[隙を産み出さない野球]内外野のカットプレーのツボ

Last Updated on 2023年2月27日 by wpmaster

例えば、走者三塁で外野フライを打者が打った場合、走者二塁で、打者がシングル安打を打った場合、走者一塁で、外野手の間を破ったり、外野手の頭上を越える打者が打球を放った場合、外野手が捕球後、内野手が外野手からの送球をカットして本塁に投げることがあります。これをカットプレーと呼びます。外野手からの送球をカットする右投げ左打ちの遊撃の小園海斗に関し、外野手との距離を詰め過ぎであるとディスられる方がいらっしゃいます。
今回は、そのカットプレーに関して話します。

外野手の走捕投の関係

岩本、天谷が既に引退し、現在の広島東洋カープには左投げの外野手がいません
右投げの内野手、右投げの外野手は、三塁線方向に走る場合には、軸足は、右足です。左肘をヒッチして右足首を背屈します。左股関節を外旋すると、右股関節が戻ります(右股関節の内旋)。左肩関節が残り、左足小指にウェイトがかかります(アウトエッジ)。左足小指は、インサイドアウトで前に蹴れます。すなわち、左足股関節を内旋し、左足内転筋を内転しても、左足の拇指球で地面を後ろに蹴らなくなります。故に、スタートが遅れません。走路が外側に膨らみません。打球の後ろに回り込みません。外野手の前の打球で二塁打にされません。左肩関節が背骨の方に入ると、右手小指球で打球を叩いたときに右肩関節が残らず、背骨と打球が垂直にぶつかってしまいます。すわわち打球の落下点の真下に入ってしまいます。しかし、走路が外側に膨らまなければ、左肩関節が内側に入りません。
左肘をヒッチしないと、左股関節が内旋し、右股関節が外旋します。右膝が屈曲してスウェイします。打球方向に沿って三塁線方向にヘッドステイバックしながら走ると回転半径が長く、加速距離が短くなるので、走るのが遅くなります。
三塁線方向の打球を捕球する場合、グラブを持つ手である左手の小指で打球を叩きますので、軸足は右足です。送球するとき(右腕前腕部の回内)は、軸足は、左足になります。
野球解説者が打球の落下点に入ると言いますが、現実には、右投げの野手は、打球に対し、左打席に入った状態から打球の右側を走り始め、落下点の後ろまで走ります。落下点の真下には入りません。落下点の後ろで左肘をヒッチし、右足を軸に左手小指で打球を叩きます。
左腕前腕部の回外(フォロースルー期)すると、右股関節が外旋します。左股関節が戻ります(左股関節の内旋)。背骨の右側で”右手で”打球を捕球することができます。送球におけるトップポジションに達した状態になります。左足首を底屈しながらアウトステップすると、左股関節が外旋せず、左股関節の内旋が維持できます。右手の小指でボールを叩いて右肘をヒッチすると、右股関節が外旋、左股関節が内旋します。左足首が背屈します。リリースの前に左膝が突っ張ります。右手親指でボールを叩くと、右手中指基節骨がボールに引っかかります。右側副靭帯の前束が緩みます。右股関節が外旋し、左足首が底屈します。右腕上腕部を回外すると右肘が落ちて再び、右股関節が剥がれます(右股関節の外旋)。左足首が背屈し、左股関節が外旋します。
三塁ベースの内側を蹴って本塁に走る走者は、本塁ベースの最も手前の角を左足で蹴ります。よって、外野手は、投手がインコースに投げるときの体の使い方と同じになりますが、この投げ方をすると、シュート回転にバックスピンが拮抗し、失速(シュート回転)を抑えることができます。

カットに入る野手は、打者走者の方に首を向けない

外野手からの送球をカットする右投げの遊撃手は、一塁側に背を向け、打者から見て送球の右側に半身で立ちます。右投げの遊撃手は、左打席に立った状態で送球の軌道と平行に立ちます。頸反射をしておきます。カットに入った野手は、左腕前腕部を回外して左手小指基節骨で送球を叩く前に打者走者の方すなわち左肩の方に首を向けると、右肘が左肩の方に入り、右肩が地面に被さります。左腕前腕部の回外運動、左手小指第二関節の内旋に関する回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。左手小指基節骨が送球の投げ手の方に向くまで左腕上腕部が外旋しません。左手親指がしなりません。右手小指が立ちません。右手小指第二関節の回転半径が長くなり、加速距離が短くなります。右手小指の基節骨が投げるベースの方に向くまで右腕上腕部が外旋しません。右手親指がしなりません。右手親指の加速距離が短くなります。

送球のカットに入る内野手のポジショニング

右投げの遊撃手が、外野手との距離を詰めると、左肘をヒッチする間ができません。左手親指がしなりません。左手小指で送球を叩けません。打者方向にヘッドステイバックできません。左肩関節が残らず、左手小指と送球の軌道との距離が短くなります。
すなわち、捕球におけるトップポジションの過程が、右足つま先がスウェイした状態で、打撃におけるトップポジションに達したのと同じことになります。右投げの遊撃手は、左手親指の加速距離が短くなり、左手の小指がしなりません。左手小指で送球が叩けません。すなわち、背骨の右側で右手で捕球することができなくなります。左肩を背骨の方に入れないと、送球におけるトップポジションに入れません。左肩を開くと左腕前腕部の回転半径が長くなるので、左手小指でボールを叩く間ができません。ボールを親指の基節骨で叩いたとき(リリース)、右手の中指基節骨でボールを引っ掛けて投げることができなくなります。また、左肩関節が残っていないので、送球がハーフバウンド及びショートバウンドすると、左手小指が空振りします。
元中日の川相昌弘氏は、youtube上で、三塁走者のみのケースでは、外野手は、ノーバウンドの送球をし、三塁走者の他にもう一人走者がいる場合には、外野手はワンバウンドで送球すると語ります。
送球のカットに入った遊撃手がボールを弾けば、送球の方向が変わります。遊撃手は、ノーバウンドよりもショートバウンド、更にはハーフバウンドの送球の方を弾きます。
しかし、選手が肉体を稼動し、試合が進行すれば地面が掘れます。地面の窪みに当たれば、送球の方向が変わります。打者が投げ捨てたバットに当たれば、送球の方向が変わります。
私見では、走者が三塁走者の場合のみならず、他に走者がいる場合でも外野手はノーバウンドで、遊撃手及び本塁に投げるのが望ましいと考えます。
送球のカットに入る遊撃手は、外野手との距離を詰めない方が望ましいのです。

