Last Updated on 2019年3月20日 by wpmaster
右打者にとって回転半径を狭くして左膝を開きながら打てるインローはホームランボール。
左打者は利き腕でない方で打つのでトップハンドの肘の出が遅れるだけでなく、投げる方の軸足移動と逆になるので、トップハンドの肘を出した後の左股関節の内旋、軸足の移動、右股関節の外旋が遅れるので(左足でかけるブレーキがかかりすぎる)必ずしもインローはホームランボールとはならない。
今回は右打者と左打者の違いに着目しながら見ていこう。
試合経過
1回表
⑥田中広輔 スウェイ 辛うじてヘッドがボールの外に入る。
真ん中のカットボール141キロを打って中前安打
④菊池 アウトコースベルトの高さのチェンジアップ129キロを打ってレフト線に二塁打
⑤安部 インローのカットボールを打って二ゴロ
⑨鈴木 ステイバックしてから頭がスウェイ ヘッドが出ない。
ブキャナン テイクバックは相変わらず横に大きいが、昨季より左手を高く上げ、右肩を左肩よりも下げる。
Ⓓ松山 スウェイ ヘッドはボールの外側に入るが、打球にスライス回転がかかる。
ブキャナン トップを作ったとき、右膝が内に入るが、右腕前腕部は回内。
左足の着地から右肘が出るまでの間は短いが、わずかにダブルプレーン(右腕前腕部の回内と骨盤の左回転がシンクロ)
③バティスタ スウェイするが壁と作って打つ。
ブキャナン リリースの瞬間に左足が突っ張らず、下半身に瞬発力が吸収されてしまう。
1回裏
③坂口 ヘッドをボールの内→外に入れる。
野村 相変わらずテイクバックが横に大きい。
左足を踏み出す前に重心を落とすのが良くない(大腿骨を骨盤に突き刺すという上下運動がスムーズにできない)
テイクバックのときに右肩が左肩より上がるが、右肩を下げてから左足を踏み出す。
しかし、ダブルプレーンを防げない。
リリースの瞬間に左足が突っ張らない。
Ⓓ青木 泳ぎながらもヘッドをボールの外側に入れてボールを引っ掛けて打つ。
トップハンドの親指でグリップで押し込んでボールの軌道にヘッドを水平に当て右肘を抜きながら、押し手で運んでいく距離を伸ばすレベルスイング。
右打者にとっては受け容れ難いスイング
野村 相変わらずテイクバックが横に大きい。
テイクバックのときに右肩が左肩より上がるが、右肩を下げてから左足を踏み出す。
クイックのときに右股関節の外旋がなく、右膝が内に入るのが早い。
右肩関節部を外転(右肘をつまみ上げたとき)のとき、右膝が内に入る。
左足はスパイクの内側から着地するが、左膝よりも左肘が先行し左膝と左肘が並進していない。
最大外旋位の直後右肘が真っすぐになるが、リリースの瞬間に右肘が沈む。
リリースの瞬間に左足は突っ張っているが、すぐに左膝の壁が崩れる。
④山田 スウェイ ステップ幅が広い。ヘッドが遅れる。手首の下がりを抑える。
野村 レッグダウンしてから右股間節を外旋し、左足を踏み出す。トップを作ったとき右膝が内に入る。
トップが浅いが、右腕上腕部をスムーズに外旋し、右腕前腕部を回内(二塁側にボールを向ける)している分、左足の着地から右肘が出るまでの間が青木のときより短くなったが、それでもダブルプレーンになっている。
リリースの瞬間に左足は突っ張れていない。
⑦バレンティン トップを作ったときに右肘を捕手側に張り出すが、右脇はやや閉まるがヘッドが立つ。
トップハンドの親指でグリップを押し込んで縦にこする。
泳ぎながらも、左足踵に重心を移し、ヘッドステイバックが大きい。
野村 テイクバックが横に大きい。
右腕上腕部を外旋してトップを作ったときに右膝が内に入る。
右腕前腕部が回外(ボールを持つ手が打者の方に向く)する。
左足の着地から右肘が出るまでに間がある。
⑨雄平 真ん中のストレートを打って右前安打
⑤村上 インローのシュート138キロを打って遊併打
2回表
⑧西川 踵体重
アウトローのナックルカーブ120キロを打って二ゴロ
⑦坂倉 ヘッドがボールの下に入る スライス回転のゴロ
インローのカットボールを打って二ゴロ
