今村猛岡田明丈が投球動作の見直し,中村祐太,山口翔が新球トライ

Last Updated on 2020年6月4日 by wpmaster

日本プロ野球機構のメンバーと12球団の代表によるオンライン会議を通じて2020プロ野球の開幕が6月19日、120試合を当面は無観客で行うことが決定されました。
各球団の選手は、既に全体練習を再開し、練習試合を通じてレギュラーシーズンに入っていきます。

打者の方では、昨季まで序盤は振れていなかった長野が紅白戦で塹江から本塁打。
崇司からインサイドアウトというアドバイスをもらったからとコメント。
上本の存在は、チームを明るくしてくれるのは確かだが上本は実力も向上してきた。
上本の打撃が向上したのは、ヘッドが立つようになったという意見もありますが、後ろの股関節の外旋運動ができていないとヘッドも立たないしインサイドアウトで振れませんから、ヘッドを立てるもインサイドアウトも全く無関係ではありません。
元巨人の選手だからといってお高くとまらずに崇司と仲良くしてくれるのはこちらとしては有難いですね。
長野、松山、田中広輔について、私は厳しいことを書いてきましたが、3人とも私なんかよりもずっと真人間。
但し、人柄ではチームは強くならない。この三人がリードオフまたはクリーンアップで規定打席に到達しているようでは、常勝チームにはなれない。
彼等が控えに回ることで選手層が厚くなるのだ。

広島カープの主力投手及び若手投手も、開幕に合わせ新球にトライ、投球動作の見直し、改善という調整を行っています。

大瀬良大地がシュートをマイナーチェンジ

大瀬良は、前田健太が投げているシュートにトライ。
大瀬良は、大学時代、フォーシームは良かったのですが、プロで通用する変化球はカットボールしかなかったが、プロ入り後、試合で使える球種を増やしてきた。
昨シーズン終了後の秋季キャンプにおいて、前田健太と大瀬良は、フットボールを投げることでジャイロ回転をかける云々を話しており、フォーシームと半速球を同じ投げ方を投げるという筆者の考えから両者のアプローチには疑問を持っていた。
しかし、フットボールは、後ろ足の股関節を外旋して投球肩を前肩よりも下げないと遠くになげることが難しい。ジャイロ回転を抑止できるかどうかは、ボールの握り、手首の使い方や指先の使い方ではなく、投球動作次第である。
大瀬良は、スリークォーターの投げ方ですが、投球肘と前膝を並進させる前に投球肩を前肩よりも下げる投げ方をしている。フォーシームと同様の投げ方でツーシーム、ワンシーム系を投げれるかどうかだろう。

今村猛が片足フィニッシュにトライ

黒田博樹は、選手時代の実績は申し分ないのだが、巨人菅野の新しい投げ方を見てストライドを広げることによって投球腕の前腕部の加速距離が増すという山本昌広と同旨のことを話しており、今後、コーチとしてやっていけるかについては疑問を持っていた。
今村は、黒田の助言を参考にして前足一本でフィニッシュすることにトライ。ストライドを狭めないと前膝が屈曲し前足を軸に骨盤を回転できない。黒田自身も勉強を重ね自分自身のこれまでのアプローチの誤りに気付いたのだろう。
フォロースルー期における後ろ足のターン、両足のクロスによって、後ろ足に体重が残ることを防ぐ。
フォロースルーの過程で前膝を突っ張らせて作った壁が崩れると、後ろ足をターンさせることができない。片足でフィニッシュすることは重要なこと。
しかし、前膝を突っ張らせるタイミングは、リリースの瞬間、すなわち、具体的には、右腕前腕部の回内の瞬間である。ここで前膝で地面を蹴って前足首を背屈させないと、後ろの股関節の外旋運動で産み出した瞬発力が下半身に吸収されてしまう。

今村は、後ろの股関節と右腕上腕部、前腕部で波動を作って脱力する若手の手本になる投げ方をしていたが、ここ数シーズンは、右肩関節を外転する右肘を逆Lにする過程で上体と下半身の捻転差(割れが)が崩れている。前膝の蹴り、その前の段階の後ろの股関節の外旋を見直すことは、復活に向けての取り組みとしてはベターであろう。

