インサイドアウトスイング研究ー蓬莱スイングを検証する

Last Updated on 2021年7月14日 by wpmaster

大瀬良だとか、九里だとか、福谷とかが投げている試合は何度も見ているので、彼等が打たれた場合も、打たれるのを最小限に留められた場合も、いかなるプロセスで体を動かし、そのような結論に至るかは再三認識し、語りつくしてきた。その原因の根幹となる部分は、異ならないので、今更取り上げてもつまらない。
西川、坂倉がいかにして打ったかも語り尽くしてきており、その原因の根幹となる部分は、異ならないので、今更、取り上げてもつまらない。現地観戦の数を競う奴等は、中堅ベテランの動きに一喜一憂するが、収束すると、私は、中堅、ベテランが活躍しても興味が生じないのだ。。最下位が事実上確定した現在、今更勝敗はどうでもいい。
そこで今回は、蓬莱スイングについて取り上げる。蓬莱スイングと同旨のことは今までも散々書いてきたのだけれども、今まで喉元につっかえていた小骨を取り外すことができ、その小骨を咀嚼できたので、整理してみたいと思う。

トップが入れ替わった後は、ヘッドは下がっても差し支えない

人間の体は、トップハンドの中指、小指を立てた状態で、中指、小指の第二関節を内旋するとトップが右投手の場合にはトップハンドの手首が右回りする。トップハンドの肘が落ちる。後ろの股関節が外旋する。前の股関節は内旋する。前足首が背屈する。トップポジションの過程で、トップハンドの中指、小指の第二関節の内旋する間ができず、トップハンドの親指が外旋できないと、後ろの肩関節が内転してしまう(後肩関節が残らない)。前肩関節が開く(外転)。トップハンドの親指MP関節を外旋する間ができない。トップハンドの親指MP関節の内旋の加速距離が短くなる。トップハンドの手首が止まる。止まらなくてもヘッドが下がる(蓬莱氏のいう逆波)。ここは、蓬莱スイングも、後出の前田智徳、和田、古田の見解も一致する。
トップハンドの肘が外反する。トップハンドの親指が外旋する。トップハンドの胸郭が、続いてトップハンドの肘が前に出る。トップハンドの手首が180°入れ替わったところで止まる。トップハンドの前腕部が回外し、上腕部が外旋、前腕部がレイバックする。後ろの肩関節が外転する。後ろの脇が更に空く。トップハンドの手首がトップハンドの肘の後ろに来る。ヘッドがトップハンドの手首より下に来る。私は、当初、トップが入れ替わり始まると、「ヘッドが下がる(寝る)と表現した」。「トップが入れ替わった後、ヘッドが寝るのは構わない、トップが入れ替わり始める前のトップポジションにおいてヘッドが寝るのが良くない」としてきた。蓬莱も、結論は私見と同じである。「トップが入れ替わり始める前のトップポジションにおいてヘッドが寝るのが良くない」という部分は、現在も変わらない。私は、トップハンドの肘をヒッチすると、親指の付け根から指先までの中間にある関節(MP関節)が外旋する(しなる)としていた。私は、後ろの脇を空けて銛を投げるように、トップハンドの中指、小指を内旋、トップハンドの肘を畳んでトップハンドの小指でパンチをグリップエンドをパンチしてトップハンドの親指の基節骨でグリップを叩けとしていた。
更に、私は、トップハンドの親指基節骨でグリップを叩くとトップハンドの肘が内反し、トップハンドの前腕部が回外、トップハンドの肘が下がる。トップハンドの中指、小指、ヘッドが立つ。トップハンドの肘がアクセレーションするとしていた。トップハンドの肩関節が前に出る。トップハンドの親指基節骨を内旋するとトップハンドの肘が内反してトップハンドの中指、小指が浮き上がる。トップハンドの肘が持ち上がるとしていた。私は、トップが入れか変わり始めたときには、トップハンドの肘が下がる。ヘッドステイバックするから、ヘッドが下がっていると、錯覚し、実はヘッドが寝ていなかったのだと結論付けた。山田久志は、背骨を右側に倒しているから、右手中指が下がっていると錯覚する、しかし、中指は下がっていない、故にサイドハンドではないという論旨を軌を一にすると解していた。前田智徳の言うトップハンドの肘、手首を落としても、ヘッドが下がるのは拙いというのが腑に落ちた。前田智徳、和田、古田も私と同じ立場に立っていた。
しかし、トップハンドの親指MP関節を外旋した状態からグリップを叩くと、MP関節は内旋する。私は、ピッチングのときには、MP関節を内旋して投球肘を上げている。しかし、一旦、投球肘が落ちてから(アクセレーション期)、投球肘を上げている(リリース)。トップハンドの肘が下がるのと、親指MP関節の旋回との関係が矛盾している。自分でコンテンツを書いていながら腑に落ちない部分があった。
私が、その後、素振りをしてみて解ったことは、中指小指は、トップが入れ替わり始めるときは、第二関節が内旋し、中指、小指の指先が立つがヘッドは寝ている(下がっている)トップハンドの親指を外旋すると、後ろの胸郭、トップハンドの肘が出る。トップハンドの肘が外反(トップハンドの前腕部は回外)したまま、トップハンドの上腕部が外旋したまま落ちていく(ロールダウン)。トップハンドの親指MP関節は外旋したままである。ヘッドも下がっている(寝ている)。結論としては、実はヘッドが立っていなかったとする私見、前田智徳、古田、和田の三氏ではなく、蓬莱氏の方が正鵠を得ていたことになる。
前股関節は内旋、前足は親指の指先のみ接地、前足首は底屈。後ろの股関節が内旋し始める。両股関節がぶつかる。ここは、蓬莱スイングと私見が一致する。
但し、蓬莱氏は、「トップポジションが入れ替わり始める前の段階で、トップは緩めず、トップハンドの肘を動かさずに、後ろの肩関節を残し、トップハンドの手首だけを動かしてトップを入れ替え、トップハンドの肘を畳む。小指でグリップエンドを叩く。右手親指基節骨でグリップを叩き、トップハンドの前腕部を回内している」としている。
「後ろ肩関節を残す」「後ろ肘を畳む」「小指でグリップエンドを叩く」「右手親指基節骨でグリップを叩き、トップハンドの前腕部を回内する」の部分は、蓬莱氏と私見が一致する。しかし、「トップを固める=トップハンドの親指、中指、小指の内旋を使わない」「トップハンドの肘をヒッチしない」ところが私見と異なるところである。
蓬莱氏の言うように手根中央関節を使っても、トップハンドの肘が外反し、トップハンドの前腕部が回外されるから、投球肘が全く落ちないということはない。
手根中央関節は回転半径が、中指、小指の第二関節よりも長い。トップハンドの中指、小指の第二関節を内旋する間、トップハンドの親指MP関節を外旋する間が短くなる。トップハンドの肘の落下距離が短くなる。トップを固めること、トップハンドの肘のヒッチを抑えることが皮肉にも、逆波の原因の一つになるのである。
トップハンドの中指、小指を内旋した場合に比べ、トップハンド前腕部のレイバックが小さくなる。トップハンドの小指とトップハンドの肘の距離が近くなる。トップハンドの小指が投球の軌道とも近くなる。ヘッドステイバックが小さくなる。トップハンドの親指MP関節を内旋する間が短くなってしまう。
トップハンドの親指基節骨でグリップを叩くと、トップハンドの親指MP関節が内旋する。トップハンドの中指、小指第二関節がが外旋し中指小指の指先が、浮き上がる。トップハンドの肘が内反し、トップハンドの肘の側副靭帯の前束が緩む。トップハンドの肘が上がる。前股関節が内旋したまま、前足踵が接地する。前足首が背屈
トップハンドの人差指の付け根が溝が中指、小指の第二関節より浅く、外旋運動の稼働域が狭い。トップハンドの橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、屈筋回内筋群が突っ張り、トップハンドの側副靭帯の前束に張りが緩和されない。蓬莱氏のいう逆波の原因の一つである。
トップハンドの中指、小指の第二関節を内旋すると、トップハンドの前腕部が回外する。後ろの股関節が外旋する。前の股関節が外旋される。