②石原 ヘッドがボールの下に入る スライス回転のゴロ
アウトコースベルトの高さのストレート139キロを打って遊ゴロ
2回裏
⑥西浦 ヘッドがボール外側に入れて打つ。
インローのシュートを打って中前安打
野村 リリースの瞬間に左足が突っ張らない。
一塁側へのタンブルは大きくなった。
左膝の壁が崩れる。
②中村悠平 左膝のレッグアップが遅れる。
アウトコースベルトの高さのカットボールを空振り三振
野村 ダブルプレーン
36球目(打者塩見)、真ん中高目のストレートを投球後、一走西浦が二盗失敗
⑧塩見 頭が前に出される。俗に言うヘッドがしなるが、ヘッドがボールの内に入り、根っこ寄りに当たる。
アウトコースベルトの高さのカットボールを打って投ゴロ
野村 トップが浅い、右腕前腕部が回外し、右肘が沈む。
3回表
⑥田中広輔 トップが浅い、右足の着地とスイングがシンクロ
インハイのチェンジアップ131キロを打って遊ゴロ
④菊池 インハイにストレートが外れて四球
⑤安部 ステップ幅が広い、ヘッドが遅れる。
インハイのストレート143キロを打って遊飛
⑨鈴木 左足の着地が遅れる。トップハンドの親指でグリップを押し込んでボールの外側を縦に擦るがスライス回転がかかる。
真ん中高目のストレート144キロを打って左飛
3回裏
③坂口 ヘッドがボールの内→外 バナナカーブを作る。
真ん中のカーブ112キロを打って中前安打
Ⓓ青木 インローのシュート137キロが外れて四球
45球目、野村 テイクバックがあ横に大きい、ダブルプレーン、右肘が上がらない。
重盗を試みるが、青木が二盗に失敗
④山田 アウトハイのストレート138キロを空振り三振
⑦バレンティン 左足の着地が遅れる。トップが浅い。スウェイしてフルスイングできない。
インコースベルトの高さのカーブを打って中飛
野村 トップを作ったとき、右膝が内に入る。右腕前腕部が回外して右肘が沈む。
左膝の壁が崩れる。
4回表
Ⓓ松山 右足の着地が遅れる ヘッドが遅れる。
アウトハイのカットボール138キロを打って三飛
③バティスタ ステイバックが遅れる。
インコースベルトの高さのカットボール141キロを見逃し三振
⑧西川 ヘッドをボールの外側に入れるが、手首を返す
真ん中高目のカットボール140キロを打って右前安打
ブキャナン 左膝の壁が崩れる。
⑦坂倉 踵体重になりながら、ヘッドをボールの外側に入れて打つ
アウトローのチェンジアップ130キロを打って中前安打
②石原 アウトローのカットボールを打って三ゴロ
4回裏
⑨雄平 真ん中高目のスライダー131キロを打って遊ゴロ
⑤村上 アウトコースベルトの高さのカットボール138キロを打って中飛
⑥西浦 左肘を抜きながら体の近くでグリップ先行のインサイドアウト。
バットの根っこに当たる。
インコースベルトの高さのシュート138キロを打って二ゴロ
野村 左膝の壁が崩れる。
5回表
⑤安部 アウトハイ(左打者のインハイ)のナックルカーブ119キロを右翼席に本塁打
ブキャナンが両腕を解いたときに右足で地面を蹴って、テイクバックしたときに右膝をレッグアップ
右膝を「く」の字に曲げて着地位置の探りに入りながらステイバック〇
左肘は本塁側に張り出さないが⊖、左脇は空いている⊕。よって、肩甲骨の稼働域は狭い。
トップを作ったときに、右肩は残る。〇
左股関節も外旋している。〇
右足甲が一塁側に向くが右膝が閉じている。×
左肘が右股関節の内旋よりも先行しているのは〇
ステップ幅が広いので、右股関節の外旋、左股関節の内旋がスムーズでないので軸足を右足に移すのが遅れる(回転半径が大きくなる)。×
ヘッドが遅れる。×
投球がナックルカーブであったので本塁打になったが、始動が遅れた分、左股関節をタメてフルスイングできていない。俗に言うと十分に引き付けて打てていない。
ブキャナン 右腕上腕部を外旋してトップを作ったとき、右股関節が内旋し、右膝が内に入る。
右腕前腕部が回外する。
⑨鈴木 真ん中低目にチェンジアップ133キロが外れて四球。
Ⓓ松山 右足の着地が遅れる、ヘッドが遅れる
真ん中低目のツーシーム142キロを打って左飛