岡田明丈は、クイック投法の見直し

岡田明丈は、これまで、走者のいるいないにかかわらず、全球セットポジョションから投球してきた。後ろ足の踵を一塁側に蹴る、前肩を内に入れて投球腕が背中の方に入るという無駄な動きをセットポジションでの投球は省くことができる。
岡田は、前肘と前膝を並進する前に、投球腕の手首を地面の方向に引っ張って投球肩を前肩よりも大きく下げる。前肘を前膝の並進とシンクロさせて前肩を下げ両肩峰をぶつけていくオーバーハンド。
投球数が40球を超えるとローテカフ(投球腕周辺の筋肉群)、腹横筋を始めとするインナーマッスルが損耗して、始動のときに骨盤の打者寄り、前肩を内に入れ、右腕を背中の方に入れないと投球肩の肩関節を外転できない。リリースの瞬間に右腕上腕部が凹む。ワンバウンドの投球を連発させる。

クイックは、久保のように後ろ足のスパイクの内側で地面にエッジをかけ、前膝と前肘の並進と共に後ろの股関節の外旋が解けてしまうと、只速いだけで、投球腕の前腕部の加速距離が短くなってしまう。
クイックで投げるときも、投球腕の手首を地面の方に引いて投球肩を下げる、後ろの股関節で地面を二塁方向に蹴る、大腿骨を骨盤に刺すという縦の動きを忘れないことが肝要である。
岡田の練習後のコメントからは、その面を理解していることが看て取れるが、実際に試合でも実行できるかどうかだ。

中村祐太がチェンジアップにトライ

遠藤、山口翔、アドゥワ誠らと先発6番手を争う中村祐太のこれまでのシーズンで投げていた球種は、カットボール、スライダー、カーブ、フォーク。
今回のスプリングキャンプではチェンジアップにトライ
彼の場合、フォーシームのMaxは、146、大半は、140キロ前後。個別の記事で既に書いていますが球速表示以上に錯覚させる投げ方をしている。
しかし、残念なのは、テイクバックのときに右腕が背中の方に入ること。右腕上腕部を外旋、右腕前腕部を回内するまでに、体軸の回転に横回転が加わってしまう。
フォーク、スライダー同様、右腕を背中の方に引くという無駄な動作を省いてチェンジアップを投げることができるかどうかが、これまでの伸び悩みを打破するポイントになるだろう。

山口翔はスプリットにトライ

山口翔は、プロ入り後、テイクバックをコンパクトにし、前膝の蹴りを使って縦回転を産み出し、高校時代のスリークォーターからオーバーハンドに近い腕の使い方をするようになった。
昨シーズンまでは、変化球に関しては、カーブ、スライダーが主体。ここにスプリットを加えると言う。
ツーシームの握りは、フォーシームと同じ腕の振りでスプリット、右腕前腕部の回内から海外にシフトする瞬間に中指に、後ろの股関節の外旋を解くことによって瞬発力を注ぐことによってカットボール、スライダーの回転をかけることができる。親指に瞬発力を注ぐことによってシュート回転を加えることができる。非常に便利なボールである。
しかし、山口翔に足りないのは、半速球系のボールではなく、すっぽ抜くボール、例えばチェンジアップであろう。
山口翔は、前膝を上げたときに後ろ足の踵を一塁側に引いてしまうところがあるので前膝と投球肘を並進させる前に後ろ足の拇指球に体重が移ってしまう。
そうなると、リリースの瞬間に前膝を蹴る間ができない。前肘と前膝を並進する前に後ろの股関節を二塁ベース方向に蹴ってから、フォーシームだけでなくどの球種も投げないと現状を打破することができないだろう。

その他、中田廉が再度、ナックルカーブを調整、DJジョンスンが僅かしか投げてこなかったチェンジアップの見直しにトライしている。
中田廉は、テイクバックは藪田同様、コンパクトである。藪田は、背筋を故障する前は、後ろの肩を下げる分、リリースの瞬間左膝が突っ張っていたが、中田の場合は、リリースの瞬間、左膝が突っ張ることが少なく、フィニッシュの瞬間三塁側に四股を踏むことが多かった。
DJジョンスンも右肩関節の外転前に上体と下半身の捻転差が崩れ、左足首の背屈前に前肩が開くことが多くオープン戦で被本塁打が多かった。
両者とも後ろの股関節の外旋運動をしっかりしてフォーシームを同じ投げ方でこれらの球を投げられるかどうかであろう。