結論

しかし、右投げの外野手が、走路を膨らませて走り、背骨の左側で捕球し、送球におけるトップを入れ替え
たとき右肩関節が残っていない場合、遊撃手がアンツーカーを芝の境目付近でカットに入っても、送球をハーフバウンドさせます。右投げの遊撃手が右投げの外野手からの送球がノーバウンドで届くところまで、外野手との距離を詰めざるを得ません。
カットプレーにおいて外野手との距離を詰める遊撃手の問題は、遊撃手だけの問題ではなく、外野手の打球の追い方、捕球、送球の一連の動きの問題とも関係しているのです。このことは、小園のカットプレーをディスっている方も了知されております。
野間、西川は、走路を膨らませて打球を追い、背骨の左側で捕球します。大盛、羽月だけが、背骨の右側で捕球ができます。野間と西川は、ランニング、捕球、投げ方を一から作り直さなければなりませんが、その改善前に労働力が生産できなくなってしまいます。
右投げ右打ちの、走攻守のいずれに関してもインサイドアウト(走塁の場合、走路を膨らませないランニング、守備の場合、背骨の右側で右手捕球)の完成度の高い外野手をドラフトでの獲得することも、広島東洋カープの補強ポイントの一つと言えるでしょう。
カットプレーの要件は、肘のヒッチ、バックステップ、シャッフル、後方の足の屈曲です。

「[隙を産み出さない野球]内外野のカットプレーのツボ」への2件のフィードバック

  1. いつもありがとうございます。毎回楽しく拝見しています。ネタにしていただいて本当に喜んでいます。笑
    私が言いたかったのは実は「ノーアウトランナーなしのケース」です。

    例えばノーアウトランナーなし。
    右打者の引っ張った打球、ゴロで三遊間の深いところを抜けてレフト前ヒット、小園はギリギリまで打球を追いかけます。小園はその後、レフトが投げにくい距離までレフトの選手に寄っていくんですよ。
    私はあれを見て「いつか打者走者に2塁へ行かれるぞ!」とヒヤヒヤしています。

    三遊間の打球に追いつけなかったショートは、抜けた後、2塁ベースの方向に動くべきだと私は思うのです。小園はレフトの選手の方にしょっちゅう動くのです。
    レフトやセンターが小園に投げず、二塁へワンバウンドで返すことも1~2度あったような記憶があります。

    小園はバックのホームの時も一度珍プレーをやりました。
    東京ドームだった気がします。2死2塁で鋭いライナーのセンター前ヒット。ショートは打球を一歩も追わないような打球です。それを野間が前進してワンバウンドキャッチ。走りながらバックホームした送球を小園が2塁ベースの横で1mぐらい垂直ジャンプしてカットしました。私は
    「おいおい、それはファーストの仕事だろ!」
    と叫びました。

    そういうプレーをディスっていたのでした。
    言い訳するようでスミマセン。笑

  2. 管理人
    ようこそ拙ブログにお越しい下さいました。お待ちしておりました。ひがさんとオンライン上でお話しをするのは本当にお久しぶりです。御ブログは、相変わらずご盛況ですね。
    さて、無死一塁、レフト前ヒットのケースにおいては、ショートの小園がレフト方向に打球を追っていき、一人目の送球カットに入り、二塁ベースに入るのはセカンドの菊池の仕事でしょう。回り込まずに打球に入り、背骨の右側捕球ができ、二塁ベースまでノーバウンドで返球できる右投げの左翼手なら、小園のカットは必要無しで二塁ベースには菊池か小園のいずれかが入るか、小園が送球カットに入ってもレフトからの送球をスルーすることでいいと思います。
    無死一塁におけるレフトから二塁ベースへの送球に関しても、レフトからの送球カットに入った小園が二塁ベース寄りではなく左翼手との距離を詰めれば、本文中で書いたことは生じ得ます。打者走者が左前二塁打を実現することにも貢献します。
    小園が二塁ベースから離れてレフトからの送球カットに入っても、二塁ベースには、小園が入っても菊池が入っても、野間や西川の打球の追い方、捕球の仕方、送球の仕方では、”左前二塁打”、中前二塁打を他球団の打者走者にこれから先のやられるでしょう。実際、私も、小園がプロ入りする前(三連覇中も含む)から、野間が他球団の打者走者に”中前二塁打”をやれられいるのを何度も見ています。
    後者の二死二塁浅いライナーがワンバウンドした中前安打の件(中堅野間)は、仰られるとおり、一塁手がカットに入ります。そのときの一塁手って、坂倉?クロン?磯村?松山?堂林?安部?尤も、クロン以外は、本職の一塁手ではありませんが。

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