[球際に強くなる]守備の構え方

Last Updated on 2024年4月11日 by wpmaster

球際に強い守備

すなわち、これは、第三者から見て打球に追い付けるか否かという野手の動きに付ける価値の問題です。

球際に強い守備に関しては、具体的な肉体の稼働の各プロセスを言語化{(価値を付与)せずに、脱力しなさいとか、足を使いなさいとか抽象化されて説明されます。

コーチの動きに合わせて体を動かしなさいと、真似する側の認識に丸投げているのが現状です。
ここでは、球際に強い守備を実現する手段に関して言語化に試みていきたいと思います。

相対的ではなく絶対的に球際に強くなるという面から論じるので、インサイドアウトスイングの完成度が限りなく完全に近い打者が引っ張った打球を優先して書いています。

尤も、緩い打球は、スタートのタイミングが同じであれば、速い打球の場合よりも、次の塁に近付くことができるので、加速距離がMaxになる足の運びをしなくてはならないという面では同じです。

よって、グラウンドが土かレンガか農家が栽培した芝か工場で生産されたアクリルの芝かに関係なく構え方が同じであると考えて下さい。

カウント、右翼、中堅、左翼、遊撃、三塁、二塁、一塁を問わず、守備における構えは同じであると考えて下さい。

Ⅰ守備位置における構え方

(1)両腕の肩甲下筋を前後に伸張せずに両腕の前腕部は回内する

両腕の前腕部を回外すると両肘の内側側副靭帯の前束、両腕の前腕部の深層屈筋が突っ張ります。

両腕の前腕部を回内すると両腕の内側側副靭帯の前束、両腕の深層屈筋が弛緩します。
両腕の前腕部の内側側副靭帯の前束、両腕の深層屈筋が弛緩すれば、両肩関節の外旋運動、両腕前腕部の回外運動の回転半径が狭く、加速距離が長くなります。

両腕の前腕部を回内すると両股関節は内旋します。

両手首を底屈すると、両肘が上がります。

しかし、両肩の腱板が突っ張ります。両腕前腕部を回外運動する間を作ることができません。片方の腕の前腕部の回外運動の加速距離が短くなれば、反対側の腕の前腕部が突っ張ります。前腕部が突っ張れば、突っ張った方の前腕部の回外運動、回転運動の回転半径が長く、加速距離が短くなります。反対側の腕の前腕部の回外運動の回転半径も長くなり、加速距離が短くなります。

(2)両手首は背屈する。
両肩の腱板が突っ張る直前で両腕の前腕部の回内を止めます。両手首が背屈します。

(3)右膝の屈曲の角度は、0:50(アナログ時計に付された数字です)、左膝の屈曲の角度は、11:10が基準

右股関節は、内旋すればするほど、右足拇指球にウェイトがかかります。

左股関節は内旋すればするほど、左足拇指球にウェイトがかかります。

拇指球を荷重した状態で股関節を内旋(スプリットステップのスタート)をすると、拇指球で地面を後方に蹴ってしまいます。

地面を後方に蹴った方の拇指球の上にある股関節が前後に伸張し、ストライドが広がります。地面を後方に蹴った拇指球側の前腕部の回外運動の加速距離(=肘のアクセレーション)の加速距離が短くなります。その股関節の内旋運動が減速します(バックを踏む)。

バックを踏まなければ、落下点の後ろまで走れたであろう打球に追い付くことができません。ダイブを連発する野手は、上手い野手であるという評価を付けることができないのです。

河田雄祐が外野守備コーチをしていたときに鈴木誠也は右足の前脛骨を故障しましたが、足の運びをロクに説明せずに、ダイブを推奨することは二度と生じてはならないことです。

新庄剛志氏は、水谷瞬の守備を球際に強くない例、宮﨑一樹を球際に強い野手であるという評価を付けていますが、私からすれば、宮﨑でもまだ両膝の屈曲は深いです。実際、水谷ほどではありませんが、宮﨑もバックを踏んでいます。

水谷が送球動作の過程で右肘を上げる前に踵体重になるのも左膝の屈曲が深い故にバックを踏むことと関係しています。

これは、前膝の屈曲を深くして立つオープンスタンスの打者がトップハンドの肘を上げる前に投手寄りの足の股関節を内旋することによってスクエアスタンスになる過程を経由した後に踵体重になるのと同じです。

一方、人間は、両膝の屈曲を浅くすることにより、踵体重を回避できます。投球腕前腕部を回内すれば内踝にウエイトを移すことができ、股関節の内旋が後退します。故に骨盤が浮きます。

水谷の守備は、現状、外野の競争を勝ち抜くのが難しい。

バーヘイゲンが先発する試合でも、マーフィーとザバラは、リリーフとしてベンチに入れておきたい。よって、マルティネスは、ベンチから外れることとなる。

水谷は、打撃に関しては、スタメンで使ってみたいと思わせるところまで進歩してきているので、一塁ができれば、打順のバリエーションが増える。水谷は、一塁守備はできないものだろうか。

