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15/08/2017 18回戦 広島11-6阪神 京セラドーム
“土台あっての原則”
更に言えば、土台の前には、発生源、土台と原則の間にはプロセスがあるのですが。
えげつない、ゲスい話かと思われるかもしれませんが、
発生源は、姿形のない札束であり、フィジカル。
土台は、一つ一つのプレー
プロセスは、各肉体の動きの因果関係
これらがあって初めて原則なりセオリーができるわけです。
これらを見ることなく、先頭打者を出すなだとか、点を取られた後は0に抑えろというセオリーを持ち出して
それを破った選手を紋切り型に批判したらイケンのですよ。
プロ野球選手は、プロ入りするまでの過程で、例外なく故障をしているんです。
肩、肘が万全な選手なんていません。
攻撃が長引けば、肩は冷えます。
いかに下半身主導で肩、肘への負荷を軽減して肩、肘の痛みを誤魔化すか。
そうすると、股関節、膝、骨盤、腰の筋肉、背筋、・・・
肩、肘以外の部分も、球数を投げる毎に消耗してくるんです。
リリースまでにいかに体の各部位に瞬発力による負荷をかけることなく、リリースの瞬間に瞬発力をかけることができるかです。
技術が進歩していない前近代的な野球では、制球が大事です。
ボールを置きに行けば(左膝で弧を描けば、三塁側に四股を踏めば)制球はしやすくなります。
審判がストライクを取ってくれなかったからメンタルが崩れた?
そんな低レベルなことを言ってはいけません。
技術が進歩した現代野球では、制球よりも瞬発力が伝える投球動作が大事。
ボールを内に入れてもいいんです。制球は、ボールを地面に叩きつけない限りは少々疎かになっても構いません。
全球、完璧な動作(瞬発力を伝える投法)で投げれる投手なんていません。
要所でいかに修正して完璧な投球動作で投げれるかで勝敗が決まってくるんです。
要所で、要所に至るまでの間に体の開きを立て直せるか。
広島の投手が黒田から学んで欲しいのはここまで述べてきた部分です。
ゴロやライナーなんて内野手に捕らせりゃいいんです。
今日の試合のポイントは、”体の開き”です。
最も早くに試合を壊した小野ですが、実は、体の開きをこらえられていたんです。
その上で、一塁側に骨盤を回転し、一塁側に上体を傾け、右足を一塁側に送ることができていたんです。
フィニッシュのときにルーズに曲げてタメた左膝を伸ばすことにより、瞬発力を指先に伝え、
リリースをフォローするしています。
フィニッシュで一塁側に重心を移動することは必要。
この膝の伸縮運動は、一塁側に骨盤と上体が早く回ってしまうのを抑えているんです。
右打者は、左手にミートの瞬間に瞬発力を最大に伝え、右手で手首が下がったり返ったりするのを防ぎます。
フィニシュのときの左膝は、バッティングのときの右手と同様に”壁”を作っているんです。
只、小野は、その前の左膝のタメを作る前に上体が前に倒れ、
トップを作ったときに右肩が下がる。
小野も肩を故障しているんです。
バックスピンのかかった球が投げられない。
打者に手元で伸びていると錯覚させることができないんです。
だから、広島打線にフルスイングされた。
小野は、2回1/3 72球 7安打 1被本塁打 1四球 1四球 5失点(自責同じ)。
今村もスライドステップで左足で弧を描くことはないんですが、
一塁側に回るのが早いことがありました。
また、トップを作ったときに右肩が下がり、ボールを引っ掛け、フォークを叩きつけることがありました。
しかし、フィニッシュで左膝を伸ばすことにより、一塁側に回るのを遅らせることができたので、
素早くこれらを修正することで事なきを得ました。
今村は、1回 13球 1安打 1奪三振
最後まで修正できなかったのは、野村とメンデス。
野村は、スライドステップのときに左足で弧を描くことがあります。
