メジャーでの実績もあるディロンジーのピッチングを解析します

Last Updated on 2022年4月12日 by wpmaster

今季中日ドラゴンズに入団したディロンジー(本名Dillon Kyle Gee)は、1986年4月28日生まれの今季32歳。

右投げ右打ちで、公称サイズは、185センチ、92キロ

球速表示は、フォーシーム系が平均147キロ前後。

カット、ツーシム系の動く真っすぐもある。

変化球は、132キロ前後のチェンジアップ、120キロ前後のナックルカーブ、他にスライダーも投げる。

二度の二桁勝利を含むメジャー通算51勝。

2012年の7月13日に右肩の血栓除去手術を受けています。

それでは、Dillon Geeのピッチングを見ながら、攻略の糸口を探っていきましょう。

ディロンジーのピッチング

ディロンジーは、左足を上げ始めます。

右足は、足裏全体で地面を踏んでいます。

右足の重心は、踵寄りにあります。

ディロンジーは、骨盤よりも大分上まで、左膝を上げます。

右足は、ルーズに曲がっています。

右足は、踵もつま先の浮いていません。

右足の重心は、拇指球に移動しています。

右足の腱とくるぶしに負荷がかかっています。

グラブを持つを胸の下まで下げ、そこそこ脱力しています。

右肩は、左肩よりも若干下がっていますので、ここだけを見ると、右肩、右肘は高く上がっていくでしょう。

右肩の下がり具合は、右肩を大きく損耗するほどではありません。

グラブを持つ手の肩である左手を内旋し、左肩が開いていません。

但し、やや左肩の内旋の際、左肩に負荷がかかっていますので、瞬発力が逃げるかもしれません。

右足のスパイクの外側でエッジをかけています。

左足のくるぶしを本塁側に向けています。

左足のスパイクの内側から地面に向かっていきます。

左肩も開いていません。

やや骨盤が三塁側に滑っていますので、瞬発力が消耗したり、左膝の開きが早くなって右肘が伸びたり、ボールを叩きつけたりすることがあり得る。

右肘は、逆L字型に曲がっていませんが、右肩にやや負荷がかかっています。

右腕は背中に付くほどではないので、テイクバックは小さいです。

右肘をつまみ上げ、大腿骨を骨盤に差して両肩甲骨をぶつけていきます。

それにより、瞬発力を産み出します。

左膝を本塁方向に向けていき、右肘と並進運動をします。

右股関節と左膝にタメがあります。

エッジをかけた右足からボールを持つ手までCアーチがかけられています。

左肩も開いていません。

しかし、両肘の高さがそれぞれの肩よりも高く上がり、ややM字型になっていますので、ルーズショルダーになりやすいかもしれません。

左足は、踵寄りから地面に向かっていきますが、それほど極端ではないので、リリースの際の右肘の高さは、それほど戻せないかもしれません。

しかし、右肘を高く上げる手段は胸の張りを大きくするということがありますし、マツダスタジアムのように、重心移動~着地までの過程を経て地面が固いと錯覚する球場では下半身を損耗しないのかもしれません。

右足を蹴り始めたときに、右股関節は内旋し始めますが、右の腸腰筋は内旋していません。

その分、右肩、右肘は上がらないかもしれません。

トップを作ったときに、ボールを持つ手が頭の方に向き、頭との距離が短いので、コッキングの角度だけを見れば右腕が体の近くを旋回し、瞬発力が逃げまないでしょう。

胸の張りはそれほど大きくありませんので、回転軸はそれほど一塁側には傾かないでしょう、

ボールを持つ手は、頭の後ろに隠せています。

三角筋を使って、右腕上腕部を後方に引っ張ります。

両肩甲骨を剥がし、相当な瞬発力を産み出しています。

右股関節の外旋が完全なオーバースローの投手よりも早く、骨盤も滑っていたこと、胸の張りも大きくなかったので、回転軸の一塁側への傾き(重心移動)がそれほど大きくありません。

よって、コッキングの角度は、オーバースローよりもスリークウォーター(45°)に近い。

真っすぐの回転数は、他のメジャーリーガーほどではないかもしれません。

胸の張りが大きくない分、背筋に負荷がかかるので、それほど球数は放れないかもしれません。

左足は、拇指球で着地します。

右腕を内旋します。

左足太もも裏、内転筋を上方に伸ばしていきます。

これは、瞬発力を産み出す動作です。

しかし、右股関節の外旋が早く、胸の張りが小さく、右肘の出が遅れた分、テイクバックが小さい割には、頭が前に出されます。

左膝を上方に蹴り伸ばします。

壁ができて股関節が前に出るのを抑止でき、右腕のフォロースルーの出口をふさぎません。

一塁側に上体が傾き、瞬発力が産み出され、ナックルカーブやチェンジアップのような変化球も落ちます(画はチャンジアップ)。

しかし、右股関節の外旋が早いので、壁を作ったときに、下半身を故障しやすいかもしれません。

右足を一塁側にターンします。

右股関節が前の画から引き続き、伸びないので、瞬発力を逃がしません。

一塁側へのターンが終わり、拇指球から着地します。

ディロンジーのメジャーでの成績

まとめ

ディロンジーの投球動作を総合すると、トップの角度、肩甲骨を剥がす動作が大きいこと、内転筋を伸ばすこと、壁を作ることを始め、瞬発力を産み出す動作もありますが、テイクバック骨盤が滑ること、右股関節の外旋が早いことを始め、瞬発力を逃がす動作により相殺されてしまっています。

瞬発力を損なう動作は、故障を産み出しやすい動作や制球を乱すことにもつながりやすい。

ディロンジーのピッチングは、日本では、チェンジアップで空振りを取り、カット、ツーシーム系でゴロを打たすグラウンドボールピッチャーになるのではないでしょうか。

レベルとしては、ブキャナン(筆者は高く評価している)の方が若干上回るでしょう。

ドラゴンズは、先発投手の層が厚くないので、早ければ、開幕3連戦のどれかに先発してくるでしょう。

只、マウンドの固い球場では、それなりに抑え得るし、ナックルカーブを交えることで股関節の外旋を遅らせ、他の球を投げるときの右肘の高さを試合中に上げるすることもできるので、打ち崩すのは、楽ではないでしょう。

攻略法としては、打者は、ヒッチorコックを交え、始動を早くしてインサイドアウトで腸腰筋の回転を遅らせてチェンジアップにヘッドを返さないで、股関節の外旋が早まったときのスライダー又は失速系(シュート回転する)のツーシームを振っていくのがいいでしょう。