(4)骨盤は前傾しない

股関節を内旋すればするほど、骨盤は前傾します。骨盤が股関節を荷重すると股関節を外旋する間を間を生じさせることができなくなるので股関節の内旋運動の加速距離が短くなります。

骨盤を浮かせると股関節は外旋します。

(5)打球に対する構え方は、グリップの握り方、投球におけるクイックモーションのセットアップ、走塁におけるリードの構えと同じ

Ⅱ始動(スプリットステップ)の開始

(1)内野手、外野手は、打者がグリップを握る前に両股関節を内旋、骨盤を浮かせて構えます。

(2)骨盤を浮かせたまま進行方向とは逆側の前腕部を回外します。

進行方向とは逆側の股関節が外旋します。
進行方向側の足首が背屈します。
進行方向側の股関節が外旋し、膝が突っ張ります。
進行方向側の股関節が外旋したまま、進行方向側の股関節が逆側の足の方に引っ込みます。

(3)進行方向とは逆側の前腕部を回内して肘を上げます。

進行方向側の足はスパイクの外側から入射できます。

進行方向とは逆の股関節を内旋して内踝を反対側の内踝にぶつけます。

進行方向とは逆の足の拇指球で地面を後方に蹴らないので、進行方向とは逆の足の親指のIP関節が屈曲し、長母趾屈筋が弛緩します。進行方向とは逆の股関節が伸展せずに進行方向とは逆側の膝が骨盤の高さまで上げることができます。

膝の高さは、Ⅱの(2)の肘のアクセレーションによってコントロールします。

始動を前倒しにすればするほど、膝を骨盤まで上げることなくスモールステップで済みますので、進行方向側の足の踵体重を防ぐことが容易になります。

(4)打球の落下点の真後ろでグラブを持つ手の親指基節骨を入射させます。

(1)~(4)によって野手が打球に衝突することを避けることでき、背骨よりも投球腕寄りでグラブを持つ手の小指基節骨で打球を叩けるようになります。

石井琢朗氏のように左腕前腕部の回外(左股関節の外旋)→回内(左股関節の内旋)、右腕前腕部の回外(右股関節の外旋)→回内(右股関節の内旋)を交互に行うことによって、すなわち、ステップオフ、ステップオンを小刻みに行うことによって打球と衝突することを避けることができますが、この小刻みにステップオフ&オンを繰り返すことは、打席においてコックを連発することに相当します。

よって、打球を受けてしまいます。

右投げの遊撃手の小園は、背骨の右側で捕球することによって二塁走者を三塁で刺すことができますが、守備範囲が広がらず、捕殺数が伸びないのは、この小刻みにステップする方法を打球との衝突を避ける手段として採用していることが原因であると考えます。

同じことは、前出の水谷にも当て嵌まります。

よって、この小刻みにステップオフ&オンを行う手段は、私は推奨しません。

(5)グラブを持つ手の前腕部を回外して打球に対し、グラブを持つ手の小指基節骨を入射します。

グラブを持つ手の肘が屈曲します。

グラブを持つ手側の股関節が外旋します。

投球腕側の足の股関節が外旋したまま引っ込みます。
グラブを持つ手の肘が進行方向寄りの足の股関節と背骨の間まで加速します。

投球腕の肩甲下筋が前後に引っ張られずに投球腕の前腕部が回内します。

グラブを持つ手の肩甲下筋が前後に引っ張られる(捻転する)ことなくグラブを持つ手の前腕部が回外します。

投球腕側の股関節が内旋します。

グラブを持つ手側の股関節が外旋し、グラブを持つ手側の足は、スパイクの外側から入射できます。

投球腕の前腕部を回外します。
投球する手の中指基節骨にボールを嵌めます。

投球腕側の股関節が外旋します。外踝にウェイトがかかります。

投球腕の前腕部を回内します(送球)。

前進守備シフトは百害が生じて一利も産み出さない

打者に近付けば近付くほど、ヘッドステイバックの角度を大きくしないと守る野手は、その両手、両股関節と対角線上の肩関節と打者の動き全体との距離を取ることができません。

にもかかわらず、右股関節又は左股関節を内旋して前進守備のシフトを採用すると、両膝の屈曲が深くなります。

骨盤が前傾して構えることになります。
両足の拇指球にウェイトがかかります。

両腕の前腕部を回外して両肘を畳まないとグラブを胸郭と地面の間にグラブを収めることができません。

前進守備シフトの信者は、本塁に近付けば近付くほど一塁線と三塁線の間隔が狭く作られているので両膝の屈曲を深くして動ける範囲は狭くても構わないとしてスローイングが弱い野手を擁護します。

しかし、野手が走者の走路より前に守るので、投手がセットを解く前に既に出塁している各走者にスタートが切られます。

バックを踏んで(拇指球で地面を後ろに蹴って)打球に追い付けない。

両腕前腕部の回内、回外運動を行う間ができないから、打球を後逸する。

前腕部の深層屈筋、両肘の側副靭帯の前束の筋肉が突っ張っているので、弾いた打球が遠くに飛ぶ。

何一つ、ロクなことが生じません。

ギャグの世界です。

footnote

用語の意味に関しては、下記記事参照

[知って得する]頻出野球用語集[完全保存版]

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