いベルーナドームよりも更に赤土の粘土の割合が高く、掘れにくいマウンドであることが推察できる。
テイクバックが小さい投手を好む新庄の意見も斟酌しているが、エスコンフィールドのマウンドに対応できる投手ということで金村尚真を獲得したことが看て取れる。
掘れににくいマウンドは、ストライドが狭く、前膝の屈曲を浅くして投げる投手は、スパイクの歯が地面から外れることが生じない。前足の股関節を外旋して前足の股関節を引っ込めて後ろ足の拇指球で地面を後ろに蹴ってしまうことをブロックできる。
エスコンフィールドのマウンドは、上沢、伊藤、金村の投球動作上有利に作られている。
PayPayドームのように黒土の割合が高く、掘れやすいマウンドの場合には、他球団の投手は、粘土が出現するまで掘ってから投球動作を開始する。
伊藤大海のピッチング
今回の伊藤は、これまで伊藤を観た中で最もテイクバックが大きい。捻転差を作ることで投球肘を加速させることを試みていることが看て取れた。
しかし、投球肘を加速できる状態まで再生産できないのであれば、右腕前腕部を回外した後、両手首を結ぶラインをW字の状態にして右肘を上げ、テイクバックを狭くして側副靭帯を緩めてやらなければダメだ。
伊藤は、グラブは背骨の前で鎖骨の高さにセットしているからこれは問題が生じない。しかし、右手親指の爪の裏でボール押して右手首が底屈しているので、右手親指基節骨をボールに当てて右手首を背屈する必要が生ずるのである。
このことを踏まえて今回の伊藤の投球動作を観ていこう。
人間の体は、右腕前腕部を回内すると、右肘の属副靭帯は緩む。一方、腱板は突っ張る。
投手は、テイクバックが大きければ大きいほど、右腕上腕部棘下筋を含む腱板が突っ張る。投球を重ねる毎に腱板が擦り切れ、右肘を支えきれなくなる。
右腕前腕部を回外すると右肘は落ちる。右肘がここで落ちることによって、側副靭帯は張るが右腕前腕部を回内後に右肘が上がるので、側副靭帯が弛緩する。
伊藤は、右腕前腕部を回内(テイクバック)して右肘をインバートLにした後、右腕前腕部を回外するが、今回の登板においては、右肘の上で右腕前腕部を回内した後、右肘が沈んでいるのである。すなわち、右肘の側副靭帯も、腱板も緩んでいない。
よって、左腕上腕部の内旋運動、右腕前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなる。
右肘をドアを押すように推進させていく。
右腕前腕部を回内してリリースした後、右肘が上がらない。
右肘のレイトコッキングの角度は、オーバーハンドであるが、右肘の高さ、右腕と背骨の交わる角度は、スリークォーターに近くなっている。
解説の岩本勉は、伊藤の立ち上がりに関して「素晴らしい」という評価を付けていたが、私は、間もなく右肩もぶっ壊れるだろうと観ていた。
左膝を伸展して右股関節の内旋をブロックできていたから、エスコンフィールドのマウンドを使いこなせていた。
伊藤は、101球投げて6イニングスを食ったが、フィジカルを再生産できず、最後まで右肘がオーバーハンドの高さに上がることはなかった。
野村佑希のバッティング
無死二塁でバントで送れば、後続の打者に安打が産まれなくても得点できる。
野村は、ヘッドをホームベース方向に倒さなくなってきたので、無死二塁、一死一二塁、一死一三塁の場面では、野村を打者として成長させるという面から言うと、バントや単独での重盗を用いなくても、一人ランエンドヒットで差し支えない。
但し、一人ランエンドヒットは、走者に課されるノルマが軽減されるものではない。
1回表一死一二塁の場面で、野村は、予備動作でコックを用いる分、右肘が完全に上がる間ができない。
左腕上腕部の内旋運動、右腕前腕部の回外運動の回転半径が長くなる。
右肘を上げた後、左肘が落ちなかったので、左肘を水平に抜いてしまう。
右翼へのライナーを産む。二塁走者は、帰塁後、右翼手が打球に触れた後にスタートを切る。
6回裏無死二塁、野村は、予備動作にコックではなく、ステップオンとタップを使う。右肘を上げる間が作れず、中飛を産む。
清宮は、中堅藤原が打球をフォアハンドシングルで打球を叩いた後にスタートを切り三塁に進塁する。