前肘を抜くからヘッドが立つのでない

このボトムハンドの使い方については、私がこれまで、書いていてきたことと基本は変わりません。蓬莱氏と私見も脱稿前から既に一致しています。但し、これまでの私の説明が雑な部分があったことは否めないので、改めて敷衍して書きたいと思う。これまでは前肘を抜くと人差し指の付け根又は小指でグリップを叩けるので、ヘッドが立つとしてきた。敷衍するとと、前肘を抜くことによって、トップハンドの中指、小指を内旋する間ができる、又は人差し指の付け根でグリップを押す間ができる。故にヘッドが立つということである。
セットアップ期
ボトムハンドは、親指を外旋すると、前腕部が回外される。前肘が外反し、前肘が落ちる。上腕部が外旋する。前肩関節が外転し、前脇が空く。後ろの肘が上がる。ヘッドが立つ。
セットアップ期にボトムハンドの親指の外旋ができていると、トップハンドの親指の内旋距離(加速距離)が長くなる。ボトムハンドの中指、小指が外旋される。ボトムハンドの手首のコックがアウトサイドになる。前肩関節の内転が小さくなる。前肩関節の外転距離が短くなる。回転半径(両肩関節の間隔)を短くすることができる(Ⅰ)。トップハンドの中指、小指をゆったりと内旋する間ができる。
セットアップ期にボトムハンドの親指の外旋ができていないと、トップハンドの親指の内旋の加速距離が短くなる。ボトムハンドの中指、小指が外旋できず、前肘が上がらない。
しかし、トップハンドの肘をヒッチする。ボトムハンドの肘が上がる。ボトムハンドの親指が内旋、ボトムハンドの中指、小指が外旋する。前肩関節は内転するが前脇が空く。ヘッドが寝る。ピッチングで言うところのインバートW。前肩関節の外転距離が(Ⅰ)よりは長くなる(Ⅱ)。トップハンドの中指、小指を内旋する間が短くなる。
トップハンドの肘をヒッチしないでトップポジションに入ると、後ろの肩関節が外転しない。前肩関節が背骨の方に入る(内転)。後ろの脇が空かない。ボトムハンドの親指MP関節が内旋しない。ボトムハンドの中指、小指の第二関節が外旋できない。前肘が上がらない。前肘が張ってトップハンドの手首の方に入っていく。トップハンドの中指、小指の内旋ができず、トップハンドの肘がヒッチできない。
前肘が突っ張ると、ボトムハンドの親指MP関節が外旋しない。前肩関節を外転しないとボトムハンドの前腕部を回内できない。前肩関節の外転距離が(Ⅱ)よりも更に長くなる。
トップハンドの中指、小指を内旋する間が(Ⅱ)よりも更に短くなる。

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