③バティスタ 泳ぐ
アウトコースベルトの高さのカットボール138キロを打って右飛
5回裏
Ⓗ宮本丈 アウトハイのストレート138キロを空振り三振
野村 左膝の壁が崩れる。
⑧塩見 ヘッドをボールの外側に入れて引っ掛けて打つがステップ幅が大きい。
インハイのカーブを打って遊ゴロ
野村 右腕上腕部の外転から外旋にかけて右腕前腕部が回外し、右肘が沈む。
③坂口 右足の着地とスイングがシンクロ トップが浅い。
アウトコースベルトの高さのカットボール140キロを打って一ゴロ
6回表
西川 インコースベルトの高さのカットボールを打って中飛
坂倉 真ん中高目のカットボールを打って二ゴロ
長野 アウトローのカットボール138キロを空振り三振
6回裏
Ⓓ青木 アウトコースベルトの高さのストレート142キロを打って左飛
島内 右腕関節部の外転(右肘をつまみ上げるとき)のときに、右膝が内に入る。
④山田哲人 左足の着地が遅れ、ヘッドが遅れて出る。
アウトコースベルトの高さのストレート144キロを打って二飛。
⑦バレンティン ヘッド外 ややヘッドアップする。
アウトハイのストレート147キロを中前安打
島内 右腕上腕部を外旋してトップを作ったとき、右膝が内に入る。
神宮のマウンドに手こずる。
⑨雄平 スウェイ フルスイングできない。
インコースベルトの高さのストレート146キロを見逃し三振。
島内 傾斜が緩くタメの作りにくい神宮で、クイックのときに右股関節の外旋をしてから左足をステップ。
一塁側にタンブル&ターン
7回表
⑥田中広輔 踵体重
インコースベルトの高さのストレート149キロを空振り三振
梅野 フォロースルーのときに左膝の壁が崩れる。
④菊池 左膝のレッグアップが遅れる。
アウトハイのストレート150キロを空振り三振
梅野 一塁側に(上体を)タンブル&(右足を)ターン
左膝の壁が崩れる。
⑤小窪 左足の着地とスイングがシンクロ スウェイ
真ん中低目のスライダー134キロを打って中飛
7回裏
⑤村上 内転筋を絞って打席に立ち、回転半径の小さい打者
しかし、スウェイ しかし、ヘッドをボールの外側に入れボールを引っ掛け手首の下がりを抑える。
真ん中低目のツーシームを左前安打。
高校時代から個人的に評価してきた村上が前半良くないながらも打席内で修正
ヘルウェグ 最大外旋位で打者と胸が正対する。
⑥西浦 バットを引いてヘッドの内側にボールを当てて打球を殺す伝統的なバント
インハイのシュート回転したボール149キロをバント
③廣岡 スウェイ
アウトローのツーシーム152キロを打って二ゴロ
ヘルウェグ フォロースルーで左膝の壁が崩れる。
クイックで右股関節の外旋なし
左足を着地するや否や左股関節を外旋するので、左足の着地から右肘の出までの間は短い。
⑧塩見 後ろ体重、打ち終わったとき右足が滑る。
踵体重はステイバックのときに右足が滑る。
真ん中低目のツーシーム152キロを打って一ゴロ
ヘルウェグ
上体を一塁側に倒せている。
12球目、インローにツーシームを投げたとき、トップが浅く右腕前腕部が回外し、シュート回転する(塩見がヘッドアップして自打球を左足に当てる)。
14球目、ダブルプレーン(インハイにシュート回転してツーシーム152キロが外れる)
8回表
⑨鈴木 スウェイ ヘッドをボールの外側に入れるが、打球にスライス回転がかかる。
アウトコースベルトの高さのストレートを打って中前安打
Ⓓ松山 左股関節の内旋と左肘の出がシンクロ
ヘッドをボールの外側に入れて打つが差される。
インローのストレート144キロを打って二併打
近藤 5球目 ダブルプレーン リリースの瞬間に右肘が下がる。左足の着地から右肘が出てくるまでの間がある。
③堂林 踵体重
真ん中低目のフォーク133キロを空振り三振
8回裏
②松本直樹(右右)ヘッドアップした分、スライス回転がかかり、本塁打にならなかった。
インハイのストレート144キロを打って中堅塀直撃の二塁打
レグナルト 右足の着地から左肘が出てくるまでに間がある。
Ⓓ大引 踵体重
インハイのパワーカーブ129キロを空振り三振