左足で弧を描けば、左肩が開きます。
リリースポイントが打者の目線から遠くなるので体感速度が遅くなります。
“左足で弧を描くな”は、野球を始めた子供が一番最初に教わることの一つです。
私は、テレビを持っていませんが、
最近野球を観はじめた方は、亀梨が今村に指摘されていたのを覚えていらっしゃるかもしれません。
メンデスの方は、リリースする前に伸ばした左膝がくるっと回ってしまっています。
左膝にタメがないので、バックスピンがかかった球が投げられていません。
ボールも見やすいので打者は対応しやすい。
野村は、6回 85球 8安打 1被本塁打 4奪三振 3四球 6失点(自責同じ)。
メンデスは、1回2/3 47球 5安打 2四球 6失点(自責4)
一岡は、体の開きがないんだけど、
右足から左足に重心移動するときの右肩と、スライドステップのときの左足に瞬発力に負荷がかかっているじゃろ。
リリースする前に瞬発力を消耗してしまっているのが勿体ない。
今日も他の投手よりは球に伸び(錯覚の話です)があったんだけど、それがなければもっと伸びがあると錯覚させられます。
一岡は、1回 17球 無安打 3奪三振 無失点
中﨑も一塁側に重心移動し、一塁側に右足を送ったり、一塁側に着地したりできるようになりました。
右足でクッションを作るのはなくなりました。
しかし、今度は、着地したときに右足でブレーキをかけすぎです。
フォロースルーが不十分で腕のスイングを止めてしまっている。
それが改善できればもっと良くなると思います。
中﨑は、1回 20球 1安打 1四球 無失点
さて、打つ方ですが、広島打線は11点と良く打ちました。
一つ気になるのは、鈴木誠也です。
8回の打席でファウルを打った場面です。
鈴木誠也は、トップ(始動の際のグリップの位置、バットの角度)を作ったときに左手首に瞬発力による負荷がかかっているんですね。
それで、左肘から左手の指先までがロックされてしまっている。
これでは、始動前に瞬発力が消耗し、始動が遅れてしまうんですね。
その裏の鳥谷は、トップを作くったときに、手首に負荷がかかることなく、
静止することなく、ミートの瞬間に右の手首に瞬発力を注げてヒットを打っています。
広島打線は、石崎に、2回 34球 無安打 4奪三振 1四球に抑えられます。
藤川は、2回 48球 1安打 1奪三振 3四球ですが、広島打線は、0に抑えられました。
岩崎は、1回 14球 1安打 2奪三振 無失点
試合は、11-6で、広島の勝利
勝利投手は、野村で、8勝4敗
敗戦投手は、小野で、0勝7敗
本塁打は、丸18号3ラン(小野初回)、福留13号3ラン(野村5回裏)
対戦成績は、広島の8勝9敗
まとめ
試合の方は、5点差ですが、野村がああいう出来ですけぇ、一岡、中﨑、今村を出したことは妥当だと思います。
佐藤祥万を使えという意見もあるようですが、彼は体が開く。点差を詰められて中﨑、今村に準備をさせることになります。
ブレイシアやJacksonよりも中﨑、今村の方がブルペンでの出来が総合的に上だという評価だったんでしょう。
この試合に関して言えば、采配面での課題は別段ないと思います。
[追記]
梅野は、構えたときに両肘に瞬発力による負荷がかかり、足を骨盤より高く上げて下すので、インコースのベルトより上に弱点があるのが明らかなのですが、インコースに殆ど反応しませんね。
アウトコースの球を踏み込まずに、投手に向かって真っすぐにステップして開かずにセンターから右に打ってきます。
アウトコースは、バットの届かないところに投げても、目線から遠いので振ってくれません。
外に1球も投げずに、メジャー式の一塁側に重心移動させる投げ方で、フォーシームをインコースのベルトより上の高さよりもう少し真ん中寄りに投げ込んでいくのがいいと思います。
梅野は、>の字に緩く曲げて立ってる割りに懐が深くなく(トップが深くない)、肘が窮屈なので、それでも差されると思います。