9回裏一死一三塁の場面で、野村は、ここでも、予備動作でコックを用いる。
インローのホームランボールに対し、スモールステップに留めるが、右肘が完全に上がる間ができない。
1回裏の打席ほどではないが、左腕上腕部の内旋運動、右腕前腕部の回外運動の回転半径が長く、加速距離が短くなる。
右肘を上げた後、インステップせずにアウトステップした分、右腕前腕部の回外後、右手首は背屈したが、差されて遊飛に終わる。
三塁走者の松本剛は、帰塁後、遊撃手が打球に触れた後、スタートを切るが、再び帰塁する。
野村は、コックが不要、ステップオンも不要、右肘のヒッチが必要なのである。
水野達稀の打撃
2回裏一死一二塁、二塁手の中村奨吾は、一二塁間ライン上、二塁ベース寄りに守る。
水野は、ヘッドをホームベース側に倒す神主打法の構えをする。
コックして左肘を上げた後、右肘が左肩の方に入る。右腕上腕部、左腕前腕部の回転半径が長く、加速距離が短くなる。
スイング後にヘッドが下がり、左手首をコックしてヘッドアップしてしまう。
打球が跳ね、右翼前に抜けたが、打撃内容は二塁ゴロである。
清宮幸太郎の走塁
6回裏一死三塁、万波は、ヘッドを寝かせて構え、スモールステップする。フライングエルボーをしてからトップを作り、スイングする。
産み出した打球は加速距離が長く、落下してくるまでに間が生ずる。
中堅藤原は、落下点の後ろまで走る間が十分に生ずる。ポテンヒットになることは100%生じない。
清宮は、帰塁せずに三本間に立ち止まっている。
藤原が左肩峰の高さでフォアハンドシングルで打球を叩いた後、再スタートを切るのではなく三塁に帰塁している。
谷内亮太の遊撃守備
谷内は、3回表無死走者なし、平沢が産み出したセンターに抜け得る打球を、右足を回転軸にグラブの小指基節骨側でフォアハンドシングルで叩く。
右腕前腕部を回内、回外してベアハンドキャッチすると共に送球のトップを作る。右股関節を内旋し、左足はスパイク外側から入射している。
右股関節をバックステップして一塁に送球する。
送球は、一塁側ベンチに入る。谷内には送球エラーが付けられた。
打者走者は、テイクワンベースで二塁に進塁した。
一死三塁、打者中村奨吾、三塁手清宮は、二三塁を結ぶライン上。一塁野村、二塁水野、遊撃谷内は、走者よりも前に守る。
前進守備は、「フォアハンドシングルで打球を叩くのが難しい」「走者は投手がセットを解いた直後にスタートを切れる」ことから私は、反対である。
打者がフライングエルボーをした後、胸の高さで打球をグラブで叩けるところまでチャージをかけるという守備をする必要が生ずる。
事実、伊藤がセットを解く前に三塁走者藤原に一次リードを、セットを解いた後にラインの内側で二次リードを進められ、本塁との距離を詰められている。
藤原は、中村奨吾がフライングエルボーをした後にスタートを切る。
中村奨吾は、右腕前腕部を回内してスイングした後、ヘッドが下がる。右手首をコックしてヘッドアップしてしまう。
谷内は、中村奨吾が産み出したゴロをハーフバウンドのところでグラブの小指基節骨側でフォアハンドシングルで叩き、右腕前腕部を回内、回外してベアハンドキャッチをする。
右腕前腕部を回内して右肘をコックアップするが、本塁送球を止める。右腕前腕部を回外、回内、右股関節を内旋して一塁に送球する。
左手、右手とも遊撃守備におけるハンドリングは、チーム内で最も巧いと思う。
前進守備を採らずに打者がフライングエルボーした後チャージをかけていれば、本塁に送球してアウトにできていただろう。
谷内は、二塁守備、三塁守備は下手であるが、遊撃守備は二塁守備、三塁守備よりも巧い。
打撃の方は、神主打法を止めてヘッドを寝かせて構えるようになった。しかし、スライドステップで着地位置を探る分、右腕前腕部を回外する間が作れていない。故に、右腕前腕部を回内してスイングした後、ヘッドが下がる。
8回裏の中前安打は、辛うじてスイング後、右手首が背屈したが、6回裏の左前安打は、右手首が底屈しており、右手首をコックしてヘッドアップしてしまう。
遊撃友杉が二塁ベース寄りに守っていたので、左前に抜けたが、打撃内容は、遊ゴロである。
脚注
用語の意味に関しては、下記記事参照