レグナルト 右足の着地から左肘が出てくるまでに間が短い。
④吉田大成(右左)
右足の着地とスイングがシンクロする。
9球目、インコースベルトの高さのストレートを打って中飛
レグナルト 8球目、アウトコースベルトの高さのパワーカーブ129キロは、右足の着地から左肘が出るまでの間が短い。
Ⓗ荒木 スウェイ ヘッドをボールの外側に入れて引っ掛けて打つ。ややヘッドアップする。
インハイのストレート144キロを打って左前安打
レグナルト 11球目(インコースベルトの高さのストレート145キロ) テイクバックが横に大きい。
12,16,17球目、リリースの瞬間に左肘が沈む。
15球目、トップを作ったとき、左膝がタイトに曲がる、左肘が沈む(インハイボール球パワーカーブ116キロ)。
⑨上田 右膝のレッグアップが遅れる 踵体重
22球目、アウトハイのパワーカーブ131キロを空振り三振
レグナルト 21球目、ダブルプレーン、リリースの瞬間まで右膝がクローズ、リリースの瞬間、左肘の位置が下がる。手首が寝る。
アウトローにパワーカーブ125キロをワンバンドさせる。
9回表
⑧西川 右膝のレッグアップが遅れる
インハイのストレート144キロを空振り三振
石山 左足の着地から右肘が出てくるまでの間がある。
石山 6球目 真ん中低目のフォーク トップを作ったとき、左肩、左膝が割れてリリースの瞬間に右肘が下がる ワンバウンド
②會澤 真ん中低目のストレートが外れて四球
石山 13球目(真ん中高目のボール球のストレート) ダブルプレーン
石山 担いで投げるが、右肘の出が遅れる。
⑧髙橋大樹 予備動作はコック、ステイバックで右肘を張って右脇を空ける。ここまではいい。
しかし、振る直前に両肩が水平になって左肩が顔の前に立ちはだかり、ドアスイングになる。
真ん中低目のストレート142キロを打って中飛
⑥小園 踵体重 ヘッドアップ
インローのストレートを打って投ゴロ
9回裏
⑤村上 初球、アウトコースベルトの高さのストレート141キロに、ステップ幅が広い。グリップをトップハンドの親指で押し込んでボールを縦に擦れているが、打球にスライス回転がかかってファウル。
6球目、左足に重心が残り過ぎて上体が突っ込む。右足の着地とスイングがシンクロ
インコースベルトの高さのストレート142キロを空振り三振
⑥西浦
中田 14球目、左足を踏み出す前に右足に重心がかかりすぎてダブルプレーンになる。インローにストレート137キロがシュート回転する。
③廣岡 アウトローのスライダー126キロが外れて四球
中田 ダブルプレーン、リリースの瞬間に右肘が下がる。頭の位置に右手が上がり、フォロースルーは大きい。
打者がバットとボールの距離が遠いアウトローというのもあるが、中田が左足の着地から右肘が出るまでに間があるので、打者も間を作ることができ、ヘッドが止まる。
⑧塩見 左肘がタイトに曲がる(予備動作で波動が作れていない)、トップが浅い=始動が遅い。フルスイングできない。
インローのシュート135キロを見逃し三振
総括
野村曰く、2回以降、修正できたというが、外転のときの右膝の内入り、ダブルプレーン(右肘の出の遅れ)、フォロースルーでの右膝の壁の崩れは修正できず、バックの守りとヤクルトの打者の打ち損じに助けられた。
島内は、神宮のマウンドと、クイックのときの課題の両方を克服。
ヘルウェグは、一部に改善(左足の着地から右肘が出るまでの間、一塁側へのタンブル)が見られたが、肝心な部分の課題(胸が打者と正対、左膝の壁の崩れ)は残す。
レグナルト 傾斜の緩い神宮でステップ幅の調整に手こずった。
レグナルト 右足の着地から左肘が出るまでの間が短いときもあれば、ダブルプレーンにより、右足の着地から左肘が出るまでに間があるときとがある。後者のときは、リリースの瞬間に右肘が下がり、手首が寝てボールの外側を縦に擦ることができない。
私が監督でレグナルトとヘルウェグのどちらかを敢えて選べと言われたら、これまでの両者の登板を総合して縦回転が加わり、致命的な欠点がない分、レグナルトを選ぶ。